黄金の獣と魔弾の姫   作:神ショー

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ではいよいよ、ラインハルトの神槍バレです。



第6話

 

 

 

強襲科の闘技場は、ちゃんと戦闘ができるようにかなり大きめに作られており、自由に観戦することも可能だ。

 

そして、1年生が“あの”ラインハルトと戦うとのことなので、強襲科の生徒たちは勿論、噂を聞きつけた他の学科の生徒たちも観に来ている。

 

中には不知火亮などの見知った顔の生徒たちも勿論いる。

 

その闘技場の真ん中で、1年生たちは待機しているが、ラインハルトは奥の待機室にいた。

 

 

「ラインハルトさん、その服は....」

 

「ん?ああこれかね?これは私の曾祖父が使っていたSS軍服を防弾、防刃仕様で再現したものだ。まぁ、私が作ったのだがね」

 

 

レキが言う服は、元の世界でラインハルトが着用していたあのSS軍服のことだ。

 

白い軍服の上に赤い腕章が付けられた黒い軍服の上着を羽織ったあのSS軍服だ。

 

勿論、金のストラも着けていて、少し小さい前世のラインハルトと云ったところ。

 

腕章には東京武偵高校の校章が使われている。

 

 

「なんでわざわざ?」

 

「私の主義だよ。今回は“槍”を使うのだから、これを着なければしっくりこない」

 

「では、私を助けた時は...」

 

「あの時は緊急事態だったからな。だが案ずるな、この服装で槍を見せるのは無論レキが最初だ」

 

 

それを言うやラインハルトは手をかざし、槍を顕現させるための詠唱を口ずさむ。

 

 

「形成

 Yetzirah―

 

 ここに神の子 顕現せり

 Vere filius Dei erat iste

 

 聖約・運命の神槍

 Longinuslanze Testament」

 

 

直後、黄金の光を放つ長槍が顕現する。

 

それをレキはジロジロといろんな角度から眺める。

 

 

「相変わらず、この槍は美しいですね」

 

「ふっ、そうだろう?何せ私の相棒なのだからな」

 

「――少し、持たせてもらってもいいですか?」

 

「――ふむ、少し待ってくれ」

 

 

本来、この聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)は持ち主以外には決して触ることが出来ない、“意思”を持った武器だ。

 

そう、“本来”なら、だ。

 

 

「ロンギヌスよ、レキが持っても構わんだろう?」

 

 

ラインハルトがロンギヌスに語り掛けると、ロンギヌスは淡い光を放つ。

 

 

「良いでは無いか、レキは私の女神――持つに値すると思うが?」

 

 

すると、ロンギヌスはまた淡い光を放ち、ラインハルトはそれを見て口を開く。

 

 

「なんだ、嫉妬か?可愛い奴め」

 

 

ロンギヌスは先程よりも少し強めに光を放つ。

 

怒ったのだろうか?

 

 

「ははは、冗談だ――それで、良いのだな?」

 

 

最後と言わんばかりにロンギヌスは強い光を放ち、ラインハルトは満足げに頷くと、レキにロンギヌスを渡す。

 

レキはそれを見ながら一言。

 

 

「てっきり、ラインハルトさんがバカになったかと思いました。素があれですし」

 

「いや何、このロンギヌスは意思を持っているからな。本来私以外には触れないんだが、何とか説得してみせたよ」

 

「――サラッと凄いことを言いましたね。今更驚きませんけど」

 

 

そう言いつつも、レキはロンギヌスを受け取る。

 

ズシッとしたドラグノフとはまた違った感触に、レキは少し意外そうな顔をする。

 

 

「何故かは分かりませんが、新鮮ですね」

 

「そういうのもたまには良いだろう?――っと、そろそろ時間だ」

 

 

ラインハルトは壁にかけてある時計に目をやり、時間を確認する。

 

ラインハルトはレキからロンギヌスを受け取ると、決闘場に続く廊下へと向かう。

 

 

「ラインハルトさん」

 

「む?」

 

 

後ろにいるレキに呼び止められ、ラインハルトは振り返る。

 

すると、顔に手を添えられて下げられ、唇がなにか柔らかいもので塞がれる。

 

つまりキス、である。

 

 

「――――あまりやりすぎないでくださいね」

 

「尽力しよう」

 

 

唇が離され、レキは顔を赤くしながらラインハルトに釘を刺す。

 

対するラインハルトは、レキの要求をアッサリと飲んだが、恐らく守れないだろう。

 

頭の中はフィーバーしまくっているし、ロンギヌスも怒っているのか何なのか、漏れ出す神気が多い。

 

