ソードアート・オンライン 導きの剣   作:零ちゃん

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第4話 告白

「ここがホロウエリア…」

「ここは中枢の管理区だ。」

 

俺とキリトとアスナは無事転移出来た。まだよく分かってないエリアだ。バグか何かで転移出来ないとか、転移中に不具合が起こるとか、そんな事を心配していたが、特に何もなかった。

 

「そこのコンソールからエリアを指定すると転移出来る。後ろの転移門からアインクラッドへ帰れる。」

「レイ!」

 

そんな時フィリアが駆け寄ってくる。

 

「フィリア、約束した通りちゃんと戻ってきただろ?安心しろって、ここを脱出出来るようになるまでは、何があってもフィリアは絶対に守るからさ。」

「う、うん…(脱出したら守ってくれないのかな…?)」

「レイ君って意外に大胆だね。」

「??」

「それはそうとレイ、ホロウエリアの何処に向かうんだ?」

「今回は樹海エリアに向かう。っていうか樹海エリアしか今の所転移出来ない。他の場所にも転移用の何かがあるとは思う。それを探しつつ探索って感じだな。フィリアとアスナもそれで良いか?」

「「うん」」

「よし!行く…の前にフィリアを紹介してなかったな。キリト、アスナ、彼女がフィリアだ。オレンジカーソルだからって邪険にしないでやってくれ。フィリアは好き好んで人殺しをするような奴じゃない。だから頼む。仲良くしてやってくれ。」

「分かったよ。よろしくな、フィリア。」

「よろしくね、フィリアさん。」

「フィリアって呼んで。さん付けはあんまり好きじゃなくて。」

「分かった、これからよろしくね、フィリア。」

「フィリア、でこっちの真っ黒な奴がキリト。こっちの真っ白なのがアスナだ。2人はゲーム上では夫婦だ。」

「ちょっとレイ君、色で表現するのはどうかと思うんだけど?」

「え?見たまんまの事を言っただけなんだが。俺だって真っ赤だし。」

「むむむ。それはそうだけど。」

「まぁ良いじゃないかアスナ。これから真っ黒な奴とか真っ白な奴とかって呼ばれる訳じゃないんだし。」

「キリト君まで…む〜、分かったよ〜。」

「仲良いんだね。アンタ達。」

「まあ、長いからなぁ…」

 

そんな時だ。ゲーマー魂が疼いたのかキリトがコンソールに向かって小走りし、色々弄りながらこちらを呼ぶ。

 

「レイー!早く行こうぜー!」

「全く廃人ゲーマーは…フィリア行こうぜ。」

 

俺はフィリアに手を差し伸べる。

 

「え?あ、うん…」

 

フィリアは俺の手を握るのを一瞬戸惑ったが、しっかりと握ってくれた。フィリアの手は柔らかくて小さい。現実世界じゃこんな事は出来ないだろうなぁ。俺達4人はそうして樹海エリアへと転移した。

 

 

───────────────────────

 

 

「キリト、スイッチ!!」

「了解!ハァァァァ!!!!!!」

「フィリア、アスナ!同時に仕掛けろ!」

「「分かったわ!」」

 

俺達は運悪くというかキリトの所為でレベルの高めのモンスターと出会ってしまった。大体レベル差が20以上は差がある。その為普通に戦いはせず、きっちり作戦を決めてから挑んだ。前衛且つパリィ係は俺だ。その後にキリト、その更に後ろにフィリアとアスナだ。作戦としては、俺が攻撃を弾き、キリトのソードスキルで一気に削りアスナとフィリアのソードスキルで追撃するといった感じだ。レベル差が結構あって、かなりHPが多いのか防御力が高いのかはイマイチ分からないからジリ貧に近い状況でもある。何度か繰り返して漸くゲージを後一本に出来た。

 

「ゲージはあと一本だが、油断はするなよ!それと、このまま同じ事を繰り返してもジリ貧だから作戦変更だ!俺がパリィしたら、キリトと俺が同時に仕掛ける。それに続いてフィリアとアスナも仕掛けてくれ。一気に決めに行く!」

「「「了解!!」」」

 

モンスターの鉤爪が俺を目掛けて振り下ろされる。

 

「喰らうかよッ!!!!」

 

俺はソードスキルで鉤爪を弾く。

 

「キリト!!!」

「おう!!」

 

俺とキリトは片手剣ソードスキルヴォーパル・ストライクでダメージを稼ぐ。その後のフィリアは短剣ソードスキル、インフィニットで、アスナは細剣ソードスキル、ペネトレイトで仕掛ける。これでも削れないだろうと思っていたが、ゲージが一本になったことによる特殊条件か何かで相手の防御力が下がったのかそれともHPが少なくなったのかは分からないがすぐに終わった。

 

「ふぅ…皆お疲れ。」

「中々手強かったなぁ…」

「もう、キリト君がちょっかいかけなかったらこんな事にはならなかったんだよ!」

「ま、まぁ勝ったから良いじゃ無いか!」

「そういう問題じゃないのー!」

 

俺達は強敵を倒した余韻に浸りながら探索を続けた。

 

