東京レイヴンズ~俺の名は土御門夜光~   作:ぶるーちーづ

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なによりもまず短くてすみません。


それでも、苦しんでいる方々のために駄作ではありますが、なんとか力になりたいと思いました。


もし、こんな話が見たい読みたいという要望があれば言ってください。可能な限り力になります。

もちろん、いつものとおり、今回の話の文句についてはバシバシ言ってください。



あ、まだ、続編は読んでませんごめんなさい。。


密虫

 

 

『密虫』

 

 

かつて、安倍清明に使えていた式神の一人に同じ名前を持つものが存在していた。その式は、諸説あるが、藤の花の精霊であるというのが一般的である。精霊に基本的に決まった姿形はないとされていたが、基本的に美しい女性の姿をしていたとされている。

 

そう、まさに春虎の目の前に存在している女性のような。

 

コンは、全身の毛を震わせるようにして、密虫へ敵意を飛ばしている。そこには、ただの『敵』以上の何かが含まれているように感じられるが、それはおそらく間違いではないだろう。

 

 

とはいえ、清明に使えた密虫と彼女は同一人物である。安倍晴明の子孫たる土御門家にそのまま仕えていても何ら不思議はないだろう。さらに言えば、春虎を、いや、土御門夜光が呪術師として成長するのには彼女の存在が必要不可欠であった。それ故、春虎は彼女のことを「師匠」と呼ぶのだ。彼が呪術戦において木行符を多用してしまうのにはそういったところにも理由がある。何を隠そう、藤の花を原点に持つである彼女は、植物の精、つまり、木行を制している。

 

 

「まだまだですね、夜光ちゃん。なにより、わたくしから逃げるのに森に向かうなど愚の骨頂、冷静さを欠いていては呪術師として未熟である証拠です」

 

 

まるで、先生のような(事実、先生ではあるが)諭す口調で春虎に語りかける。

 

気が付けば、春虎から闘争心は失われ、抵抗する気すら持っていなかった。

 

 

これも、彼女の特性である。まるで雄大な自然のように相手を包み込み、いつのまにか逃げられなくなっている。巧みな呪術で翻弄し、天使のような囁きで優しく口説き、逃げ場をなくし捉える。かつて夜光もこれに捉われ、逃げることを諦めた。

 

 

「そして、混ちゃん。なんですかその様は。わたくしの(・・・・)わたくしの夜光ちゃんの傍にずっといながら、その程度の実力とは」

 

 

こちらには、怒気すら孕んだ声で言った。やけに『わたくしの』が強調されていたような気もするが、、、これに関しては深く追求するべき内容ではないのだろう。

コンは、一瞬ビクっと体を震わせると、春虎の陰にそぼそぼと隠れていった。

 

 

二人とも気づいていたのだ、この季節、藤の花が咲き始める五月に彼女が戻ってくるということを。バレなければこういう事態にはならなかったということを。その言葉の通り、(春虎が前世の記憶を取り戻してから)これまでは、痕跡を消しながら上手くやっていた。呪術的な方法まで使って、意識の奥底に沈めていた。思い出す、口に出すというのは、その行為自体が呪術的な効果をもたらしてしまうことがある。過度な例にはなるが、言霊も“言葉”載せてという意味で捉えるのであれば、その一種と考えてもいいのかもしれない。しかし、それから発せられた一言には呪術的な力は何一つ込められていなかった。

 

 

「また 修行 したいですか?」

 

 

にも拘らず、その言葉は、まるで呪力が込められているかのような反応を彼らにさせた。彼女は呪力をこめなかったのではない。込める必要がなかったのだ。

二人の脳裏に拷問というには生ぬるい、暴力という暴力の嵐が浮かび上がっていた。

尋常ではない速度で視線を右往左往させる二人、それを見てにっこりと笑う美女。まさに混沌と形容されるであろう状況が雄大な大自然の中に広がっていた。

 

とりあえず、春虎は今の自分の状況とこれから見据えていることを簡潔に伝えた。それを聞いた密虫は一拍考えるように首をひねると(その様子は大変様になっていたが)、ぱぁとひらめき顔をしてこう言った。

 

 

 

 「それでは、私も春虎ちゃんについていきます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴鹿は震えていた。

 

一人で、なぜあいつがそばにいないのか、彼女はなにものなのか、彼とどういった関係なのか、おそらく疑問がたくさんあったであろうに、そんなことは記憶の彼方へ、ただひたすらに恐怖という名の暴力が自身の中で渦巻いていることを感じていた。それは、彼女のなかでは一瞬のように感じられていたが、かなりの時間を消費していた。

 

「ごめんな」

 

目の前に浮かぶ、春虎の顔は幻覚か。とうとうそこまでになってしまったかと思うと同時に、自分の中の霊力が共生に乱れるのを感じると抵抗できずにそのまま意識を手放した。

 

 

________________________________________________________________

 

「おっと」

 

 

あおむけに倒れようとする鈴鹿の背中に手を回してその体を受け止める。少し錯乱状態になっていたので、鈴鹿の霊力の流れを意図的に乱し、意識を奪ったのだ。こんなことはなかったことにするのが最も効率的だ。そう自身に言い聞かせ、そっと彼女をベッドへと寝かせた。

 

思い返せば、鈴鹿の授業の途中、休憩すると言って何気ない会話をしていた。

それが気づけば、こんな事態になっていた。

 

結局その日は、鈴鹿が起きるのを確認してから状況を簡単に説明して、解散した。悲しいかな、彼女は春虎が見たことのない紫色のブレスレットをしていることには気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




がんばろう
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