ダイヤのドヤ顔μ’s知識披露事件から早数日。
高海と渡辺のスクールアイドル部(予定)には東京から転校してきたという桜内梨子が加入したらしく、日々三人で練習にいそしんでいるらしい。
マルちゃんやルビィのことも高海は勧誘しているらしく、ダイヤは――
『なぜ、なぜルビィは誘われて姉であるわたくしに声がかからないの!』
――とか言ってたが、お前は高海に対する最初の態度が態度だから声かからないんだよ。
まぁルビィはルビィでまだ人前に出て歌って踊ることに怯えがあるし、マルちゃんはルビィの意志を尊重したうえで動く子なのでルビィが入る決心をしない限りは自分も入らないと俺には話している。
『高海先輩につたえてほしいずら』
――とは言っていたが、俺はスクールアイドル部(予定)の顧問を勤めるつもりではないのだから、伝言役にするのはいかがなものか。
しかし、高海も大変しつこいもので、未だに俺のことをしつこく誘ってくる。
その所為かダイヤが高海の顔を見るたびに、変な風に顔がゆがむんだから、あんまり刺激してやらないでほしいのだがなぁ……
……さて、最近の周りの動向はこんな感じなのだが、俺は今ダイヤと共にある場所に呼び出されたということも話したい。
そこは――
「校長先生ならば話は分かるけれども……わたくしたちが呼ばれるというのはどのような了見なのでしょう?」
「わからねぇ……だがなダイヤ、俺は今ものすごく嫌な予感がするんだ」
「奇遇ですわね角人、わたくしも『初めてお見合いをしてからあなたに出会うまでの、お相手の方々に向けられた欲にまみれた視線を感じた時』のような気持ち悪さを覚えています」
やけに具体的過ぎる例えのせいでいまいち伝わらないが、とりあえずよくわかったのは俺とコイツの意見は一致しているということ。
それだけ俺たちが呼び出された場所――理事長室には何やら厄介ごとの匂いでまみれているのだろう。
……そういえば、理事長が変わったとは聞いたのだが、その顔見せだろうか。
ホテルチェーン経営をしている富豪、小原家の者が成ったとも神居さんが話してくれたな――小原か、いや、まさかな。
「――せっかく――リボンも――のに!」
「理事――よね!?」
「……そのまさかかよ」
「坊ちゃま、お薬でございます」
万が一にでもあってほしくなかった現実を感じて頭を痛める。
神居さんが即座に頭痛薬を出してくれたので多分気持ち治まったのだろうが、いつの間にかダイヤは理事長室に入っていたらしく、中から怒号が聞こえた。
意を決して理事長室の中に入ってみると、そこにいたのは高海たちスクールアイドル部(予定)の三人と、ダイヤ、そしてそのダイヤに抱き着いている新理事長らしき女子生徒――小原家次期当主の、三年生でダイヤの同級生小原鞠莉。
「Shiny!」
「ほんっとうにあなたは人の話を聴かないのですわね!」
「It’s Joke!」
――そう、小原家ときいて俺が真っ先に思い浮かべたのはコイツのことだったのだ。
俺が就任してから一週間後、彼女は突如公休という体で学校に登校してこなくなり、その直後に新理事長就任の報。
それも小原家の者が就任しましたと聞いてしまえば、どう考えても状況証拠的に彼女が新理事長だと思わざるを得ない。
登校しなくなった瞬間から何やら虫の知らせが働いていたが、事実だっただなんて恐ろしくて今すぐにでも帰りたい。
「Hi、Mr.黒澤。How are you?」
「……白岡です。そしてすこぶる体調もよろしいですよ――小原新理事長様」
「Non! マリーって呼んでちょうだい! 理事長Orderです!」
「そんなむちゃくちゃな……」
小原鞠莉を一言で表すならば【自由人】に尽きる。
俺が就任してすぐの話で、三年のクラスに顔見せをしたとき、彼女と松浦果南という生徒がクラスメイト全体を巻き込み、俺とダイヤを質問攻めにしたり。
