亡霊さんが歩む超能力な世界   作:メガネ愛好者

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どうも、メガネ愛好者です!

今回はるゐさんが原点に返る会です
今までいろいろ書いてきましたが、ある時を境にるゐさんは少し変わってます

それが戻ります。それがいい方向か悪い方向かは…人それぞれです

後アリシアに変化が…?

それではCALL8、どうぞ!


CALL8 「振り返れば私は偽善者だった」

あれから一週間経ちました

その間にいろいろとありましたわ…休んでたはずなのに休んだ気がしないぜぃ。正直学校行ってグータラしてた方が楽だったかも

何があったんだって?とにかく大変だったんですよ…言っちゃえば簡単な話です

 

 

 

アリシアがめちゃんこ甘えてきた

 

 

 

もはや底なしとでもいうかのような元気っ子に私がついていけなかった…ただそれだけの話です

話は一週間前、夢喰島から帰ってきた早朝から始まります…こっからは回想です

 

 

まずはあの後二人同じベッドで寝ることになりしょうがなく了承した私。まず第一の後悔がそこだ

ただただ二人並んで寝るだけかと思いきやアリシアが「人肌が恋しい」なんか言いだして私にひっついてきた

時間帯は8時ぐらい、前にも言ったかもだけど最近暑いのだ…正直言って人にくっつかれて安眠できると思いますかね?私は無理です

扇風機を出すほどでもないし冷房なんて論外、冷えすぎて逆に眠れない。タイマーにしても消えた辺りから少ししたら温度差で目が覚めてしまう…

せっかく汗を流してぐっすりと惰眠を貪ろうとしたのに寝るに寝れない。暑いから離れてって言うとなんか涙目になって「嫌なの?」なんて弱々しく呟いてくる…断れませんでした

こういうのを詰んだって言うんかね?実際に体験して覚えたくはなかったよ

 

そこからなかなか眠れず夕方辺りに起床することに。気持ちよさそうに寝てたアリシアに少し苛立ちが湧いたので頬を抓って起こしてやったわ

「痛いよ!せっかく寝てたのに~!」なんて怒ってるように見えて顔がにやけてた時は少し心配になった。久々の痛覚に感動してるみたいだけど…Mには目覚めないでよ?

そこでお腹から低い音が聞こえる、これは私だ。よくよく考えれば昨日の朝から何も食べてなかった。昼は葉巻吸ってて飯時逃したし、夕飯はナナちゃんに呼ばれてスルー…その後も何も食べず朝は眠気に負け取ってない。昼はアリシアが離してくれずに結局食べてないと計四食も食べてなかった

そう考えるとよく持ったなぁ…そこまでお腹空いてなかったのも原因かな

とりあえず私は夕飯を作ることにした。…はずなんだけどね

 

アリシアが「私が作るよ!」なんてキラキラした目で言うもんだから任せてみたのが第二の後悔…私のキッチンは爆散地へと変貌した

包丁は飛び回り、皿は砕け散り、鍋は爆散した

どうしてそうなった…いや目を離してた私も悪かったけどさ?せめて一回目の「あれ?」でやめてほしかった

少しコンビニに行きお菓子を買って来たその間にキッチンは見る影もなくなっているとか…この短時間でよくやったなぁと逆に感心してしまう

救いは火事にならなかったこととアリシアが怪我をしなかったことか…

ただ料理経験を聞いてみたところ「お母さんの見様見真似。私ならできると思って」と聞いた瞬間軽くだがアリシアに手刀を放ってしまった私は悪くない

よくよく考えればアリシアは5歳で亡くなった上に母親に溺愛されていたんだ。料理なんか母親が全部してたに決まってるじゃないか…早くに気付くべきだった

…手刀かました時にまたにやけていたが…いや、考えないようにしよう

 

とりあえず散乱した食器やら料理道具を片付け無事な残り物で簡単なものを作って二人で食べることに

数十年ぶりのご飯に涙を流しながら食べていたその光景に、残り物で適当に作った料理が申し訳なく感じた…が「お母さんの方がおいしいね!」って言った瞬間そんな気持ちもどっかに吹っ飛んで行った。こんにゃろう…人の作ったもんに対してそれか?

