イャンクックを狩る。
それを決意してから、俺とルーカスは即座に行動を起こそうとした。
が、俺達には、大型モンスターを狩った経験が無い。
過去に闘技大会(捕獲したモンスターとハンターを、特定の条件下で戦わせるものだ)で、大型モンスターがどんなものかを見たことがあるだけだ。
そこで、俺達はまず情報を集め、狩猟の計画を立てるところから始めることにした。
まずは、イャンクックについての情報。
これについては、何も心配は無かった。
俺の両親は、古龍観測所に勤めている。それ故に家を留守にすることが多いが、モンスターの情報に関しての書物には事欠かなかった。
こうして、イャンクックについての情報を記したモンスターの書はあっさりと手に入った。
次に俺達は、狩猟の計画を立てることにした。
まずは、場所。
イャンクックが現れたのは森丘狩猟区の近辺。あの辺りは実地訓練で幾度となく足を運んでいるので、周辺の地形は熟知している。特に問題は無い。
次に、時間。
これについては、ルーカスの情報が訳に立った。
狩猟区内には監視の為に、常にギルドの飛行船が飛んでいる。ハンター登録をしていない俺達にとって、飛行船の存在は悩みの種だった。もし見つかれば、確実に面倒は避けられない。
しかし、ルーカスが彼の両親づたいで得た情報によれば、飛行船は現在、故障で飛べないらしかった。
「早くても、明後日までは動かせないって言ってましたよ~。まあボロですからね~、あの船」
作戦会議中、頭を悩ます俺に対しルーカスは何気無くそう言い、盛大に俺の怒りを買った。
とりあえず、これで飛行船の件に関しての心配は消えた。
後の問題として村を脱け出す段取りと、他のハンターとの遭遇の可能性が残ったが、昼だとこれらを避けることは難しいので、比較的ハンターが少なく、村民に気付かれにくい夜を選んだ。
次に、装備。
さすがに丸腰でモンスターに挑むわけにはいかないので、必要最低限の装備は持っていく必要があった。
防具に関しては、訓練用に用意されたチェーンシリーズがあるのでそれを使う。
武器は、貰ったばかりのハンターナイフ。片手剣は使い慣れているので、新品だからといってそこまで支障は無い。
狩りで使う回復薬などのアイテムについては、自分達で調合することにした。砥石だけはどうしようもないので、訓練所のものを少し失敬させてもらうこととなった。
訓練の最初の段階で、狩り場での自給自足のために調合の訓練があったのが、とても役に立った。
そして、俺達の出した結論は―
「狩れるな」
「いけそうですね…それと先輩…」
「どうした?」
「先輩の分の回復薬、僕が作りますから。…先輩の作った回復薬を飲んだ教官がどうなったか、覚えてますよね?」
「…分かった。だからそれ以上先は言うな」
* * *
作戦会議の翌日、俺達は狩りの準備を始めた。
ルーカスは村の雑貨屋で薬草を買い、手持ちのアオキノコと調合していくつかの回復薬を作る。
そして俺は訓練所から、少しの砥石を持ち出し―
「…ついでにこれも持ってくか」
追加で携帯シビレ罠を一つ、ポーチに忍ばせた。
そしてその日の夕方、俺とルーカスは再び俺の家に集まった。
「回復薬はいくつ出来た?」
「十個です。とりあえず一人五個くらいはありますね。先輩の方は?」
「砥石が四個と、携帯シビレ罠が一つ。砥石は二個ずつ分けて、罠は俺が持っていくことにしようと思う」
「罠があるんですか!?よく持ち出せましたね…―所で、イャンクックの情報とかはどうです?」
「一応、モンスターの書のイャンクックに関する項目は一通り読み込んである。行けるはずだ」
「装備の点検はどうです?」
「抜かりなし、だな。よし、じゃあ―」
「夜まで寝ますか!」
「だな!」
* * *
「はい、これでクエストの受け付けは完了です!ではお気をつけて!」
そう言って、受付嬢は一人のハンターに依頼書を渡し、笑顔で手を振った。
「おう!クックぐらい、ササっと狩って来るからな!」
特徴的な形のライトボウガンを背負ったそのハンターも、笑顔で手を振り返した。
* * *
