魔法の設定については深く書くつもりはないです。というか書けない(笑)
よろしくお願いします。
ルルーシュは目が覚めると温かい布団の中にいた。見上げれば天井があり、周りを見渡してみれば木造建築畳部屋ということがわかった。どうやらCの世界ではないらしい。そこには家財道具や雑貨などの部屋を部屋たらしめるものはほとんどなく、一見生活感がないようにも見えたがそれにしては塵一つなく管理が行き届いてるようだった。この部屋の住人は重度の潔癖症か何かかなどと考える。
そして数秒が経過し、この状況の異常性を察知して布団から跳ね起きると同時に、彼のハイスペック頭脳が急速に回転を始める。そのとき彼の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「調子はどうだい、ルルーシュ?」
ルルーシュは慌てて振り返る。その声の主は彼の幼馴染であり、壮絶な殺し合いを繰り広げた彼にとって最大の障害、ナイトオブセブン・枢木スザクだった。
「ここはどこだ、天国ではなさそうだが?」
ルルーシュが立ち上がりながら冗談交じりの返事を返す。
「ここは天国にしては僕らがいた世界と代わり映えしなさすぎる気がするけど…天使だってあんな風じゃないだろうし」
そう言ってスザクは部屋の外を見る。それにつられてルルーシュも外を覗き込むと、そこには異様な光景が広がっていた。
大勢の修行僧のような者たちが、自分たちと同年代くらいの青年に次々ととびかかっていく。ルルーシュであったら一撃でのされてしまうであろう攻撃を、彼はスザク張りの身のこなしで回避し、さらには反撃して次々と倒していく。
そんな異様な光景に唖然としながらも、ルルーシュは自らが置かれている状況の把握に取り掛かる。
彼が覚えているのはアーカーシャの剣の崩壊によって、Cの世界が崩壊し始めたところまでだ。
「スザク、お前がこの状況についてわかっていることを教えてくれ」
「Cの世界が崩壊したのは覚えてるだろ?どうやらその衝撃で僕らがいた世界とは別の世界に飛ばされてしまったみたいだ。それで路上で倒れていた僕らを助けてくれた人がここの住職さんというわけなんだ」
住職という単語を聞いてここがお寺だと把握したルルーシュは、部屋の様子や外の修行僧たちに納得がいった。しかし、最も重要なことがわかっていない。
「おい、ちょっと待ってくれスザク。別の世界とはどういうことだ!?」
「そこから先は私が説明しよう」
唐突に聞こえてきた声はまたしても聞き覚えのある声だった。
「おまえもいたのか、C.C.!!」
「当然だろう。あの場には私もいたのだから」
彼女の名はC.C.、ルルーシュに王の力であるギアスを与えた不老不死の魔女だ。
「童貞坊やがスヤスヤ眠っている間に、街に出ていろいろと情報収集していたのさ」
魔女にふさわしい表情で皮肉たっぷりな発言に、ルルーシュも負けじと皮肉交じりに返事をする。
「ふん、お前にしては珍しく働いているじゃないか」
「そんな生意気なことを言って良いのか、私が苦労して収集してきた情報はお前にとって必要なものだろう?」
この魔女と言い合いをしても無駄だと悟ったのか、ルルーシュはその先を話すよう彼女に促した。
彼女の説明をを要約すると、まず、この世界の科学技術はルルーシュたちがいた世界よりも発展しており、街中には無人のタクシーらしきものもあったらしい。
この点以外では以前の世界と大差はないらしい。街中には魔法がなんたらかんたらなどのよくわからない広告もあったらしいが…。
「結局大したことはわかっていないじゃないか、魔女」
「行動に移したことは評価してほしいものだがな」
よくわからない世界に来たばかりでいきなり情報を集めようと思っても限界があるだろう。まずは自分たちを助けてくれたここの住職に話を聞くべきだろうと考えたルルーシュがスザクたちを連れ立って住職を探しに行こうとしたその時、
「やあ、ようやくお目覚めかい?」
