“まがいもの”の第四真祖   作:矢野優斗

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モチベが上がった理由? そこにfgofesがあったじゃろ?


観測者たちの宴 Ⅸ

 絃神島の中心に位置するキーストーンゲートの屋上。つい先ほどまではメイヤー姉妹によって占拠されていた場所にて、古城少年とヴァトラーは対峙していた。

 

 ヴァトラーの要請という名のごり押しによって屋上直下に位置する展望台には人っ子一人いない。屋上への立ち入りも封鎖されており、関係者以外の人間が踏み込むことはできないようになっている。

 

 また、古城少年とヴァトラーの後方にはそれぞれ雪菜と紗矢華が己の得物を手にして待機している。二人の役目は戦闘の余波が絃神島に降り注がないようにすること、そしていざという時にヴァトラーから古城少年を守ることだ。

 

 優麻も邪魔にならない程度に離れた位置で古城少年を見守っている。身を守る術のない浅葱はこの場にいないが。

 

 つまりは──古城少年とヴァトラーが多少暴れても問題はないということ。

 

「嬉しいよ、古城。一日二度も君と戦うことができるなんてネ」

 

「俺はこれっぽっちも嬉しくない……」

 

 喜色満面の笑みを浮かべるヴァトラーに古城少年はげんなりと肩を落とす。

 

 雪菜たちから掻い摘んでヴァトラーという男との因縁については聞き及んでいる。自身が記憶を失う原因となった男、超が付くほどの戦闘狂で退屈凌ぎのためならば犯罪者の監獄破りにすら手を貸す狂人。

 

 とてもではないが教えを請う相手として適しているとは言えない。だがしかし、古城少年は雪菜たちの反対を押し切ってヴァトラーの提案を受け入れた。

 

 絃神島を仙都木阿夜の魔の手から守ることができるのは古城少年のみ。しかし今の未熟なままの自分では阿夜を相手に勝ち得ないと、雪菜たちからの反対を受けた。

 

 ならば、未熟でなくなれば問題はないだろう。

 

 そんな短絡的な発想によってヴァトラーによる古城少年の教導は成立した。

 

 もちろん、雪菜たちは猛反発した。特に古城が胸を貫かれるシーンを目の当たりにしてしまった浅葱など、コンピュータールームを飛び出しかねない剣幕で反対意見を並べ立てたほどである。

 

 だがそうは言っても、他に阿夜に対抗する手立てがないのも事実。最終的には雪菜と紗矢華が古城少年の安全を守ることを条件に、ヴァトラーの提案が採用されたのだった。

 

「さて、あまり時間もないことだし、早速始めようか」

 

 じわりと禍々しい魔力がヴァトラーを中心に滲み出る。悍ましい魔力の波動に飲まれかけながら、古城少年も対抗するように魔力を発露させた。

 

 みしみしと魔力が鬩ぎ合い、張り詰めたピアノ線のような緊張感が満ちる。そんな中であってもヴァトラーは軽い口調で会話を続ける。

 

「と言っても、ボクから古城に教えるべきことは一つしかないんだけどね」

 

 勿体ぶった言い回しでヴァトラーは古城少年──“まがいもの”が抱える問題点を指摘する。

 

「──強者の自覚を持て。世界最強の吸血鬼、第四真祖(カイブツ)であることを認めるんだ」

 

「強者の、自覚……?」

 

 ヴァトラーの言葉に古城少年は思わず首を傾げた。

 

 己が都市一つ容易く滅ぼしかねない力を秘めていることは古城少年とて自覚している。一つ間違えれば守るべき人たちを傷つけてしまいかねないことも理解している。自分自身が危険極まりない存在であることは重々承知していた。

 

 故に強者の自覚を持て、と言われても今一つ飲み込むことができなかった。

 

 疑問符を浮かべる古城少年に対して、ヴァトラーは実践したほうが早いだろうと右腕を掲げる。

 

 振り翳したヴァトラーの右腕が目を灼く輝きと超高温に包まれる。ヴァトラーがその身に宿す眷獣の権能、その一端のみを現実へと引き出しているのだ。

 

