網元の長女と許嫁(仮)みたいなんだが!?   作:次郎鉄拳

24 / 30
こちらの章は鍵のすけ氏が手掛けております
ラブライブ!サンシャイン!!二次創作【君達のこころは輝いているかい?】
と、拙作とのコラボ章となっています。
かの作品、二話の内容から当章は始まっております。




コラボ章【君輝?×網元】
それは未来を変えてみた出会い


≪不審者?≫

≪ええ、前年から浦の星女学院近辺にて、私服姿の若い男が目撃されているの≫

≪つまり、見つけた場合はひっとらえて、んで、校長殿に突き出せと?≫

≪そういうこと。校長先生はあまり大事にしたくないということで話し合いで解決するつもりみたいね≫

≪へいへいっと……もし万が一ひっとらえることになったなら、その時はそうさせてもらうわ≫

≪返事が軽いわよ。コネ就職とは言えど貴方も社会人の端くれ。社会人としての気概は少しくらい見せてちょうだい≫

≪わかってますよーだ。お前も少しは学生らしく満喫しとけよ来年度で最後なんだから≫

 

 

 

俺が四月より浦の星女学院にて働くことになって、三月に改めて校長室に呼ばれた帰り。

ダイヤから神妙そうな顔で告げられたある言葉が、就任してから一か月たった今も記憶に残っている。

不審者、私服、少年。

あの後四月になって詳しい話を聞いたが、どうやら昨年の半ば以降の間ほぼずっと、その人物が近隣住民に目撃されているんだとか。

双眼鏡を手に、自転車に乗っていた。という二つのさらなる情報を受け取り、浦の星女学院から近いという黒澤家の立地も活かした、勤務外パトロールを続けてきた。

運が悪いのかそれともか、残念ながら見つけること叶わず早一か月も過ぎてしまった。

だが――――

 

 

 

「黒澤、急に生徒会室に呼びつけたと思ったら何だこの状況は」

「見てわかりませんこと? 不法侵入者を見つけましたのでこちらに隔離していますのよ」

「……そこでロープによって椅子に括り付けられてる彼が?」

「ええ、その彼がですわ」

「ダイヤさん! その人はお兄様ですか!? 僕にご挨拶させてください!」

「あなた少し黙っていてくださいますこと!?」

「そんな! 僕はそこのお義兄様にご挨拶したいだけなのに!」

「……俺、こいつの兄じゃねーんだけど……」

 

 

 

――――なぜか、唐突に出会いというのは始まるものである。ということを、俺は失念していた。

 

 

 

 

【君達のこころは輝いているかい?×網元の長女が許嫁(仮)みたいなんだが!?】

第一話『それは未来を変えてみた出会い』

 

 

 

 

ダイヤによって生徒会室に呼びつけられた俺が視たものは、ロープによって椅子にぐるぐると縛られた一人の学生。

制服姿から見るに彼は入江の月高校の生徒。

なぜこんな時間に浦の星女学院まで来ているのだろうか。

というかまず、誰がコイツの兄だ。

 

 

 

「お義兄様ではないんですか!? そんなに親しげなのに!」

「俺の姓は白岡だ。断じてコイツの兄ではない!」

「ではダイヤさんとどのようなご関係ですか! 僕そこをぜひ教えてほしいです! はい!」

「ですから下の名前で呼ぶなと先ほどから言っているのですが!」

 

 

 

おお、あのダイヤがマジギレしてる……あの少年恐ろしいな……

というか名も知らぬ入江の月在籍の少年、なぜ俺とダイヤの関係を知りたがるのだろうか……?

というかダイヤに言い寄ってるのかコイツ……? ああ、なんかよくわからんがちょっと面白くない……

 

 

 

「白岡さん! 是非僕にダイヤさんをください!」

「やらん、こいつは……()()()()()()()()()

「すっ角人!?」

 

 

 

ムカムカと胸の奥側から湧き上がってくるような熱さに任せて、少年に言葉を返すとダイヤが顔を真っ赤にした。

当の少年はポカンと呆けたのち、俺とダイヤの顔を見比べ、神妙そうに頷いた。

 

 

 

「なぁるほど……なぁるほど! そうなんですね!()()()()()()()()()()()!」

「んっ!? 縄は!?」

「あっ、知人……いや、身内の方にロープワークが得意な人がいるんです。あらかた結びと解きは修めているんですよ」

 

 

 

