修羅の餓狼
「シィイイイ―――ッ!!」
「おらァアア―――ッ!!」
顔面へ一切躊躇なく唐竹斬りに迫る剣を持つ手首を掴み、後方へ反転しながらぶん投げる。その際に反対の腕で逆手に構えた大剣をぶん投げた男の首に叩きこもうとするが、コンマ数秒の差で剣に防がれ男の身体が吹き飛ぶ。空中で足場もないのにも関わらず男は瞬時に天地の場所を把握して地面を滑るように投げられた勢いを殺しながら着地した。
「ハッ! 普通今の受けるかよ馬鹿キリト。相っ変わらず化物染みた反応速度だなぁおい」
「そっちこそ。ソードスキル発動中に見切ってぶん投げるとか体術スキルでも持ってんのかよ。後で俺にも教えろよヴォルフ」
「そんなもん持ってる訳ねーだろ。第一、持ってたとしてもお前だけには絶対ぇ教えねえよザマー!!」
「オーケー、とりあえず真偽は後回しにしてお前は泣かす」
共に挑発しながら剣を構える。だけどキリトと呼んだ男の表情には隠す気がないほど笑みが浮かんでおり、おそらく俺も同じような獰猛な笑みを浮かべている事だろう。
そうだ、愉しくなければこんな事はしない。今日は馬鹿げた最後の祭りだからこそ、盛大に騒ぐのだ。
「「行くぞォォおおおおおおおおお――――ッッッ!!」」
共に咆哮を轟かせて分け目も振らず一直線に宿敵の元へ疾走する。速度は片手剣のキリトの方が僅かに速く、彼の剣が青いエフェクトを放ちながらブレる。
その現象は間違いない、この世界における必殺技―――ソードスキルの発動に他ならない。
片手剣突進技、《レイジスパイク》。
キリト自身姿がブレ、先ほどの速度とはかけ離れた俊足で突進してくる。
ああ、確かに速いだろう。だが、
「そんなチャチな技が、俺に効くかァァあああああ!!」
結局の話、その一撃は本人が放ったモノではなくプログラムのサポートが在ってのものに過ぎない。そしてその借り物の力は余りに容易い。
大剣を邪魔にならないよう逆手に持って後ろに回し、突進してくるキリトに合わせて身体を沈める。流石に完全に躱す事が出来ず肩に受けるがその衝撃を利用して反転する事で遠心力加え、ソードスキルを発動した代償に起こる硬直状態のキリトの脇腹に逆手で構えた大剣をぶちかます。
メシッ、と聞えるはずのない筋肉が軋む音がして両者の身体が反対方向へ吹き飛ぶ。俺は先ほど受けたソードスキルの衝撃で、キリトは脇腹に受けた大剣の薙ぎ払いで。吹き飛ばされた勢いのまま傍のオブジェクトである木に背中から衝突し、衝撃で肺の空気が一気に外へ出る。この世界では呼吸をしなくても理論上問題ないはずだが、生き物としての本能はそう簡単には慣れないようだ。
顔を上げれば、同じように木と衝突したのか木にもたれながら立ち上がるキリトの姿が。
「ふ、ふふふふ、ふはははははは……」
「く、くくくく、くはははははは……」
笑い出したのはどっちが先だったのか。そんなことは心底どうでもいい。ただ可笑しくて可怪しくて湧き上がってくる衝動を抑えきれない。
ああ、もういい。我慢する必要などないのだから。どうせこれが最後の祭りなんだ。ならば最後までおかしく狂うのが礼儀だろう。
「ふははははははははははははははははははははははははははははははははァァ―――!!」
「あははははははははははははははははははははははははははははははははァァ―――!!」
湧き上がる哄笑が、抑えきれない―――!