「とりあえず、防いでごらん」

 

 天に掲げられていた右腕が振り下ろされると同時、灼熱の極光が古城少年を襲う。

 

 コンクリートを一瞬で融解させながら迫る視界を灼く極光の奔流。まともに受ければ一瞬で蒸発すること請け合いの暴力に、古城少年は微かに湧き出た恐怖諸共腕を振るう。

 

 振るわれた腕には“次元喰らい”の権能が秘められており、古城少年の眼前の空間を抉り喰らう。空間の繋がりが喪失したことで生じた断層はあらゆる脅威を隔てる最硬の盾となる。

 

 空間断層に阻まれた極光が幻の如く霧散する。後に残るのはヴァトラーから古城少年の元へ一直線に伸びる破壊の痕跡のみだ。

 

 額を伝う冷や汗を拭う古城少年。対してヴァトラーは調子を確かめるように右腕を触り、ややあってから小さく肩を竦める。

 

「眷獣の限定召喚による権能の一部行使。手加減にはいいかもしれないけど、ボクの性には合わないかな」

 

 さて、とヴァトラーは真紅に染まった双眸を古城少年に向ける。

 

「今のが古城の戦い方サ。行使する力は必要最小限に留め、無用な暴力は振るわない。敵の攻撃をいなし、隙を伺い、虎視眈々と勝利を狙う。個人的にはスリルを感じさせてくれて楽しいけれど、それは吸血鬼(ボクら)の戦い方じゃない」

 

 ヴァトラーを中心に再び禍々しい魔力が湧き上がり、薄らと巨大な炎蛇の影が浮き上がる。まだ顕現していないにも関わらず炎蛇の撒き散らす超高熱が大気を焦がし、古城少年は息苦しさに顔を顰めた。

 

「古城の戦い方は人間(弱者)のソレだ。戦い方そのものを否定するつもりはないけど、吸血鬼の戦い方ではないよネ」

 

「それは……」

 

 ヴァトラーの指摘に古城少年は苦虫を噛み潰したような表情になる。

 

 先の甲冑の男との戦闘でも古城少年は一度も眷獣の完全召喚を行わなかった。眷獣の秘めたる能力の一端のみを引き出し、人間同士の規格(スケール)で戦っていたのだ。

 

 記憶を失う前の“まがいもの”もそのきらいがあった。眷獣の制御の問題、相性の問題などはあれども、古城は不必要なまでに力を抑制している場面が多々ある。

 

 強力無比な機関砲を手に持っているのに、わざわざ剣に持ち替えて戦っているのだ。

 

「ボクたちは怪物(強者)だ。その中でも古城は世界最強と謳われる第四真祖なんだ。怪物は怪物らしく、あるがまま、思うがままに蹂躙すればいいのサ」

 

 吸血鬼である、怪物であることを突き付けられ古城少年は表情を曇らせる。理解はしていても、心の何処かで受け入れ切れていなかったのだ。記憶を失う前の“まがいもの”も、自覚はしていなかっただろう。

 

 陽炎の如く揺らめいていた炎蛇が実体を結ぶ。顕現するは灼熱の具現。先の限定的な権能行使とは脅威度が段違いの怪物が、迷い躊躇う少年を睥睨した。

 

「断言しよう。仙都木阿夜は弱者だ。魔女として優れていようと、世界を改変する能力を手にしようと、第四真祖たる御身には到底及ばない。君が第四真祖の力を十全に振るえば、軽く一撫でするだけで終わるんだよ」

 

 ヴァトラーの命を受けて巨大な炎蛇が古城少年に牙を剥く。

 

「さあ、受け入れるんだ。怪物が怪物たる所以を示すといい……!」

 

「────ッ」

 

 灼熱に燃え盛る蛇体を激しく畝らせ、森羅万象全てを灼き尽くさん勢いで迫り来る炎蛇。古城少年は先と同じように空間断層を生み出そうとするが、蛇体ごと押し寄せる超高熱の暴力は断層一枚では防ぎ切れないと直感する。