俺は、洞窟の中へと入っていった。
実のところを言うと、俺は少し怖かった。初めて勝手に狩猟区へ来て、初めて大型モンスターを狩るのだ。不安と恐怖と興奮がごちゃ混ぜになったような変な気分が俺の中で渦巻いている。
が、今更後輩の前で、弱音は吐けない。
「せ…先輩、待って下さい!」
ルーカスの声が後ろから聞こえる。ちゃんと付いてきてくれるのが、なんだか心強かった。
洞窟の奥に、何か大きな影がうずくまっているのが見えた。時折小さくもぞもぞと動いている。どうやら寝ているようだ。
「いたぞ…イャンクックだ。寝てるな…」出来る限り声を抑え、隣に追い付いてきたルーカスに言う。
「…大きいですね」
ルーカスが同じように声を抑えながら、正直な感想を洩らす。確かに、寝ているイャンクックは大きかった。
「どうします、先輩?」
「とりあえず俺が近づいて様子を見る。いけそうなら合図するから、その時は二人同時に不意討ちをする」
「分かりました」
俺はハンターナイフを抜刀し、足音を忍ばせながら、ゆっくりとイャンクックへ接近する。
『イャンクックは非常に聴力が高く、少しの音にも敏感に反応する。しかし、それ故に突然の騒音などに弱く、音爆弾等のアイテムが非常に有効である』、何度も反復し、すっかり暗記したモンスターの書の内容を頭の中で反芻しながら、俺はポーチからある物を取り出した。爆竹だ。
花火の一種であるそれは、音爆弾ほどではないものの、かなりの音を発する。俺は、それをいくつかに束ねて持ってきていた。
もし攻撃を当てることが出来たら、直後に爆竹をイャンクックにぶつけるつもりだった。
俺は慎重に攻撃が届く場所、すなわちイャンクックのすぐ真横まで寄った。迂闊に正面に位置すれば、イャンクックが目を覚ました際に、即座に気付かれる可能性があるからだ。
右手にハンターナイフ、盾を着けた左手に爆竹を持ち、そっとイャンクックを観察する。予想通り、イャンクックは気持ち良さそうに寝ていた。
俺はルーカスに手招きをした。彼はこくり、と頷くと、足音を忍ばせて俺の元へ向かおうとした。
ゆっくりとルーカスが近づいて来る。が、次の瞬間、彼は…
―転んだ。
「がはっ!」
―そして叫んだ。
それを見ていた俺の背中に、突然、悪寒が走った。続いて、後ろから何かが動く音。
とてつもなく嫌な予感がして、俺は反射的に振り向いた。
さっきまで寝ていたイャンクック。その目が開き、細い首がゆっくりと持ち上がる。
―目が、合った。
* * *
イャンクックも突然のことに驚いたのだろう。首を左右にかしげるようにしながら、しばらく俺を見て―
「ク、ク、ク、ク、クワアアァ!」
翼を広げ、威嚇の動作をとった。
「なっ…!」
突然のことに、言葉が出ない。
「ひえっ!」
事態を引き起こした張本人であるルーカスは、完全に怯えきり、逃げ腰になっている。
いずれにせよ、これでは戦えない。
「くそっ!」
俺は爆竹に点火し、イャンクックの扇のような耳に向かって投げつけた。筒状にまとめられたそれは、狙い通りイャンクックの耳の近くで、連続した破裂音と共に弾ける。
音爆弾に比べればはるかに小さい音だが、イャンクックを一瞬怯ませるには十分だった。
そして、俺達が逃げるための時間も十分にできた。
「何やってる!逃げるぞ!」
そう叫びながら、俺はペイントボールをイャンクックに投げつけた。洞窟に来る前に、支給品ボックスから失敬しておいたのが役に立った。
俺は、未だにパニック状態のルーカスの手を引っ張り、洞窟から一目散に逃げ出した。
* * *
「すみません…僕のせいで…」
森丘狩猟区のベースキャンプまで戻ってきた後、ルーカスは半泣きで謝ってきた。
「大丈夫だ。まだ時間もアイテムもある。ペイントだってしてきた。まだ狩れるって」
「でも僕…」
「なら、諦めて村へ帰るか?」
「え…?」
「―最も、今戻ると待ってるのは教官のゲンコツと、村の人達の冷たい目だがな」
無表情で俺は言った。
「どうするルーカス?帰るか?」
しばらく、答えは返って来なかった。
「…いえ、やります。イャンクックを、狩って見せます!」