「ったく、何やってんだろうなぁ俺達。今日がベータテスト最後の日だっていうのに、最後の最後で何でデュエルしてんだか」
「でも愉しいだろ?」
「当然ッ」
「ならいいじゃねえか」
どうせこの世界もいつかは消えるのだ。所詮0と1で出来た集合体。いずれ劣化してただ人の記憶のみに残る。それが悪いことか? 永遠でなければならないものか? ―――違うだろ。
「
「相変わらず自己完結してるな、まったく。けどまあそれには同感だ。どうせ今日で終わりなら、寂しく別れるように盛大に愉しんだ者勝ちだしなァ!!」
笑い、嗤い、再び激突する。剣、素手、禁じ手、ソードスキル。使えるモノ全てを駆使してただ目前の相手を殺しに掛かる。だけどこの程度で終わってくれるな、お前ならこの程度覆せるだろうと期待を込めて。この瞬間が永遠に続けばいいのにと思いながら。
「なあ、愉しいか、キリト?」
「そっちこそ、どうなんだよ?」
「俺か? 俺は勿論―――」
愉しいぜ。そう口で呟いて、お返しの頭突きをぶち当てる。
ずっと飢えていた、ずっと乾いていた。何をやっても満たされなかった。心の奥が伽藍洞で、ずっと退屈だった。人として何か大切なモノが俺には欠けていた。
その飢えが今は感じない。ただ満たされている。この一瞬のために俺は生きていたのだと強く実感できる。
だがまだだ。もっともっと、もっとだ。満たしてくれ、俺の渇きを癒やしてくれ。愉しくて楽しくて、この脳みそが沸騰しているような感覚がとても素晴らしくて―――
「キリトォォおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ヴォルフゥゥううううううううううううううううう!!」
喉が裂けるような咆哮が迸り、大剣と片手剣が夜の闇を斬り裂いて振り抜かれる。袈裟斬りと逆袈裟。振り落とされる片手剣と振り上げられる大剣が摩擦しながら共に通り過ぎ、相手へと激突する。
防御や回避など思考に存在しない。この状況ですべき事は一秒でも速く相手に叩き込み倒すのみ。残りのライフバーを見る限り先に攻撃を当てた者が勝者となる。
勝つのは―――
「「俺だァァああああああああああああッッッ!!」」
沸騰する脳みそ。点滅する視界。意識の全てを剣に注ぎ込みただ勝利を求めて剣を振りぬき、
『ソードアート・オンライン、ベータテスト終了の時刻となりました。直ちに現在ログインしているプレイヤー方々は強制ログアウトさせて頂きます。皆様のご協力誠に感謝いたします。正式サービスを楽しみにお待ち下さい』
◇◇◇
ソードアート・オンライン。
それは最近開発された《フルダイブ》技術を駆使して制作されたVRMMORPGであり、《
そして、今日はソードアート・オンラインの正式サービス日である。
「―――という訳で忘れてないか桐ヶ谷ん家に聞きに来た訳ですが、稽古している二人を見て俺も混ぜろと参戦した結果ボロボロとなっている和人君、覚えてた?」
「……おまえ、後で絶対覚えてろよ……!」
「えっ、何だって? んー、聞こえんなー」
「殺す……っ!」
「ちょっと司狼! いい加減お兄ちゃんから退きなさいよ! というかお兄ちゃん大丈夫!?」
道場で息絶え絶えでうつ伏せに倒れている和人の上に腰掛け煽っていると和人の妹である直葉に窘められて仕方なく立ち上がる。
「つーか相変わらず体力ねえなお前さん。もっと肉食え肉。そんなんだから女と間違われんだろ、お兄さん?」
「……司狼みたいなキチガイと一緒にするなよ」
だいぶ息も整ってきたのか、溜息を吐くとうつ伏せから起き上がり床に座り込む。その眼を逸らしながら拗ねる態度は女顔のせいでとてもではないが男には見えない。