…どうやらゆっくり眠れんかったせいか少し沸点が低くなってるみたい…少し苛立ちが大きくなってきた

 

そして夕飯も食べ終え片付け始める。今回は何も危なっかしいことはなかった

いつもやってたらしく皿洗いなんかは結構早くに終わった。背も伸びたから届く場所も増えてうれしいらしい

わざわざ椅子に乗ることがなくなったと。…それでも小さいんだけどね

その言葉を冗談めかしに言った。…言ってしまったのだ…これが第3の後悔

 

その言葉を聞いた瞬間アリシアが固まり、俯いたかと思ったら少し震え始めた

どうしたのか少し心配して尋ねてみると…アリシアは爆発した

 

その時の主張が…これだ(ワンッ!ツーッ!スリーッ!)

 

 

「なんで…なんでなのさあああああ!!!小さい小さい言われ続けて数十年!やっと成長した姿をお披露目か!っていう期待と希望を胸に抱き起きてみればこのボディ!なんなの?なんなんですかぁこれはあああああ!!!せっかくナイスバディになってるゐをからかってやろうと思ってたのにそのるゐにも負けるこの貧相なミジンコボディは!?絶望した!神はいなかったんだ!こんなのってないよ!あんまりだよおおおお!!!」

 

 

…あまりの必死さに少し引いた。てか自分よぉ、貧乳はステータスだ!希少価値だ!…何て言ってた癖やっぱり気にしてたんじゃないのさ…自分で地雷踏んでダメージ受けてんじゃん

確かにベッドに寝かせてるときは体が冷えないように掛け布団をかけてたから顔ぐらいしか確認できなかったのは誤るけどさ…

てかミジンコボディって…私としてはその体を見て「あぁ、これは間違いなくアリシアだな」ってぐらいに納得できる出来栄えだったから気にしてなかったけど…アリシアにとっては納得いかなかったようで

…てか神はいないってプルートさん神様なんだけどそこはどうなんだろ?またよくわからないネタでも引っ張ってきたか?そうだったらまだ心に余裕ありそうだけどなぁ

 

アリシアの身長は私より10㎝ぐらい低い、それでもしっかりと高校生とわかるぐらいには顔つきは大人びた感じになってたし雰囲気も少し落ち着いた(とはこれを見るとあまり大きく言えないけど)ようにも見てとれた

体格に関してはプルートさんが「もしアリシアが死ぬこともなく平穏無事に過ごした結果」を完全再現したみたいなんだ。それを言ったらアリシアは「なん…だと…!」と言って崩れ落ち、「この世界には奇跡も魔法もないんだね…」なんて言って床にのの字を書き始めた…対応するのめんどくさくなってきたわ

しょうがないので慰めることにしたんだけど…この状態のアリシアに何を言ったらいいのか思いつかなかった。私が言ってもあらゆる点で負けていると思ってるアリシアには何を言っても同情にしか聞こえないみたいで以前とイジイジして…マジでめんどくさくなってきたわ…

さっさと立ち直ってほしいので切り札を出すことにする。正直言いたくなかったけどこうなっては仕方がないわけで…言ってしまった。「何かしたいことあるなら何でもするから機嫌直して」…と。第四の後悔だ

 

のの字を書く手が止まる。顔は髪に隠れて口元ぐらいしか伺えないがしっかりとした口調で「なんでも?」って聞いてきた

…嫌な予感がする。だが言ってしまった以上やっぱ無しで済ませられない、言ってしまえばまたいじけだすのは目に見えている…仕方がないので肯定すると―

 

 

「…………やった」

 

 

すごく小さい声でそう呟いた。その口元は三ケ月のような形に変えて

 

―ハメられた―

 