一言一言、噛み締めるようにルーカスは言った。
「一つ、抜けてるぞ」
俺は苦笑しながら、ルーカスに言った。
「え?」
「『俺達で』狩るんだろ?」
「はい!勿論です!」
ルーカスの真剣なまなざしを見ながら、俺は一言だけ言った。
「じゃあ、もう一回行くか!」
「はい!」
* * *
ハンターはネコタクの荷車の座席から、ベースキャンプへと降り立った。
「えーと、支給品はと…ありゃ?」
支給品ボックスの中にある筈の、ペイントボールは全て無かった。ペイントボールだけではない。本来なら四人分用意されている筈の支給品のうち、二人分が全て無くなっている。
「ん?何でだ…?」
ハンターは疑問に思いながらも、手をつけられてないボウガンの弾の箱を取り出した―
* * *
イャンクックは、あっさりと見つかった。
洞窟の外、エリア4を悠々と歩いている。向こうからはまだ捕捉されてはいないが、見つかるのは時間の問題だろう。
「よし、打ち合わせ通りにやるぞ。まず俺が囮になる。イャンクックがルーカスに対して後ろを向いたら―」
「僕が背後から攻撃、イャンクックの注意を反らして、先輩が罠を仕掛ける。後は―」
「二人で一気に畳み掛けて、できるだけ体力を削りきる、だな。よし、じゃあ行くぞ。後はよろしくな」
「はい」
イャンクックが後ろを向いた隙に、俺は動いた。
もっとも俺は囮なので、気付かれないようにする必要は全くないのだが。
「うおおぉぉぉ!」
突進してくる俺に気付いたらしく、イャンクックが振り向く。
そして、頭を高く上げ、俺に向かって何かを絞り出すようにして吐き出した。
イャンクックの口から出てきたのは、炎の塊。俺はとっさに、飛び込むようにして前転回避し、なんとかそれを避けた。俺の背後、さっきまで俺がいた辺りの草むらが炎上する。
時に狩りをするため、時に自らを守るためにモンスターが得た、人間には無い力。あるものは炎を吐き、あるものは大空を舞い、あるものは鼓膜を容易く破るほどの咆哮をくりだす。イャンクックの場合は、前者の炎を吐き出す方だった。
「そりゃあ!」
気合いの声と共に、俺はイャンクックの足の付け根を狙って、ハンターナイフを振るう。イャンクックの鱗が数枚、弾けて宙を舞った。
その攻撃で、俺を本格的に外敵と認識したようだ。イャンクックは大きなシャベルのようなその嘴で、細くしなるその尻尾で、執拗に俺を付け狙う。頬のすぐ横を、鈍器そのものと言っても過言ではない大きな嘴が、唸りをあげて連続で降り下ろされた。
が、当たらない。俺は持ち前の反射神経をフルに活用、それらを紙一重で回避し、かわしきれないものは左手の盾でうまく逸らす。時折足や翼端を狙い、斬りつけてダメージを与える。
一つ間違えれば大怪我は免れない。
そんな恐怖と、次第に高揚していく気持ちが、俺をだんだんと興奮の渦に呑み込んでいくようだった。
「先輩!」
俺が攻撃を始めてから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。ルーカスのその声に、はっと我にかえる。イャンクックの無防備な背後から、ルーカスが斬りかかるのが見えた。
俺の囮としての役目はここまで。
そう意識しながらも、俺はどこか物足りなかった。
―もっとやりたい。もっと続けていたい。
しかし、ここで欲張って作戦を崩す訳にはいかなかった。
俺は罠を設置するために後退した。少し離れて地面にしゃがみこみ、その場の石ころや草を払う。
そして、そこに金属製の平べったい円筒―携帯シビレ罠を設置する。
「ルーカス!いいぞ!」
ルーカスがそれに気付くまで、少し時間がかかった。
彼は身を翻し、一目散に逃げ出した。―罠に向かって。
何の躊躇いもなく、イャンクックはルーカスを追いかける。
「ガ、グ、グ、グアァァ」
そして、すぐに苦しそうに呻き出した。その足は、俺が先程仕掛けた携帯シビレ罠を踏んでいる。携帯シビレ罠からイャンクックの体内に送り込まれる神経性の毒が、イャンクックの動きを完全に封じ込めていた。
「一気に片をつけるぞ!」