「だいたい、二人共さっきのはなに? 剣筋だって滅茶苦茶だったし全然剣道じゃなかったよ?」
「あー、えっと、直葉、それはだなぁ……」
直葉の発言に和人は困ったように頬を掻く。俺はそれに便乗するように苦笑した。
先ほど行っていた稽古。それは剣の道など一切ないただ相手を倒す剣術だった。ゲームとはいえ、二ヶ月もの時間は身体―――この場合は脳か―――に染み付いた癖は中々抜けやしない。
そもそも、俺と和人は剣道の才能は無いと桐ヶ谷の祖父からのお墨付きである。和人は身体が追いつかないほどの反射神経のせいで、そして俺は染み付いた剣術の癖が抜けない。
最も、何でもありとはいえそれでも反応できる直葉の才能には脱帽なのだが。
「そ、それよりも司狼! 今日は何で来たんだよ?」
「むっ……」
露骨な話の逸らし方に苦笑してしまうが、まあ今回は手助けしてやるとしよう。頬を膨らませている直葉の反応からバレバレなのだが。
「おう、お前さん忘れっぽいからよう。わざわざ教えてきてやった俺様に五体投地で感謝しろや」
「誰かするか。だいたい、忘れる訳ないだろ」
「ほーう? 誰だったっけ? 夏休み最終日まで遊び呆けて宿題の存在すっかり忘れてて見せてくれって泣きついてきたのはよぅ?」
「ぐぅ……っ」
「ちなみにこれがそん時の貸しで撮ったカズちゃん(ver.メイドコスプレ)ね」
「貴様ァ―――!」
取り出した写真を妹には見せまいと竹刀をぶん投げてきたのでそれを受け止め額に投げ返す。ゲームの中ならまだしも現実世界では身体が反応に追いつかず見事命中し道場の床を悶絶しながら転がる和人。
「うわぁー、お姉ちゃん綺麗……」
「直葉!? 今呼び方おかしくなかったか!?」
「あっ、そうだ和人。この前リクエストがあったから今度スク水着てくれ。高値で売れると思うから」
「着るか! ていうか司狼、お前なに人の黒歴史売ってんの!?」
「そ、そうだよ! 駄目だよこんなの!? この写真はあたしが責任をもって管理するから!」
「直葉ッ!?」
写真を握りしめたまま暴走する直葉の反応がおかしくてニヤついていると、それを何と勘違いしたのか直葉は自身の身体を抱きしめながら後退った。
「も、もしかしてあたしも何か撮ってたりするの? だ、駄目だからねそんなの!?」
「…………」
その言葉に眼をマジマジと開いて、直葉の身体を上から下まで観察して、
「直葉はなー、何て言うか……乳臭いっていうか、色気がねえんだよなー」
「――――」
ピシリと、直葉が固まった。
「ホント、兄妹逆だったら良かったのに。……そうだ和人、おまえ性転換手術してみねえ?」
「――お兄ちゃん、こいつぶっ殺してもいいよね?」
「ああ、俺が許す。というか俺が殺す」
殺気立つ二人にこれ以上からかうのは無理だと判断する。飄々と笑いながら容赦なく唐竹斬りを竹刀で脳天に仕掛けてくる直葉の脚を蹴って転ばせて、壁に掛けられてある木刀をぶん投げてくる和人の木刀を全て受け止めながら大道芸の如く回して後退し、出入り口の傍にある傘入れに全部叩き込む。そしてこちらを睨んでいる二人に笑いながら別れを告げて俺は幼馴染の道場を後にした。
◇◇◇
桐ヶ谷兄妹を誂っている間にだいぶ時間が過ぎてしまったらしく、約束していた時間まであまり残されていなかった。仕方が無いので父のバイクを取り出しヘルメットを装着してかっ飛ばす。こういう時に本来の歳より上に見られる体格は便利だと思う。
しばらく運転していると、約束していた喫茶店が見えてくる。時間を確認すればどうやらギリギリ間に合ったようだ。駐車場に止め、何気ない顔をして喫茶店に入ると、見慣れた顔が既にコーヒーを飲みながら待っていた。
