この話でSAO 導きの剣は完結となります。
最後までお楽しみください。
それでは最終話どうぞ。
「また、この世界に帰って来るなんてな。思っても居なかったぜ。」
「だけど、あの時と変わってない?ほ、ほらあんな花園あった?」
リズが指差す方向を見る。そこにはとても綺麗な花園があった。水路を通し、茶を楽しむ為のスペースだってあった。
「あの時は、茅場が弄ってたんだろう。これが本来のアインクラッド100層の景色なんじゃないか?」
「そ、そうなのかなぁ…」
「で、でも、とっても綺麗な花園ですね!いつかここで……」
シリカが俯いてボソボソ言い始めた。隣に居たリズが半笑いでシリカを眺めて居た。
「…おい!アレ…!」
今度はクラインが指差す方向を見る。そこには本来のボスだと思われる巨大なモンスターがいた。高さは軽く見積もって20m以上。
「待て待て待て!デカすぎるだろ!?」
「た、たしかにデカイわね。」
「アイツが本来のアインクラッド100層の主か。」
それぞれのボスモンスターを見た感想が溢れる。それ程までに大きい。それに対して俺達の装備自体がOSの時の物だ。SAOでのステータスがどうなっているのか分からない。
「自分自信のステータスが分からないってのは…辛い戦いになるぜ。」
「…!そうか、今の俺達はOSの装備だからステータスが不明になってるのか…!」
自分の格好を確認した後、ゆっくりと地面に足を付ける。ボスモンスターは目を開き、こちらを見た。その時ボスモンスターのHPバーが現れる。
その数、15本。数値に換算するとしたら、約1000万はあるんじゃないかと思われる。
「何だよあのHP量は!!?」
「なんだクライン。怖気付いたか?」
「ばっ!!ばっかお前!怖気付く訳ねぇだろ!!?」
「それでこそクラインだ。」
ステータスは不明、与えるダメージも分からない。相手の行動さえも分からない。ここから、地獄の戦いが始まった。
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荒い息遣い。吹っ飛ばされて岩にぶつかる音。ダメージが入っていく音。回復する音。気付けば、俺達はすでに満身創痍になっていた。
「レイ、無事か?」
「あ、あぁ…なん、とかなぁ!」
俺は力を込めて瓦礫の中から這って出る。
奴の行動自体は読める。だが、身体が付いてこない。
「クソ…これじゃ勝ち目がない…!!奴は少しのダメージでも回復しやがる。身体が付いてこない理由は、この装備だろうな。」
「やっぱりそうだったのか?」
「道理で身体が思うように動かない訳ね。やり辛いったらありゃしない!」
「…私なら、回復を阻止できるかも。」
そんな時、戦いで終始無言に近かったシノンがそう発言した。
「…方法は?」
「アイツ、回復の際に何かの雫を浴びてるの。その雫を狙撃して回復を阻止する事が出来れば、もしかしてって感じかしら。」
「よし、じゃあやるか。」
「あら?レイにしては随分あっさり受け入れるのね。」
「あの回復の仕組みに気が付ける人間なんだ。そして狙撃も出来る。信頼するに値するだろう?」
「ふふっ…ありがと。やってみせるわ。」
「俺達は奴の気をシノンから逸らしながらダメージを与えていくぞ!!」
俺達は満身創痍でも立ち上がる。ここで負ける訳にはいかないんだ。
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「そろそろ回復が来るか!?」
「………来た!」
ボスの回復のタイミングが訪れる。ここで成功すれば何か流れが変わるかも知れない。俺達はそれに賭けた。
「…………今ッ!!」
シノンの放った弾丸が、雫に当たる。ボスモンスターは回復していなかった。
「今だッ!!少しでもダメージを蓄積させるんだ!!」
俺達は一斉に攻撃しようとした。
だが、ボスモンスターの腕俺達目掛けて伸びてくる。直撃を避ける事は出来なかった。
俺やキリト達は瓦礫に埋もれる。この間にまた回復が入った。
「完全な…手詰まり…だな。」
「この状況、打破…出来る案、あるか?」
「あるならとっくに…試してるわよ…!」
「こんなのに勝てるのか…?」
「く、クライン…さん!ダメですよ、諦めちゃ!」
「私も少し無理ね…向こうも私を狙い始めたし。」
「攻撃が重過ぎる俺も無理だな。」
諦める訳にはいかない。だが、現実は非情だ。勝てない要素しかない。回復の際の無防備な状態はあるとはいえ、回復力が高過ぎる為にすぐにHPは満タンだ。もっとダメージを与えられればあるいは。
そんな時だった。
「パパーー!!」
そんな叫ぶ声が聞こえる。パパなんて呼ばれる奴は一人しか居ない。
「ユイ!?そ、それにスグまで!?」
「お待たせお兄ちゃん!!!」
突然後ろからスグと呼ばれる女の子とユイが現れた。それに続いて、アスナとフィリアも現れた。
「アスナとフィリア!?なんで来たんだ!!?」
「レイのバカ!もう!私も仲間なのに!!」
「痛ってぇ!?」
フィリアに引っ叩かれる。アスナもキリトを引っ叩いて、いや抱きついていた。それによく見れば色んな人が続々と登場してくる。
