英雄に武器を託されて子供を守るのは間違ってるだろうか 作:こじこじこじこじこじこk
ここは戦場だ
炎が吹き上がり
贅肉を切り刻み
怒号が飛び交う。
ボクはただ命令どうりに、ただ無感情に手を動かすのみ。
次の命令が来る前に、ただ効率的に、ただ作業的に、素早く目の前の命令をこなして行く。
そして今、ボクは命令を完遂し声を上げた!!
「はい!本日のオススメ!!ヘルバウンド風味のペペロンチーノ完成!!客に持ってて!!」
「了解にゃ!あ、次はミノのステーキをお願いにゃ!!」
「了解!!」
ここは戦場だ
夜の酒場の厨房と言う名の戦場だ!!
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何故、ボクが働いているかと言うと。
ベル君がダンジョンの入口で目覚めたので、ボクが回収した魔石を全部持たせギルドとやらに換金しに行かせた。
いや、自分で本来なら疲れているベル君じゃなくてボクがヤるんだけど。ボクはギルドで冒険者登録をしていなかったので魔石の交換が出来ないらしい。
なのでベル君に魔石を交換してもらい、明日ギルド前に待ち合わせして報酬の山分けとギルドの登録の付き添いをして貰う予定た。
今日やると冒険者じゃないのにダンジョンに潜ったことがバレてギルドに罰則を課せられそうだしね
ベル君にその事を説明したら、「今までどうやってダンジョン入ってたの!?門番がいるのに」と聞かれたので、
「気配を消して誰にもバレない様に入っていた」と正直に答えたら珍獣を見るような目で見られた。
努力すれば誰でも出来るのに、解せん。
んで、後のことはベル君に任せてボクは「豊穣の女主人」に帰って、クロアに今日の疲れを癒して貰おうと玄関を潜ると。
すると上から超デカイ手でつまみ上げられた。
何事かと思っていると
目の前に超怖い笑顔のミア母さんのアップ!(青筋を浮かべて)
「居候の分際で初日の朝から居なくなるとは良い度胸じゃないかい。」
もうね、声が覇王の威圧を放っているって感じだったね。
ミア母さんの後ろに居た店員はガクブル状態で一歩も動けなくなってるし。
「一応、言い訳があるなら聞こうじゃないかい。ん?」
ボクはその言葉に深く考えて、笑って
「うん、ちょっとウサギを愛でて来た。ミア母さんと違って小さいと可愛いね!!」
思いっきり道の向かい側まで投げられた
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ボクは昨日の折檻より威力の強い攻撃を受けたのでミア母さんに抗議したら
「ピンピンしてるクセになに言ってんだい!ほらさっさと持ち場につきな!!!」
取り敢えず抗議はスルーされボクはズルズル厨房に引きずられて行った
その途中、店員さん達が皆固まって此方を見てたけど、出来れば見た目子供が覇王に拉致られてるんだから助けて欲しい。
「ほら、アンタの持ち場だよ。ここで料理を作ってみな!!」
そこは厨房の端っこ、足元に踏み台が何個かセッティングされており、ボクでも調理台で仕事が出来るようになっていた
料理だったら独り暮らしでどんなロリと仲良くなっても良いようにある程度は出来るが・・・
「嫌だよ、ボクはクロアと一緒に仕事をして、クロアに粉かけようとするバカ共を駆除しないと!!」
「あんたは客商売でナニ言ってんだい・・それにアンタのその笑顔じゃ絶対に無理だね」
「そんな!親友に絶賛されたこの笑顔こそ客商売に必要だよ!!」
「その親友の価値観は狂ってんだろ、がたがた言ってないでさっさとソコに立ちな!!作り方のメモはソコに貼ってあるから試しに作ってみな、出来によってはフロアの方に回って貰うかも知れないね!」
この流れだと出来が良すぎるとずっと厨房になりそうだ
・・・・手ぬこうかな・・・
「あ!!ユウジ君、帰ってきてたんだ。ダメだよ勝手に出てっちゃ
あれ何か作るの?」
そう言って我らがプリティ女神・クロアがやって来た
あ~やっぱりめっちゃカワイイ!!もうねそのコテンて首を傾げる仕草とかでご飯三杯行けそう!!
