『リリなの』の世界、その可能性の一つを書いてみた。 作:帆金 焔
琥珀side
「ぐっ‥‥‥!?」
ジュエルシードの猛攻は止まらない。
今のところ、防げてはいるが確実に押されている。
その時だった。
俺の背後で、眩いピンク色の光か柱のように空へと昇る。‥‥どうやら、なのはちゃんの準備が整ったらしいな。
「琥珀さんっ!」
俺の名前を呼ぶなのはちゃんの声を聞き、俺は自ら障壁を解除して一気にジュエルシードとの距離を詰める。
「これでも喰らっとけ!全力全開のーーー!!」
全力で、魔力を右手の拳一点に集中!こんな時って、何か技名叫んどいた方が良いよな‥‥‥‥‥‥よしっ!
「『激天昇っ!』」
ぶっちゃけ、ただのアッパーだが‥‥‥‥‥‥うん。技名を叫ぶのも悪くない、癖になりそうだ。
「今だ、なのはちゃん!」
「はいっ!」
なのはちゃんが持つ杖みたいな物、アレがデバイスとやらなんだろう。デバイスを構えるなのはちゃんの足下に、ピンク色に輝く魔法陣が現れる。
「リリカル・マジカル!我 忌まわしき彼の器を封印する!ジュエルシード、ナンバーⅩⅩⅠ、封印!」
ジュエルシードの足下と頭上に魔法陣が現れ、ジュエルシードを挟み込むように重なりあう。
そして、後に残ったのは青い宝石のような物だけだった。
「ふ、封印‥‥完了です‥‥!」
ユーノ君の言葉で安心したせいか、俺もなのはちゃんも同時に倒れ込んだ。
「なのはっ!?」
「琥珀さんっ!?」
俺のところにはすずかちゃんが、なのはちゃんにはアリサちゃんが駆け寄ってきてくれた。
「琥珀さん、大丈夫ですか?!」
「ははっ‥‥‥はははっ‥‥‥‥な、何とかね‥‥‥」
「ったく‥‥、心配させんじゃないわよ‥‥」
「にゃはははっ‥‥‥ご、ごめんね‥‥」
なのはちゃんはアリサちゃんに支えられながら、俺はすずかちゃんに肩を借り、何とか立ち上がってジュエルシードに近づく。
「これが‥‥‥あの化物の正体?」
拾おうとするアリサちゃんにユーノ君が待ったをかける。
「ちょっ‥‥‥き、危険だから、封印できてるとはいえ触らないでください!」
「わ、分かってるわよぉ‥‥。で?具体的には何なの、これ」
「‥‥使用者に幸福をもたらし、願いを叶えるとされているロストロギア、『ジュエルシード』」
願いを‥‥叶える‥‥?
「ただ‥‥‥、一歩でも使い方を間違えると‥‥‥」
「さっきみたいな化物が生まれたりするってわけ?」
「或いは、使用者自身がああなる可能性もあるんです‥‥」
願いを叶える、か‥‥。
俺、童貞以前の問題で、女の子と手ぇ繋いでデートしたことすら一度も無いんだよなぁ‥‥。
──出逢いが欲しい!とか願ったら叶えて‥‥‥あぁ、いやいや。うん、止めとけ止めとけ。
ジュエルシードの危険性は俺達、直に見たばかりじゃん。それなのに、わざわざその危険物に頼るなんて馬鹿げてる。
俺はジュエルシードを拾い上げ、
「ほらよ、ユーノ君。ちゃんと保管しとけ」
ユーノ君に投げ渡した、『つもりだった』。
「──あ、あれ?」
ヤ、ヤバい‥‥。
「琥珀‥‥さん‥‥?」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい‥‥‥‥!?!?
「‥‥ど、どうしよう、ユーノ君‥‥。ジュ、ジュエルシード‥‥‥‥『俺の手から離れないんだけど』‥‥‥」
「「「「えぇっ!?!」」」」
ゴォォッッ!!
本格的にヤバくなってきた。
封印が完了してるはずのジュエルシードから溢れる眩い光、膨大な魔力が強風を起こす。そして、事態を予測しなかった方向へと進め始めた。
「そ、そんな‥‥!?封印は間違いなく成功したのに‥‥!?琥珀さん、一体何を願ったんですか!?ジュエルシードは恐らく、貴方の願いに反応してるんです!!」
「お、俺の‥‥?!」
たかだか、異性との出逢いが欲しいって思ったぐらい‥‥‥‥まさか!?それを叶えるつもりか、ジュエルシード!?
ま、待て待て待て待て!!冗談だって!!別に俺、本気で願ったわけじゃないんだ!!
《使用者ノ願望ヲ承認。術式ヲ実行シマス》
マジかっ!?!?ど、どうすんだよどうすんだよ!?これ、どうすれば止まるんだ?!?!
「なのはちゃん、ユーノ君!!何でも良いから早─────っっっ!?!?!」
突如、ジュエルシードを持つ手から激痛が全身を駆け巡る。
「────────────────────────────っっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!」
「「「「琥珀さんっ!?!?!」」」」
遂には立つことも出来なくなり、ならばせめて、何が起きてもなのはちゃん達を巻き込まないようにと、俺は這ってでも離れようとした。
「ぐっ‥‥‥‥‥がっ‥‥‥‥‥‥────────っっっっっっ!!!!!!!!」
ヤバい‥‥‥‥俺‥‥‥‥死ぬのかな‥‥?