東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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早め!!


なんか読者の皆さんの感想が先を読みすぎていて…………。ネタバレになってしまう笑笑

皆さん読むの凄いですね


まだ鈴鹿編終わってません。てか呪術戦が出てきてません。



誤字訂正いつも、ありがとうございます。




企て

 

 

 

 

 

 

「これ、解いてやろうか?」

 

 

 

 

「………………え?」

 

 

 

それは、唐突な春虎の言葉だった。

 

 

今までりんごのように赤かった鈴鹿の顔がスゥーと引いていく。

 

あとに残っているのは疑問の表情だけだ。

 

 

急だったからという理由もある。

 

だが、それ以上に鈴鹿を混乱させたのは

 

そんなこと全く考えてなかった、と言う理由だ。

 

 

 

この術を施したのは陰陽庁の長官だ。

 

確かに、長官は「倉橋」ではあるが、名前だけでトップの座に収まれるほどその椅子は軽くはない。

 

それ相応の、つまりは、現代でもトップクラスの実力を兼ね備えていなければならない。

 

 

それを「解く?」

 

 

しっかりと確認しおえたのか、先程までの距離はなく少し後ろへ下がった春虎の顔を見る。

 

そこには全く冗談の色はない。

 

 

正真正銘、解除することができると思っていて、なお、鈴鹿からの返事を待っている。

 

 

 

 

そして、鈴鹿は思い出す。あまりにも、彼との距離が近いから忘れてしまっていた。

 

 

彼が何者であるかを。

 

 

 

「どうした?」

 

 

黙っている鈴鹿を不思議に思ったのか春虎が問いかけてくる。

 

 

「い、いや、何でもない…………ホントにできるの?」

 

「出来る」

 

 

その問いにもすぐに返答が返ってきた。

 

 

「でも、もし解呪したってばれたら…」

 

「俺を誰だと思ってる。その偽装するくらいはなんともない」

 

 

鈴鹿の表情が疑問から驚きへ変化していった。

そして、春虎が止めをさす。

 

 

「もし、鈴鹿が嫌ならいいんだ。俺は何もしない。たださ、もし霊災や呪術戦に巻き込まれたとき自衛の手段が限られてるのは危険すぎる」

 

 

またリンゴに逆戻り。

 

物凄く真剣な顔で直視されながら言われた鈴鹿は、しかし、顔を背けることができなかった。

 

 

「俺はお前が心配なんだよ、鈴鹿」

 

 

もともと拒否するつもりはなかった。

 

 

でも、ちょっと躊躇ってよかった、と心底思った。そう思いながら、今度は春虎から顔を逸らすように後ろを向く。

 

今のニヤニヤとした顔を見られたくないからだ。

 

 

「………じゃあ、お願い……します」

 

 

高鳴る心臓を押さえつけながら必死で紡いだ言葉を発する。

 

 

「いいのか?」

 

 

「うん……………心配するって……言われたから」

 

 

「心配するに決まってるだろ?」

 

 

春虎はそこで一呼吸おいて言った

 

 

「俺はお前のもう一人の兄なんだからな」

 

 

 

 

 

世界中どんな人が、聞いても同じような事を思うだろう。その言葉はいま絶対に求められていなかったと。

 

もっと違うものだったと。

 

 

かく言う、少女も例外ではなかった

 

 

 

 

「春虎のバーカーーーー!!!!」

 

 

 

 

怒ったように叫ぶ鈴鹿。それに訳も分からないといった顔で逃げ出す春虎。

 

いきなり、鬼ごっこが始まったがしかし、

 

 

 

追いかける「鬼」の表情は、それほど怒りには染まってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

解呪は、その後滞りなく終わった。

 

 

 

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

 

 

 

 

 

 

「これは、重大な問題です!!」

 

 

バシン、と机を叩いて音を立てながら夏目は叫ぶ。

 

目の前にいるのは、二人の男たちだ。

 

言わずもがな春虎と冬児ではあるが。

 

 

場所は渋谷の某ファストフード店。陰陽塾では、出来ない話と言うので、結果ここで話すことになったのだ。

 

 

そして、ついさっき大きな音を立てた夏目は店内の人の視線を集めたことに気付いたのか顔を赤くしてそっと座り直した。

 