そして、ラインハルトがとうとう闘技場に姿を現すと、観客席にいる生徒たちが一斉にざわめく。

 

理由としては、服装が違うこともあるだろうが、手に持っているロンギヌスのことが殆どだ。

 

1年生はそうでもないが、上級生の全員はロンギヌスのほうで驚いている。

 

何せ、ラインハルトの持つ武器というのは、今も両手にはめている防弾防刃仕様の手袋だと思っていたからだ。

 

しかも、この闘技場の待機室に行くまでの間に自室から槍を持ってくる時間は無かった。

 

ならば、一体どこから槍を持ってきたのだろうと推理する生徒も何人か見受けられる。

 

 

「おうラインハルト、随分と良い得物持っとるやないか」

 

「当たり前ですよ、これは私の分身と言っても良い武器なのですから」

 

「おい!さっさと始めろよ!」

 

 

随分と待たされた1年生の生徒たちは、早く始めろと文句を言う。

 

それを聞いた蘭豹は、ラインハルトに1年生の正面に立ってくれと言う。

 

ラインハルトは言われた場所に立つ。

 

 

「よし、準備はええな?それじゃ、始め!」

 

 

ドォォン!と、愛銃を撃って開戦の合図を出す蘭豹。

 

ラインハルトは動かず、相手を煽ることにした。

 

 

「どうしたのだね?来ないなら私から行くことになるが?」

 

「くっ、この!」

 

 

簡単に挑発に引っ掛かった生徒が、ラインハルトを銃撃する。

 

だが

 

 

「笑止」

 

 

ラインハルトは槍を正面で一回転させることで銃弾を弾く。

 

一歩も動かずに銃弾を弾かれたことに驚く1年生だが、ラインハルトの挑発は止まらない。

 

 

「この程度でAランクなのか?これならば知り合いのEランクのネクラのほうが100倍楽しめるぞ?」

 

「~ッ!?全員でこのクソ野郎をやっちまおうぜ!」

 

「「「おぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

拳銃を持つ者、刀剣を持つ者、トンファーを持つ者、様々な武器を持つ者たちが一斉にラインハルトに襲い掛かる。

 

だが、ラインハルトは一歩も動かずに目を瞑っているだけ。

 

そして、ある一定の範囲に入った瞬間、ラインハルトは瞑っていた目を開けて、ニヤリと笑う。

 

そう、彼らは入ってしまったのだ。

 

ラインハルトの、獣の領域に。

 

 

「ああ、一つ忠告しておこう――しっかりと防げよ?」

 

 

刹那、ラインハルトは駆け出す。

 

まず最初に前にいた生徒を殴り倒し、その反動で斜めになった体を捻り、地面に手をついてその後ろにいた生徒を蹴り倒す。

 

 

「「「「うぉぉぉ!!!」」」」

 

「甘いな」

 

 

着地したラインハルトは後ろ向きになった体を正面に向けながら槍を大きく凪ぎ、降り下ろされていた武器を全て弾き飛ばした。

 

 

「なっ!?」

 

「マジかよ!」

 

「なんて力だ!?」

 

「クソッ!」

 

 

隙が出来た生徒たちに向かって地面に手をつき、脚を大きく開いて回転しながら蹴る。

 

直ぐにその場を飛び退いて着地すると、さっきまでいた場所には銃痕がある。

 

 

「チッ!」

 

「逃がすな!」

 

「――ぬるい」

 

 

遠距離にて射撃をしている生徒たちに対し、ラインハルトは槍を持っていない方の拳で空気を殴り、その生徒たちを狙い射つ。

 

拳を放つと同時に生徒も倒れたので周りの生徒たちは唖然としている。

 

するとどうだろう。

 

残っている生徒はあと4人となっていた。

 

 

「ば、化け物だ」

 

「これが、Sランク」

 

「では、さよならだ」

 

 

ラインハルトは最後だと言わんばかりに、その4人にロンギヌスの穂先を向けると、穂先に黄金の光が宿る。

 

一瞬の間も置かずに放たれた破壊光は、真っ直ぐに4人の前の床に着弾し、その衝撃で吹き飛ばされる。

 

補足だが、ラインハルトは聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)の破壊光の威力と規模を自在に制御することが可能なのだ。

 

今回は4人を吹き飛ばす程度の威力と規模だ。

 

 

「ふむ、余りにも呆気ないな。蘭豹先生、この者たちは本当に全員Aランクなのですか?」

 

「おう、間違いなくコイツらはAランクや。コイツらが弱いんやなくて、お前が強すぎるだけやからな」

 

 

すると蘭豹は立ち上がり、観客席にいる1年生の生徒たちに向かって大声で叫ぶ。

 

