春虎は実は楽しみにしていた。おもいっきり呪術が使えることに。なぜなら、今は、大連寺にとっておれは、夏目だからだ。呪術が使えたところで怪しまれない
「あ、あんたいつの間に?」
「ずっといたぜ、見抜けなかったか?」
「っち、まぁいい、あんたの呪力もらうからっ」
そういって、土蜘蛛を動かす
「やれっ!土蜘蛛!!」
主の命令通り、春虎目掛けて一直線に進み始める土蜘蛛。もしあの巨体が春虎にぶつかったら只じゃ済まないだろう、そう、もしぶつかったなら
『伏せ』
春虎がそう一言紡ぐと、土蜘蛛がまるで何かに押し潰されているように伏せる
「そ、それって、甲種言霊。仮にも夜光の遺産よ?それを一言でって何者よ」
甲種言霊は、元々人に対して用いるもので、帝国式で、さらに、それを用いるのは、十二神将クラスしか鈴鹿は、知らなかった。しかも、人以外、霊災と言っても差し支えない土蜘蛛を御することができるのに驚いたのだ。
「夜光の遺産か。笑えるな。あれは、この程度で屈っせはしないし、ラグもはしらねーよ、模造品なんかに負けてたまるかってんだ」
それを驚愕した目で見る鈴鹿
「やっぱりあんた、転生して……」
「まぁ、それはおいといて、まだやるか?」
「え、ええ、あたしはおにいちゃんを生き返らせるまで止めない」
「そうか、なら、やるか」
そういって、春虎は先ほど鈴鹿が倒した呪捜官のたちから貰った(決して奪ったわけではない、うん)呪符を構える。そして、三枚の呪符を取り、口許で構える
(符に呪文を吹き込んでる。こんなの素人にできる芸当じゃない)
口許を隠すのは、呪捜官としては、基本であるが学生レベルの話しでできるものではない
「どうしたんだ?大連寺焦ってるよーにみえるけど」
「あ、あんたやっぱり、素人じゃないわね」
「それよりいいのか?そんなボーとしてて、いくぞっ急々如律令(オーダー)!」
そう叫ぶのと同時に手元にあった呪符を投擲する。
二枚の呪符が鈴鹿に向かって行く
木行符と火行符、五行相生、木相火。それによって呪術の炎が勢いを増して燃え盛る。近くにいた土蜘蛛も巻き込んでいる。鈴鹿は、それに対し水行符を取り出した
「急急如律令!」
前と同じように大量の水が生じる。しかし、今回はそれで終わらなかった。
「こいっ!阿修羅」
そして、黒服の簡易式も取り出して、呪文を唱え始めた。すると、吹き出す呪力に耐えきれず黒服がグニャリと歪み阿修羅に吸収された。
それを見た春虎も目を細める
「ほぅ、やるな」
羽が生えた阿修羅を見ながら言う。
「けど残念だったな」
「網となりて捕らえろ、急急如律令!」
先ほどは、呪符の投擲と一緒にしたそれを春虎は、今回は唱えるだけだった。
何も持っていない春虎がそう唱えたのに鈴鹿は一瞬たじろぐ、が、ハッタリと考えるとすぐさま応戦しようとする。
阿修羅を動かそうにも何故か動かない、
(なんでっ!?)
見れば呪術の網のようなものに押さえられていた
そう、春虎の呪文に反応したのは、鈴鹿の足元にあった 呪符だった
呪符自体に隠行をかけるのと、火行符での派手な演出により、はじめの段階で春虎が仕込んでいたものだ。もともとは、鈴鹿に使うつもりだったが。
「っな!?」
これには、鈴鹿も驚く。仮にも十二神将である自分が出し抜かれたのだ。
が、春虎の呪術はこれでは終わらなかった。動けない阿修羅に向かって更に呪術を流す。鈴鹿は、危険を察知し距離をとると、符を地面に叩きつけた
「急急如律令!!」
瞬間地面が割れていく、捉えられていた阿修羅がその隙間を通って脱出する。
「やれ、阿修羅」
そう唱えたのにのは、鈴鹿ーーーではなく、春虎の方だった。ハッとした顔をして、すぐさま大量の紙からシキガミを生成、鳥のかたちをかたどると上空に逃げる。
先ほどまで自分がいたところに、阿修羅が突っ込んできていた。
今回までは、年末&お正月スペシャルということで毎日の更新となりましたが、これからは、遅くなります。申し訳ございません。
楽しみにしてくださる方々本当にありがとうございます。これからもよろしくおねがいします