愚かな僕は勇者になれない   作:ソウブ

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要望があったので、本当にタイトル通りちょっとしたものですが書いてみました。


番外編 ちょっとしたその後

「はぁっ……はぁっ……」

 息を切らして僕は路地裏に立つ。

 にゃ~~、と鳴き声。

 正面には、三毛猫。

 

「さあ、こっちへおいで。怖くないから。恐くないコワくない」

 ブンブン。

 笑顔を張り付け猫じゃらしを振りながら近づく。

 三毛猫ちゃんは猫じゃらしに釘付け。メスかどうかは知らないけど。 

 ブンブン。

 

「ほら、こっちきて」

 動きが止まった三毛猫に手を伸ばして抱き上げようとした。

 ヒュンッ。

「ぎゃああああっ!!」

 その手を引っ掻かれた。

 俊敏に走り出す三毛猫。

 逃げられた。

 

「くそっ! 待ってくれ!」

 僕は追った。

 

 

 勇者部の依頼。迷い猫探し。

 それを、僕は今一人でやっていた。

 今回はこれぐらい僕一人でやって見せると豪語し半ば無理矢理任させてもらったが、厳しい。

 迷い猫探しと言うのは思っていたよりも難しいものだった。

 なにしろどこにいるか見当がほとんどつかない状態からスタートだ。

 範囲も飼い主の家を中心としたものだということは解るがどこまでなのか。とにかく広い。

 さらに猫は俊敏。逃げられたらまた追いかけて、見失ったらまた探さなければならない。

 現人神の力は例によってなるべく使いたくないし。

 そんな訳で、僕はこの依頼に今苦戦している。

 

 

 夕刻。

 手や顔に引っ掻き傷を負いながら猫を(ようや)く捕まえた僕がいた。

 何時間経ったんだ。

 なんか一週間分の体力使ったような気がする。

 まあとりあえず、届けよう。

 

 飼い主の家へとトボトボと歩き出した。 

 海沿いの夕日が綺麗な道を進んで行く。

 そういやこの砂浜で一度だけの鍛錬とかしたなあ。

 またやるとか言ってたけどいつやるのやら。

 今みたいに疲れてるときは勘弁してほしい。

 

 と。

 前方。

 銀髪の元気溌剌娘。

 何やらわちゃわちゃとやっている様子。

 近づく。

 

「銀、なにやってるの?」

 振り向きクルンッと揺れる銀髪。

「ああ、朝陽か――ってすごい顔だな。どうした?」

「この三毛猫さんに引っ掻かれた」

 視線を猫へ。

「それはそれは……苦労したことが見ただけで分かるよ」

 苦笑する銀。

 僕も思わず苦笑。

 引っ掻き傷が痛くてうまくできなかった。

「それはそうとそっちはそっちでどうしたの?」

「ああそうだった。実はこの子たちが喧嘩しててさ。仲裁してたところだよ」

「喧嘩?」

 銀の後ろを見ると、小学校低学年ほどだろう少年二人。

 

「だから勇気仮面の方がかっこいいって言ってるだろ!」

 へ……?

「そんなどこの誰だかわからないやつよりも仮面ライダーの方がかっこいいに決まってるだろ!」

 …………。

 あーー……。

 僕は悪くないはずだ。

 うんうん。

 僕だってあの役は望んだわけでもなかったし。

 それに絶対に圧倒的に比べるのもおこがましいくらいに仮面ライダーの方がかっこいい。

 これは譲れないぞ少年Aよ。

 まあそんな自分の感情は置いといて止めよう。

 

「ちょっと君たち、そんなことで争うものじゃない。好きなものは人それぞれだ。自分が好きでいればそれでいいじゃないか」

 近づきながらそう言葉を発する。

「うるせえっ!」

「口出しすんなっ!」

 ドッ! ドゴッ!