ルーカスに向かって叫びながら、動けないイャンクックをめがけ、さっきの物足りなさをぶつけるように、一心不乱にハンターナイフを振るう。
俺に追い付いたルーカスも、すぐさま攻撃を始めた。ただハンターナイフを振り、型通りの動きを取るのは俺と同じだが、その動きにはほとんど無駄が無い。
―片手剣に関してはルーカスの方が上手いかもしれないな。
そんなことを考えているうちに、イャンクックの足元で、携帯シビレ罠が爆発した。
自由になったイャンクックが、再び動き出す。俺は、一旦距離を置くべきと考えた。
「下がるぞ!」
「え?―あ、はい!」
後退しながら、二つめのペイントボールをイャンクックに投げつける。
その時に、俺は素早くイャンクックを観察した。
扇のような耳は欠け、翼や足にも目立つ傷が見える。動きを止めていたあの短時間で、かなりのダメージを与える事ができたようだ。
これなら狩れると俺は直感し、イャンクックの反撃に備える。
が、それは杞憂に終わった。イャンクックは足を引き摺りながら開けた場所へと移動し、翼を広げ、危なっかしい動きで夜空へと飛び立った。
「かなり弱ってるな…」
「あれなら狩れますね、先輩」
満足そうに、ルーカスは言った。
「狩りに絶対は無い。教官も言ってたろ?」
そう前置きして、俺は言葉を返した。
「まだ、どうなるか分からない。気を引き締めて行くぞ」
「分かりました」
真剣な顔で、ルーカスは言った。
* * *
洞窟に入ったハンターがまず目にしたもの、それは寝ているイャンクックだった。
「おいおい…こりゃどういう事だ?」
が、彼のその呟きの原因は別にあった。
その原因とは、イャンクックの身体中にある真新しい傷にあった。あちこちの鱗は剥げ、耳や翼は欠けている。モンスターの回復力は人間とは比べ物にならないほど高いので、以前に別のハンター、もしくはモンスターにやられたという訳でもなさそうだ。
さらにそれらの傷は、明らかに鋭利なもので斬りつけられたものだった。人工物、それも片手剣ほどの大きさの刃物で斬りつけなければこんな傷はできないだろう。
「…誰か他にいるのか?まあ、俺の手間がかからないから良いが…」
そう言って、ハンターはシビレ罠を取り出した。
* * *
イャンクックを追って、洞窟の手前エリア4までやって来た俺達が聞いた最初の音は、銃声と、ほぼ同時に聞こえたイャンクックの呻くような鳴き声だった。
「先輩…今のって…」
俺の後ろを歩いていたルーカスが、声をかけてきた。
「ああ、俺にも聞こえた。まさか俺達の他に、誰かいるのか…?」
その疑問を確かめるため、慎重に足音を忍ばせながら、俺達は洞窟へと入った。洞窟の中にいるであろう『誰か』が友好的でない可能性もある。念のため、ハンターナイフも抜刀しておいた。
洞窟の中には、やはりイャンクックがいた。しかし、俺達が攻撃するまでもなかった。ぐっすりと眠ったイャンクックの足元には、雷光虫の電力を用いた仕組みのシビレ罠がある。
あの方式の罠があるにも関わらず、イャンクックが眠っているということは、既に捕獲されているということだろうと俺は悟った。「いいか貴様ら!捕獲に使われる捕獲用麻酔薬は非常に強力だ。一度効けば、モンスターは少しのことでは目覚めない!だが、そのためにはモンスターをかなり弱らせる必要がある!決して捕獲のタイミングを見誤って、討伐してしまうことの無いように!」ふと、以前に座学の時間、教官が言っていたことを思い出す。ということは、イャンクックは俺の思うよりも弱っていたのだろう。
そして、洞窟の中には俺とルーカス以外の人間がいた。俺達に対して後ろを向いている。恐らく、こちらにはまだ気付いていない。
イーオスシリーズのガンナー用防具を着ていることから、ハンターであることは一目瞭然だった。背中には弓と弦が無い、かなり特徴的な仕組みのライトボウガンを背負っている。
「お、さてはお前らだな?クックをここまで追い詰めたのは」
その人間は、そう言いながら振り向いた。どうやら気付かれていたらしい。熟練のハンターは遠くからの視線を感じ取れるらしいので、目の前の人物はかなりの手練れだろう。
