雲ひとつない快晴の空の下、体を大きく伸ばす
気持ちの良い朝日を浴びてあたりを見渡す
庭のようだがかなり大きく、花が丁寧に手入れされている
玄関を出てすぐに見えたのは左右に広がるお花畑....を思わせる花壇だ
どうも噴水が門までの道にどんと道の真ん中に設置してありどこの憩いの場だよと突っ込みたくなるような庭となっている
そんな道を歩いて行き門まで行く
そもそも家に門だの噴水だの大きな庭だのそこから突っ込むべきだと思ったが、主人のレミリアさんならおかしくないっと思ってしまう自分がいた
朝食を食べるまでに歩いてきた時にも思ったがもはや一個人が持つ大きさの家じゃない
噴水の前まで来て立ち止まり振り返る
真っ赤に彩られた壁がチカチカと太陽の光を反射している
紅魔館か、なるほど.....そのまんまだな
ホテルクラスの大きさのその館を見てその大きさを再認識した
やっぱりこの建物は一個人が持つ建物ではないと....
首が痛くなってきたので振り向くのを止めてまた歩き始めた
大きな建物や会社の入り口には大抵警備員がいる
彼らは入り口近くに待機して出入りする人を厳しくチェックしている
ここも例外ではなくいたのだ、すごいな
パッと見た感じから制服ではないため個人として雇っているのだろう
しかも女の人だ、きっとかなりの男勝りな性格なのだろう
しかし何点か気になることがある
一つ、服のことだがなんとも言えない変わった服装だ
コスプレなどでよく見るチャイナ服、もしくはチャイナドレスと言われるタイプの服だ
上から下まで繋がっていて足の右の部分には切れ込みがあり太ももがくっきりと見える、なんかきまずい
そして二つ目は今寝ているということだ
門に足を伸ばしながら座って寄りかかり気持ちさそうに熟睡しているのだ
そもそも門の近くにいる=警備員ということもない
偶々門で寝ているだけなのかもしれない、昼寝場所にここを選んだだけなのかもしれない
門から外を見ると辺り一面木々が生い茂りいい感じの日の光の暖かさで気持ちが良い、寝たくなるのも分からなくもない
しかしだからと言ってそれはダメであろう
ここは他人の敷地なのだ、人の家の門で寝るのも迷惑だし、仮に彼女が警備員でも仕事をサボっていることになる
まぁ僕もこの家の人ではないんですけど....気がひけるが起こすとしようか
「すいません....あの〜」
いきなり近づいて起こすのも驚かれるので遠くから様子を見ながら言った
....ダメだ、起きる様子がなさそうだ
赤髪が風でこちらに靡いている、かなりロングだなこの人
腰までありそうな長さだ、大変そうだな
「ん....えっと...誰ですか?」
どうやら彼女に見惚れていたようだ
彼女が起きていたのに気づかなかった
座ったままの体勢でこちらを見ている、起きたてなのか目が細い
かなりの美人だ、そのスレンダーな体型からモデルか何かだと勘違いするほどに
「えっと、紅魔館に御用ですか?」
警備員としての仕事を果たそうとしてるのか来客と間違えている僕に尋ねてくる
「いや、僕は何というか....」
説明するのも中々面倒臭い立場にいる
何から説明しようか?頭を掻きながら悩んでいると
「あ、もしかして伊従さんですか?」
え?頭を掻いていた手が止まった
どうして僕の名前を知ってるんだ?
心の中で焦りながらも平然を装いながら対応した
「そうです、伊従玲司です」
「やっぱりそうですかー!」
そう言うと立ち上がりこちらに近寄る、物珍しそうな目でジロジロ見ながら
いきなり立ち上がりこちらに近寄ってきたのでやや慌てたが相手の動きに合わせて後ろに下がっていく
こうして下がっていくうちに赤髪の警備員さんは止まってくれた
「お嬢様が興味を持ったのがあなたですか....確かに不思議な力を感じますね、感じたことのない特別な何か...」
うんうんと何かを納得したように頷く
こちらはそれを見ながらポカーンとしているしかなかった
僕と同じくらいの身長、女性としては大きいな
175cmある僕の身長、平均よりちょっと大きいのが取り柄だったのに.....
「あっ!申し遅れました、私はこの紅魔館で門番をしています紅 美鈴
と言います」
よろしくお願いします、と軽く頭を下げ自己紹介をするメイリンさん
ほん めいりんさん?中国の人だろうか?
「すいません、名前からして中国人の方ですか?」
「そうですね、そこら辺出身の妖怪です」
まぁそれはわかるんだけど....え?