「ほっ!? ふごおっ!?」

 激痛。

 股間を二連続で少年AとBに蹴られた。

 (うずくま)る。

「いこうぜ」

「おう」

 そうして同じ敵を共有した少年たちは勝手に喧嘩を止めて去って行った。

 

「待てやこのクソガキ共があ!」

「まあまあ。朝陽大人げないぞ」

「僕は中二だ! まだ子供だぞ!」

「実年齢はそうでもなかったと思うけどな」

「う……」

 痛いところを突かれた。

 十八歳だったっけ。完全に中学二年の感覚でいた。

「いやでも、十八歳って子供と大人の中間みたいなもんでしょ? なら子供の範疇に入れても――」

「屁理屈言わない」

「……はい」

 立ち上がる。

「それはともかく」

「切り替え速いな」

 銀の言葉は無視して。

「楽しく生きれてる? って聞き方は変かな。楽しく暮らせてる?」

「変なこと聞くんだな。全然何も問題なく楽しくいれてるぞ。弟や母ちゃんには会うつもりはないけど、住む場所は大赦がマンション用意してくれたし、朝陽と部屋近いし、自分なりにやってるよ」

 銀は僕と同じで人間の寿命を超越してしまったような存在だ。

 確かにまた逢って、確実に自分より先に弟が逝ってしまう事実を背負うのも酷だろう。

 それ以外にも色々あるだろうが、銀が決めたことならどうこう言うつもりはない。

「そっか。ならいいんだ」

「おう。朝陽も楽しくやっていけよ」

「うん……僕はこの子届けなきゃだから、もう行くよ」

「また明日な」

 手を上げて答えながら、僕は飼い主の家目指して走った。

 

 

 楽しく、か……。

 僕はこの日常を生きている。

 けれど楽しくと、そう心から言うためには、僕は今一つ重大な案件を抱えている。

 

 友奈の告白だかどうだか良く分からないものへの対処だ。

 紅いコスモスの押し花は、肌身離さず持ち歩いてはいる。

 勿論僕は友奈のことが好きだけど、もし間違っていたらと思うと踏み出せない。

 愛情ってのは友情って意味かもしれないし、友達への愛って可能性があるんだ。

 それに調和という花言葉もあった。全部終わって平和になった証としてプレゼントするよという意味かもしれない。

 さらに、何も言っていなくても友奈はいつも通りに接して来たし、そういうつもりではなかったんじゃないかとも思う。

 でもそういうことだったら返事返さないとやばいし何より僕も友奈と恋人になれるならなりたい。

 ……どうしよう。

 わからない。踏み出せない。

 …………神の力で何とかならないかなあ。

 無理だよなあ。

 あああこれからどうすればいいんだ。

 

 そんな風に懊悩しながら僕は。

 にゃーにゃー鳴く三毛猫ちゃんを飼い主に届けた。

 

 

 

 次の日。放課後。

 勇者部の部室で。

 

「それでね、女子力っていうのはやっぱりうどんなのよ」

「お姉ちゃんなに言ってるの……」

「またアホなことを」

「なによ夏凛! だったら女子力は何だっていうのよ」

「なんでもいいわよ」

「ふん。アタシの言葉を否定できないから逃げるのね」

「どうしてそうなるのよ!」

「あははは……落ち着いて夏凛ちゃん」

「女子力とはぼた餅よ」

「須美もなに言ってんだよ……」

「女子力とは~、真面目に言っちゃうと女の子らしさだよね」

「まあ風先輩のは女子力(嘲笑)だから」

「ねえ、今の笑いは何!? 今の小馬鹿にしたような表情は何!?」

 

 元々人は多い方だったけど、八人となると賑やかすぎるほど賑やかだ。

 園子も勇者部に入り、こんな風景ももはや日常と化している。

 東郷さんの記憶も少しずつ戻って来ているようで、銀も須美と呼ぶことが多く、園子もわっしーと呼んでいる。

 さらに足も動くようになり、車イスは必要なくなった。むしろ走り回っているレベルで、万能黒髪美人爆誕である。

 友奈はいつも通りの笑顔でこの空間にいる。

 やはりわからない。

 意味深にチラチラ頬でも染めながら見てくれると分かりやすいのだけれど、そんな動きは一切見せていない。

 うーーーーーーーーーん………………。

 