教師だろうと誰だろうと全力で容赦なく揶揄ってくるような生徒。
そんな彼女が理事長になってしまった――ああ、胃が痛くなってきた……
「大体、高校三年生が理事長だなんて冗談にしては質が悪いですわ!」
「アラ、そっちはJokeじゃないけどね?」
「はぁ!?」
ダイヤの怒りをいなす理事長――小原は、懐から一枚の紙を取り出した。
それは【任命書】、小原が正式な理事長として存在していることを証明する書類。
要するに小原は三年生という生徒としての立場と同時に、理事長と言う経営者的立場を務めることとなっている。
その苦労はどれだけのモノかはわからないが、一大経営一家である小原家の子女、恐らくビジネス教育はかなり積んでいると見える。
「この私立浦の星女学院における、小原家の寄付は莫大なものなの!」
「なななななッ! 角人、アナタ知っていたのでしょう!? 何故教えてくれなかったの!」
「いや、知らねーよ流石に。新理事長が小原家だってことは聞いたけど、確証もないし、証拠もなかったんだから――あと首、首が閉まる」
ダイヤにブンブンと首を絞められながら、俺はふと考える。
――だとしてもほんと、なんで俺ら二人は呼ばれたんだ?
***
そして、小原によって、学校の体育館に連れてこられた俺たち二人と高海たち三人。
つれてくる直前に小原は『First LiveのStage』と言っていたが――もしかして……
「このStageを満員にできたら――人数に関わらず、部として承認してあげますよ?」
「なっ!?」
「おいおい……」
「本当!?」
小原の言葉に唖然となる俺とダイヤ。
言葉の後ろ半分だけを聞いたのか、喜びの声を挙げる高海――
俺とダイヤは顔を見合わせる。
――ダイヤ、ここの全校生徒はどれくらいだ?――
――全校生徒と教師が全員そろったところで、決して満員にはならないわ――
――人数に関わらず承認、ってそういうことかよ――
――ええ、早い話が実力をここで示せということね、住民の方々を動員できるほどの努力など……小原さんらしいわ――
……なんつーことだ。
生半可な努力や結果ではただの泡沫の夢に過ぎない。
高海たちはまだ高校二年生だ、吹っ掛けるには難易度が高すぎるものだと俺は思う。
だが、これは小原から高海たちへの【契約条件】なのだろう、達成できれば、夢に一歩彼女たちは近づける。
「やるしかないよ! 他に方法がないんだもん!」
「それでは、受けるということでよろしいですね」
小原は笑みを浮かべて去る。
あの笑みに浮かんでいるのは期待の表れなのか、それとも高海たちへの意地悪なのか……
ともかく、前途多難であることには、違いがない。
「ああそれと、Mr.黒澤、少しこっちへ」
「……行ってくる――あの! 白岡です!」
小原に呼ばれ、付いて行ったのは中庭。
そこで彼女はクルリと俺に向き直り、こう告げた。
「Mr.黒澤――アナタには、あのSchool Idol部の顧問をしてもらおうと思っています」
「……それって、もしかして」
「Yes、チカッチたちは必ずやり遂げることでしょう」
「……お言葉ですが小原理事長、その根拠は」
「……ツーン」
俺の質問に対し、急に頬を膨らませた小原。
いや、そこで急に不機嫌になられてもわけがわかんないというかですね、ほんと理解が追い付かないのですが。
「坊ちゃま、小原様は『マリー』と呼べということをお伝えしたいのかと」
「マジか……コホン、マリー、その根拠とは?」
「彼女たちのEyes……とっても輝いてるの! マリーはそれを信じてる!」
俺の呼び方ひとつでテンションがコロコロ変わる小原を見ていると、なんというか元カノを思い出す。
気まぐれで、自由人で、なんかよくわかんなくて、そんでテンション高くて――あれ、俺の元カノって小原のドッペルゲンガーだったりしない?