 

 空間断層の盾は如何なる脅威をも阻む最強の盾であるが、一方向からの攻撃にしか対処できない。波打つように迫り来る炎蛇を完全に防ぐのは不可能だった。

 

 即座に回避の一手を打つべく身構える古城少年。しかしその動きはヴァトラーに読み切られていた。

 

 いつの間にか召喚されていた剣刃の鱗を纏う大蛇が、退路を塞ぐように塒を巻いていた。下手に下がろうものならば肉体をズタズタに切り裂かれてしまうだろう。

 

 前後を挟まれ逃げ場を失った古城少年。ヴァトラーの言葉によって揺さぶられ、迷い惑う少年は迎撃もままならないままに押し寄せる暴虐に晒され──

 

「──“雪霞狼”!」

 

 玲瓏な声音と共に飛び込んだ銀閃が、ヴァトラーの眷獣を紙細工の如く切り裂いた。

 

「ご無事ですか、先輩?」

 

「姫、柊……さん。俺は……」

 

 火の粉を払いながら凛然と立つ雪菜を、へたり込んでしまった古城少年は情けない表情で見上げる。

 

 雪菜たちの反対を押し切って威勢よく挑んだ癖にこのザマである。情けない上に、怪物であることすら受け入れられない半端さに弱々しく俯いてしまう。

 

 記憶を失う以前の“まがいもの”ならば、乗り越えることができただろう。あるいは守るためならば怪物に身を窶すことすら構わないと、躊躇なく一線を踏み越えていたかもしれない。

 

 しかし今この場にいるのは記憶を失い心身共に不安定な少年である。怪物であることを受け止めるには、覚悟も何もかも足りていなかった。

 

 進むべき道を見失った幼子のような様相の古城少年。そんな少年の前に膝をつき、雪菜は不安に震える身体を両腕で抱き締める。

 

「先輩は怪物なんかじゃありません。怪物になんて、ならなくていいんです」

 

「でも、俺は吸血鬼で……第四真祖だから……」

 

 仙都木阿夜を止められるのは第四真祖(カイブツ)である古城少年だけ。その双肩には絃神島に生きる数十万の命が重くのし掛かっている。

 

 怪物(強者)であることを受け入れなければ太刀打ちできないのであれば、身も心も怪物であることを認めなければならない。認めないまま、否定したままでは守ることもできないのだから。

 

 悲壮な覚悟を決めようとする古城少年に、雪菜は静かに首を横に振った。

 

「先輩が一人で背負う必要なんてありません。わたしが、わたしたちが一緒にいます」

 

 雪菜の言葉に応じるように古城少年の両隣に紗矢華と優麻が並ぶ。二人は安心させるように柔らかく微笑み、鬼気を放つヴァトラーから古城少年を庇うように構える。

 

「たとえその身が世界最強の吸血鬼であったとしても、心まで怪物になってしまう必要なんてないんですよ」

 

「姫柊さん……」

 

 直に触れ合い伝わる温かな鼓動と、優しさに満ち溢れた言葉が滲み入る。怪物であることを無理やりに受け入れようとしていた恐怖が、みるみるうちに氷解していくのが分かった。

 

 古城少年の震えが治ったのを感じ取り、雪菜は抱擁を解き柔らかに微笑む。少し年上の少女が浮かべたとは思えないほど慈愛に満ちた微笑に、古城少年は顔が赤くなるのを抑えられない。

 

 古城少年が初心な反応を見せているとは露知らず、雪菜は紗矢華たちと並んでヴァトラーに対峙した。

 

「アルデアル公。申し訳ありませんが、これ以上の教導は中止させて頂きます」

 

「いいのかい? 今のままじゃ、仙都木阿夜を止められないと思うケド?」

 

「教導に託けて、暁先輩の心を怪物に堕とそうとするような方に、先輩を任せることはできません」

 

「手厳しいねェ」

 

 くつくつと含み笑いを零すヴァトラー。記憶を失っている今であれば、古城を自分好みの怪物へと仕立て上げられると考えていたが、目論見は外されてしまったようだ。

 