 

「で、問題ってなんだ?」

 

 

こういった時に流れを作ってくれるのはいつも冬児だ。彼自身その役目を担っていると自覚している。

 

 

「春虎くん忘れたんですか?あの夏休み、彼女ーー大連寺鈴鹿さんは、私の“女としての”姿をみているのですよ?」

 

 

 

「ん、だからなんなんだ?」

 

 

「だから、今の私は男で、しきたりが!!」

 

 

話の通じない春虎に少しイラッとしたのか、言葉があやふやになっている夏目。

 

そして、しきたりという言葉で漸く春虎は思い出した。

 

 

(別にそんなしきたりはないんだがなぁ)

 

 

そんなことを心の中で考えているとは表に出さずに。

だが、その思考の弊害は、言葉に乗り移ってしまった

 

「別にいいんじゃないか?鈴鹿にくらいはバレても」

 

 

「……鈴鹿?」

 

 

「あ、いや、あの大連寺さんにバラしても……アハハ」

 

 

思わぬ所に食いついた夏目に何とか誤魔化す春虎、いや、誤魔化せてはいないが、目下夏目にとってより重要度の高い問題があったお陰でそれには触れられずにすんだ。

 

 

「そうやって、春虎くんは昔から……しきたりですよ!土御門としての自覚がないんです!もう……」

 

 

「なぁ、俺も春虎の案に賛成だ」

 

 

と、ここで見守っていた冬児から春虎への救いの手が差し伸べられる。

 

「冬児まで……」

 

 

「まぁ聞け、俺は別に大連寺鈴鹿可愛さにいってるんじゃない、春虎と違ってな」

 

 

「」ギロ

 

 

「いやいやいや、そんなんじゃないから!」

 

 

冬児は、別に春虎の味方でもなかったようだ。

 

 

「まずは、リスクに対するリターンが小さすぎる。春虎の話じゃ三年まで通うんだろ?つまりは、あと二年、隠し続けなければいけないわけだ。これは、どう考えたって割に合わない」

 

 

聞いても夏目の不機嫌そうな顔は治らない

 

「それでも、彼女がバラさないとは限りませんよ、その時はどうするんですか?」

 

 

「あぁそれに関しては、俺に秘策がある」

 

 

春虎はこの時浮かべた冬児の笑みをよく知っていた。

 

悪巧み、何か良からぬ事を(春虎にとって)、何か面白いことを(冬児にとって)考えている顔だ。

 

失敗したかな、と心で思い、嫌な予感が止まらなかった春虎の胸中であったが……

 

 

悲しくもその予感は当たってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

春虎は渋谷の待ち、恋人たちの集うハチ公前に立っていた。

 

 

「先輩!今日は宜しくお願いしますね!」

 

 

右手に花ーーー花は花でも薔薇か食虫植物ーーーを持って。

 

 

 

 

「ぐギギギギギギギギギギギギギギギ」

 

 

………………背後に鬼の気配を背負って。

 

 

 

 

事態は冬児のひと言が原因だった。

 

 

 

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

 

 

 

 

「春虎を生け贄に献げれば良い」

 

 

 

開いた口がふさがらない。

 

まさに春虎と夏目はそんな顔だった。

 

 

「そ、それはどういう…………」

 

 

かろうじて出せたようなそんな声を夏目は出しながら、聞いた。

 

「お前はまだ知らなくてい」

 

しかし、返ってきたのは不明瞭な答え。完全に誤魔化されている。そして、それを問いただそうとしたところで、それは冬児自身に邪魔された

 

 

「おい、春虎。お前どうせ大連寺の連絡先知ってるんだろ?」

 

「あ、あぁ、この前話したときな」

 

「ほぉ、それは聞いてませんね、私は。ねぇ?ハルトラクン?」

 

 

「今は抑えろ夏目、後で存分に時間やるから」

 

 

「お、おい冬児!?」

 

 

「うるさい黙れバカ虎。これはお前の運命だ。良いな?夏目」

 

 

「………………ハイ」

 

 

ここがファストフード店であることをさりげなく忘れかけている三人である。

 

 

「いま、連絡取れるか?」

 