まさしくそうだろう。アリシアとは長い付き合い…お互いに相手を知り尽くしている部分がある

アリシアが言う証言は…私は「なんやかんやで世話焼き」「結構抜けてる」「押しに弱い」らしい

…そんなことはないはずなんだけどなぁ…。面倒なことは好き好んでやらんのにそれは当てはまらないんじゃね?って言っても「それもそっか~」なんてニヤニヤして言ってくる。絶対納得してないやん

はぁ…頭が痛い…何故こんな面倒なのと親友になったのやら…

…まぁ…まだ話してないことがあるけどね…

 

まぁその話は今はいいんだ。問題は何を要求してきたかだが…

 

 

「一緒にお風呂入ろうよ!」

 

 

でした

…お風呂ぐらいゆっくりしたかったなぁ…

 

 

 

案の定アリシアのわがままはエスカレートしていく

頭洗ってならまだわかるよ?体も洗ってと言って来た時は自分でできるでしょ?って言ったんだけど…だめでした。少し話し合った結果背中を洗うので妥協してくれたよ

けどアリシアは納得いってないって感じに頬を膨らまして拗ねてた。いや自分で洗えるようにしなさいな精神年齢30歳。年くってる割には随分と心が成長していないご様子…勉強はできる子なのになぁ

さっさと背中を流し、アリシアに先に入ってるように促した後、自分も洗い始めることにする。私だって湯船に使って疲れを癒したいのだ

アリシアが湯船に浸かり頬を綻ばせながらリラックスしてるのを確認する。その笑顔が憎たらしい、無駄にかわいい顔してるから余計憎たらしい

私もさっさと済ませようと頭を洗い…始めた辺りでザバァ…と湯船から水音が響く。…嫌な予感しかしない

アリシア?と頭を洗ってる途中なので目を開けられない私はいるであろうアリシアに声をかける。だが帰ってくる言葉に私は少し血の気が引いた

 

 

「せっかくだし私がるゐの体を洗ってあげるよ!」

 

 

 

 

 

最悪だ…全然休めなかった

あの後私が抵抗できないのをいいことにアリシアが私にくすぐりを加えながら体を洗い始めた

人に洗われることなんて小さいころお母さんにしてもらうぐらいで後は自分でやっていたから人に触れられるのが非常にこそばゆく、むずかゆかった

ガラにもなく声を上げてしまい、アリシアには「かわいいかわいい♪」と声をかけられもはや気が気ではなかったよ…はぁ

 

何とかお風呂から脱出したのは数分後、その間ずっとアリシアは体を洗うことを忘れくすぐり続けてきやがりましたよ。なんか最後辺り息が荒かったような…っ…思い出したら寒気が…

風呂から早々に逃げ去るようにして上がった私は一切休むことができなかったからか、なんか体が怠く感じてきた…ちきせう。少しは休ませろってんでぃ

少ししてから顔につやを持ったアリシアが満面の笑みで風呂から上がってきた…その笑顔、殴りたい

全くどうしてくれるんだ。一応R-15タグはついてるけどもう少しで別のタグが付くとこだったじゃないか…これは健全なSSなんですよ?全く…

 

…なんかホントに調子悪いかも…クラクラする

とりあえず何か水分補給できるものを飲んで落ち着こうと冷蔵庫に向かった直後…アリシアが後ろから肩に腕を回してのしかかってきた

普段なら難なく受け止められていたんだろうなぁと…今は思う

アリシアがのしかかるのと同時に、その衝撃で私の意識がおぼろげになり足から力が抜ける

崩れ落ちる瞬間、何かアリシアが言ってたような気もするが、私の意識は床へ倒れ込む衝撃で闇に落ちた。…あれ?意外とやばかった感じ…?

