東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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またもや、大変お待たせしました。

こんなにお待たせしたのに、前書きを読んでいただきありがとうございます。続いて同じことを言いますが、リハビリ中です。どしどし文句言ってください。




それと、たくさんのコメントありがとうございます。本当に励みになります。嬉しいですありがとうございます。全部目は通させていただいております。




終走

 

 

 

 

春虎は走っていた。いや、もはや奔っていた。自らの危険信号が尋常ではないほどに反応している。それこそ前世からの因縁、ともいえるほど濃密な気配を感じていた。

 

木行符による身体能力の強制的な上昇に加え、治癒符、韋駄天のマントラまでを常時展開した過去最高といっても差し支えないほどの速さで走っていた。しかしながら、確かに感じていた。自らを追い詰めてくる。過去最高のスピードをもってしても突き放すどころか差を縮めてくる勢いで追ってきているのが、相手から迸る霊力から理解してしまっていた。

 

「ヤバいヤバいヤバいっ」

 

意識的か否か、心からの叫び声が思わず漏れてしまう。

 

 

「まぁ、ちょいと待ちなさいな」

 

 

甲種言霊。

 

それも、鏡が得意とするような力業の言霊ではなく、神扇と呼ばれる呪術師が用いるような上手い言霊にどちらかと言えば近いだろうか。言葉そのものの持つ意味ではなく、それを連想させるような効果を与える高度なものだ。

 

事実、その優しい声色とは正反対に、そこから放たれる呪力は途轍もないものであった。

 

結果、春虎の動きが一瞬止まる。一瞬で済んだのは春虎の実力ゆえだ。常人であれば全く動けなくなったであろう。しかし、現状この一瞬は大きな隙となる。

 

「まったく、なんで、、「急急如律令(オーダー)急急如律令!!」、、、」

 

負けじと春虎が相手のセリフを遮るように術式を展開。あたりを眩い光が覆う。

それと同時に、最大の隠形をはじめ、逃走を再開、、、、、、しようとしたが、最初の一歩を踏み出すことはできなかった。

 

右足に違和感を覚えた春虎は、そこに目線をやると植物の蔓のようなものが巻き付いていた。それから自分を追ってきている「モノ」がどういったものなのかを思い出し歯噛みした。

 

それからすぐスイッチを『逃走』からか『戦闘』に切り替える。

 

 

隠形は無意味だと分かったので解除、呪符を一気に5枚取り出し、それぞれに異なった術式を走らせるやいなや、4枚を頭上に1枚を足元に向かって投擲。

 

まず1枚目

足元に放ったのは火行符。足に巻き付いていた蔓を焼き殺すのと同時に、自らの周囲を炎で多い、今にも掴みかかろうとしていた追手を阻む。

 

2枚目

頭上から春虎と追手の間に簡易結界を展開。炎では心もとない上、時間稼ぎになるかどうかも怪しいが、無いよりはマシだ。

 

予想通り相手は、莫大な呪力でそれらを強引に弾き飛ばし、春虎に迫る。

 

3枚目

周囲から光を奪う。

これは特殊な方法。闇とは陰陽でいう「陰」である。春虎は、そもそも男性であるので帯びているのは「陽」の気である。それをうまく利用して光を強くさせることならできるかもしれないが、それを消すというのはまるで考えられない。

事実、春虎が行ったのは「陰」の気の利用ではなく、「陰陽のバランスの変化」である。陰陽五行説に乗っ取れば、現在人間の観察可能なこの世界は陰陽がバランスよく存在している状態であると言われている。つまり、そのバランスに歪みを加えることが出来るならばどちらかに偏らせるということも可能である。

 

 

あたりから光、具体的には太陽光が消えたことは、ただ視界が悪い、という現象以上の効果をこの場にもたらした。

 

追手のスピードが著しく落ちる。それどころか、その呪力までもが大幅に落ちていく。まるで、太陽光から力を得ていたかのように。

 

予想通りの効果が得られたことに春虎の口角があがった。

 

 

「ノウマク サンマンダバサラダン センダマカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン」

 

不動明王の慈救呪。

放たれたのは春虎の口、、、、、、、、ではなかった。

口角を上げていたのは、男だけではなかったということだ。

 

春虎は、即座に呪力を高め、霊的な抵抗力を上げるが、その呪は春虎にではなくその上空「闇」に向かって放たれていた。

 

途端に、3つ(・・)3つの呪符がはじける。

 

慈救呪とは、厄災を払う働きがある。陰陽を乱し、闇に覆われた空間など厄災そのものである。その効果は、術者にもよるが完璧に払われるといってもよいだろう。

 

 

「そろそろ堪忍したらどうや?夜光ちゃん」

 

「夜光ちゃんはやめてくれ、師匠」

 

 

カコン、カコンと土の上にも関わらず、美しい下駄の音を響かせながら、藤色の和服を着た人物が春虎に近づきながら話しかける。まるで、先程の戦闘は挨拶と言わんばかりに。

 

 

「あら、じゃあ、私も師匠なんで無粋な呼び方はやめてくださいな。確かに、私は夜光ちゃんを鍛えたかもしれないけど、もっといい呼び名を持っていますから」

 

まるで、一言一言が呪術のような妖艶な響きをしている。それは、奇襲の機会をこっそり狙うよう指示されていたコンが隠形を解いてしまうほどにだ。

もしかすると、これこそが乙種呪術なのかもしれない。

 

「だから、やめてくれって。どうせ、今の名前、知ってるんだろ?」

 

 

もはや敵わないということを痛感したのか、あきれたかのような声色で春虎は言う。

 

 

「ええ、知ってますとも。ことあなた様のことにおいて、私が知らないことなどありません」

 

 

目線はどちらかというと下の方に向けて。つまり、コンの方に向けて、どこか誇らしげに発された言葉はコンの邪気を生み出しかけた。

 

その様子を見て、やれやれといった風に首をすくめると、わかったよ、と呟き和装の女性に向かって、久しぶりだねという言葉に続けて、春虎は彼女のことをこう呼んだ。

 

 

 

 

「蜜虫」

 

 

 

 












そういえば、prime videoで東レが全話アニメ見放題みたいですね。みたいなぁ。新刊も読めてないんですよねぇ。それどころか、ラノベもよんでないんですよねぇ。劣等生なんて士族会議編(中)で止まってますし、、、、、、、、、、、。


はぁ、どうしよ。

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