「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」
「いや、あそこの連れさ」
「かしこまりました、それではどうぞこちらへ」
店員に案内され、目的の人物の前に腰掛ける。男は飲んでいたコーヒーを机に置くと、俯瞰した目つきでこちらの眼を射抜いてきた。
「遅かったね、司狼君」
「予定の時間にはギリギリ間に合ったでしょうが、茅場おじさん」
そう告げると、今巷では大人気となっているソードアート・オンラインの生みの親―――茅場晶彦は笑みを浮かべるのだった。
茅場晶彦―――世間で天才と呼ばれているこの人との関係は至って単純、彼が俺の後見人だという訳だ。三年前、俺の両親は交通事故で死亡した。唯一俺だけが奇跡的にその事故で生き延び、母の兄であった唯一の血縁関係にある茅場晶彦が俺を引き取ったという訳である。
「それで司狼君。私は先ほど君がバイクに乗って此処に来たように見えたのだが、確か君は無免許ではなかったかな?」
「――運転に必要なのはカードじゃねえ、技術と熱いハートさ」
「私は君の後見人なのだからあまり問題を起こすならばそれ相応の対応をしなければならないのだがね」
一応形式上の注意はするが、俺が何を言っても無駄だと悟っているのだろう。やれやれと嘆息すると今度は意識を切り替えたように真剣な眼で俺の真偽を確かめようとしてきた。
「それで、本当にやめる気はないのかね?」
「ああ、何度も言わせるなよおじさん」
それはここ数日何度も聞かされてきた言葉。そしてその返答も変わる事はない。
「――あんたが魔王になるなら、俺はそれを守る騎士になるさ」
茅場晶彦が100階層のラスボスならば、黒鉄司狼はそれを守る99階層のボスになりたい。
餓鬼の頃に誓った約束は、今も変わらない。
「飢えてんだ、渇いてんだよ。何をやっても満たされない、何をしても癒やされない。ずっとずっと、胸の奥がぽっかり穴が空いて埋まらねえ。当然だ、黒鉄司狼はあの日死んだ。両親が死んだ時に、同じく死んだんだよ。だからここに居るのはその残り滓だ。ならばどうする? どうすればこの渇きは癒える? ――簡単だ、全て燃やし尽くせばいい。燃焼させて飛翔させて、流星の如く星屑になるまで生命を燃やせばいい――ああ、そうだ。俺はただ、生きている実感がほしいだけなんだ」
そして、それは
「……私は、保護者失格だな。後見人として君を関わらせるべきではないだろう。だが、君の気持ちが痛いほど理解できる」
茅場晶彦の夢、それは異世界を生み出すという事。つまり彼も結局、この世界で価値あるものを何一つ見つけられなかったという事に他ならない。
「所詮同じ穴の狢さ。あんたは夢の為に大勢の人を巻き込んで、俺は己の欲望の為に親友を巻き込んだ。どっちも屑なのは変わらないだろ」
「違いない」
思わず自嘲染みた笑みが溢れる。茅場晶彦が作るソードアート・オンラインがデスゲームだと知っておきながら、俺は和人にソードアート・オンラインを薦めた。彼ならば勇者に、きっと俺や茅場晶彦を倒せると信じているから。
ああ、何て最低な理由。己の欲望に他者を巻き込むその卑劣、きっと俺が死ねば地獄行きは確定だろう。それでも、俺は生きたいのだ。生を実感してから死にたい。今のままじゃ――伽藍洞のままでは、死ぬにも死に切れない。
「じゃあな、おじさん。次逢うときはゲームの中で逢おうぜ」
もう話す事など何も無いだろう。それに間も無くソードアート・オンライン正式サービス開始時刻である。席を立とうとする俺に対し、茅場晶彦は一瞬感慨に耽るように眼を閉じると、信託のように告げた。