「それでぇ、スミト、受けてくれる?」
「いや、唐突に名前で呼ばないでくださいほんとお願いなんで」
「えー」
「え~じゃないです。それと……保留にさせてください」
「Hum……Why?」
単純な話だ、俺には荷が重すぎる。
もし仮にスクールアイドル部が成立したとしても、彼女達のこれからを支えていけるほどの力は俺にない。
それに、生徒会顧問をしている以上彼女達に力を貸す余力なんて存在しないのだ。
それに――高海にはμ’sの話をあまり振られたくはないという理由もある。
……とにかく自分でもよくわかっていないけど、嫌なのだ。なんとしても、何が何でも。
「……まぁ、いろいろあるんです」
「そうですか……では、彼女達のFirst Liveの時、またAnswerをもらうつもりだから、よろしくね!」
「……わかりました」
――なんで彼女は、俺にそういうことを任せたいんだろう?
新任の俺じゃなくたって、適任なんてたくさんいるっていうのに。
「坊ちゃま、教師のお仕事は、生徒の責任を負うだけでも、知識を与えるだけでもありませんよ」
「……どういう意味?」
「……答えを出すその日まで、じっくり悩むのがよろしいかと」
***
既読≪おっす十政、元気か?≫
十政≪先輩お久しぶりです。教師生活にはなれました?≫
既読≪んー、まーまーだわ。そういやさ、知ってるか?≫
十政≪何がですかwいきなり聞かれても分からないですよww≫
既読≪だよなーwいや、あれだよ≫
十政≪だからあれって何ですかwww≫
既読≪うちの学校にスクールアイドルができるかもって話≫
十政≪えっ…マジすか?≫
既読≪マジマジ。まだ決定ではないんだけど、条件達成したらあるそう≫
十政≪マジすか、条件ってやっぱりライブとか?≫
既読≪御明察。あとなー…俺もしかしたらそこの顧問になるかもしれん≫
十政≪マジすか!?≫
既読≪いやめっちゃ断りてぇ≫
既読≪だってさ、俺がそんな…コネ程度でしか教師なってないのに≫
既読≪生徒のひたむきな姿に手を貸す資格っていうか…≫
十政≪先輩ってほんと変なところでナーバスッスね≫
十政≪先輩は応援したいんですか?したくないんですか?≫
既読≪したい≫
既読≪そりゃあしたいよ、真面目にやるっぽいし≫
既読≪でもよ、別に顧問じゃなくてよくね?≫
十政≪先輩が一番若くて≫
十政≪そんで一番その子達のことを見れるって≫
十政≪そう判断されてるんですよ≫
既読≪俺じゃなくたってふさわしい先輩教師いるじゃん≫
十政≪自慢してください先輩、アンタはきっと奇跡的瞬間に当事者として立ち会うんです≫
十政≪先輩じゃなくてもできることじゃなくて、先輩だからできることです≫
十政≪もう一回、予測で聞くんですけど、その子たちはその条件として、ライブをやるんですよね?≫
既読≪ああ≫
十政≪じゃあ、その子たちのライブを見た時に思い出してください。先輩が真剣に何かをしたことでも≫
十政≪答え出すのは、その後でもきっと大丈夫ですから≫
既読≪…わかった≫
十政≪まぁ、突然のことばっかりで疲れてるんですよきっと。ゆっくり休んでください≫
既読≪おう…≫
十政≪それと、そのライブの予定日教えてください。見に行くんで≫
***
「『今日の内浦の天気は嵐だから危険だ、無理しなくてもいい』――っと、送信」
「角人、何をしているの? 早く準備なさい」
「ヘイヘイ、というかダイヤお前も結構楽しみにしてるんj――」