突然背後から聞こえた声に、驚きのあまりルルーシュはしりもちをついてしまう。警戒していたにもかかわらず背後を取られて気が動転してしまったらしい。決して彼がビビりなのではない。
「びっくりさせちゃったかな?」
微笑を浮かべたその顔はルルーシュの反応を面白がっているようだった。
「ルルーシュ、この方が僕らを助けてくれた住職さんだよ」
「うん、倒れていた素性の知れない君たちを助けてあげたやさしい住職とは僕のことさ」
などとふざけた口調で住職は話す。彼の名は九重八雲、九重寺の住職であり、対人戦闘を長じた者には高名な「忍術使い」である。
ルルーシュは彼の素性がわかったところで警戒を解く。ギアスを使って情報を引き出してしまうことはたやすいが、ギアスは同じ相手には2度かけることができないため、この場で使うのはためらわれた。そこで彼は自らの話術で情報を引き出すことを試みる。
「それは失礼しました。このたびは助けていただきありがとうございます。私の名はルルーシュ・ランペルージと申します。それで、我々が置かれている状況についてはもう?」
「そこの彼に大体のことは聞いたけど、にわかには信じがたいねぇ、別世界からやってきたなんて。魔法でもそんなことはできないと思うんだけど」
ルルーシュは「魔法」という単語を聞いて眉をひそめる。
「魔法とはどのような意味でしょうか?」
「意味も何もそのままの意味だよ。物体を動かしたり、凍らせたりね。街に出かけた彼女は魔法に関する広告か何か見なかったかい?」
ルルーシュは唖然とする。とんでもない世界に来てしまったと。八雲のくちぶりからは、ギアスのように使用者の数が限られているわけでもなく、「魔法」が一般的なものとして認知されていることが伝わってくる。
「九重殿も使えるのですか、その…魔法とやらを」
「まあね。でも、僕は普通の人たちとは使い方が少し違うけどね」
普通の人たちの魔法がわからないルルーシュはピンと来なかったが、八雲が特殊だということは把握する。
「そんなことよりも君たちはこれからどうするんだい、元の世界への帰り方もわからないんだろう?」
「そうだよ、ルルーシュ。まずはこの世界での生活拠点を確保しないと」
スザクにそう言われてルルーシュは魔法に対する思考の渦にとらわれていた頭を戻す。
「ああ、そうだな。しかし、金はないし、そもそも戸籍がないから部屋も借りられないだろう」
「それなら帰る方法が見つかるまでここに住むといい。僕も君たちに聞きたいことがいろいろとあるしねぇ」
八雲の瞳に一瞬、鋭い光が浮かんだことにルルーシュたちは気づいていない。
「本当ですか!助けていただいただけでなくここまでしてくれるなんて。ご厚意に甘えようよ、ルルーシュ」
「ああ、そうさせていただこう。それで、我々が元の世界に帰る方法を探すにあたって何か適した場所がありますか?」
「それなら魔法科高校に通うのが手っ取り早いだろうね。見たところ君たちは高校生くらいだろうしちょうどいい。さっきそこで組み手をしていた彼も魔法科高校に入学するみたいだよ。入学試験なら1か月後にあるしね」
「しかし、我々には身分を証明するものが…」
「そのくらい僕の方で手配してあげるよ。伝手はいろいろと持っているからね」
先ほど戸籍云々で悩んでいたのが馬鹿らしくなる発言だ。八雲はどちらにしろこの寺からルルーシュたちを出す気はなかったということだ。
「魔法科高校に入るには魔法の素質が必要なんだけど、見たところ君たちにはそれが備わっているね。枢木君はちょっと厳しいかもしれないけどね。まあこの1か月で僕がビシバシしごいてあげるから安心していいよ」
「じゃあ当面は魔法の修行、入学後に本格的に情報収集開始ということでいいな」
「それでいいと思うよ」
「私も坊やの意見に賛成だ」
「そうと決まったらさっそく始めようか」
八雲に強引に決められた気もしないではないが、ルルーシュも情報が不足している中で、これ以上の考えは浮かばなかったので八雲の案に乗っかることにした。
文章におかしいところがあったら指摘してくれるとありがたいです。