ソコにミア母さんが何でもないように、爆弾を落としてきた
「今からこいつが私が指定した料理を作るんだが・・・一緒に味見するかい?」
え!?
「良いんですか?じゃあご一緒します!」
え!!?
「ほら、主神が見てんだから気合い入れな!」
「ユウジ君頑張れー」
こうしてボクは本気で料理する以外の選択肢が無くなり、こうして厨房で腕を降るっている
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「は~流石に疲れたね・・・・」
ボクはある程度落ち着いたところでミア母さんに休憩して良いと言われたので、店のカウンターで我が主神様を観察して英気を養おうかな。
そうして奥の厨房からカウンターに来てみると、そこには同僚のシルちゃんと何故かこそこそしているベル君が居た。
「ナニしてんのベル君?もしウチの主神をイヤらしい目で見てんだったら君の息子を死滅させるぞ」
「ピぃ!!ってユウジ!!こんなところでナニしてんの!?」
「ベルさん、ユウジさんと知り合いなんですか?ユウジさんは昨日からここで住み込みで働いてるんですよ」
「そうだよ、ベル君みたいにふしだらな目でシルちゃんを見てないからね!」
「ち、違うよ!!あ、シルさんもそんな顔して離れないで!」
そう言ってベル君が、ちょっと嫌そうな顔をして離れようとしたシルちゃんに手を伸ばしている
・・・・・ベル君、よく見て、顔は嫌そうだけど目が笑っているよ、からかって遊ばれてるよ。そんなんじゃ直ぐ女に騙されてウサギ小屋に売られちゃうよ?
そうやってベル君で二人で遊んでいると・・・・
「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」
全体的に灰色着色の狼人・・・あ、昨日の耳の下が大声で何か喋っていた
よく見てみると昨日助けてもらった人たちが集まって何か宴会していた
オノレ、あんなに頼むからボクは忙しかったんだな。
そんなことを思っていると耳の下が
「帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の五階層で始末した時のトマト野郎の!!」
と言うと目の前のベル君がビク!と反応した
あ~これは・・・
「いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえガキが!」
「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際に追い込まれてよぉ!可哀想なくらい震え上がっちまって、かおをひきつらせてやんの!」
「ああいうヤツがいるから俺達の品位が下がるっていうあよ、勘弁して欲しいぜ」
うん、お前も品質を落としてるよ。とは感じるが
チラッとベル君を見てみるとうつむいてじっとしている
「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。ミノタウロスを逃したのは我々の不手際だ」
「ハっ流石エルフ様は真面目だな!」
「なあアイズ、あのガキと俺ツガイにするならどっちがいい?」
「・・・少なくともそんなことを言うベートさんとはごめんです」
「無様だな」
フム、しかしこの流れは・・・
「黙れババアッ。…じゃあお前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」
「はっ、そんな筈ねえよなぁ。自分より弱くて、軟弱で、救えない、気持ちだけが空回りしてる雑魚野郎に、お前の隣に立つ資格なんてありはしねえ。他ならないお前がそれを認めねえ!」
「ーー雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ!」
ガタッ
「ベルさん!!」
音が鳴った方を見てみると、
それをシルちゃんと・・・多分ベル君の存在に気づいたアイズが追いかけていった
さて今日ベル君は人生初の恋によって正直ダンジョン探索には身が入っていなかった。
ぶっちゃけるとうかれていた、いつかまた痛い目に会いそうなぐらいに。
しかし今、ベル君は現実を突きつけられて、走り出した
あの目は逃避して逃げ出した奴の目じゃない
あれは、何もしない内に夢ばっか見ていた自分を恥じた目
あれは、がむしゃらに前に向かっていく奴の目だった
あの目をした子供は成長していく、それこそ仲間たちに簀巻きにされ掛かっている耳の下よりかは、
本当に良い流れだった、今の話でベル君の心に焔が灯った。
あとは周りで適切に指導してやれば彼は目標に辿り着けるだろう。
いや辿り着かせてみせる
ボクは暴れてる耳の下に聞こえないように笑顔で
「うん、踏み台、有難うございました。」
感謝した
さて、そろそろ厨房に戻ろうと後ろに振り替えると
丁度、厨房からクロアが出てきた。が
「あ、ユウジ君、この騒ぎはへぶ!!」
ボクの後ろから飛んできた首輪がクロアの頭に当たった
あ?
主人公、キレる