そういったのは冬児だ。むろんそれは春虎に向けたもので、目線はいま春虎が取り出したばかりの携帯電話に向いている。

 

 

「いきなりか?まあ出来ないことはないだろうけど…………」

 

「よし、ならかけろ」

 

 

「え、えぇ?俺あいつと今から話す勇気無いぜ?」

 

「安心しろ、話すのは俺だ」

 

 

そういって春虎の携帯をひったくると一人外に出て行ってしまった。

 

「お、おい!勝手に持っていくなよ」

 

当然追いかけようとする春虎、しかしそれは叶わない

 

なぜか

 

 

「ハルトラクン?何処行くんですか?」

 

 

「な、夏目?」

 

 

「冬児がわざわざ時間を取ってくれました…………そうですね?」

 

 

「………は、ハイ」

 

「どうせ彼女だけじゃないんでしょう。今は携帯を冬児が持っていってしまいましたから、口頭で構いません。後でどうか確かめますから隠しても意味はありません。誤魔化すのも許しません」

 

「………………」

 

 

 

 

「ホカニダレガイルンデスカ??」

 

 

 

 

 

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

 

 

 

 

 

 

ファストフード店前、冬児は、春虎の携帯を操り連絡先を開くと「鈴鹿」との2文字が書いてあるところを押した。

 

 

プルルルル

 

 

そんな呼び出し音は、一回しか流れなかった

 

 

 

『は、ひ!!もしもしゅ!!』

 

 

相手の第一声は、そんなものだった。

 

 

『あーーすまんが、多分俺はお前の期待してる相手じゃない』

 

 

『………………誰?』

 

 

『阿刀冬児、春虎のダチだ。急に悪いが話をしたくなってな』

 

 

『あーあのヘアバンドね。なに?告白とかなら受け付けて無いんですケド』

 

 

春虎ではないと分かったとたん人が変わった鈴鹿。本当に最初に出た人物と同一か大変疑わしいものだ。

 

 

『そんなんじゃない。お前さんも気になってるんだろ。土御門夏目のこと』

 

 

『は、別に』

 

 

『やっぱりか、さしずめアイツとの話のネタだの、近づくための理由だのってとこか』

 

 

『は、はぁ?べ、別にそんなんじゃないし。もちろん気になってるわよ!土御門………夏目?』

 

 

名前が疑問系になっているのですでに白状しているようなものだ。

 

 

『あぁそう言うと思ってな。実はな………………』

 

 

冬児の悪巧みが始まる

 

 

 

 

 

『……………ってことなんだ』

 

 

『へぇなんか面白そうなことしてんじゃん。なに、それを私に伝えてどうしたいワケ?』

 

 

『いや、黙っててほしいのは当然なんだが、ただでやってくれとは言わない』

 

 

『へぇ、気が利くじゃない。でもあたしお金は要らないわよ?一応十二神将だし?』

 

 

『そんなんじゃない。恐らくだがおまえがいま一番欲しいものだと思うぞ』

 

 

『……………………何よ』

 

 

『陰陽塾に来てみれば、春虎の回りにはいつも女女女。入塾式でハッパをかけてみたはいいものの、それほど効果はない』

 

 

『なに?いきなり。頭おかしくなっちゃったの?』

 

 

『まぁ聞け。周りの人間は春虎と半年も長く接していて、色んなことを知ってる。対して自分は春虎のことを何も知らない。それに焦りを感じていた』

 

 

『…………………』

 

 

『沈黙は是なり、だな。図星か』

 

 

『…………………』

 

 

『そこで、だ。お前が黙っていてくれるなら、春虎を一日好きに使って良い権限をやろう。無論、春虎の許可は先ほど取った』

 

 

最後の台詞は真っ赤な嘘である。

 

 

この質問の答えは言うまでも無かろう。こうして、春虎も夏目も事情を知らないままに段取りがたんたんと決まっていった。

 

どこかしら似たような所がある冬児と鈴鹿の手にかかれば、このような企ては赤子の手を捻るより楽というものだ。

 

 

 

 

そうして、日は過ぎ、冒頭にもどるのである。

 

 

 






異論反論抗議質問感想要望等々なんでもお待ちしております。


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