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草原を数十分程駆け抜けていくと、やがて街に辿り着いた。
街の入り口にはちゃんとした門もあり、しっかりとした街だった。だが、その街に入ってすぐ、俺は見たくない物を見てしまった。
そこには、身体中を切り裂かれ、力なく倒れている人が三名程いたのだ。その三名はいずれも既に死んでおり、六歳程の子供までいた。
「こんな小さな子まで……」
俺は眉をひそめ、その有り様を見ていた。こんな子供まで、強制的にデスゲームに参加させられているのか。一体この子は、どんな気持ちで死んでいったのだろう。それを考えると、心が締め付けられそうになる。
その時だった。突然、俺の足元に一本の剣が落ちてきた。さらに、その剣に続き、一人の血だらけの女性まで落ちてきた。
「う、うわぁっ⁉︎」
俺は後ろに座り込み、手を這うように後ろに下がる。すると、その女性は俺の方を向き、掠れた声で言った。
「き……気を……付け……て」
その言葉を最後に、女性は命を落とした。全てを振り絞った様なこえだったが、この女性は確かに、《気を付けて》と俺に言った。つまり、この近くにこの女性を殺した奴がいるはずだ。
「どうやら、この街は後にした方がいいみたいだな。」
俺は独り言の様にそう呟き、先程入ってきた門の方へと歩いていく。その時。俺はただならぬ気配を感じ、素早く刀を抜き、後ろを振り向く。すると、一人の大男とつばぜり合いになった。
「ほぅ……俺の気配に気付くとは、ガキのくせにやるじゃねぇか!」
俺は一旦その場から離れ、大男から五メートル程距離を取った。俺は歯を食いしばり、大男を睨みつける。大男は、少しニヤついた様な表情で、俺を見ている。十数秒の沈黙の後、大男は突然、地面を蹴り俺の方へと向かってきた。
「……‼︎」
俺は素早く刀を構え、大男と再びつばぜり合いになる。
「このガキが……とっとと死ね‼︎」
大男は俺の刀を弾き、下から俺の身体を切り裂く。
(し、しまった!)
俺の腹部は微かに切り裂かれ、僅かに出血している。
「俺は、早くこの世界から脱出したいんだ。ここでお前が死んでくれれば、その時が近付く!だから……ここで俺に殺されてくれ!」
大男は俺に向かって、連撃を繰り出してくる。俺はその攻撃を、刀で何とか受け流す。そうだ。この大男も現実世界に帰りたいのだ。当たり前の事ではないか。そのためには、正義の心を捨て、立ち塞がる人を殺さなくてはならない。罪なき者を蹴落とす。それが《デスゲーム》というものだ。
だが、その気持ちは俺も同じだ。俺も現実世界へと戻りたい。たった一人の家族である瑠奈に会いたい。そのためには、この大男を殺さなくてはーー。
「うおぉぉー‼︎」
負けじと、俺も連撃を繰り出す。互いの武器が、激しくぶつかり合う。大男の辛そうな表情が、全てを物語っていた。大男も、人を殺したくはない。だが、自分が助かるために、殺すしかないのだ。《殺してもいい》ではなく、《殺さなくてはならない》のだ。
俺も死にたくない。だからこそ、この大男を殺さなくては。
「これで……終わりだぁー‼︎」
大男は、剣を横に思い切り振り回す。直後、俺は刀をスライドさせて、素早く下にしゃがむ。
「な、何⁉︎」
そして俺は、刀を素早く大男の腹部に突き刺す。
「ぐぉぉ……そんな……バカな……」
大男は大量の血を流し、その場に倒れ込む。俺は全身から力が抜け、その場に座り込む。そして、大男の死体を見る。直後、俺は胸が締め付けられる様な感覚に襲われた。それと同時に、俺の脳裏に様々な言葉が浮かび上がった。俺がこの男を殺した。俺がこの男の人生を奪った。俺が……。
いや、悪いのは俺ではない。悪いのは、この世界を創り出し、俺たちを強制的に戦わせているあの男だ。まだ顔は見ていない。しっているのは声だけだ。
「この殺人は、仕方ない事だ。俺はただ、現実世界に帰る事だけを考えたらいいんだ。」
俺は立ち上がり、門の方へと歩き出す。これから、どんな絶望が俺を襲うか分からない。だが、それを乗り越えよう。その先に、俺の未来が待っているのだから。
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