「おだまり、別に楽しみではありません。ただ、これからこの浦の星女学院の名前を背負うにふさわしいパフォーマンスを行えるか、そういうところを吟味するのです」
時は高海率いる浦の星女学院スクールアイドル(予定)の名称Aqoursによるファーストライブ当日。
――天候は、最低最悪の暴風雨だった。
門出としてはあり得ない日、それも――唐突に訪れたもの。
神様が存在するのだとするなら、その神様は心底彼女達に対して試練を課すのが好きなようだ。
正直浦の星女学院が元ミッション系の学校なので、ここで神に対して怨嗟を吐いてしまうとその特定の神が該当することとなる、故にあえてここまでで止めておこうと思う。
そんなライブを生徒会室の方で神居さんを通じてモニタリングすることになった俺とダイヤ。
ダイヤが生徒会室で非常事態などの対応を行い、俺がそれに付き添うという事情なのだが、少しだけ――ほんの少しだけ、直接ライブを見ることができない現実に歯がゆさを感じてしまう。
「……そろそろ、始まるな」
「……ええ、観客の方々は――」
神居さんのカメラが、一時的に体育館の内部全体を映す。
映っている観客たちはとても、とても少なかった。
『私たちはスクールアイドル――せーのっ!』
『『『Aqoursです!』』』
俺は見逃せなかった、高海の堪える様な表情を。
だが、諦めてほしくなかった。
まだ、これから観客が増える希望はあるのだから。
『目標は、スクールアイドル! μ’sです!』
『それでは――聴いてください!』
Aqoursの、ファーストライブの曲が、流れだす。
高海が歌詞を、桜内が曲を、渡辺が振り付けを担当したと、高海から語られた三人の初めての曲。
一体どれだけの練習をしたんだろう。
一朝一夕の努力では実らない一糸乱れぬ、それでいてただ同じだけで個性のないわけではない動き。
歌いながら踊るというのはどれほど辛いことなのだろうか。
それを行い、ここまでできるというのは、どこまでもすごいことだと、俺は感じる――
『キャッ!』
「なっ、何があった!?」
突如、音楽がサビに入ったとともに会場が真っ暗になる。
生徒の悲鳴が聞こえることに不安を感じ、撮影者の神居さんに声をかける。
「神居さん、そっちで何が!」
『坊ちゃま、どうやら停電が起こったようです、恐らくこの強風で電線に障害が起こったのでしょう』
「非常電源が倉庫の方に有るわ、取ってきます。角人――いえ、白岡先生は体育館へ」
「でもお前一人じゃ……いや、わかりました」
ダイヤは笑みを浮かべて生徒会室を出て、俺もその後に続いて生徒会室を出る。
――なぜダイヤが俺を体育館、高海たちの下へ行かせたのか。
その真意は解らないけれども、ダイヤに『行け』と言われた時、少しだけくすぶっていた何かが軽くなった気がした。
耳の遠くで雷の音が鳴り響く。
――知ったことか、雷なんざガキじゃねぇんだからちっとも怖くねぇ。
階段の手すりを飛び越えながら、一階――その先の体育館を目指す。
中庭に着いたとき、ポケットに入れていた携帯が震える。
メッセージが届いてたらしく、送り主は、十政。
≪先輩、そろそろ開始時刻ですよね。浦の星女学院近くの坂すっごい車が混んでるんですよ! 何処に車止めたらいいんですか?≫
――そろそろ開始時刻?
おかしい、高海たちが学内で宣伝していた時間はもうとっくに過ぎている。
≪十政、チラシの写真を見せろ≫
≪突然なんですか。わかりました≫
十政から届いた写真を見て、唖然となる。
――高海たちが学外で配っていたライブ宣伝のチラシの時間は、開始時刻の20分先だったのだ!
