間桐雁夜、通称おじさん。
彼の道のりは険しい物だった。生まれた家がエゲツない魔術の家系。何とか家から逃げ出したのは良いが思い人である女性が結婚かつ子供まで産み、その子供が自分の実家に養子に送り出したと聞いて”コレはいかん”と実家に乗り込んだら、その子は既に祖父の手に掛けられていた。その子を救う為に今回の第四次聖杯戦争に参加した彼は身体中を蟲に侵され髪は白く顔の半分は壊死、片腕は言うことを聞かない状態になった。改造された体でサーヴァントを召喚したもののコレまた珍妙なサーヴァントを引き当てた。
そして今夜、彼の聖杯戦争が始まった。
「殺せ…藤村」
〜港〜
地面から光が爆ぜた。月の様な美しさは無く、太陽の様に情熱的で、蛍光灯の様に庶民的な光だった。その光は人型を成し、その全容を露わにした。
「やっほー!私も交ぜて交ぜてー!って、あれ?セイバーちゃんだ。お久しぶりー。元気にしてた?」
セイバーと呼ばれた少女は返す言葉も無く戸惑っていた。
なぜなら先程まで金色のアーチャーの登場により身動きが取れない程の緊張が場を支配していたからだ。そこに虎柄の長袖と緑のエプロンを身に纏った女性が能天気な声を上げながら現れたのだ。空気がホンワカと緩むのは仕方の無い事だ。
「どれどれ。あっイケメン発見。でも私には切嗣さんみたいな人がタイプだからゴメンね。それと金色の人危ないから降りてらっしゃーい」
アーチャーの双眸が大河へと向けられる。
「誰の許しを得て我を見ている。せめて散り様で我を興じさせよ雑種」
アーチャーの背後に現れていた王の財宝の武器が大河に向かって投射された。だが突如二つの武器はコースを変えコンテナの上に居たケイネス・エルメロイ・アーチボルトに突き刺さった。
「がっ⁉︎」
血を吐き、倒れ落ちるケイネス・エルメロイ・アーチボルト。
「そんなにも勝ちたいか⁉︎そうまでして聖杯が欲しいか⁉︎聖杯に呪いあr…」
マスターを失ったランサーは消え去る中、ライダーとウェイバー、セイバーとアイリは呆然とその様子を見ていた。
それに反してアーチャーの心中は穏やかではない。
「その汚らわしい手で我が宝物に触れるとは、そこまで死に急ぐか虎!」
触れてはいないが一応触れた事にして背後から剣、鎌、槍、斧を大量に取り出した。
「その小癪な手癖の悪さを以ってどこまで凌ぎきれるか、さぁ見せてみよ‼︎」
取り出された武器の全ては大河へと放たれるが擦りもしない。それどころかアサシン、ライダー、セイバーに突き刺さる。暴風とも呼べる武器の投射の威力にアーチャーが立っている街灯は耐え切れず崩れ落ち、アーチャーは頭から地面に墜落してしまった。
「やめろぉぉぉぉぉ‼︎」
「此度の遠征もまた存分に心踊ったのう…」
「なんで私まで…」
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれ」
アーチャー、セイバー、アサシン、ライダーは消え去り、アイリは聖杯へと姿を変える。
この後は展開は余りに淡白かつ短調だった。
聖杯を持とうとした大河はうっかり聖杯を落とし壊してしまった。溢れ出た呪いは全部海の方へ流れて行き、冬木市の被害は偶然夜釣りをしていた赤髪の少年一人だけだったが切嗣がアヴァロンで助けた。
雁夜は大河から貰った別の聖杯を臓硯に渡し、無事桜を救出した。
終わり