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朝になり、俺は目を覚ます。
ふと時計を見ると、すでに午前九時を過ぎている。今日は土曜日だから、何時に起きても大丈夫なのだが、やはりだらしないのは嫌だ。おまけに、何かお腹も空いた様な気がする。
普段なら二度寝をし、あと一時間以上は寝る所だ。しかし、やはり空腹には耐えられない。
「起きるかな。」
朝食を食べようと、俺は寝室からリビングへと向かう。
「おはよー」
俺はあくび混じりの声で言う。起床したものの、やはりまだ少し眠たい。
平日ならこの時間帯は、とっくに朝課外が終了し、一限目の授業を受けている頃だ。だが、土日はいつ起きても大丈夫な点、とても楽だ。
「あ、おはよう、優」
一人の女性と挨拶を交わす。この女性の名前は瑠奈で、俺より五歳上の姉だ。
俺と瑠奈には両親がいない。俺の両親は十年前に、交通事故で亡くなってしまったのだ。それ以来は、瑠奈の家族が俺を引き取り、一緒に生活してくれていた。だが、瑠奈の両親も、二年前に母は病気で、父は事故で亡くなってしまった。
それからは、瑠奈が俺の面倒を見てくれている。
俺が朝食を食べていると、瑠奈から話しかけられた。
「今日、出かける用事ある?」
「うん。食べ終わって顔洗ったら、本屋にでも行くつもり。」
「なら、夕方には帰って来てね。晩御飯食べに行くから。」
瑠奈は長い髪を結びながら、俺の方を向く。すると瑠奈は少しいたずらっぽい表情になり、俺にこんな事を聞いてきた。
「そういえば、一学期の期末の結果、出てる頃でしょ?どうだった?」
俺はそろそろ聞かれる頃だと思っていたが、こんなに早いとは思わなかった。俺は窓の方に目をやりながら、少し目を細める。
「……二百八位」
俺はボソッと言う。俺は今高校二年で、学年の人数は全部で二八十名いる。それに対するこの順位は、決して良いとは言えない。
「も〜!高校二年のこの時期でその順位はヤバイよ!もう十七歳なのに、成績は上がらないし身長は低いし。どうするのよ!」
「おい!成績はともかく、身長は俺の努力でどうにかなるもんじゃないだろ!」
俺は喚く。確かに十七歳で身長百五十五センチは決して高いとは言えないが、それは仕方のない事だろう。
「これから頑張りなさいよ!」
瑠奈は優しい笑みを浮かべて言う。俺は頭を掻きながら返事をした。
昼になり、俺は家を出る。七月のこの時期は、気温が高い。おまけに、今日は太陽がガンガンに照り付けているので、より暑い。歩く度に、俺の額からは次第に汗が流れ出てくる。その汗を拭いながら、俺は本屋へと歩いていく。
よく行く本屋は、家から徒歩十分程歩いた場所にある。
本屋に入り、俺は真っ先に漫画のコーナーへと向かう。好きな漫画は少ないが、好きになった漫画はとことん読み込むタイプだ。その物語の主人公になりきった様な気分で読むのが、漫画の醍醐味だと俺は思う。
財布には千円しか入っていないが、漫画一冊購入するのには十分だ。余ったおつりでジュースでも買うかな、と俺は考えていた。
本屋を出て、近所のスーパーへと向かう。自販機で購入するよりも、スーパーで購入した方が安く済むのだ。
並んでいる飲み物を見て、どれにしようかと悩む。この感じは、俺は嫌いではない。結果的に、俺はコーラを購入した。
外に出て、俺は家に帰る事にした。随分と早いが、今日は友達と遊ぶ約束もしていない。それに、このまま外にいたら、暑さで体が蒸発してしまいそうだ。
俺は歩きながら、手に持っている袋を見る。その中には、先程買った漫画が入っている。早く読みたい。その欲望が、俺の足を速める。
その直後。俺は自分の目を疑った。その目には、信じられないものが写り込んでいた。
「お、おい……何だよこれ‼︎」
見ると、俺の手が透けて見える。手だけではない。つま先から足首。足全体も次第に透けていく。視線をやや右上に向けると、手首や肩までもが薄くなっている。
身体全体が、次第に透明になっているのだ。本屋で購入した漫画や、スーパーで購入したジュースまでは透けていないが、服や靴など、身に付けている物は透けていっている。
「止まらない!何だ……うわぁぁ‼︎」
俺の意識は、そこで途切れてしまった。
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