つまりどういうことか、高海たちのライブに人が来なかったわけではなく、高海たちの開場時間が実際に宣伝していた時間と異なるという痛恨のミスを犯していたに過ぎなかったということだ。
「というか、車の誘導もしねーと……! 神居さん!」
「既に先生方と誘導を行っています。ご安心ください」
「流石だ! 後は場所への誘導を――」
「私がやってるよシラカド先生」
神居さんが示した先には並んでグラウンドに駐車し始めた車の群。
それを確認し、再び体育館の方へ向き直った俺に声をかけてきたのは、三年の松浦果南。
高海と渡辺の幼馴染でもある女子生徒だ。
松浦は私服で、片手に傘を持ち、もう片方の手にはビニールで浸水対策をしたスケッチブックを抱えている。
スケッチブックには『Aqoursライブ会場はこちら!』と大きく描かれており、ビニールの濡れ具合からしばらくここで立っていたと見える。
「千歌ってばおっちょこちょいだからついつい忘れちゃってたんだろうね。ああ見えてメンタル割と脆い子だし」
「――って知ってるなら悠長に笑ってる場合か! 高海たちの不安を取り除いてこないとあいつらがまずいことに!」
「大丈夫だよシラカド先生」
松浦は瞬間的にキリッとした表情を見せ、すぐにその表情を柔らかく崩す。
その表情の変化に少し気を抜かれたのか、俺自身も脱力をしていることを感じた。
「あの子にはいつも奇跡が起こるから」
「奇せ……き?」
「ほら、こうしてる間にも続々とお客さんが中に入っていくでしょ?」
「――バカチカッ!」
「それに、あの子には、家族も味方をしてくれるんだから」
「アンタっ開始時間を間違えたでしょ!」
家族――高海の母か姉だろうか。
女性の声が響くとともに、体育館が明るくなったことを外からでも確認できるようになった。
どうやら、ダイヤはしっかり非常電源のバッテリーを接続できたようだ。
未だ人が詰めあう体育館の中を覗いてみると――
「……マジかよ」
「ね、奇跡が起こったでしょ?」
「先輩! まだライブ開場してませんよね、間に合いました!?」
聞きなれた声に顔を向けると、そこにいたのは大学時代いつも一緒だった後輩の十政だった。
傘も差さないでビショビショな十政に、念の為にと持ってきた傘を渡す。
「十政! お前ほんとに来たのか!?」
「俺だけじゃないですよ、スクールアイドル応援サークル、幹部メンバー全員で応援に来ました!」
十政の後ろ、小走りでやってくる十人ほどの集団――十政が大学でサークル長を務めている、【東海スクールアイドル活動応援団】の幹部メンバーを視界にいれた俺は、十政の肩を軽く殴りつける。
「いった!」
「よくやった、サンキューな!」
十政たちに手を軽く振って、裏口側から体育館内部へと入室した瞬間、停まっていた音楽が再び流れ、三人も再び歌い踊る。
映像とはまた違った迫力、高海たちの表情、一挙一動に、一瞬で心が魅かれるのを感じる。
自然と、拳に力が入る。
なんて楽しそうなんだ、なんて綺麗なんだって――
人生で初めて、興味がなかったスクールアイドルという存在に心を奪われた。
……だからか、曲が終わっていたことにも気づけなかったのだろう。
気付けば、観客たちは拍手喝さいで、高海たちが、一言ずつ、想いを話していた。
「――どんな夢だって、叶えられると!」
「――これは今までのスクールアイドル達の努力、そして町の人たちの善意あってこその成功! けっして、勘違いしないように!」
……え?
いや、ダイヤよ、お前急にステージの真ん前まで行って何やってんの?
……いや、しかしだ、急に冷静になった頭で考えれば確かにそうだ。
高海たちはスクールアイドルとしてまだ何も、サンプルすらもなかった存在。
そんな彼女達の為に嵐の中でも来場してくれた人々の善意、そしてスクールアイドル候補に対するスクールアイドルを応援する者の期待――それらがあってこそのライブであることには違いない。
……いや、でも、だからってこの展開はちょっとなぁ……?