 

 

 

 

 

目が覚める。少し体が怠い…後は蒸し暑い感じ…これは熱だな

全く簡単に体調崩すとか…情けないぞ私

 

 

「…るゐ?」

 

 

横に目線を向けると暗い顔をしたアリシアがいた。………

 

 

「泣いてたべ?アリシア。涙の後残ってるよ~」

 

「…っ泣いてねーし!全然これっぽっちも泣いてねーし!」

 

「…そか、ならよかった」

 

 

強がりだってのはわかるけどいつも通りのアリシアの反応を見て少なからず安堵する

 

 

「るゐ」

 

「言っておくけど!…今回は私の体調管理を怠ったんが悪いからアリシアが気にすることはないよ?」

 

「っ!でも!でもそこまで悪化したのは私のせいでしょ!?疲れてるって知ってたのに!私ばかりわがまま言って…それでるゐが体調崩して…それで…」

 

「…アリシア、私は別に―」

 

「るゐが倒れた時…怖かった。似てたから…無理して私のために働いてくれていたお母さんに似てたんだ…今にも倒れそうなほどに疲れてるのに…それでも私のために頑張ってくれた…それでも、いつか倒れるんじゃないかって、無理がたたって病気になるんじゃないかって!私のせいで…死んじゃうんじゃないかって…!」

 

「……」

 

「私が死んで…実はほっとしてた。だって私がいなければお母さんが無理をしなくて済むから…する理由がなくなるから…体を休められるんじゃないかって。だから私は死んでよかったって思ってたし、死んじゃったんだから仕方がないって割り切ってた…でも…今こうして生き返って…気付いた。…っやっぱり私はお母さんといたかった!!!一緒に平和に暮らしたかった!!!私が無理しないでって本気でぶつかっていればよかったのに…お母さんの言葉に甘えて…言えなかった」

 

「…そらしょうがないでしょ?ある程度時間がたった今のアリシアだからそう考えられるだけで5歳当時の君はまだ生まれたての子供だよ?そんな気遣いができるはずがない」

 

「今だって変わってないよ!今度はるゐに同じことさせちゃってる!実際に今日無理がたたって倒れたじゃん!今日だけなんかじゃない!昔から何かと私に気をかけてくれてた!それに気づいても私は甘えることしかできない…甘えることしかしなかった…」

 

「それは私が…」

 

「確かにるゐは好き好んでやってたのかもしれない…でも…でも…るゐは、優しすぎるんだ。赤の他人だった私でも関係なく助けようとするぐらい「良い人」だった!!!…それに私は甘えて…当たり前のように接してたんだ…」

 

「―――」

 

 

―違う―

 

 

「るゐは誰にでも優しかった!適当なこと言ってふざけてるようにしててもいつも他の人のことを考えてるイイ人だった!」

 

 

―違う…私はイイ人なんかじゃない―

 

 

「災厄のことだってそうだよ!自分が持ってきたって理由だけで全て抱え込んで…全部自分で解決しようとしてる!そんな…そんな強い心を持ったるゐに私は依存して―」

 

「違う!!!私はイイ人なんかじゃない!!!」

 

「っ!?」

 

 

 

…強く言いすぎたかも…でも、これは否定しなきゃいけなかった

 

思い出したよ

私は…決して強くない。強くなんか…なかったんだ

 

確かに私は何かとアリシアを気にかけてた。初めて会った時の寂しそうな顔をするアリシアを放っておけなかった…「本来の私なら無視するのに」

相手が困ってる?子供が泣いている?…それが私の知り合いじゃないならどうでもいい。めんどくさいことだ

確かに前世の友人にも私は優しいやつだと言われる…言われてたよ?…友達にだけは

 

私は基本狭く深い友好関係を築くような人間だ…だから他人に関して優しくする義理なんてない

私は私の周囲の人が笑って暮らせるならそれでいい、楽しく笑ってるならそれでいいんだ

例え周囲がどうなっても私は身近の人たちが無事ならそれでいいんだ…

 

 

 

 

 

私は前世で一度、周りの重圧に押しつぶされそうな時があった

昔から私はみんなに優しく接した。決して怒らず、相手のいいところを褒め、悪いところを直してみるよう助言していた

だから自然と友人は増えていき、中学ではほぼ全てのクラスの人が私を頼ってきてくれた

私はそれが嬉しかった。皆のためになってる、みんな笑っている、みんな…みんな…私に全て任せるようになった

 

責任は全部私に、謝罪も私が頭を下げ、苦情も全て引き受けることになっていた

 

