ソードアート・オンライン 導きの剣   作:零ちゃん

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第3話 Lost memory

「さぁて、今日も張り切ってボス退治だな」

「レイは、これの時だけはやる気満々だね。」

「まぁ、やってて楽しいからな。リハビリにもなるし、一石二鳥だ。」

 

今日もSAOボスモンスターを討伐する為に、出現場所で待機している。今回のメンバーは俺、リズ、シリカ、アスナ、フィリア、キリトだ。クラインとは連絡がつかない。多分仕事だろう。

 

「さぁ、そろそろ時間だ。行くぞッ!」

 

「「「「「「オーディナル・スケール、起動ッ!」」」」」」

 

いつも通り、ユナの特別ライブによるバフが掛かる。これが戦闘開始の合図でもある。そして今回のボスモンスターはヤドカリみたいなやつだ。あんまり強そうじゃないが、ボスモンスターだから気は抜けない。更には盾役が俺とリズしかまともに出来ない。これが難易度をグッと上げている。盾役が少ないのはボス退治では致命的なのは明らかだ。

 

「リズ、先ずは俺が盾役を引き受ける!最初の内は火力として戦ってくれ!」

「分かったわ!」

「今回のボスは銃撃は余り効きにくいのが見た目からしてわかると思う!俺が盾役として引きつけている間に近距離で火力を出せる奴はボスの背後から攻撃しろ!こいつの攻撃範囲はほぼ前面のみだ!後ろにいれば先ず安全だ!銃撃隊、余り効きにくいからといって攻撃しないは無しだ!少しでもいい、ダメージを稼げ!!」

 

俺はボスモンスターの鋏の部分を弾き、攻撃されそうになっていたプレイヤーを助けながら全体に指示を出す。

 

「無事か!?」

「お、おう!」

「ならさっきの指示通り背後に回れ!前面は俺が引き受ける!」

 

 

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「やはり、あの男か……紅の剣聖。」

 

レイの戦闘を観察している黒紫の服を着た男。OSのランキング2位の男。彼は橋の上から戦闘を眺めていた。

 

「アイツから奪うのは…骨が折れるな…」

 

彼はそんな事を呟きながら小さく笑った。

 

 

 

 

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「くっ!あっぶねぇ…」

 

俺はバク転で敵の攻撃を避ける。バク転が出来るくらいには身体が動かせるようにはなった。いい傾向だ。

 

「っと、感心してる場合じゃないな。」

「レイ!まだいけるか!?」

「何とかな!近接攻撃班はどうだ!?」

「代わる代わるに攻撃を仕掛けてはいるが減っている気がしない!」

「……嫌な予感がする。キリト、警戒はしておいてくれ!」

「?わ、わかった!」

 

開始時から30分以上攻撃しているが、攻撃パターンが一切変わらない。ダメージ受けているどころか、一撃一撃が重くなってきている気がする。そんな時だった。

 

「あれは…ピナ?」

 

俺は横目にピナの姿を確認した。何故ここにピナが?あれはSAO、ALOでのテイムモンスターの筈だが。その時、ピナに近づく影があった。あれはシリカだ。

 

「どうしてピナが?でも、一緒に戦ってくれるなら…」

 

いや。どう考えてもおかしい。ピナが現れるはずが無い!

 

「シリカ!!!そいつはピナじゃない!!離れるんだッ!」

「へ?」

 

すると、ピナは大きく姿を変え、巨大なドラゴンへと変化する。

 

「あれは…ドルゼル・ザ・カオスドレイク!?90層レベルのボスじゃないか!!なんで…二体目が…!?」

 

突如現れたドルゼル・ザ・カオスドレイク、奴は飛び上がり、火を吹きながらプレイヤーを襲う。突然の二体目のボスに困惑し、逃げ惑うプレイヤー。90層レベルのボスモンスターなんだ、他のプレイヤーは軒並みやられていく。

 

「クソッ!こんなの相手にしてる場合じゃ…!!フィリアッ!逃げろ!!」

 

ゼルドル・ザ・カオスドレイクは逃げ遅れたフィリアに目を付けた。

 

「フィリアァァァ!!!!!!」

「…レイッ!」

 

フィリアはゼルドル・ザ・カオスドレイクによる攻撃を食らう。慌てて駆け寄るが、気絶していた様で、目を覚まさない。いくら呼びかけても、目を覚まさなかった。

 

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「フィリア!」

「レイ…?」

 

フィリアは数分後に目を覚ました。

 

「やられちゃった…レイ、ごめんね、負けちゃった。」

「よかった…気絶してたから何事かと思ったじゃないか!」

「ご、ごめん。…あれ?あの人って…」

 

フィリアが指を指す方向を見た。一人の男がこちらに向かってくる。俺は近づいてくる黒い影に見覚えがあった。

 

