東方署名帳   作:勇(気無い)者

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其の十五、ロ リ コ ン

 咲夜さんが天羽々斬によって殺されたと思った瞬間、俺の感情は怒りによって支配された。これ程までにキレたのは、多分生まれて初めての事だと思う。それ程の怒りだった。許せなかった。

 そこからは自分でもどうやったのか、細かい所は覚えていないが、兎に角相手を斬る事だけしか頭に無かった。

 そして、剣をへし折り天羽々斬を両断。

 

『……テメーは俺を、怒らせた…』

 

 余りの怒りに思わず口を衝いて出た言葉は、漫画のキャラクターの台詞だった。

 それによって溜飲が下がり、徐々に冷静さを取り戻す。

 やがて天羽々斬は完全に消滅し、其処には咲夜さんと美鈴さん、それとメイド妖精が数人倒れていた。

 

『………ッ! 咲夜さん!』

 

 駆け寄って彼女の頬に触れる。

 温かい。体温がある。呼吸もしている。

 

『……良かった…』

 

 咲夜さんは生きていた。美鈴さんも同様に生きている。

 ホッと息を吐いて立ち上がる。と、右手に持っていた剣を落としてしまった。

 腕が再び震え始め━━先程よりもかなり酷い━━、力が全然入らない。激しい疲労感もある。限界が来たのだ。

 その時、腕に何かが触れた。振り返ってみれば、すぐ近くに薙が立っていた。

 彼女の手が、俺の腕を優しく撫でる。

すると、先程までの疲労感が嘘の様に消え、腕の震えが治まった。

 

『あ、ありがとう…』

 

 何だかよく解らないが、薙の不思議な力が俺の体を癒やしてくれたらしい。ありがたや。

 しかし、何だ……。何というか、さっきはとんでもないへたれ振りを見せてしまったから、ちょっと気まずい…。

 そんな事を考えていると、

 

『……』

『えっ……ちょ…』

 

 突然、薙が俺の体を触り始めた。腹や胸、左手から肩に掛けてなぞり、

 

『痛っ』

 

 最後に背中をバシンと叩かれた。

 そして、徐に口を開く。

 

『……矢張り、妾の見込んだ通りじゃったな』

『……え…?』

 

 何故だか上機嫌な笑顔を浮かべている。

 な、なんじゃらほい…?

 と、今度はレミリア嬢が、

 

『…咲夜はどうだ…?』

『え…?』

『咲夜は、生きているか…?』

『あ、はい! 無事です。外傷もありません』

『……そうか』

 

 その時、一瞬だけレミリア嬢の表情に安堵の色が窺えた……様な気がした。

 

『さて。私が本気を出せば訳ない相手ではあったが、助けられた形になってしまったな。別に助けは必要なかったが』

 

 ……レミリア嬢、何だか言い訳っぽく……いや、何も言うまい…。

 しかし、薙が何か余計な事を言おうとしたので素早く口を塞いだ。折角良い感じに纏まろうとしてるんだから、それをぶち壊すのはやめてくれ。マジで。

 

『何か褒美をやろう。何が欲しい?』

『……』

 

 ………。

 えー……いきなり何が欲しいとか聞かれても……何があるのかも解らないし……。

 あー、でもそれだったら他の人達━━人じゃないけど━━のサインも欲しいし、レミリア嬢に取り次いで貰うというのも……。

 っていうか、レミリア嬢を見てるとまだちょっとドキドキする……多分「魅了」とかの所為だ。まだ解いてないんだろう。

 

『あの…』

『何だ?』

『……その前に「魅了」を解いていただけるとありがたいのですが…』

『………』

 

 ……シーン。辺りは静寂に包まれた。

 俺の言葉にレミリア嬢が、まるで何を言っているのか解らないといった風に目をパチクリさせている。

 ……あれ…何だこの空気……。

 やがてレミリア嬢が、

 

『……霊牙』

『……はい』

『……「魅了」は大分前に解いたぞ…?』

『………』

 

 ………。

 ……えっ?

 予想していなかった返答に思わず唖然としてしまう。

 えっ?

 魅了、解いたの…?

 えっ、じゃあ……えっ?

 困惑していると、今度は薙が俺の肩をポンと叩き、

 

『あー、その……何だ……霊牙よ……。人の趣味にとやかく言うのはあれかもしれんがだな……吸血鬼とは言え、外見が子供の彼女にだな……そういう感情を抱くのはだな……』

『!?!?!?』

 

 いや……えっ!? あれ!?

 何か勘違いされてる……!? もしかして、幼女趣味の変態野郎とか思われてる!?

 いかん、何とかして誤解を解かないと完全にロリコン認定されてしまう! ロリコン街道まっしぐらだ!

 それは……人としてヤバい!

 

『い、いや……ちょ、ちょっと待って下さい! 違いますよ!? 俺は別にそういう目でレミリア様を見ていた訳ではないですからね!?』

『……、……ああ…うん…』

 

 うぅ…っ!

 レミリア嬢のあの目……まるで残念なものを見る様な目だ…! 憐れみの目だ!

 「ああ、人としての道を踏み外してしまったのね可哀想だわ」とか思ってる人の目だ!

 そこへ更に薙の追い打ち。

 

『まぁ……少しずつ直していこう……な…?』

『ぐはぁっ!』

 

 その一言がトドメとなり、俺はその場に膝をついた。これが漫画だったのなら、盛大に吐血していただろう。間違いない。

 

 その後、俺は二人に諭され、慰められて、立ち直るのに小一時間を要した。泣きたい。

 




霊牙『罠だ…!これは罠だ!作者が俺を陥れるために仕組んだ罠だ!』

勇者『粉バナナ!粉バナナ!松田!タレを売ってるプーさん蹴ーるなぁー!プギャーマジワロスーw』

霊牙『オラァ━━━ッ‼︎』
∴:•(Д(○≡(°皿°#)
勇者『URYYYYY━━━ッ⁉︎』

茶番乙



次回、城之内死す
嘘でぇぇぇぇぇす!

次回はフランドールが出ます。デュエルスタンバイ!
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