今思えば私は酔っていたんだと思う

皆が幸せに…そう言った一人でやれるような範囲をとうに越した願望を身の程知らずに掲げながら…

 

限界はすぐにきた。私が過労で倒れたんだ

そんな私を…気遣う声はなかった

 

 

―おい!まだ戻らないのか!―

 

―さっさと連れて来い!あいつがいないと話が進まねえだろ!―

 

―まだ無理ですって?そんなの気にしなくていいでしょ―

 

―あの子そのぐらいで休むような人じゃないでしょう?―

 

 

―――友人のためなら何でもやってくれるイイ人なんだから―――

 

 

 

 

 

私に…友達はいなかったようだ

 

みんな私を友達なんて言ってくれない、みんなイイ人ってしか私を呼んでくれない…

 

誰か…私を友達って言って…

 

誰か…私を親友って言って…

 

誰か…私を…私の…

 

 

私の名前を読んでよ…

 

 

「そんな一人踊りして自分によっていた馬鹿の一人なんだよ…私は」

 

「………」

 

 

ちょっとした過去、くだらない理由でバカなことをやっていた一人の偽善者のつまらない話

アリシアが信じられないかのような唖然とした顔で私を見てくる。嘘は言ってないよ?言う理由なんかないし

 

 

「私は偽善者だった、それがいいことと全て請け負いこなして…そんな自分が満たされるために友人の言うイイ人をしてきた操り人形だ」

 

「気づいた時にはもうなんかいろいろ萎えちゃってね…過労が回復次第すぐ転校した。親は昔から心配してくれててね…私が話したら名前を言って慰めてくれた…あれはホント心が救われたよ」

 

「遠くの田舎町に引っ越してからは…幸せだった。気心の知れる本当の意味での友人たち。そんなに人数はいなかったけど…それでよかった。友達は両手で数えられるぐらいが私には丁度いい人数だったんだ」

 

「そして私は…その友人たちに軽い依存をするようになった。迷惑がかかるほどじゃない。ただ縁が切れないように…また、イイ人って呼ばれないように…」

 

 

「………るゐ」

 

 

悲痛な声で私の名前を読んでくれるアリシア、少し涙が目に溜まっているみたい。全く泣き虫だねぇアリシアは

 

…正直言ってあれは私のトラウマだ。今だから笑い話にできるが立ち直ってなかったとしたらイイ人って言葉に恐怖しか感じなかっただろう

立ち直れたのは新しい友人たちと…両親のおかげだった。彼らのおかげで今の私はある。今を幸せに暮らしている。そこで私の偽善は消えた…と思ったんだけどね…

 

まさか私が似たようなことをアリシアにして悩ませてたとはね…はっ、笑いも取れやしねぇっすね

そんな自分に腹が立つ、偽善は捨てたんじゃねえのかよって話だ

…よくよく思えば原作始まってた辺りから私は何を考えていた?各地に出た災厄の兆候を聞いて私は何を考えた?

 

私は大勢の知らない他人を救おうと…また偽善者になろうとしていた

 

…なんでこうなんだ。私はそんな大層な人間じゃない。自分が持ち込んだ災厄だからってそれを対処できると…私ならやれると慢心してしまっていた

私の能力は自画自賛になるけどかなり強力だ。その強力な力故に何でもできると目を曇らせてしまった気がする…

だから…あの時の再現をやりかけていた…あの時以上の再現を

 

例え強い力を持ってもそれさえなければただの平凡で特筆すべきことがない凡人のはずだ。…凡人なんだ…私は、凡人なんだ!

大層な大義を掲げるような度胸を私は持っているか?ねぇよそんなもん!そんな世界を救う私はヒーロー!とかいう偽善者みてえなやつじゃねえんだよ私は!

世界を救う?人々を守る?無理だ無理!絶対に無理!…そんなのただただ怖くて仕方がないだけじゃないか

私はPSIを持っていても…心はただの一般人なんだ…またあの時の再現をするって?やだよ…怖くて仕方がない、体が震えてくる

 

そうじゃないんだ。私は世界とか人々とかそんな大それたことをしたいわけじゃない…私は何がしたかった?この世界に何を求めてるか?