 眉間に皺を寄せていると、園子がみんなの輪から外れてこちらにとてとてとやって来た。

「ゆめゆめ、なにか悩んでいるようだね」

「ん~……? まあ、ね」

 隠したところでもっと追及されるだけだろうと思い、曖昧に答える。

 

「お姉さんに言ってみなさい。恋の悩みだね。そうだよね。きっとそうだよね!」

 目をキラキラさせて。

 話すまで逃がさないと言わんばかり。

 この目シイタケみたいだな。

 

 とはいえ図星。

 なんでわかった。

 これが女の感か?

 嗅覚凄すぎだろどんな原理だよ。

 

「違うよ」

「嘘だよね!」

「ほんとだって」

「そんなわけないよね!」

「そんなわけあるんだなあこれが」

「相談して!」

「……僕の話聞いてる?」

「相談して!」

「僕の――」

「相談して!」

 

「…………はああぁぁぁぁぁ」

 デカいデカい溜め息。

 しょうがない。

 どっちにしろどうすればいいのか分からず八方塞がりだったんだ。

 ならば相談してみるのも悪くない。

 それで解決できればそちらの方が良いし。

「実は――」

 

 友奈から押し花をプレゼントされ、その花言葉を調べてと言われ、花言葉が調和と愛情だったことを話した。

 

「それは告白だね完全に! ゆーゆの不器用な遠回しのいじらしくも可愛い告白だよ!」

 勢いに圧倒される。

「そんな、断言できるほどなの……?」

「なにを賭けてもいいくらいだよ。女の子として保証してあげる」

「そ、そう……?」

「そうなの。ゆめゆめはゆーゆのこと好き?」

「ま、まあそりゃね。うん……」

「だったら今すぐにでもゆめゆめから告白すべきだよ。女の子はいつだって男の子から告白されたいものだからね」

「そういうもんなの?」

「そういうものなの」

 満面の笑顔。

 どうしてこんなに楽しそうなのだろう。

 

 ……でも。

 そうか。

 告白だったのか。

 …………。

 だったら、僕も……。

 けど、怖いな。

 園子を信じない訳じゃないけど、万が一ってこともあるし。

 やっぱり、怖い。

 ……まだ、少し考えてもいいだろう。

 園子の言ってることが事実だったとして、まだ数日ぐらいなら時間はあるだろう。

 うん。まだ大丈夫なはず。 

 ちゃんと数日、真剣に考えよう。

 

「相談に乗ってくれてありがとう。それを踏まえて考えてみるよ」

「ええ~! 今すぐパパッと愛をぶつけようよ~。絶対に受け入れてくれるんだよ?」

「まあまあ、こっちにも心の準備ってものがあるから……」

「ん~~」

 園子は不満そうにむくれて唸っていた。

 

 

 

 銀と夏凛との帰り道。

 この二人とは帰る所が大赦の用意したマンションという同じ場所だから、こうして一緒に帰ることが多い。

 登校も共にすることは多い。

 だからといって、ぺちゃくちゃと頻繁にお喋りしている訳でもないけれど。

 全く喋らないということもないぐらいか。

 別に仲が悪いという訳ではない。

 ただこの組み合わせだと静かなものだ。ということ。

 でも今日は、いつもよりも話す。

 

「ねえ夏凛」

「なに?」

「煮干し好きだよね」

「当然よ」

「なんでそんなに好きなの?」

「栄養満点で美味しいからよ」

「そっか。好きとそんなに堂々と正直に言えるのって、どんな気持ちから?」

「どんな気持ちからって、好きなものは好きなんだから、好きでいいじゃない」

「……具体的には?」

「だから、好きなら好きって言って何も問題ないじゃないって話」

「そう、か」

 好きなら好きで、正直に言えばいいということか。

 確かに、そうだ。

 紛れもなく正論だ。

 だからといって、そう簡単にできることでもないけれど。

 でも、それが一番いいのかもしれない。

 