 

「ええか!これがSランク武偵及び上級生の強さや!今回は教育っちゅうことで手加減してもらったが、実戦やったらコイツらは皆殺されとる!つまらん慢心しとらんで、時間があったら精々腕を磨けや!そんじゃ解散!各自さっさと訓練しぃや!」

 

 

それを皮切りに、観客席の生徒たちがどんどん帰っていく。

 

もう用は終わったと思ったラインハルトは、真っ直ぐに待機室に戻る。

 

そこには当然の如くレキがいて、腕を組んで仁王立ちしている。

 

 

「おや?どうしたんだね?レ――」

 

「ラインハルトさん、直ぐに部屋に行きますよ」

 

「はい?」

 

「何モタモタしてるんですか?早くしなさい」

 

 

何故だか分からないが、レキが言ったのだから大人しく寮の部屋に向かうラインハルト。

 

途中、強襲科を出る際に、1年生の後輩たちから尊敬の眼差しを向けられていたラインハルトだが、本人はレキのことで頭が一杯だった。

 

しかも槍を出したままというバカ丸出しだったので、帰る道中さまざまな視線を向けられたが、やはりラインハルトはそれどころでは無かった。

 

そして、寮の部屋に着いてリビングに入った途端、レキは床を指差しながら

 

 

「ラインハルトさん、そこに正座しなさい」

 

「な、何故――」

 

「誰が口を開いても良いと言いましたか?大人しく速やかに迅速に黙って従いなさい」

 

「はい!」

 

 

レキのただならぬ威圧に、ラインハルトは即座に床に正座をする。

 

レキは腰に手を当てながら、ラインハルトを真っ直ぐに見据えて発言した。

 

 

「ラインハルトさん、私は模擬戦の前に何と言いましたか?」

 

「ぐっ!――や、やり過ぎるな、と」

 

「そうですその通りです。私はくれぐれも“やり過ぎるな”としっかりと釘を刺しましたよね?なのに、あなたはそれを破りました」

 

「め、面目無い」

 

 

レキは淡々と言葉を言っていく上に、ロボットレキと呼ばれていた時よりも表情が無く、眼からハイライトも消えている。

 

ラインハルトは顔を伏せながら、今の状態のレキが今までで一番恐ろしいと感じていた。

 

前世のときも含めて、だ。

 

 

「――はぁ、折角言う通りにやり過ぎていなければ、あの時の続きをしたというのに」

 

「ッ!?」

 

 

溜め息の後に呟かれたレキの聞いたラインハルトは驚いて伏せていた顔を上げると、その瞬間に顔を脚で踏まれる。

 

「何を期待しているかは分かりませんが、それは取り上げです。暫く反省しなさい」

 

「――――」

 

「?」

 

 

顔を踏まれてから、めっきり大人しくなったラインハルトを訝しげに見るレキ。

 

よく耳を澄ませてみると

 

 

「スゥーハァー、スゥーハァー」

 

 

脚の匂いを嗅いでいた。

 

 

「ッ!?」

 

「ぐふぅっ!?」

 

 

即座に顎を蹴り上げて気絶させようとするレキだが、ラインハルトは直ぐに立ち直すと

 

 

「だが、まだいける!」

 

 

と、レキに飛びかかる。

 

レキは本能で危機を感じ取り、反射的に脚を蹴り上げる。

 

少し変な感覚がしたと思い、ラインハルトを見ると

 

 

「――――ッ!?!?!!?!?」

 

 

言葉にならない悲鳴を上げ、床に落ちて気絶する。

 

レキは自分が今蹴り上げたのが何だろうと必死に考える。

 

暫くすると

 

 

「~~ッ!?」

 

 

自分がとんでもない場所を蹴り上げてしまったことに気付いたレキは、顔を赤くしてしまう。

 

1年生とはいえAランクの武偵たちを圧倒したラインハルトは、恋をした恋人によって敗北させられたのだそうな。

 

 

 

 

――――――――――

 

???side

 

 

「なんなんだ、アイツのあの武器」

 

 

誰もいない廊下。

 

そこで、誰かも分からない生徒が一人考察していた。

 

それは闘技場でラインハルトが持っていたあの槍。

 

あれはただの槍じゃない。

 

“良い得物”なんて、そんな生易しい武器(もの)じゃないと、自分の中の何かが忠告している。

 

 

「――用心しておかなきゃな」

 

 

止まっていた生徒は歩き出す。

 

もう戻ってこれないかもしれない、そんな真っ暗な道を。

 

 

 





どうでした?

戦闘描写が上手く出来ずにスミマセン。
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