「仙都木阿夜はわたしたちが止めます。たとえ呪力を失ったとしても、人間(弱者)人間(弱者)の戦い方で守ってみせます」

 

 雪菜の啖呵にヴァトラーはきょとんと目を丸くする。次いで目尻に涙を浮かべるほどの哄笑を上げた。

 

「イイね、最高だよ本当に。それでこそ第四真祖の血の伴侶に相応しいじゃないカ」

 

「べっ、別にそういう意図は……」

 

「イイとも。でもね、実際問題力を失った状態では仙都木阿夜に太刀打ちすることはできないヨ。想い一つ、覚悟一つで乗り越えられるほど現実は甘くない」

 

「……そうですね」

 

 雪菜も重々承知している。今のままでは仙都木阿夜を止められないことを、古城少年に頼らざるをえない状況を理解している。

 

 その上で、古城少年が怪物に堕ちることを許容はできない。故に──

 

「──いざとなれば、わたしがなんとかします」

 

 決然と言い放つ雪菜に、ヴァトラーは怪訝そうに片眉を上げた。

 

「……へぇ、なんとかする手立てがあるのかい。でも、あまり切ってほしくない手札みたいだね」

 

 雪菜の隣に立つ紗矢華の苦々しい表情から、雪菜の手が相応にリスクの高いものだと察するヴァトラー。対する雪菜は一瞬の瞑目ののち、微かな迷いを断ち切るように前を見据えた。

 

「それでも、大切な人(せんぱい)が怪物に堕ちてしまうよりはマシですから」

 

 瞳に揺るぎない決意の光を灯し、雪菜は躊躇うことなく断言した。

 

 古城のためならばどんなリスクがあろうと構わないと宣言する雪菜に、ヴァトラーは心の底から愉しげな笑みを浮かべる。叩き付けられるような覚悟の波動がどうしようもなく心地良かった。

 

「素晴らしい。君たちもまたボクを飽きさせないでくれる、愛しい、愛しい好敵手(こいがたき)だヨ」

 

 

 ああ、だからこそ──いつまでへたり込んでいるつもりだい、古城? 

 

 

 ヴァトラーが問い掛けると、雪菜たちの背後でゆらりと濃密な魔力の気配が立ち昇る。反射的に振り返った雪菜たちの視界に飛び込んだのは、身体の端々から銀の粒子を靡かせながら立ち上がる古城少年の姿だった。

 

「先……輩……?」

 

 見たこともない姿と能力に驚愕しながら雪菜が名を呼ぶ。その声に応じるように古城少年は顔を上げ──

 

 

 ▼

 

 

 ──いざとなれば、わたしがなんとかします。

 

 雪菜の覚悟に満ちた言葉を聞いて最初に抱いたのは、途方もない安堵の心だった。

 

 巨大な人工島を沈めようとする魔女に立ち向かえるのは自分一人しかいない。自分が戦わなければ、数十万の命が海の藻屑と消え去る。

 

 幼い少年が背負うにはあまりある重責だ。挙句に怪物であることを認められなければ何一つとして守ることはできないと突き付けられ、鋼の意志を支える記憶()を失った脆い心は打ちのめされてしまっていた。

 

 そこへ雪菜が共に戦ってくれるとなれば、安堵にほっとしてしまうのも無理からぬ話ではあった。

 

 だが、話を聞くにつれて安堵は不安へと変わる。雪菜の考える手立ては、何かしらのリスクを伴うものだと理解したからだ。それも雪菜を妹と言って憚らない紗矢華が苦悩に顔を歪めるほどの。

 

 雪菜の秘する手段がどんな代物かは知れない。しかし、それを使わせてはならないと“まがいもの(誰か)”が叫んでいた。無意識に焼き付いた焦燥が、衝動が、後悔が護り抜けと絶叫していた。

 

 ──だったら、どうすればいいんだよ……!? 