「さっきから好き好き好き好きってなんだ? 朝陽と夏凛はそういう仲なのか?」

 全部聞いていた訳ではないだろう銀が適当に茶々を入れて来た。

「なっ! そういう仲じゃないわよ! 話聞いてた!?」

 顔を真っ赤に染める夏凛。

「あんまり」

「なら勝手な変なこと言わないでよ!」

「あははは」

「何がおかしいのよ!」

「いや、顔凄く赤くて面白いなって」

「なにを――――――!?」

 

 夏凛の雰囲気ががらりと変わった。

「朝陽! 後ろ!」

 辺りの空気も変貌する。

 日常から離れたものへと。

 

 聖剣を手に生み出した。

 後ろへ翳す。

 キインッ、と金属同士のぶつかり合う音。

 振り向く。

 

 そこにはナイフを手にした青年。

「お前が殺したのか!? そう聞いたぞこのクソガキ!」

 僕がデウスの力を使った代償で亡くなった人を、大切に思っていた人。

 また、か……。

 

 これで、戦いが終わってから襲われるのは三度目。

 なぜこんなことになっているのかというと。

 最初に僕に復讐しようとしていた大赦の人が、変死体で死んだのは夢河朝陽という男がやったことだ。と広めたらしい。

 まだ復讐を諦めていなかったようだ。

 当然そんな与太話にしか聞こえないことほとんどの者が信じなかったけれど。

 それでも大切な人を失って追い詰められた人間は、遣り切れなく潰れそうな感情をぶつける相手が欲しかったのだろう。

 こうして少数いるだろうその人たちに、たまに襲われるようになった。

 たまにというか、これで三度目だけど。

 

「加勢するわよ」

「駄目だ。これは僕がやらなくちゃならないことだ」

 夏凛を制する。

 これは僕がしたことの尻拭い。

 誰の力も借りずに、ちゃんとやらなければならないことだ。

 

「お前が殺したんだろ!?」

「そうですよ」

「なんでだ! あいつが殺されなくてはならない理由なんてないはずだ!」

「そうですね」

 本当に。

「なんでお前が生きている!? お前が死ねよ! 返せよ! あいつを返せよ……!」

「すみません……それはどちらも無理です」

 

 鍔迫り合っていたナイフを弾く。

 剣の柄を首筋に叩き込んで気絶させた。

 

「大赦には連絡しといたわ」

「うん。ありがとう」

「しっかし多いよなあ。厳密には朝陽の所為じゃないっていうのに」

「銀、その言葉はありがたいけど、結局僕が自分の意思でやってしまった事だから」

「う~ん……」

 

 気絶したこの人のその後の処理は、大赦がやってくれるだろう。

 後処理は自分にはできないから仕方ないとしても、それ以外はやった。

 大赦の人たちが来たら、真っ直ぐ帰ろう。

 

 

 

 次の日。

 放課後。

 またまた勇者部部室。

 その前。

 クラスが同じ面々。僕、友奈、東郷さん、夏凛。

 ガラガラっとドアをスライドさせて部室内に入る。

 友奈も後ろから続いて入ってくる。

 

 そうしてそのまま東郷さんか夏凛が続けて入ってくるものだと思っていた。

 ガラガラバタンッ!! ガチャ。

 後ろの扉は勢いよく閉まった。その後鍵を閉められた。

 意味が分からない。

 

「なにしてんねん」

 思わずエセ関西弁。

「お二人でごゆっくり~」

 園子の声。

 かっちりと理解のピースがはまった。

 なんてベタな!

「園子が元の仕掛け人か」

「そうだよ~今日は二人きりでゆっくり話すといいよ~それで先の世界へレッツゴー」

「うるせえよ開けてくれ」

「いやだよ~」

「これも友奈ちゃんのためよ」

「吉報を待ってますね」

「部員のために色々するのも部長の務めよ」

「さっさと終わらせなさい」

「朝陽頑張れ」

 ふざけんな恋愛脳共!