「わかってます! でも――」
きっと、高海たちも今回のライブで感じたものがあるはずだ。
天候を見てライブを決行する判断、何かしらの手段で自身らのサンプルを公開して予め自分たちを知ってもらうという準備、その他、挙げればきっとキリがないことだ。
だけれども、そうだとしても、彼女達にとって『実際にスクールアイドルとしての一歩を踏み出す』それ自体が意味のあることで――
「見てるだけじゃ始まらないから、だから――」
その一歩を踏み出せた、その時点でもう彼女達は――
「「「――輝きたい!」」」
――既に、輝けているんだと思う。
でも、きっと、もっと強く輝ける。
「……よろしい。ではAqoursの皆さん、我らが浦の星女学院の名に恥じない、そんなスクールアイドルでいなさい!」
「はい! ありがとうございます!!」
――十政の言った俺にしかできないこと、それがきっと彼女達をより輝かせるということ。
――神居さんの言った教師としての務め、それはきっと彼女達を導きながら自分を成長させること。
――小原が俺を指名した意味、それはきっと――
「小原理事長」
「Hi、Mr.白岡。改めて、答えは出ましたか?」
「はい、私白岡角人は、スクールアイドル部の顧問を、喜んで引き受けさせていただきます」
「――You are great」
――俺が、新任という、新しい風を吹かせることの出来る存在だからなんだろう。
ならばその御望み通り、俺は俺らしく彼女達を導こう。
このAqoursを、必ずやあのμ’sを超える、最高のスクールアイドルに――
「あ、Sorryスミト、別にそういうのを求めてるわけではないの」
「なんでさ!?」
・マリー
角人の元カノに性格と言うか気性が似てる子。
アニメによって唐突に理事長設定が追加された子。
理事長の娘だったとかいう展開ならよくあるが娘が理事長でしただなんて展開はまれのため珍しさを感じる。
角人を顧問に着けた理由は単純に【彼なら面白いことをしてくれそうだから】。
・Aqours
角人が某上級大尉のごとく心奪われた存在――流石に嘘である。
ファーストライブはこの後無事にアンコールで仕切り直しが行われた模様。
資金面での強化が何気にヤバイ。
・水月十政
お悩み相談室担当。
何気に大学時代ずっと一緒にいるようなものだったので角人のナーバスさとかそういう方面はよくわかっている。
神居、淳、英司の次あたりによくわかっている存在で、たまに先輩より先輩らしくなる。
・東海スクールアイドル活動応援団
角人の通う大学で存在する公認サークル。
東海地方で活動するスクールアイドルたちをオリジナルHPやSNSで紹介、宣伝している。
文化祭では実際にスクールアイドルによるステージを企画するなどと活動精神は大変たくましい。
このファーストライブの様子は角人、マリーのチェックの元彼らのHPで公開されることとなる。
・果南
アニメ設定ではないので特に重い背景はない。
スクールアイドルに参加していないのも、単に進路のほうがまだ決まってないからであり、そっちを優先に考えている以上応援はするが参加しないという話。
角人をマリーとともに揶揄う存在で、ある意味彼の天敵である。
・ダイヤ
アニメと違って、『部としては承認されるのだから学校の生徒に恥じない範囲でスクールアイドル活動をやれ』という一言を残す人。
本音を言えば自分もアイドルをやってみたい気があるが、黒澤家としてのプライドが邪魔して素直になれない。
当作品ではAqoursに対してのキツイあたりは大体千歌への私怨から直結する。
・角人
暑苦しくなったりナーバスになったり忙しいやつ。
正直ただ空回りしているシーンしかない彼だが、きっと今後かっこいい姿が増える――に違いないと信じてる。
Aqoursを見るまでは、彼にとってのスクールアイドルの基準は本家様のアンチキショウの嫁さんのいたμ'sであり、それも映像媒体のみ。
等身大感がどうしても感じられなかったからなのだろうか、Aqoursには一瞬で心奪われた模様。