#01 俺と相棒
「この世界は生きている。全てのモノが回り回って一つの輪を描いている。」
こんな当たり前のような事を誰が言い出したのかは分からない。
草食竜は草木を食み、肉食竜は草食竜を食らう。そしてその肉食竜の遺骸や排出物は新たな草木を育む苗床となる。そしてその連鎖の中には、「人間」も無論含まれている。
しかし、人間は竜に比べ非常に弱い。肉を裂く鋭い牙も、大地を揺るがすほどの力も、人間は持ち合わせていない。
しかし、人間には竜にはない力、叡知がある。飛竜の硬い鱗をも切り裂く大いなる剣、鋭い弾丸を打ち出す機械の砲、身体を守る堅牢な鎧など、自らを守るべく、人間は様々な武器を考え、竜と互角に渡り合える力を手にした。それらの装備を身に纏い竜と戦う者達、人々は彼らを「モンスターハンター」と呼んだ。
* * *
出会い頭、リオレイアが放ったブレスが爆ぜた。
そこは、ほんの今まで俺がいた場所だった。視界から消えた俺を探し、リオレイアが首を巡らせる。しかし、ようやく捕捉した直後、憐れな飛竜の視界は白一色に塗り潰された。俺が投げた閃光玉が、リオレイアの鼻面で破裂したのだ。
一時的に視力を失い、リオレイアは闇雲に暴れまわる。それを避けつつ、俺は背中に背負っていた“41式対飛竜大剣”を抜き、そのままの勢いで切りつけた。
血しぶきが舞い、リオレイアが激痛に身をよじらせる。致命傷とはいかないが、かなりの痛手を負ったらしいリオレイアに続けざまに斬撃を加えた。
しかし、ようやく視力を取り戻したリオレイアに強烈な尻尾の一撃を食らう。とっさに41式の刀身で防御したが、とてつもない力に弾かれ、吹き飛ばされた。それでも身に着けたハプルシリーズの防具のおかげで、受けたダメージは比較的軽い。
再び立ち上がろうとする俺に向け、リオレイアがブレスを打ち出す構えを見せる。しかし、別の方向から飛んできた銃弾がそれを阻害した。
「レツぅ、大丈夫かぁ!」
叫んだのはレイアシリーズのガンナー用防具に身を包んだもう一人のハンターだった。まだ硝煙の立ち上る“大鬼ヶ島”を構えている。
「遅せぇぞ、エド!」
大丈夫だ、という言葉より先に準備の遅い相棒に対する少しの怒りが結局いつも通りの言葉を言わせる。
「一気に決める!援護頼むぞ!!」
「了解!無茶するなよ!」
「無理だ!」これもいつものやり取りだ。
威嚇の咆哮と共に、リオレイアが悪あがきのようにブレスを放つ。これまでの中で最大の大きさだ。ギリギリまで引きつけ、ブレスが弾ける寸前に思い切り飛び上がる。
それを狙おうと、ふたたびブレスを吐こうとするリオレイアを、エドが徹甲留弾で牽制する。
「うぉぉぉぉ!!!」
徹甲留弾の爆発をものともせず、飛び上がった勢いのまま、思い切り41式を叩きつけるように降り下ろす。
斬撃をまともに食らったリオレイアは、断末魔の鳴き声をあげ、そのまま崩れ落ちるように倒れ、力尽きた。
「はぁ…はぁ…」
同時に、緊張感と息切れで俺は仰向けに倒れた。
「レツ、お疲れさん。」
「お前、来るの遅すぎだろ…」
労いの声をかけたエドに、目線だけを向けて答える。
「罰として、お前だけ剥ぎ取り無しな…」
「ちょっ…それは無いだろ…」
本当に泣きそうな顔になるエドが可笑しくて、思わず笑いだしてしまった。それにつられて、エドも苦笑まじりに笑う。
日の沈みつつある遺跡平原に、二人分の笑い声が響き渡った。
_________________________________________
登場人物の紹介(1)
レツ・イナミネ
ココット村出身のハンター。剣士。無鉄砲に見えるが、以外に冷静な所がある。料理が下手。
エドウィン・ウィリアムズ
レツの頼れる(?)相棒。ガンナー。商人キャラバンの団長を父親に持つ。いつも準備が遅いのが玉に傷。人には言えないある秘密がある…
なんやかんやで投稿に二ヶ月以上かかりました。戦闘描写&人物描写は苦手ですが、よろしくお願いします。