 

 怪物(強者)の自覚なき古城少年一人では勝ち目がなく、雪菜に奥の手を使わせてはならない。その上で絃神島を守る術など、どこにあるというのか。

 

 懊悩に頭を抱える古城少年の意識が、不意に何かに引かれた。水底へと誘う妖精のような、それでいて傲岸不遜な声が脳裏に響く。

 

 ──忘れるなと、伝えたはずだ。我らは汝と共に在る、と。

 

 視界の端を白昼夢のように焔光の髪が靡くのと同時、一つの答えが浮かび上がった。

 

 吸血鬼とは生死の境界を超越せし者。実体(カラダ)姿形(カタチ)に意味はなく、実在と非在の狭間に棲まう不死者だ。

 

 此処に在って、無い。存在しないものに、世界の法則(ルール)を適用することなどできえない。ならば、崩してしまえばいい。

 

 深層意識の底から響く導きの声に古城少年はゆらりと立ち上がる。振り返り驚愕に目を見開く雪菜たちを見据えながら、古城少年は眠れる眷獣を喚び起こす。

 

焔光の夜伯(カレイドブラッド)の血脈を継ぎし者、暁古城が、汝の枷を解き放つ──」

 

 立ち上がった古城少年の肉体が銀色の霧へと変じ、肉体の輪郭が崩れていく。身体だけではない。古城少年を中心として霧化現象は拡大、凄まじい勢いでその範囲を拡げていく。

 

疾く在れ(きやがれ)、四番目の眷獣“甲殻の銀霧(ナトラ・シネレウス)”──!」

 

 そして喚び出されたのは森羅万象の輪郭を崩し、原初の混沌へと還す霧の眷獣。亡霊の如き銀霧の甲殻獣がこの場に顕現した。

 

 “甲殻の銀霧”が巻き起こした霧化現象は絃神島に住まう人々を、島そのものを霧へと変じさせた。霧と化したものは既存の物理法則から外れる。それは世界改変を齎す“闇誓書”の力も例外ではない。

 

「これは……!?」

 

 古城少年が呼び出した眷獣の能力によって肉体を霧化された雪菜は、しかして霧散することなくその場に留まる己の肉体に驚く。軽く身体を動かしてみるが、これといって支障なく動くことができる。恐らくは戦闘行動も可能だろう。

 

「概念レベルの霧化。実在と非在の境界を崩し、総てを原初の混沌へと還す御業。これなら、彼女たちも力を失うことなく仙都木阿夜と戦える、か……」

 

 島一つ丸ごと霧化させるという非常識な現象をヴァトラーは冷静に分析し、口元を愉しげに歪める。

 

 霧化によって雪菜たちは既存の法則に縛られることはなくなった。それは“闇誓書”が強いる異能喪失の法則からも逃れられるということ。つまりは古城一人で戦うことも、雪菜がリスクを取って奥の手を切る必要もないということだ。

 

 否、それだけではない──

 

「今や絃神島は第四真祖の霧に呑まれた。物理法則の楔から解放された島は、崩れることも沈むこともない」

 

 それが意味することは一つ。“闇誓書”の結界が絃神島全土を飲み込んだとしても、阿夜の目論見が達せられることはなくなったということだ。

 

 喉を鳴らすような哄笑を上げ、ヴァトラーは頭上を振り仰いだ。

 

「愉快だねェ。弱体化して脅威とも見ていなかった古城に、全てを台無しにされた気分はどんなものだい──“書記(ノタリア)の魔女”?」

 

 キーストンゲート屋上の上空。十二単を纏う火眼の魔女──仙都木阿夜が凄まじい怒気を纏って古城少年たちを睥睨していた。

 

 取るに足らないと捨て置いた子供に全てをご破産にされ、阿夜は端正な顔を怒りに歪めている。相対するもの全てを威圧する憤怒を纏い、眼下の邪魔者どもを睨み据えた。

 

「やってくれたな、餓鬼どもが……!」

 

 目論見を挫かれ怒りを激らせる魔女が、野望の邪魔となる存在を排除するべく姿を現した。

 

 

 

 

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