「パパ達の応援に駆けつけました!!この装備を!!」
ユイの掛け声で俺達は光に包まれる。先程より、ズッシリとした感覚がある。光が晴れると、俺達はこのアインクラッドを攻略した時の、SAOでの装備になっていた。
「SAOでのデータを見つけて引っ張ってきました!!これであのボスとの戦いが変わると思います!!シノンさんはちょっと特別仕様です!」
「私の武器は弓だったはずなのに銃のまま…特別仕様ってそういう事ね。」
「懐かしい格好だな!風林火山SAOver復活ってなぁ!」
「クライン、調子に乗ってやられるなよ?」
「黒の剣士と白の閃光、そして紅の剣聖と来た。これは負けられないぜ?なぁ、キリト。」
「そうだな。アスナ、いけるか?」
「もっちろん!」
「フィリア、悪かったな。早速で悪いが援護、頼むな。」
「うん、任せて!」
俺達は息を整えた後、武器を抜く。後ろには俺達以外のSAOだけでない、ALOでのプレイヤーだっている。これだけの仲間が居るんだ。臆する事なく戦うしかない。
「行くぞッ!!!"勝利"まで…俺が"導いて"やるッ!!!!」
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先程と打って変わって大混戦。しかし、ボスモンスターは回復する余裕がないと判断し、攻撃に徹するようになったみたいだった。ボスのHPバーは、装備が変わってからあっという間に残り5本まで減った。
「キリト、アスナ、フィリア!決めに行くぞッ!攻撃バフ持ちは居るか!?いるなら俺達4人に掛けてくれ!この戦いの決着をつける!」
攻撃バフが掛かったことを確認する。準備は万端。この戦いに幕を下ろしてやろう。
「レイ!来るぞ!!」
「あぁ!」
ボスモンスターの腕が伸びる。しかしそれは地面にぶつかるだけだった。俺達はボスモンスターの腕を駆け上がり、胴体の所まで辿り着く。
「さぁ、終わりにしよう!アスナ!」
「うん!」
アスナのソードスキル、マザーズロザリオを起点にソードスキルを繋げていく。
「ジ・イクリプス!!」
「ライトニングリッパー!!」
キリト、フィリアのソードスキルをまともに喰らい、ボスモンスターはフラついた。そこにトドメを入れる。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!
HPバーはみるみる減っていき、最後の一撃と共にボスモンスターはポリゴン片となり、宙を舞っていった。
「終わった…んだよな?」
「その通り。君はまたしても私に勝った。」
「この声は…!」
よく聞いた声。命をかけて戦った相手の声だ。
「なんであんたが…」
「OSの土台はSAOがある。つまりOSはSAOを基にして作った物だ。」
「…だから止める術もSAOの中にあったのか。」
「そう。長話もしていられないだろう。君に、これを託す。」
上から大きな剣がゆっくりと下りてくる。そして目の前で止まった。
「それこそが君達の求める物。さぁ、レイ君。また救うんだ。君が救ったSAO生還者をOSから。」
「…分かった。茅場、アンタには感謝してる。」
目の前の剣を握ると俺達は現実世界へと引き戻された。
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俺達が戻ってくる頃には会場を暴れまわっていたSAOモンスター達は消えていた。目を開くと目の前にはユナがこちらを向いて居た。
「ユナ、ありがとう。」
ユナは首を横に振る。
「止めてくれて、ありがとうございます。皆さんの記憶も戻り始めるはずです。」
「そうか。…ユナ、君はどうなるんだ?」
「私は、消えてしまうでしょう。でも、不思議と怖くないんです。私を覚えてくれている人が居ればずっと生きられる。」
「真に人が死ぬのは忘れ去られた時…ってやつだな。忘れないさ、君の事は。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
そんな時、ユナの体が光っていく。消えてしまう合図だろう。
「どうやら、時間…みたいですね。レイさん、キリトさん、アスナさん、フィリアさん、他の皆さんもありがとうございました。」
彼女は、笑顔だった。消えてしまうはずなのに。
「さようなら。」
別れの言葉を残して、彼女は消えた。すぐさまアスナとフィリアのSAOでの記憶が戻って来たみたいだった。そして、会場を騒然とさせたOS騒動は、幕を閉じた。
覚えている。名も知られていなかったのに、広場で歌を歌っていた女の子を。どんな時でも笑顔で歌っていた事を。とてもステキな歌声で周りの人々を幸せにしてくれた事を。あの時の歌は、忘れる事はないだろう。心から人の幸せを願う歌を、ありがとう。
最終話、お楽しみいただけたら幸いです。
これにて、SAO 導きの剣は完結となります。
ここまでお付き合いして頂き、誠に有難うございます。もっともっと腕を磨き、新たな小説を書こうと決意しました。
次回作が何になるかはまだ分かりませんが、その時は是非読んでみてください。
ありがとうございました。