 

「朝陽くん」

 後ろから掛けられる声。

「な、なに友奈」

「閉じ込められちゃったの?」

「そうみたい」

「何かの遊び?」

「ど、どうなんだろう」

 先程の話は扉とほぼ離れていない僕しか聞いていない。

 友奈はいきなり事情も知らずに僕と二人きりにされたことになる。

「と、とりあえず出よう」

 ガチャガチャガタガタバタンバタン。

 乱暴に何度も開けようとしても当然の如く扉は開かない。

「そ、そうだ窓」

 ここは一階。

 ならば窓からなら簡単に出られる。

 ふふ、この程度で僕を思い通りに出来ると思うなよ。

 

 窓を見ると、ガムテープまみれだった。

「…………」

 それはもう、ギッチギチに。

 時間を掛ければ剥がして開けれなくもないとは思うが、めんどくさくなってきた。

 その執念を別に生かしてほしい。

「はあぁぁ……」

 溜め息、後。

「まあいいや。話したら出してくれるみたいだし、とりあえず話そう友奈」

「うん……いいけど」

「あ、ちょっと待っててね」

 

 ドンッ!

「「「「「「わぁっ!?」」」」」」 

 

 扉の前で聞き耳を立てている興味津々な乙女たちをドアに蹴りを入れて退散させた。

 ふう。

 とはいえ、せっかくの機会だ。

 利用はさせてもらおう。

 心の準備は、あまりできているとはいいがたいが、よくよく考えたらそんなもの一生できる気がしない。

 だったら、いつやっても同じなのではないのかと。

 もう当たって砕ければいいんじゃないのかと。

 砕けたら再起不能になりそうだけれど。

 あれ? そう考えたら怖くなってきた。

 どうしよう。

 

「朝陽くん?」

「あ、はい」

「お話しするんでしょ?」

「ま、まあ、そうだね」

「なんの?」

「なんの、か……」

「……?」

 言え、僕。言ってしまえ。もういったらあとは楽だろう?

 いえ。言え。YEY。

「ちょっとセグウェイ乗りたくなってきたよ」

「セグウェイって何?」

「セグウェイはセグウェイだよ」

「?」

 友奈はさっきから顔中ハテナまみれだなあ。

 まったく、誰のせいだ。

 

「友奈、好きです。付き合ってください」

 

「へ……?」

 みるみる動揺が広がるように、顔が赤くなっていく友奈。

「だから、女の子としてあなたが好きです。もっと近くに居たいです。恋人になってください」

「え……? え……?」

「どう、かな?」

「どう、って……」

 沈黙、数秒。

 されど何分にも感じられる、精神圧迫。

「こちらこそ、よろしくお願いします……私も、好きです」

「ほ、ほんと?」

「うん。嘘なんて何もない、本当の気持ちだよ」

 柔らかい微笑み。

 ……や、や、や、

 

「やったああああああああ!」

「わ!?」

「ありがとうありがとう! 大好きだ友奈!」

 思い切り抱きしめる。

 というよりも抱き付く。

 

「あ、朝陽くん。ま、まだこれは恥ずかしいよ……それにちょっと苦しい」

「ご、ごめんっ。つい、嬉しくて」

「ううん。私も、嫌じゃないから」

 

 

 ガラガラッ。

「おめでとーー!!」

「おめでとうございます!」

「やるときはやるじゃない」

「これからゆーゆとゆめゆめはラブラブだね!」

「頑張ったな朝陽!」

「友奈ちゃん……うっ……うっ」

「東郷さんどうして泣いてるの!?」

 

 わちゃくちゃ。揉みくちゃ。

 一気に騒がしくなった。 

 ていうか聞いてるんじゃねえよ。

 話してる間にこっそり戻ってきたのか。

 でも。

 だけど。

 けれど。

 なんだか嬉し恥ずかしくて、この騒がしさが心地よくて、友奈も頬を染めながら笑顔でいて、

 幸せだな。と思った。

 

「朝陽くん」

「ん?」

「これからもっと、よろしくお願いします」

 友奈の、飛び切りの笑顔。

「うん。よろしく」

「うん! ……大好きだよ、朝陽くんっ」

 

 

 

 本当におわり

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