 

………………………………………………私は

 

私は…平穏な日々を過ごしたかったんだ

 

皆のいる平和で平穏で温かみのある平凡な日々を…過ごしたかった

あんな人数だけいるような友人たちはいらない

私のことを見てくれる友人だけがほしい

私を「藤堂るゐ」として見てくれる親友がほしい

そんな友人たちと笑って暮らしたいんだ…

 

私はなんで災厄を食い止めようとした?

簡単だ。他の人らなんてどうでもいい…私の生活を送るために私を見てくれる友人たちを守りたいから食い止めるんだ

周囲の皆を守りたいっていう願望が…飛躍しすぎて日本の人々を守ろうと変わっていたみたいだが…

 

 

私は―

 

 

「私の平穏と安寧のために周囲の人等を助ける」

 

「え?」

 

「今決めた私の目標」

 

「…なにそれ?」

 

「私は平凡で平穏を望むちょっと変わった平和主義者な凡人女子高生。だからやりたいことしかやらないし助けるかどうかも自分次第…赤の他人なんか知らん、私を慕ってくれる友人を全面的に支援して他は切り捨てる。「私の守りたい者だけを私は守る」…今やっとこさ整理して辿り着いた私の本質がこんな感じみたいだ。…軽蔑したかい?」

 

「…んーん。なんか納得した。確かにるゐってそんな感じする…慕ってる相手には本気に対応取ってるけど知らない相手には結構冷めてたし」

 

「しょうがないさ、私は一般人上がりの凡人だぞ?世界を救う力があったって世界を救う度胸なんて今思えばありゃあしないんだから」

 

「それもそうだね…かく言う私もそんなのないもん。せっかく生き返ったのにまた死ぬかもとか私嫌だし」

 

「だから、身近な奴は守ろうって思った。アリシアも入ってるからね?もはや私の平穏な日々の一部なんだから。…だから甘えたっていいさね。甘えることは悪いことじゃない、逆に甘えない方が心配するよ」

 

「でも…」

 

「それに…私はアリシアより年上だしね?1、2年の差はそんなたいした差じゃないけどアリシアと私は4歳差よ?年下は年上に甘えなさい…下手に大人ぶったってアリシアにゃ似合わねーしね」

 

「む、私だってもう心は大人なんだよ?子供扱いは流石の私も納得いかないなぁ…」

 

「言動が子供すぎるのが悪い」

 

「なにおー!そう言うるゐだってたまに子供っぽい反応するじゃん!どっちもどっちだよ!」

 

「どっちもどっちって……くく…はははは!」

 

「…ップ…はははははっ!」

 

 

少しずつ漏れ始める笑い声

あぁ…これだ…この気持ちだわ

皆で適当な話やってバカ騒ぎして…面白おかしく笑える毎日

 

そんな日常を私は掴み取りたい

 

だからアリシア…私は絶対に君を死なせたりなんかさせない

今の一番の親友を死なせたりなんかさせやしない

狂ってるって言われようが…アリシアが嫌だって言おうが…

 

どんな犠牲を払っても、私がアリシアを守るから

 

 

…こんなこと本人には言えないな。恥ずかしすぎるし柄じゃない

 

 

 

「なんかアリシアのおかげで私の初心を思い出したよ。少しの間、柄にもないこと考えてたわ」

 

「それって災厄から皆を守るってやつ?」

 

「そ。PSIがチートすぎて「友達を守る」が範囲狂って「日本のみんなを守る」に広がっちゃってたんだよね」

 

「うわ…めんどくさがりのるゐのやることじゃないわー」

 

「そうだけどうっさいわ。とりあえず私はこの白瀧町を中心にしか守んないことにするよ。他も手を付けてここ守れなかったとかになったらダサいし」

 

「確かにそれはダサいかも…んじゃあ他は無視するってこと?」

 

