以下のことに気を付けてください。
・転生ものではありません。
・オリ主が登場します。
・ハーレムではありません。
・これは『魔法少女リリカルなのは』の二次作品です。
・残酷な表現が入ります。
・エッチな表現はありません。
・他のサイト(今のところアットのベルさんだけ)でも投稿しています。
他にもあるかもしれませんがとりあえずそれでもいいよという方はよろしくお願いします。
ふざけんな!! と、おもったかたはブラウザバックで、緊急回避してください。
序章
魔法少女リリカルなのは ANOTHER ~prologue~
10月の終わり、ビルの隙間を吹き抜ける風がすれ違う人々の足を急かす。日が落ち、色彩を失った街にもう一度光が戻ってくる時間帯。
黒いトレンチコートと白いマフラーを纏った金髪の少女は、体を縮こませながら本格的な冬の到来を予見していた。
時空管理局執務官、それが彼女の肩書きだ。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンはあらゆる意味で周りから注目されている。管理局に入りたての頃は、犯罪に加担していたことで、彼女の背中を指す人間は多かった。それでも、彼女は独りではなかった。フェイトは自分を信頼してくれている友達と養子にまでしてくれたハラオウン家――なにより執務試験に二度も落ちている自分を見放すことなく見守ってくれた義母のリンディ提督には言葉で表せないほど感謝している。
寒空の下、吐息がマフラー越しに白く霞んだ。友人の高町なのはからプレゼントされたマフラーに感謝しつつ、彼女は通り過ぎるはずだった一本の路地の前で足を止めた。
何気ない路地。フェイトは辺りを見回したが、自分以外気付いている人間はいないようだ。
――これって……
職業柄、何度も現場に出ている人間だからこそ気づいたことだった。
フェイトは吸い込まれるように細い路地に足を踏み入れた。
大通りを照らす街灯が僅かに届く薄暗い路地。進んでいくにつれて、狭くなっているように感じてしまう。通路の隅には空き瓶や千切れたビニール袋らしきものが散々に転がっていた。フェイトを挟むようにそびえるコンクリートの壁には窓の一つも見当たらない。
だんだんと強くなっていく『匂い』。フェイトの確信はより強さを増していった。
ようやく夜目に慣れてきたころだ。路地の終わり、突き当りの壁によりかかりながら、誰かがうずくまっているのが見えた。
フェイトは慎重に、ゆっくりとその人物に近付いて行く。
「……誰だ?」
黒髪の青年だ。年齢はフェイトよりの少し上くらいだろうか。僅かに差し込む月明かりの中、片膝を立てフェイトに視線をくれることなく発した妙に落ち着いた声が、二人しかいない暗闇によく響いた。着ている服の色まではわからないが、端々がボロボロになっている。靴も見当たらない。一見浮浪者に見えなくもないが、ミッドチルダの首都クラナガンにホームレスはいない。管理局の地上本部がすぐそこに建っているからだ。
先に声をかけられたフェイトは思わず肩を震わせた。何か言わなければ沈黙が来てしまう――そう考えたフェイトが間もなく絞りだしたセリフがこれだった。
「えっと……その、怪我、してますよね?」
フェイトが辿ってきたのは血の匂いだ。ミッドチルダなど主要管理世界では少なくなってきたが、辺境の地では生々しい事件が多数あり、フェイト達執務官はその最前線に駆り出される。故に気付けたことだった。
「会話になってないな……、まぁいいや、あんたが悪い奴じゃないってのは分かる」
言いえて妙だが、フェイトの心境は複雑怪奇なものになっていた。小馬鹿にされているのか、人間性を褒められているのか判断がつかなかったからだ。
青年の言葉は少しの間を置いて続いた。
「あんたが良い奴だってことで頼みがある――少し助けてくれないか?」
ようやく顔を上げた青年の瞳は、まるで辺りの暗闇に溶けてしまいそうな漆黒を彷彿させた。長い前髪がもうすぐ両目まで届きそうな勢いだ。
少しだけ躊躇ったフェイトだったが、右手をそっと差し出した。
これがフェイト・T・ハラオウンと黒髪黒眼の青年――暁 終夜(アカツキ シュウヤ)の出会いだった。
――log-out……