「そういえば、これから迎えに行く人って、どんな人なんですか?」
「あ?あいつがどんなのって?」
糸目の少年は葉巻をふかしている銀髪褐色の男に尋ねた。
彼らは所属している組織の仕事の関係でここ
「そうですよ、ザップさん。俺も入ってから会ったことなかったし、知っておきたいじゃないですか。朝早くから来てるわけだし」
「かぁーっ!これだから陰毛糸目は!もうちょっと頭働かせろよ?それともなんだ?本当に石頭ですってか?ええ?」
銀髪褐色の男はぷくく、と言わんばかりのニヤニヤした表情で糸目の少年の無知を煽る。
額をとんとんと葉巻でつつく様子はまるで少年のほうから見れば、口が裂けたかのように見え、そこから除く舌をちろちろと蛇のように動かしている。黙っていれば整った顔立ちということもあるし、いい感じなのは間違いないと少年は思うが初対面から変わらない青年の行動に正直慣れつつあった少年だった。石頭も癖っ毛気味なのも認めるが、いくらなんでも、その言い方はあんまりではなかろうか。
……まぁ、自分の所属している『組織』の濃い面々のことを考えれば、細かいことを気にしていると『組織』でやってられないのだが。
「言い方ってモンがあるでしょ!?ザップさん!」
「うるせい。寝てねーから先輩に大人しく弄られやがれレオ」
銀髪褐色の青年――ザップはぷはぁーっと紫煙を糸目の少年、レオに吹きかける。それを手で団扇のように払いながら、レオは食って掛かった。これはいつもの彼らの光景である。
ここ、
「またそんなこといって。どうせまた不埒なことでもしてたんでしょ?」
「不埒なことってなんだ、不埒なことって。いいか、レオ?愛を育む為に必要な行為でな……」
「はいはい、いつか背中から刺されないようにしてくださいね?で、どんな人なんですか?迎えに来てる人って」
「言うようになったな、お前……」
もっとも、その心配をザップにするのは間違っているような気もするけれど。
ザップ・レンフロは
「まぁ、そうだな……。アイツはまず、デカい」
「デカいって?サイズが?」
「ああ。ブローディ&ハマーって分かるよな?」
「はい。確か、死刑囚の血液を持ってるからって刑務所にいるメンバーの一人でしたっけ?」
「そうだ」
ブローディ&ハマー。
それぞれをデルドロ・ブローディ、ドグ・ハマーと言う。凶悪な犯罪者であるデルドロの血液をハマーが持っているので、それだけで彼も一緒に刑務所に入っていると言う風変わりな男だ。何度かレオは顔を合わせたことがあるが、残虐なデルドロに反してハマーは明るくて無邪気なところがあり、人懐こい性格をした青年だ。第一印象も悪くなかった。
他に取り立てて特徴とする点があるとすれば、
ライブラのメンバーは皆、超人的な何かしらの能力を持っているので迎えに来ている人物もまた同様になんらかの力を持っているのだろう。
「アイツはそのハマー達よりデカい」
「ええーっ!?」
「ざっと大きさでは四十メートル、デケェ血界の眷属を相手にする際にアイツがいるときはよく出動してたな」
「もしかして、ハマーさんみたいに……?」
「いや、アイツは
人を見かけでは判断してはいけない、ということがHLに来て深く理解できるようになったレオだがザップに質問したのには意味がある。ハマーのように理由があるとはいえ、他者の血液を自分の身体の中で流し、共存している人物なのかと。
最も、レオはHLにおいて種族による差別がある中で比較的にそれらを好まない部類にある。むしろ、嫌うほうだ。種族を問わずに分け隔てなく接するのがレオの長所であり、事実、この街で
「こう、カァーッ!って。使ってるモンも使ってるモンだからさァ、ガキかよってなっちまってよ」
「ザップさん、ザップさん……」
「なんだ、お前はそういう風に俺を思っているのか」
「おうよ。そのダセェのなんの……」
ザップはその異能を使う様を再現するかのように手で形作り、己の顔の上に作りながら腰を振る。どう見ても煽っているようにしか思えなかった。ふと背後からスーツケースを引き、テンガロンハットを被ったカウボーイ風の青年がやってきたので大慌てで伝えようとするが、ザップはまだ青年が視界に入っていないので気づくことはない。
見上げてみると、青年はザップほどの背丈に黒髪を短く切りそろえており、まるで軍人のように目つきは鋭い。しかし、その目はレオの存在に気づくと優しさを帯びた。
「……って、げぇっ!?おい、レオ!頼んだわ!」
「ちょ、待ってくださいよ!ザップさん!?」
ザップがようやく気づいたかと思えば、青年が視界に入ると大慌てで逃げ出した。過去に彼と何かあったんだろうが、レオの見解では間違いなくザップのせいであろうと睨んでいる。
「えっと、俺達、先輩と……、あの逃げてった人なんですけど待ち合わせしてて……」
「ああ、ザップだろう?知っている。君は見ない顔だね?もしかして新入りかい?」
「はい!レオナルド・ウォッチ、レオと呼んでください。貴方は……?」
青年はレオの自己紹介を聞くと、微笑を浮かべてレオに手を差し出した。
「はじめまして、レオ。今日戻ってきた、君達と所属する組織を同じくする者だ。そうだな……、ダンと呼んでくれ」
青年の首からは紐で吊るされた紅いSFチックなデザインの眼鏡が提げられていた。
エグゾクリムゾンは40mもないと踏んでいるので、たぶんダンさんが一番ライブラで変身すれば大きいと思う。
ウルトラアイ(仮)でセブンに変身し、使う血法はエメリウム転血身とか?