「確かにあの世界は遊びではない。だが、あの世界はゲームだ。きっと、君が夢中になれる”何か”が見つかるだろう」
「――ああ、それは楽しみだ」
もし、そんな”何か”が見つかったら―――きっと、最高だろうな。
それ以上の言葉は不要だった。俺は手を振って別れを告げると、そのまま喫茶店を後にした。
◇◇◇
家に着くと、正式サービス開始時刻まで数分も無かった。慌てて着替えてラフな格好になると、ベッドの枕元に置いてあるヘルメット型のハードを手に取った。
《ナーヴギア》。
これは夢への切符であり、同時に悪魔の機械でもある。そして俺にとってこれは、夢への片道切符に他ならなかった。
どうあがいても俺だけは現実世界に帰っては来られない。魔王ヒースクリフを倒してログアウト出来るようになっても、その時には俺は既に倒されている予定だ。そして逆に魔王ヒースクリフを倒すことが出来ず全滅したとしても、ゲームクリアがされない以上ログアウトする事は出来ない。
つまり、これを被ったら最後、俺は確実に死に至る。それを理解して、
「当たり前だろ、今更悩むことかよ」
一切躊躇することなく被った。電源を入れ、横たわる前に部屋を見渡す。これが現実世界で見る最後の光景。それを目に焼き付けて、告げる。
「リンク・スタート」
刹那、意識が反転する。
肉体との五感が切られ、仮想世界特有の感覚に陥る。その違和感を覚えるのも一瞬で、視界情報に映し出される見慣れた光景に迷うこと無く選択していく。
キャラクター設定は既にベータ版の情報が残っていたのでそれを引き継ぎ、設定画面から反転し視界が暗黒に染まる。
それと同時に、地面に脚が付く感触。明るくなっていく視界。拳を握りしめる事で感触を確かめて、胸の淵から湧き上がる衝動を抑えきれず笑みを零しながらつい呟いた。
「帰ってきた、か」
剣と戦闘で彩られた世界へ。
全てはここからはじまる。俺は万を期してその第一歩を踏み出そうとして、
「そこのお兄さん、ちょっと待ったぁ―――!!」
「ごふぇッ!?」
始まりの第一歩を、顔面からする事になった。
何者かが後ろから抱き着いてきたせいで体勢が崩れ前のめりで顔面から地面に倒れこむ。痛みは感じない設定だが精神的に苦痛を覚える一撃だった。
初っ端から攻撃染みたアタックをくらったせいでやや苛立ちながらそうなった諸悪の根源である腰元で抱き着く相手を無理矢理引き剥がす。そこにいたのは如何にも天真爛漫な笑顔を浮かべていた少女だった。
「ねえ、お兄さんベータ経験者だよね? さっき帰ってきたとか言ってたし!」
「お、おう。そうだが、何の用だ?」
「ボク今日が初めてなんだ、だからお願い! ボクに
パチンと両手を叩きながら頭を下げてお願いしてきた少女に、しばし面を喰らう。色々と覚悟を決めていたのにも関わらず初っ端から突然の事態に拍子抜けしてしまう。
……まあ、最初くらいはいいだろう。ガラではないけれど。
「まあ、偶にはガラじゃないことをするのも悪くねえな。いいぜ、俺様が教えてやるよ」
「ホント!? あっ、自己紹介がまだだったね。ボクは紺野木綿季―――じゃなかった、ユウキって言うんだ! お兄さんは?」
「俺はヴォルフって云うんだ。ああ、それから―――」
ふと、そういえば言っておきたい言葉を思い出して立ち上がる。それから座り込んでいるユウキに手を差し伸ばしながら告げる。
まだこの世界の真実を知らぬ無垢な子へ。この世界は怒りも悲しみも嘆きも喜びも、全てを包むのだから。
願わくば、この娘が俺を殺す英雄になることを祈って。
「―――Welcome to The World、ユウキ」