 

─────────────────────────

 

 

「結構探索したなぁ。」

 

樹海エリアに転移してから約3時間が経ち、俺達4人はLV.110を超えていた。

 

「レベルもかなり上がったし、一旦切り上げるか。」

「そうだね。あ、そうだ!お弁当持って来たんだけど、管理区で食べよっか!」

「お、アスナのお手製弁当か!」

「レイってアスナの作る料理に毒されてる気がする。」

「キリト君、その言い方だと悪い意味のように聞こえるんだけど?お弁当いらないの?」

「い、いります!いります!変なこと言ってごめんなさい!」

「ねぇ、レイ。」

「ん?なんだ?」

「レイは好きな人とか作ろうと思わないの?」

「………きゅ、急にどうしたんだよ?」

「だって、アスナとキリトは夫婦なんでしょ?その2人と一緒に居てちょっとくらいは考えるんじゃないかな〜と思って。」

「それは俺も気になるな。」

「私も!」

「キリトとアスナまで…なんでそんな変な事に興味持つかねぇ。」

「レイ君だって男の子でしょ?恋愛の1つくらい…」

「結論から言って無い。そんな人がもし居たとしたらだ。失った時の苦しみで俺は立ち上がれないさ。俺はそんなに強く無いからな。だから好きな人なんて作らない。いや…作れない…の間違いだな。」

「作れない…?どういう事?」

「そうだなぁ…管理区に戻ったら話すよ。ここはモンスターも居るし危険だからな。」

 

そうして俺達4人は管理区へと戻った。

 

───────────────────────

 

 

「お前らは2年…いや、3年前かな…12月25日の事故を知ってるか?」

「あの大型トラックと大型バイクの衝突だっけか?トラックがそのまま逃げたそうだが…」

「そう、それだ。」

「レイ…もしかして…」

「お、フィリアは察しが良いなぁ。そうだ。その事故のバイクの方はな、俺なんだ。」

「なっ!?ほ、本当かそれ!?」

「ニュースでは亡くなったって…!」

「それが何とまぁ生きてたんだ。俺自身も驚いた。まだ生きてたのかって言いたくなった。」

「……でも、それだけの事故なんだから…体に何かあったんじゃ…」

「本当にフィリアは鋭いな。そう、俺はもう動けないんだ。だからほぼ死んでる。俺が生きられるのはこのVR世界だけだ。このVR世界で動けているのは人間の思考やら何やら全てを司る脳が生きているから、と担当の医師に言われた。本当かどうかは知らないけどな。正直言うとな。俺はこのVR世界から出たく無い。このSAOをクリアしてしまうと俺には死を待つだけの人生(辛い現実)が待ってるからな。」

「レイ君…」

「こんな体になった奴を誰が好きになるんだ?何もしてやれないのに好きになる奴なんて居るのか?そんな奴が居たら馬鹿としか言いようがないな。」

「レイ…」

「俺はVR世界(ここ)で死のうと構わない。死ぬのが早まっただけさ。」

「私は……レイが好き。お節介でお人好しで無鉄砲で馬鹿だけど、強くて優しいレイが好き。馬鹿でもいい。辛い事を1人で抱えてる人を支えない人よりもマシだから。だから、そんな事は言わないで。」

「フィリア…何にもしてやれないってさっき言ったばかりじゃないか。」

「そんな事はないよ。現実世界で何も出来なくても、この世界なら出来るでしょ?それに、キリトやアスナにもこれまでにも色んな事をしてあげたでしょ?私にだって、絶対に守るとか、1人にはさせないとか、色んな事を言ってくれたよね。私、それが堪らなく嬉しかったんだ。こんな私でも守るなんて言ってくれる人が居るんだなって。」

「レイが居なかったらアインクラッドもあんなに進んじゃいないさ。レイが居たからこそ、あそこまで攻略出来たんだ。」

「レイ君が攻略に参加してるとね、皆嬉しがるんだよ。紅の剣聖が居るぞー!って。レイ君ってこのSAOの世界ではかなり重要な人物なんだよ。皆を惹き付けるその性格が皆を救う道に繋がるんだよ?」

「だからレイ、そんなに卑屈にならないで。私はレイと会ってそんなに経ってないけど、私はレイの事大好きだよ。」

 

俺は現実世界での俺を諦めていた。何も出来ないのに生きている価値はあるのか?永遠に動けないのに何故生きていなきゃならないんだ?どうせなら早く楽にしてくれとばかり考えて自分を諦めていた。でも、キリトやアスナ、そしてフィリアの言葉を聞いて、初めて俺は諦めるという考えを捨てる気になった。現実世界の何も出来ない俺なんかを好きでいてくれる人の為にも、俺は諦めずに生きる事を選ぶ。今はこの世界でしか伝える事が出来ないけど、いつか必ず、ちゃんと出会って伝えるんだ。

 

「…………フィリアが良ければ、この死に損ないの俺を側に置いてくれ。」

「……喜んで。」

 

フィリアが見せた笑顔は俺には眩しすぎるように思えた。




自分で思う。



長え。
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