「うむ、他は他の人たちが何とかしてくれるでしょ!我らがプルートさんもいるし!それに…」

 

「それに?」

 

「適当にやってたら結果的に他んとこも全部解決してたらそれはそれで結果オーライじゃん?」

 

「ほんとるゐらしいね」

 

「まぁね!…んじゃちょっと寝るよ、まだ少し悪いからね」

 

「そか。…るゐ」

 

「ん~?」

 

「ごめんなさい。ありがとう」

 

「………はいな」

 

 

短く反応した後私は眠りにつくのであった…

その眠りについたのが…昨日

 

そう、昨日です

 

…思ってた以上に体調悪かったっぽい

そして次に目覚めたのが、現在

起きた私にお粥を持ってきてくれたアリシアにお粥を食べさせてもらってます。俗に言うアーンです。…これって私ら女子が男子にやるときの定番なんじゃないでしょうかね?

 

 

「そこんとこどう思います?アリシアさんや」

 

「私はるゐになら喜んでやるよ?」

 

「…ゑ?」

 

「照れてるるゐの顔見れるしね~!」

 

「顔出しNGなんでカメラはちょっと…」

 

「なんなら口移しでもする?」

 

「それはやめなさい。好きな人出来た時のために取っとけ」

 

「…ん、わかった」

 

 

何故そこで私に微笑んでくるかね君は…私にそっちの気は無いと何度言わせるつもりや

…無いからね?

 

そうこうしてテレビを見ながらお粥を食べてる私に、行方不明と私の顔と名前が出たのを見て噴き出してしまいまして…

それをまっ正面から受けてしまったアリシアが…恍惚とした笑みを浮かべて怒ってくるその姿に私はある種の恐怖を抱きました…

何故にそんな嬉しそうな顔を…アリシア…お願いだから変な道に足を踏み入れないで…お姉さん悲しくて泣いちゃいそうです




はい、アリシアさんはもう螺子が何本か抜け落ちてきています
きっとるゐさんの影響ですね。るゐさん自身も予想外の変化っぽいですが

るゐさん昔はおかしいぐらい良い子だったみたいです
そのいい子さが裏目に出て狂っていっちゃったわけですね
みんな幸せ=私もハッピー そんな感じに
中学ではもう悲惨でしたね、何せ誰から見ても不健康で体調が悪い…まるで亡霊のように動くその姿は文字通りの人形だったのでしょう
高校時からはトラウマを抜け出しそこそこの関係で平和に暮らして…19歳でご臨終

こう見るとあまりいい人生だったとは言えませんね

今世はPSIを習得した辺りから力に魅入られ着々と「戻って」いたところに災厄の話が届き、振りきった感じです

人間誰しも強い力を持てば変わるものです…
腕力が強ければ暴力で人を制し、権力があれば人を操り自分は椅子に鎮座する
…そう言った力による変化をどう乗り切るか。それが今回の話を作ったきっかけです
るゐさんはアリシアさんの独白で気付けたみたいですね。よかったよかった

るゐさんは本来平凡や平穏、平和な世界を好み、面白ければいいけどそうじゃなければめんどくさいのでグータラと怠けるような人間です
また、少ない友人に依存するレベルに大切にする「友達のためなら頑張ります!」な少女です

少なくとも自分のせいだからと世界をどうこうするような人間じゃありません
自分の身近な友人が危険にあい、その友人と楽しく暮らせなくなるのが嫌だからその障害を抹殺するために動く
…そんな周囲の身近な人たちのためなら動くような人間なんです
10の他人より1の親友、そう言った自分に深く関係した人を優先しますので、今回のような災厄で日本の人々が危険にあいそうなときなんかも白瀧町は守るけど他は知らんぷり決めるような考えになるはずなんです

力の魅力は人を変える。もしそうなった時に本来の自分に戻れるかは…その人次第です


次からいよいよサイレン突入です。
長かった…実に長かった…!やっと話が進むんだ!これ以上に嬉しいことなんてないですよ!

それではここまで読んでくれた皆様に感謝を!
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