「見たとこ、ハンターでも無いし一般人って訳でもなさそうな感じだな。それにしても、今ここには俺しかいないはずだからなぁ…ちょっと、話を聞かせて貰えるかな?」
どこか楽しそうな、しかし有無を言わせぬ声で、ハンターは言った。若々しい、恐らく俺とあまり変わらない年齢層の声だ。
キャップの下のその表情は、どうしても分からなかった。
ただ、防具の顔部分、そこから唯一覗いている目だけは、声と同じく楽しそうにしていた。
* * *
「で、その後俺はエドにたっぷりと色んなことを白状させられ、村に連れ戻され、ルーカス共々教官のゲンコツを食らって、親から散々説教されて、酔っ払い達はギルドから厳重注意を受けたって訳だ」
そこまで話して、俺は長い思い出話を締めくくった。
「にゃあ…」
感嘆の声を上げた後、ジルはぼそりと言った。
「でもそれって、結局はそんな挑発に乗って、ルーカスさんを巻き込んで、勝手に狩りに行ったレツさんが悪いにゃ」
「うぐ…」
ジルの正論に反撃できず、俺は憮然とした表情で黙った。
「あっはっは!違いねぇ!だろ、レツ?」
何がおかしいのか、エドは急に大笑いし始めた。
「エド…人の手柄を取っといて、それ言うか?」
「おやレツ君、じゃあ君は密猟犯になりたかったのかい?」
おどけた調子で、エドは言う。
が、あの時、『エドが狩った』ことにしなければ、俺は今ここにいることはできなかったのもまた事実なので、こちらも反論できない。
「まあ、あの時のことは感謝してるよ…」
「おやぁ?それが年上に向かって言う言葉かい?」
エドは、そう言いながらニヤニヤしている。
「…ありがとうございました」
「うむ、よろしい」
「あのなエド…そろそろ本当に怒るぞ?」
わざとらしく頬をひきつらせながら、俺はあえて声をつぶしてみた。
「おっとと、冗談だって」
エドは相変わらずニヤついた表情のままだ。
「レツさん、ちょっといいかにゃ?」
俺の肩をつつきながら、ジルが聞いてくる。
「ん?どうした、ジル?」
「レツさんって、エドよりも年下なのにゃ?」
…こいつ、エドが付けた心の傷を、わざわざ抉りにきたのか。それに『エド』と呼び捨てにした辺り、俺の言葉をしっかり守っている…全く健気なオトモだ。
そんなことを考えながら、俺は答えた。
「ああ。確かに、俺よりエドの方が年上だが…」
「『三つも』が抜けてるぞ、レツ」
エドが茶々を入れてくる。
「ぐぬぬ…そうだよ、俺はエドより三つ年下だよ!」
再び憮然とした顔に戻った俺を見て、今度はジルまでもが笑いだした。
船室の窓からは、あの時と同じくらい綺麗な三日月が出ていた。
* * *
―翌朝。
「じゃあ先輩、行ってきます!」
「んじゃレツ、いっちょ行ってくるな」
ルーカスとエドは島の調査のため、他のメンバーと一緒にチコ村を後にすることとなった。エドの【桜花】は、結局修理が間に合わなかったので、今回彼は大鬼ヶ島を背負っている。
「おう」
「いってらっしゃいにゃあ~」
俺とジルは、村の出口まで見送りに来ていた。
俺達にこれから起こることなど、この時はまだ知るよしも無かった…
* * *
『それ』は生い茂る木々をなぎ倒しながら、前進を続けていた。
その進路の途中、はるか遠くに小さな集落のようなものがあるのが見えた。
さらに、『それ』の前方には、別の赤黒い、『それ』と比べれば小さなモンスターが大量にいた。元はイーオスであったのだろうそれらは、『それ』と同じような黒い息を吐きながら、古龍に随伴するガブラスの如く、『それ』の前を突き進む。
集落までの距離は、あまり残されてはなかった。
((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ
ついに一話で8000字を越えました…これを読んで下さった方々、本当にお疲れ様ですm(_ _)m(いつもはもっと文字数少なめなんです)
さて、次はなかなか更新できない『ゴーシュの旅』も書かないといけませんね…
後、後書きに顔文字多いですよね…すみません
…(((´-ω-)サァヤルゾォー