――そして、自身を縛っていたロープをほどいた。

少年は伸びを行い、身体のコリをほぐすと、自身のカバンからペットボトルを取り出し、ダイヤに手渡した。

ラベルを見るに市販のスポーツドリンク。ダイヤがまじまじと見ているが、そういえばコイツは市販のドリンクをほとんど飲まないんだったな……

 

 

 

「それはスポーツドリンクでな、運動の後にのんだりすることが多い飲み物なんだよ」

「よく冷えていますし、僕は口を付けていないので汚くないですよ!」

「……でも、どうしてこれをわたくしに……?」

 

 

 

ダイヤは自分でわかっていない……のも仕方がないが、俺は少年の洞察力にただただ感心した。

ダイヤのクラスは一時間目が体育。運動後のため汗をかいていたに違いない。

ダイヤが汗をかかない体質でもないのは俺がよく知っている。ただ、ダイヤは制服。

ぱっと見ただけではその姿が体育の後だと思うことはない。

ただ、彼は何処を見たのかは知らないが、少ない情報でダイヤが運動後だと気付いたのだ。

 

 

 

「だって、ダイヤさん一時限目から体育で、喉かわきませんか?」

「驚いた。うちの授業スケジュールまで把握しているとはな……」

「なっ! まさかあなたがずっと浦の星女学院近辺で目撃されていた不審者ですの!?」

「僕不審じゃあありませんよ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「……おお、少年。君は今最高の墓穴を掘ったぞ……」

 

 

 

ダイヤから湯気が立ち上る姿が見える。顔も怒りで引きつり、身体がプルプルと震える。

こうなってはなだめることなど不可能。

名も知らぬ少年の冥福を祈ることしか俺にはできない。

ダイヤが指をコキコキと鳴らし始めたのを皮切りに、少年は俺に向かって命乞いをしてきた。

 

 

 

「白岡さん! 僕を見捨てないでください! 是非ともダイヤさんをその愛の力で鎮めてください!」

「……あきらめろ。俺も幾度か今のダイヤに痛い目にあわされた。不法侵入の代償としてあきらめろ」

「あっダメだ、白岡さん悟ってる!? あわわわわ! ダイヤさん落ち着きましょう! 僕の声が聞こえていますか!?」

「フフフフフ……安心してください、今なら一撃で済ませますわよ?」

「安心できない! あっでもこれが愛の鞭なのd――ヘガッ!」

 

 

 

寒いものしか感じさせない笑顔を湛えたダイヤの、右手から放たれたビンタが勢いよく少年の頬に刺さる。

哀れ少年。その体躯は勢いよく左側へと飛んでいき、壁に激突する。

その顔が笑顔でなければ、きっと俺は少年に同情をしたのだろう。

一撃与えて満足したのか、ダイヤはフンッ! と息を鳴らし、一言俺に、少年を任せる旨を告げ、次の授業へと向かった。

 

 

 

「……少年、あまりダイヤを怒らせないほうがいい。命はさすがに大事だろう?」

 

 

 

三時限目終わるまで暇な俺が言えるのは、ダイヤには逆らえないという意味を込めた言葉だけだった……

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「さて、改めて名前を聞こう。不法侵入の少年」

「あ、双葉(ふたば)心継(うらつぐ)って言います。よろしくお願いします」

「ああ、よろしく双葉君。俺は白岡角人、一応この学校の新任教師だ。まだ大卒一年目の」

「あー、だからそんなに若いんですね。どこの大学ですか?」

「○○大学。地元にある大学ってそこか女子大しかなくてなぁ……」

「○○大学って私立大学の○○ですか! ……あ、地元ってことは三島の人ですか?」

 

 

 

さて、ダイヤの命により、逆らえない俺は致し方なく入江の月生徒――双葉心継君を取り調べていたはずなのだが……

なぜか知らないがいつの間にかただの雑談と化していた。

話しているとよくわかるのだが、なかなかに双葉君は口がうまい。

気付けば彼に乗せられ、彼のペースで会話をする事態になっている。

こりゃあダイヤがマジギレしつつも会話をうまく切れないわけだと、納得した。

 

 

 

「そういえば角人さん、白岡センセと呼んだほうがいいですか? 僕もここに通うつもりなので!」

「別に構わないが……って、通う!? できるの!? ここって女子高だよ!?」

「人間みんな本気になればなんだってできますよ! この学校に通うことだって夢ではないです! 現に僕はやります!」

「絶対それさ、本気の方向性が間違ってると思うんだよね!?」

 

 

 

