達也とルルーシュのダブル主人公的な感じでいきましょうかね。
司波達也の朝は早い。朝食を軽く済ませて玄関に向かうと、そこには彼の妹、司波深雪が待っていた。
「おはようございます、お兄様」
「おはよう、深雪。毎日朝早くから悪いな」
「いえ、深雪はお兄様のお役に立てて嬉しいです」
「そうか、では行こうか」
彼らが朝早くから向かう場所は九重寺だ。住職である九重八雲は彼の体術の師匠であり、こうして朝早くから修行をしている。
九重寺に着くと、達也は妙な違和感を感じ取った。いつもであったら、門下たちの手荒い歓迎で迎えられるのだが、今日はそれがない。
奥に進んでみるとその理由がわかった。門下たちはいつも達也に倒された後のように地面に寝転がっていた。そして、そこには八雲と見知らぬ3人組がいた。
「師匠、おはようございます」
「おー、達也くん、おはよう」
「これは師匠が?」
「いや、僕じゃなくてそこにいるスザクくんの仕業だよ」
達也は八雲にスザクと呼ばれた人物に視線を移す。その人物は門下と同じ服を着ていた。他の二人も同様だ。新しい門下かとも考えたが、雰囲気が門下のそれとは違う気がする。
「そちらの方々は?」
「紹介がまだだったね。この子達はしばらく九重寺で面倒を見ることになったんだよ」
「君が八雲さんから聞いていた司波達也くんか。僕の名前は枢木スザク。こっちの二人は…」
「俺の名はルルーシュ・ランペルージだ」
「私のことはC.C.と呼んでくれ」
「俺は司波達也、っともう師匠から聞いていましたね。深雪、お前も挨拶を…」
「はい、お兄様。私は司波深雪と申します。そこにいる司波達也の妹です」
「それで、門下たちは枢木さんが?」
「うん、そうだけど」
達也は自信家ではない。しかし、門下たちをこの状態にすることは、いつも自分がやっていることとはいえ簡単なことではない。それを門下でもないスザクがやったことに少し驚いていた。
「枢木さんはなにか武術の心得が?」
「僕のことはスザクって呼んでよ。うーーん、武術の心得というか、軍の訓練で勝手に身に付いたというか…」
「おい馬鹿、スザク!」
(軍だと…?)
達也はスザクたちに対する警戒レベルを引き上げる。軍に所属しているようには見えないが、それを隠そうとする辺り怪しさ満載だ。正規の軍ならば隠す理由などないのだから。そんな素性の知れない者を深雪に近づけるわけにはいかない。
「軍に所属していたのですか?」
「あっ、えっとー…」
「誤解させてしまったようですみません。こいつの知り合いの知り合いに軍関係者がいて、その人に少ししごいてもらっただけのことなんです」
しかし会話に割って入ってきたルルーシュという青年に誤魔化されてしまう。達也はこれ以上聞くと泥沼にはまってしまう気がして、その話を終わらせる。八雲が助けて保護しているということならばそこまでは警戒しなくても平気だ、と
自分に言い聞かせる。
「それにしてもスザクの武術は相当なものだとみえる。ぜひ、俺と手合わせしてもらいたいな」
「いいねぇ、達也くんは僕の一番弟子だから、相手にとって不足はないと思うよ」
「そういうことなら僕からもお願いするよ」
達也が八雲からのお墨付きを受けていると知って、スザクもやる気満々というところだ。そして、達也とスザクはお互いに間合いをとり始める。先程スザクに倒されてのびていた門下たちも固唾を飲んで見守る。八雲も面白そうに達也たちを見ている。
「スザクからいいぞ」
「それじゃ、遠慮なくいくよっ!」
そう言うとスザクは一瞬で間合いを詰め、足払いをかける。その動きはとてもじゃないが少し訓練したくらいでは身に付くものではない。長い年月をかけて身に付けることができるものだ。
普通のものならばここで倒されていただろう。しかし、達也もまた普通ではない。体術に関しては「忍術使い」の異名を持つ八雲からお墨付きを受けているのだから。驚くべき反応でこれを上に跳んでかわし、反撃に出る。
スザクは達也のこの反応に驚いたのか、少し硬直してしまう。素人目に見たら硬直とは言えないものだが、武術に秀でた達也はこれを見逃さない。すぐさまそのわずかなスキに付け入る。
達也は初対面の相手に繰り出すとは思えない勢いでスザクを蹴りあげる。わずかな攻防でスザクの力量は自分と大差がないということを感覚で理解したためだ。スザクはすんでのところでこれを両腕でガードするが、その衝撃で後ろに弾き飛ばされる。
「なかなかやるね、達也」
「俺も今のをガードされるとは思わなかったよ。今度は俺から行くぞ」
達也の方からスザクに向かっていき、次々と掌底を繰り出す。それらは普段、門下を相手にしている時よりも鋭いものだ。しかしそれらをスザクは事もなげに防ぎ、いなしている。そしてスザクも反撃し、それを達也が防ぐ。こんなハイレベルな戦いは訓練を積んだ軍人同士でもなかなか見られるものではないだろう。そんな攻防が幾度か続く。
「もういいんじゃないか?」
C.C.が飽きてきたのかやめるように催促してくる。
