「混………………なのか?」
そして、呼んでしまった。彼女の名。後に、夜光の双璧と言える、護法のかたわれ、飛車丸となる土御門混の名前を。
「おおお、お初にお目もじ致しまする」
「わわ、わたくしこのたび、祖孤葛の葉が御末裔、つつ、土御門春虎様の護法たるを仰せつかりました、コンともうします。ふふ、ふつ、不束者では御座いますが、なにとぞよしなに」
そう言って、額を擦り付けるように叩頭した。それを聞いて、春虎は、思案し一つの可能性を導く
「混、お前もしかして、記憶がないのか?」
それを聞いて、コンは体をビクッとさせると、頭を下げたまま答えた
「おお、おっしゃる通りでございまする。わわわ、わたくし、コンめは、いい、以前にも土御門におお、お仕えしていたことが、あるのですが、きき、記憶の方は……」
よし、混、顔をあげてくれ。と言った春虎は、真正面からその綺麗な顔を『視る』
(これは…………4つ、いや5つか)
コンに施された封印を見つけた。
コンの封印は、土御門の秘術によってなされていた。しかも、それを作ったのは、自分ーーー土御門夜光だった。その封印の特徴としては、封印された人が自力でこじ開けるのは大変であるが、外から開けるのは大変容易である、というものだ。
しかし、天才と名高い夜光、それで終わるはずもなく、特別なものが一つ存在していた
それは、その封印のことを知らないとただ、ぐちゃぐちゃに漠然と何かされてるとしか分からないというものだ。それゆえに、構造は全く読み取れず、どうやって、解呪すればいいか分からないのである。
「そうか、やっぱりか……」
「ああ、あのー春虎様、やっぱりとは」
「ああ、コン、お前は気づいてないかもしれないんだけど、封印が施されている」
「それは、まことですかっ!?」
「うん、それで、もしよかったらなんだけど……解かないか?」
「可能なのですか?」
封印ときいて、涙目になっていたコンは、上目遣いで聞いてくる
「できる……といっても、時間は少しかかるけどな、あとは、服を脱いでもらったりとか色々必要だけど」
外部から解呪するためには、背中の肌に直接触れなければならないのだ。これは、封印の原点がコンの場合、背中にあるためである。
「よよよ、よろしくお願いいたしまする」
そう言って、コンは、上に来ていた狩衣のような服を脱ぐと、春虎に、背中を向けてちょこんと座った。春虎は、その背中に手を当て解呪を開始した。
一つ目は、封印自体を偽装する封印、コンが封印されていると思わせないためのものだ。これは、コンが自覚した時点でほぼ溶けているに等しい。それを起点に、二つ目三つ目と、どんどん解いていく。その度に、コンには異変が起こっていた。
まずは、そのからだ、小学生にも見えたその小さな体は、春虎と同じぐらいの背丈に、顔も、幼くも綺麗な顔立ち立ったものが、美しいと形容したくなる美女へ。そして、記憶、幼き日、夜光にであったときのこと、
コンもその変化を実感していた。コンとしての記憶、そして、飛車丸としての記憶。封印が解かれるごとに、それらがもとに戻っていく。過去身に付けていた呪術、呪力操作のコツ、小さな少女からかつて夜光のかたわらを守った護法としての存在が戻って行く
そして、解呪が終わり、背中から手を離したときそこにいたのは、上半身素っ裸の美女だった。そこへ、春虎は、一言
「久し振りだな、飛車丸」
美女は、その台詞に体を震わせる。この瞬間をいく年も待った。その嬉しさに体は、勝手に動いた
「夜光様ッ!!」
座っていたベッドから飛びはね、春虎に、抱きつく。裸のままで
春虎は、困惑するしかなかった。夜行としての記憶は当然あるが、春虎として、現役男子高校生としての、感情もある。その、素晴らしいプロポーションで、しかも、裸のまま。美女が抱きついてきているのだ。
「ちょま、ちょょょょょと、まって」
その言葉にハッとしたような顔をした飛車丸は、無論裸のままで春虎の前に片膝をついた
「申し訳ございません、私は主にたいして何てことを」
「いや、構わないよ。それぐらい、悪いのは待たせた俺の方だしな」
「それに、今の俺は春虎だ。そうよんでくれ」
「はい!かしこまりました」
部屋に元気な声が響く、するとどこからともなく、というか部屋の入り口から、どす黒い障気とも言えるような圧力がかかる。封印のとき結界を張らずにやったせいで、悪いのがよってきたかとすぐさま構えて、入り口をみる。
そこにはいた。
鬼が。
フェーズ3、いや、フェーズ4動的霊災とも言えるようなものが。
「なな、夏目さん?なんで生成りでもないのにそんな、半端ない鬼気を放ってるんですか?」
そんな春虎の台詞も夏目には届かない
「変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗変態成敗」
「いや、まて、誤解だ。誤解だ!」
「変態成敗!急急如律令!」
そのすさまじい霊力に空間が歪み始める。主の危機と感じた、飛車丸が、すぐさま印を結ぶ。春虎と飛車丸のまわりに円状の結界が生まれる。
飛車丸は、伝説の護法のと呼ばれた式神、夏目との実力差は明らかだった、はず、なのに、飛車丸は、その霊力をほとんどつぎ込み、主を守った
すると、春虎から、「コン」状態に戻れといわれたので、呪術の爆煙に紛れて、コンにもどり、服を着る
「これは、俺の式神なんだ!」
で始まった、春虎の弁解は、一時間以上続いた。
弁解が終わり、やっとのことでゆっくりし始めた春虎は、飛車丸と話していた。
まさか、室内でも片膝をついていた飛車丸を楽にしろという命令でようやく正座までこぎつけていた
「お前に頼みがある」
「主命とあらば」
打てば響く、まさにそんな関係。この感じは久し振りだった。その懐かしさに、春虎も飛車丸も思わず微笑む。
「烏が陰陽塾においてある」
「それは…………真ですか?」
「ああ、確認はしてある。アイツをいつまでも封印させとくとは悪いし、取ってきてほしいんだ。生憎俺は授業があって出られない、頼めるかな」
「お任せください」
「あぁ、それなら、頼む」
そう言って春虎は、飛車丸に一枚の符を渡した
「これは?」
「烏羽織のダミーだ。それで、取りに行くときなんだが、結界が何枚か張られてるみたいなんだ、陰陽塾には、すぐ入れるが、それからだな」
「それがどうかいたしましたか?」
「うん、それは、壊さないでほしいんだ。出来るだろ?今のお前なら結界をすり抜けるぐらい」
「はい!!」
普通なら難題を押し付けられると、嫌なものだが、飛車丸は違った。自分の力を頼ってくれることが、信頼してくれることが何より嬉しかった。そうして、普段の何倍も気合いをいれたのだった
「追加に追加でわるいんだけどさ、塾にいる間は、コンの姿でいてほしいんだ。実はまだ、俺が夜光だってことはいってない。まぁ叔父さんには、バレてるかもだけど」
「はい、この飛車丸、何人たりとも春虎様に害を加えるものは、許しませぬ」
「はは、任せたよ」
飛車丸のこの忠誠はずっと前からだ。これから寝るまで、二人は昔話に勤しむのであった
もう少ししたら京子くんとの……。
書くの難しいなぁ。京子ってどれぐらい呪術使えるのぉ泣泣