「ランキング2位の…エイジだったか」

「あの"紅の剣聖"に覚えて貰えてるなんて、光栄だな。」

「何の用だ。」

「……いや?…アンタの連れの記憶を頂いたからその礼をね…」

 

俺は見た。エイジとやらが小さく笑ったのを。

 

「何をした…」

「何の事だ?」

「フィリアに何をしたッ!!!?」

 

俺は剣で斬りかかろうとしたが、結果は呆気ないものだ。

 

「っ…!?」

 

俺が斬りかかる前に奴の剣が俺の喉元を捉えていた。

 

「おいおい、俺が何かしたみたいな物言いはやめてもらいたいな。俺は何もしていない。何も…な」

 

エイジはそれだけ言うと人ごみに消えていった。

 

「手も足も出ない…のか…クソッ!」

 

この後、俺は気づいた。SAOボスモンスターはただプレイヤーを楽しませるモノでは無いと。

 

 

 

 

 

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俺は、エイジが言った「連れの記憶を頂いた」という事が気になり、今回のメンバーに色々聞いてみた。

 

「フィリア、アスナ、シリカ、リズ、最近の事で何か思い出せない事とかあるか?」

「アタシは無いわね。」

「わ、私もありません!」

「……私は…SAOでのことが思い出せない…プレイしたのは覚えてるんだけど、出来事が一切思い出せない」

「…わ、私も…思い出せないや…」

「まさか…SAOの記憶が無いのか…!?」

「……ごめん、思い出せない…」

 

フィリアとアスナはSAOでの出来事の記憶の一切を思い出せないといった。何故SAOでの出来事だけが思い出せないのだろうか。今は情報を集めるしかない。

 

 

 

 

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俺は一度家に帰り、アスナとフィリアのSAOでの出来事を思い出せないと言っていた理由を考えていた。

 

「アスナもフィリアも覚えが無いと言った。このSAOボスはSAOを生還した者を対象として、SAOでの記憶を…消している…?……いや、手持ちの少ない情報で考えても断定が出来ないから無駄だな。情報を集めない事には始まらないか。」

 

俺はPCでOSに関する掲示板を開く。そこでとある書き込みをした。

 

『最近のSAOボスモンスター討伐の際に、ゲームオーバーになった奴はいるか?』

『はいはーい!』

『雑魚に何かようか?』

『おい馬鹿やめろ。悲しくなるだろ。』

 

結構な数が反応した。更に書き込みを続ける。

 

『その中でSAOをプレイした事がある奴はいるか?』

『ノ』

『一応プレイしたぞ。死にたく無かったから引きこもってたが。』

 

何人かはSAO生還者が混じっていた。ここで、本題に入る。

 

『その中にSAOの事を覚えている奴はいるか?』

『は?』

『変な質問だな。覚えてない奴とかいるのかよwwwww』

『あ〜、覚えてないかも。』

『そういや、俺も覚えてないな。家にSAOは置いてあるからプレイはしたと思うんだが、プレイした内容は覚えてないんだよなぁ〜』

『マジかよwwwww』

『まさか居たとはwwwwww』

 

ビンゴだ。やっぱりSAOを生還した者だけが記憶を失っている。つまり、あのボスモンスターはSAO生還者の記憶を消す為に現れている。だが、何の為に消すんだ。そこが不可解だ。記憶を消すだけならば他にも方法はあるはずなのに。そんな時、スマホが鳴る。相手はキリトからだ。

 

「どうした?こんな時間に。」

「いや、気になったことがあってな。それとクラインの事だ。」

「クラインの事?何かあったのか?」

 

キリトによればクラインはエイジに襲われたらしい。更にはSAOの記憶を無くしている。つまりはクラインはSAOボスモンスターによって記憶を無くした。エイジに襲われたとなるなら、奴がこの事件に絡んでいるとしか言いようがない。いきなり思わぬ収穫だ。

 

「そうだったのか。あの時居なかったのは、襲われた後だったのか。クソッ…それで、気になった事って?」

「それなんだが、さっきOSに関する掲示板で興味深い書き込みがあってな。」

「………(もしかして、俺の書き込みじゃね?)」

「SAOでの記憶が無い奴を絞って聞いてたみたいなんだ。」

「……………悪い、それ俺だわ。」

「なっ!?お前だったのか。あんなのを聞いて何か分かったのか?」

「あぁ、クラインの話で、まだ未確定なところはあるが、大方は正解に持って行けた。今から会えるか?そこで話す。」

「分かった。○△□公園で良いか?」

「構わない。じゃあ、そこで落ち合おう。」

「分かった。」

 

 

 

俺は、戦う。SAO生還者の為に、そして、フィリアの為に。

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