妖怪?思わず反射的に聞き返してしまった
「そうです、妖怪ですよ」
目の前の女性、紅美鈴さんは妖怪と名乗った
パッと見そうに見えないし予想していた妖怪のイメージと異なっている
ゲゲゲの鬼◯郎や妖怪◯ォッチなどから人ならざる者というのがイメージとしてあった、上の二つに共通するが妖怪は人に迷惑をかけたり襲ってきたりする
そんなイメージとかけ離れ可愛らしい見た目である
拍子抜けだ、いや特に前者みたいな妖怪が目の前にいても困るだろう
最悪襲われてしまうし、死んでしまう
ある意味ラッキーなのだろう
「ところで何処に行くつもりなんですか?」
美鈴さんが尋ねてくる
軽い散歩ですよと返答するとピクッと反応して早口でまくし立てた
「ここら辺は妖怪やら妖精などがいますから危ないですよ!特に妖怪は話の通じる奴なら良いとして話の通じない連中と会ってしまうと殺しにかかってきますから」
....どうやらイメージは外れていなかったようだ
兎に角散歩は無理そうだ、引き返すか
ため息をついて、教えてくれた美鈴さんにお礼を言った
美鈴さんは何も反応せずにいたので踵を返し館に戻ろうとした時に
「と言っても襲う妖怪は基本夜行性なので昼は不用意に道以外の場所に踏み込まなければ大丈夫ですよ」
すいません少し驚かしたかっただけです
軽く一言そう付け加えた彼女
どうやら軽いドッキリ....だったのか?
いることはいるらしい、100%保証されているようでもない
どうしようか.....少し考えて出た結論は
「それなら軽く見てきます」
「そうですか、お気をつけて」
怖いけど見たい
恐怖心より好奇心が心の中で勝った、変な場所に近づかなければ大丈夫だ
心にそう言い聞かせてこの結論に辿り着いた
美鈴さんは笑顔で手を振ってくれた、なら行ってみますか
紅魔館を背にした時にふと思い出す
「そう言えば僕の名前を知ってましたよね?」
「聞いてましたからね、事前に情報流れてましたから」
そうですか、そう返事して質問に答えてもらったお礼を述べた
にしてもここら辺には何があるのだろうか、あの館が見える範囲に行動しよう
館から周辺を見渡していた時も人工の建物がなかった
こうして道を進んでいるが木々ばかりだ
緑は見ていて心が和むし空気も美味しい、しかし緑ばかりというのも味気ない
何か別の景色を見たくなってきたな、そう思い始めた時に大きな湖が見えた
しかしこの湖大きいな、何百メートルはあるであろう
普通に泳げるおおきさだしなにより水がきれいだ
透明度が天然水並みで飲めそうな雰囲気だ、飲まないけど
そんな風に見ていた矢先何か人のようなものが水面に写った
え?ひと?
思わず見入ってしまった、小さな子供のようにも見える
2人いるようだ、空を見上げ確認する
ちょうど自分の上くらいを飛んでいる少女二人組のようだ
飛んでいる、生身の体で何もつけずに
そのありえもしない目の前の現実に我が目を疑った
目をこすり何度見ても空を飛んでいた
その二人組は何か話しているような素振りで互いを見合い飛んでいたがこちらに気づいたのだろう、急に止まりこちらを見てくる
なにやら立ち去ったほうが良いのかもわからないがそう考えているまに彼女達が降りてきた
「あなた...何者?」
青髪でヒラヒラのワンピースのようなものを着た幼さが残る彼女
世間一般では幼女と言われる年に見える
その彼女がこちらが言いたい事をそっくりそのまま言ってきた
そっくりそのまま返したい気分だ、そもそも何故飛べるし
妖怪やらなんやらと色々なものを聞かされたりしたせいで大体この世界の事がわかってきた気がする
「僕は伊従玲司....君達は?」
バイトで培ったニコニコスマイルで挨拶をする
内心はそんなことよりも飛んでいたことを聞きたい
「あたいはチルノ、あんたは人間なの?」
人間か?という質問を初めてされたので戸惑った
ここは素直にはい、と答えるべきか?
答えると何かされるのだろうか?
迷ったがどうせバレるのだからとやや開き直った
「そうだけど?君は?」
「妖精だよ、見てわからない」
見てわからないよ、妖精か
確かにそんな感じがする
「ここはアタイ達の場所だよ、人間は早く出てってよ」
詰め寄りながら剣幕そうに言う妖精のチルノ
後ろの緑髪の少女は遠目からおどおどしく見ている
このチルノということは対照的な性格らしい
「ごめんね、わかったよ」
これ以上いても何されるかわからない
ここに来るのも特に理由がないから別に留まることもない
笑顔を絶やさずそのまま立ち去ろうと踵を返した時
「待った人間!弾幕ごっこしよう」
突然、静止を求められた
後ろを振り返り声の主のチルノを見る
チルノは体を地面から少し浮かしている
「弾幕ごっこだ、できるでしよ?」
弾幕ごっこ?なんだそれ
初めて聞く単語に首を捻る
ごっこというのだから遊びみたいなものなのだろうが想像ができない
弾幕?シューティングゲームを思い出す
「ごめん弾幕ごっこってわからないか「いくよ!」
その手から突然氷の玉がこちらに向かって発射された
太陽の光を反射しながらこっちに向かってくる玉はカチコチに凍っていた
不意に来たので反応が遅れてしまった
スローモーションで視界の玉が近づいてくる
ダメだ、直撃する
衝撃に備えて体を翻したその時
バリーンと氷の割れる音が響く
おそるおそる音の方を見ると人がいた
箒にまたがり魔法使いの様な身なりをしている
「あ、お前は!魔法使い」
チルノは魔法使いを指差し大声で言う
「そうだ!私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ」
本当に魔法使いだった