「ああ、そうだな。もうお互いの力量もわかったしな」
「達也がここまで強いなんて、流石は八雲さんの一番弟子だね。ここまで苦戦したのはカレン以来かな」
「スザクの身体能力は化け物クラスだからな。それと同等ということは司波くんも…いや、俺も達也と呼ばせてもらおうかな。達也も化け物クラスだな」
「いやいや、二人とも素晴らしかったよ。僕じゃそろそろ達也くんの相手をするのがしんどくなってきたから、スザクくんがいれば助かるよ」
「僕らはしばらくここに住まわせてもらってるからまたやろうよ」
「ああ、よろしく頼む」
ルルーシュたちと達也も大分打ち解けてきたところで、深雪が持ってきたお弁当でランチタイムが始まっていた。
「ふーん、達也もやっぱり魔法が使えるんだね」
「まあ平均的なレベルよりも劣っているがな。しかしその言い方だとスザクは魔法が使えないのか?」
「いやぁ、恥ずかしい話だけど僕にはあまり魔法の素質がないようでね。八雲さんに稽古をつけてもらっているけど、ぎりぎり魔法科高校に受かれるかどうかってレベルだし」
スザクの話を聞いていると、自分と共通点が多い気がして達也は妙な親近感を覚えていた。
「スザクたちも魔法科高校を目指しているのか、素質がないというなら普通の高校に通うという手もあるだろうに」
達也は深雪のガーディアンであるため、一般的な魔法が使えないながらも魔法科高校に入学しなければいけないという理由がある。しかし、同じように素質がないというスザクにも、達也のように何かそこに入らなければいけない理由でもあるのかとふと気になったのだ。
「うん、僕らは魔法科高校で情報収… じゃなくて魔法にとても興味があるからその知識を深めたいんだ。それにはそこに入るのが一番だって八雲さんから聞いたからね」
「そういうことか。今の時代、魔法の知識はあるに越したことはないからな」
100人に聞いたら90人がそう答えそうな受験生の模範解答のような理由を聞いて、達也は自分のような特殊な理由を持っている者などそうはいないんだな、とスザクの理由に納得する。
「スザクと俺は共通点が多いようだな。ルルーシュはどうなんだ?」
「俺もお前らと似たようなものさ。たいした魔法は使えん」
「そうか…」
しかし、達也はルルーシュの発言をそのまま受けとることはできなかった。ルルーシュに対して何か腑に落ちない違和感というものを感じていたからだ。彼からはまるで達也が平然と嘘をつくときと同じ雰囲気がする。
自らのことを棚上げにして人を疑うというのはあまり気持ちのよいことではないが、深雪の安全には変えられない。彼は少しは警戒しておいた方がよいだろうと達也は頭の片隅にその情報をしまいこみ、話を続ける。
「まあ全員受かるといいな」
「そうだな、受かるように祈っておくとしようか」
「君たちなら受かるさ。僕が保証しよう」
なんて男たちだけで話に花が咲き、そろそろ解散にしようかという流れになった。
「師匠、今日もありがとうございました」
「僕は今日は特に何にもしてないけどね」
「達也、また組手やろうね」
「またな、達也」
「ああ。深雪帰るぞ……… 深雪?」
「あっ、はい!お兄様っ」
C.C.との話に夢中だったのか、深雪にとって何よりも大事な兄の声が聞こえないほど盛り上がっていたようだ。
「もうそんなに仲良くなったのか?」
「はい!C.C.は素晴らしい友達です!こんなに話が合う人がいるとは…」
達也は深雪がこのような反応をするところを滅多に見たことがない、というか初めて見た。なんにしろ気が合う友達ができたことは良いことだ。
「深雪何を話していたんだ?」
「兄と妹の… その……関係と言いますか。とっ、とにかくランペルージ君はお兄様界のお手本ともいえるような素晴らしい人物だということです!」
要領を得ない深雪の返事に達也は首をかしげるばかりだった。
「C.C.!貴様何を話していたんだ!?」
突然、ルルーシュが大声でC.C.を怒鳴りつけたので達也は少し驚いた。彼にこんな一面があったとは初対面ではなかなかわからないだろう。
「そんなに怒鳴らなくてもよいだろう、まったく。ただ深雪の話を聞いていて、お前と達也は随分とそっくりだなと思ってな。すこーし、お前とナナリーの話を聞かせてやっただけさ」
そう言われてルルーシュが達也のことをじっと見つめてきたが、達也は得意のポーカーフェイスでそれをスルーする。
「よくわからんが余計なことを話すな、この魔女め」
ルルーシュはそう言うと、元の落ち着いた態度に戻っていた。
「こいつが達也の妹に余計なことを吹き込んでなければよいのだが…」
「まあ大丈夫だろう。それじゃあまたな」
「C.C.!またお会いしましょう」
「ああ、またな深雪」
そう言って達也たちは九重寺を後にした。
このルルーシュと達也の出会いがこれからの出来事に大きな影響を与えるとは、今はまだ誰も知る由がなかった。
文章を書くのって難しいですね。
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