チコ村。
アイルーが人口のおよそ九割(!)を占めている、孤島の海岸線に位置する村である。最近まで村への航路が確立されておらず、海流のためか遭難者が多く行き着いていた事から『迷子の村』と呼ばれていた。
しかし、あるキャラバンが村への航路を発見し(モンスターに襲われ遭難した際に偶然発見したらしい)、それ以来大陸との交流が盛んとなっていた。さらに、村の近くの原生林が新しい狩猟区に認定されてからは、ハンターも多く訪れていた。
だが、最も近い村から飛行船でも一週間以上かかる上に、荒れやすい天候と途中の島々を住処とする数多のモンスターが村への航路を阻むため、ここで商売をしようとする商人は少ない。
ゴードン団長はそこに目を付け、チコ村へ行こうと言ったのだ。そして今、団長曰く「需要があり、同業者の少ない所」どちらの条件も満たすチコ村へ向かう船に俺は乗っていた。
* * *
船めがけて放たれたリオレウスのブレスを、俺がバリスタで撃ち落とす。エドが間髪入れずに大鬼ヶ島の速射でリオレウスを牽制し、船から遠ざける。
キャラバンの団員が撃った大砲の弾をひらりとかわした後、船の直上から急降下をかけ甲板に降り立ったリオレウスに、俺は41式で斬りかかった。怯んだリオレウスの足と翼を斬り付け、止めに刀身の背の部分でリオレウスの頭を思い切り殴り付ける。たまらず悲鳴のような鳴き声をあげ、リオレウスが足を引きずりながら甲板から飛び立つ。
「はぁ…はぁ…」
傷ついたリオレウスがよたよたと飛びさって行くのを見送った後、俺は41式を握ったまま血の海となった甲板に思い切り転がった。
もうどのくらいの数の飛竜を相手にしたか分からない。港を出てからというもの、小はガブラス、大はリオレウスまで様々なモンスターを相手にしている。
俺の隣でもエドが大鬼ヶ島を握ったまま、同じように転がっている。そんな俺達を尻目に、キャラバンの団員達が船体の応急処置や大砲の冷却に奔走している。
出港してからもう何日まともに寝ていないだろう。
俺もエドもそろそろ疲労がピークに達しようとしている。
「畜生…親父めぇ…」
隣でエドが毒づくのが聞こえるが、疲労のためか消え入りそうな声だ。
「まだ着かないのか…チコ村…」
これは俺だ。
そろそろ俺もエドも体力的に限界だ。これでは後二、三回も戦わない内に力尽きてしまう。
「多分もうしばらくは大丈夫だろ…寝ようぜレツ…」
しかし、そんなエドの心からの願望はあまりにも容易く打ち砕かれた。
「リ、リオレイアだぁ!」
悲痛に満ちた団員の叫び声が見張り台から聞こえる。
俺は、41式を杖の代わりにして、疲労で言うことを聞かなくなった身体を無理矢理に立ち上がらせた。
* * *
結局リオレイアを撃退し、チコ村の港へ入るころには、俺達はボロ雑巾もあわやというような姿となっていた。帰り血まみれの身体を洗い、ベッドへ倒れ込んだ後、団長曰く俺と相棒は一日近く眠りこけていたらしい…
今回戦闘描写少なかったかなぁ…
次回辺りからチコ村編です。分量ももう少しだけ増やす予定です。