まっすぐまっすぐにその熱意をぶつけてくる双葉君。

言葉を返しながら、ふと思った。彼はなぜそうまでしてここに来たいのか。

そして、なぜここまで()()()()()()()()()()()()()()()

それを聞いてみたいと。

 

 

 

「双葉君さ、君は……ここに、何しに来たいの?」

()()()()()()()()()

「……えっ?」

「僕は、ここに、彼女を、作りに来ました」

 

 

 

……聞き間違いではないようだ。

一字一句間違いなく繰り返してくれた双葉君の言葉には偽りがない。

なんというか、明らかに変な奴だと思う。

女子高を一年前から実地リサーチし、今日の侵入も彼から聞けば、侵入じゃなく堂々と入ってきたらしいし、まったくもってアホに視える。

 

 

 

「……普通はそれ目的で、ここまでしないよ?」

「わかってます。でも、僕がやりたいことはここにしかないんです」

 

 

 

ああ、『視える』じゃなくて、()()()()()()()()()

アホだけど、アホだからこそまっすぐで、んで、偽らないからこそ、変な魅力がある。

彼の眼には覚えがある。

パーティーで話した時、『家を出たい』と、真面目な顔で語っていた親友の眼とそっくりなんだ。

やるといったらやる。実際にやってのける。地位も金も名誉すらも捨ててでも行ってみせるという、()()()()()()

 

 

 

「……ププッ」

「あ! 白岡センセなんで笑うんですか! 僕は真面目ですよ! 超真面目なんですよ!?」

「――ワリィ、あまりにも懐かしいこと思い出したんだわ」

「……懐かしいこと、ですか? もしかしてっ! ダイヤさんとの馴れ初めですか! そうなんですね!?」

「んなわけあるか――さ、さっさと行くぞ?」

 

 

 

生徒会室のドアを開け、双葉君を外へ誘導する。

授業終了のチャイムもすでに鳴っている。ダイヤが来るのは間違いなく時間の問題だろう。

きっと彼がまだここにいると知られては校長先生の下に連行されるのだろう。

ダイヤは堅物だ。然るべき方法を取ることを間違いなく選択する。というか現に双葉君曰く警察を呼ばれそうになったとか。当然だが。

今回の俺の行動は問題の先延ばしにしかならないだろうが――なんでか、俺は彼を見逃したかった。

 

 

 

「いいんですか白岡センセ、大事なダイヤさんに逆らって」

「お前はまずその余計な一言を言う口を閉じろ」

「イエッサー! 見逃してくれてありがとうございます白岡センセ!」

「まったく……ダイヤには見つかるなよ? あと、次来るときはアポ位取っておけ」

「前向きに検討させていただきます!」

 

 

 

それはもはややらない返事だろ。と思いながら、無事に双葉君を校門まで送り届けた。

当の彼はまったく懲りていない感じで去っていったが、さすがに次来るときくらいは入校許可取ってくるだろうと思い、ダイヤには適当な報告でごまかしておいた。

 

 

しかし、うかつなことにその姿が二年の高海(たかみ)千歌(ちか)に見られたらしく、翌日彼女に質問攻めを喰らい、さらにその話がなぜかダイヤに流れ、大目玉を喰らう羽目になったのはまた、別の話。

 




・サブタイトル
【君のこころは輝いているかい?】出だしの歌詞より部分引用。
どこかで聞いたことあるサブタイトルな気もしないでもない。


・角人
ダイヤと自分の心の板挟みになる当章一の不憫枠。
だいたい自分の心に正直だが、後でダイヤに制裁されるのもいつものこと。
自業自得で先生に黒澤先生とよく間違えられる。


・親友
角人のラストエリクサー病の元凶。
お金持ちの家を家出同然の形で出ていき、今は世界中を身軽に渡り歩いている。


・ダイヤ
修羅としての力に目覚め、さらに順調に角人の正妻として立場を確立中。
学校で角人が黒澤先生と呼ばれたりもするが、だいたいいつもの夫婦漫才の所為である。


・千歌
角人が心継とともに校門まで行く姿を見て、【白岡先生には兄弟がいた!】と、素で勘違いをした。
なお、話題の心継は当日既にダイヤに連行されていた。


・双葉心継
コラボ先作品【君達のこころは輝いているかい?】の主人公。
彼女を作りに浦の星女学院まで堂々と入校する剛の者。
その嘘偽りのない姿勢が角人には気にいられた模様。
コラボ先作品URL【 http://novel.syosetu.org/64638/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。