『リリなの』の世界、その可能性の一つを書いてみた。 作:帆金 焔
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 生きてる?」
死ぬほどの激痛を味わって正直、本当に死ぬんじゃないかと思った。
童貞のまま、デートも体験したことすらない三十路で死ぬなんて洒落にならなさすぎる。
でも、実際は違った。
俺はちゃんと生きてた。
あの激痛も、今は嘘みたいに感じない。
そう言えば‥‥、あれからどうなったんだろうか。というかそもそも、ここは何処だ?
暗くて分かりにくいけど‥‥‥‥‥誰かの部屋?
ガチャ、パチッ
誰かが入ってきて部屋の明かりがつく。
「あれ‥‥?恭也君‥‥?」
なのはちゃんのお兄さんで確か大学生でもある高町 恭也君だった。
つまりここは‥‥‥高町家?
「‥‥‥恭也君?」
何故か直ぐには入ってこない恭也君。
「‥‥えっ?あ、あぁ。琥珀さん、気分はどうですか?」
「ありがとう、今は大丈夫だ」
「ここは俺の部屋ですけどゆっくりしててください。俺は下で寝てますから」
「えっ?‥‥‥ごめん、悪いな」
「いえ、気にしないでください。‥‥‥‥あの、琥珀さん。話は、なのはとユーノから全部聞きました」
恭也君の言葉に俺は驚く。
「えっ‥‥‥?全部って‥‥‥‥‥全部?」
「はい‥‥。‥‥‥‥なのはは、魔法が使えるようになったんですよね?」
あっ、本当に全部だわ、これ。
「なのはが泣きながら帰ってきた時は何事かと驚きましたが、落ち着かせてから話を聞きました。‥‥‥貴方にはまた、なのはを助けてもらったそうで。‥‥感謝します」
「きょ、恭也君?!頭上げな───‥‥‥はっ?」
俺に頭を下げようとする恭也君を止めようと、恭也君に手を伸ばしたところで‥‥‥‥‥俺の目は『有り得ないもの』を映した。
俺の手‥‥‥‥‥‥『ちっちゃくね』?
「‥‥‥‥それと。琥珀さん、今から貴方に『あるもの』を見せます。ですがどうか、それを見ても落ち着いてください‥‥」
あのさぁ、恭也君‥‥。それ、多分フラグだよ?遠回しに『見たら冷静でいられないだろうものを見せます』って言ってるようなもんだって‥‥。
恭也君が俺の前に出してきたのは、単なる手鏡。
鏡には俺が映っている。
当たり前だ。鏡を見ているのは俺なんだから、俺以外の何かが映ってちゃあ変だわ。
‥‥‥まぁ、鏡に映る俺が『小学生になってる』のはもっと変なんだか。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え゛っ??」
自分が魔法使いになってしまった時以上の衝撃だ。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥俺、縮んでんの?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」コクンッ
あ~‥‥‥‥‥確かにこれ、体が縮むなんて普通は落ち着けないよな‥‥。
鏡の中の俺は明らかに小学生、なのはちゃんと同い年ぐらいか。
これ‥‥‥‥多分‥‥ジュエルシードが原因‥‥だよな‥‥。
「‥‥っ!?そ、そうだ!!恭也君、なのはちゃん達から話を聞いたなら、ジュエルシードは!?ジュエルシードはどうなったんだ!?」
恭也君の表情だけで分かってしまう。‥‥‥‥な、何?そんなに言いづらいことになってんの‥‥?
人差し指で自分の胸、真ん中からちょっと鎖骨寄りの辺りを示す恭也君。
「‥‥‥‥‥‥‥」
恐る恐る‥‥、襟の上から中を覗く‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥うん、しっかりとジュエルシードがありました。
「‥‥‥‥ユーノによると。手から腕を通り、胸に移動したと。‥‥‥現在、安全に取り除く方法は無いとのことです‥‥」
あぁ~‥‥‥‥‥‥マジ?
「‥‥‥これってさ、『なんじゃこりゃーー!!』とか叫んでもいいところかな‥‥?」
「叫びたい気持ちも分かりますが、今は真夜中ですから控えてくれると‥‥‥」
だよねぇ~‥‥。
「‥‥ありがとう、恭也君。あとは大丈夫だから、君も寝な‥‥」
「はい、それでは‥‥」
再び一人になった部屋で考える。
30で魔法使いになったってだけでも驚きだったのに、まさか身体が縮むとは思わなんだわ‥‥。
「‥‥‥俺、これからどうなるんだ‥‥?」
この身体がじゃあ、色々と問題があるわけでさ‥‥。真っ先に解決しなきゃいけない問題が‥‥。
「‥‥‥‥‥‥この身体じゃあ、働けねぇよ‥‥」
働けなきゃ、生活費も稼げないわけでさ‥‥‥。
本当‥‥‥‥俺、これからどうなんの‥‥‥?
2015年も残すところ、あと数時間で終わり。自分が書いてる他作品のことも含めて、読んでくれた人達には感謝です(^-^)
それでは皆様、よいお年を~(^-^)/
・追記・(22:00現在)
短編日間ランキング(加点式)にて六位になってました(」°□°)」