英雄に武器を託されて子供を守るのは間違ってるだろうか 作:こじこじこじこじこじこk
ではどうぞ
とある海の世界での話をしようか
その海は閉じた世界であった
幾多の海賊が財宝を求めた時代、西暦1573年を舞台にした世界。人理焼却により海を四方に閉ざされ、更に様々な時代、地域の海が封じ込まれている。
その海の名は『封鎖終局四海 オケアノス』
人類絶滅の原因となっている七つの特異点の一つ
そこに、過去の事象に介入することで時空の特異点を探し出し人類を守るために永きに渡る人類史を遡り運命と戦う者達が降り立った。
彼らはそこで“太陽を落とした女”や“月の女神と熊さん”、“黒幕を育てた王”等と出会いその海を冒険し
途中で“オタク海賊”・“ネット海賊”と戦い
逃げる“ロケット発射台”を追いかけ
最後には“英雄間者”率いる人類最古の海賊達を打ち倒し人理修復を果たす事に成功した。
さて、ここまで紹介した戦いは、とある女神を巡って起こっていた
何度も何度も狙われて女神の命は風前の灯火だった
しかし、女神は守られた。
女神を守る、規格外の化け物が居たのだから
そう、規格外だった。
ある時、外敵から女神を守る為に大迷宮を作り出し籠城をした。
ある時は重傷を負ったボロボロの体で船底に穴の開いた船を背負って岸まで泳いだり
またある時はBランク以下の攻撃を無効化する大英雄を宝具を使わず打撃のみでその命の一つを打ち破ると言う偉業を成し遂げた。
最後は仲間や女神を逃がすために体を張って大英雄の動きを封じて散って行ったが…………彼の肉体は驚異的だった
さて、そんな彼がもし大漁の海魔の群れに襲われた場合どうなるかと言うと
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それは漫画にも似た光景だった。
アステリオスが一体の海魔を蹴り飛ばす。
すると、海魔が吹き飛び直線上の海魔に激突して諸共に木っ端微塵となる。
アステリオスの背後から一体の海魔が飛び掛る。
だが、彼は後ろを見ず無造作に斧槍を振り上げると、棒の部分に当たり100m以上打ち上がり天井の染みになった。
アステリオスが斧槍を渾身の力を込めて海魔に降り下ろす。
ドグゴォォン
普通なら真っ二つになるだけだが、あまりにも威力が有った為、海魔は爆発四散しその場にクレーターを作った。
戦闘が始まって10分、アステリオスが暴れた後は戦車や爆撃機の砲撃にさらされた跡の様な惨状になっている。
海魔などは全て原形を無くしてスプラッタになった。
明らかにオーバーキル、海魔が可愛そう。
恐ろしいことに、ここまでの荒れ地を作るのに彼は宝具を一切使わずに肉体のみで行っていること。
そして、作った本人はピンピンしていることが恐ろしい
前日にはユウジとチビノブ達が同じ様に戦っていたがユウジは自分の用いる技術で無双していたのに対して、アステリオスはただ力任せに周囲を破壊しているだけ
それだけで並みの英霊なら息切れを起こしている量の海魔を全く息切れを起こさず捌いているのだから、かなりの身体スペックである。
「フム………」
そんな中で海魔を生み出し続けているジルは、このまま続けても海魔の群れによる数の暴力ではあの怪物を倒せないと考え始めていた。
「前に召喚された時は英霊二人位ならその場に押し止められたんですが、ヤハリ、化け物相手ではキツいですねぇ。」
であれば…………とジルは一旦召喚を止めた
そのまま宝具にオーダーを出して待っていた
暫くすると海魔の死骸を踏み越えてアステリオスはやって来た
「なん、で?召喚をとめた?」
その質問にジルはほくそ笑む
何故ならジルが今やっていることは時間を稼がなくてはいけないのと
「いえねぇ、ちょっと貴方とは少し話をしたくなりましてねぇ。攻撃を止めさせて頂きました。」
少し、聞いてみたいことがあったのだ
「はなし?」
「はい、あなたは入ったら二度と出られないと言われたラビリンスに閉じ込められた怪物、ミノタウロスですね?」
そう聞くとアステリオスは嫌な顔をしたが、構わず話続ける
「貴方の伝説は私も知っています、迷宮に迷い込んだ生贄を食べる化け物。最後は英雄に倒されたことも。だからこそ分からない…………貴方は何故、マスターを倒してここから出ようとしないのです?化け物の貴方なら楽に倒してこの閉鎖空間から出れたでしょうに」
そう、確かにアステリオスとユウジが始めて会ったときに戦いを挑めばアステリオスが勝っていた可能性が高い
確かにユウジは戦闘力は高いが、それでも英霊に比べたら劣ってしまっていた。
織田信長に勝てたのは天性の狂魔によるブーストによる狂化のお陰で有る所が大きい
「外では自由に、好きなように生きられたでしょう。何故それをフイにしたのです?一生を閉じ込められて最後は誰とも知れない
その問いにアステリオスは
「ぼくの、なまえを、よんでくれたから」
迷わず言い切った
「は?」
「ユウジは、ミノタウロスとは呼ばず、アステリオスってぼくを化け物として、呼ばな、かったからぼくはユウジと、いきてい、くよ」
アステリオスの言葉に、ジルはきょとんと大きな眼を丸くして、意表を衝かれた様な表情を浮かべた。
ジルその言葉の意味を受け止めるのに数秒掛かり、理解するのにまた数秒掛かった。
そして、完全にその言葉を理解すると。
「…………ハッハッハッハッハ!! これは笑えますねぇ!! 化け物の身で在りながら只の人間に相当惚れ込んでいるらしいですねぇ!! ッハハハハ!!」
ジルはその大きな口を開けて大声で笑った。ツボに入った様に、心底楽しそうに笑った
ジルの爆笑は止まらない、アステリオスはそんなに笑うジルに対して不機嫌になった。自分の理由がまるで可笑しいと、まるで馬鹿にされた様な気分だった。
だから、少し不機嫌に言う。
「……そんなに、可笑し、いこと? このりゆ、うじゃわるいの?」
「悪い」
「ッ!?」
けれどその言葉は、ジルの冷たい言葉で切り捨てられる。先程まで笑っていたジルは、笑顔を無くして、冷酷な視線と、刺す様な威圧感でそう言った。
それは正しく、かつてある聖処女と駆け抜けた時、祖国の為に戦った元帥の時の様な威圧感を出していた
アステリオスの理由を、言葉を、全て否定する為に。
「良いですか? まず最初に言ってあげましょう、貴方は化物で、マスターは人間でしょう。どれだけ一緒にいようと、この二人が一緒に生きて幸せになる事は起こり得ない」
「そんなことっ……!」
「『ない』と言い切れます? 今更人間と共に在れると思っているのですか? 嘗て、貴方は多くの人間を喰らって来たんでしょう? 殺して来たんでしょう? 愛する者がいた人間を、未来に希望を持った人間を、この世に生まれて間もない人間を、ただの『餌』として殺し、喰らったんでしょう?」
魔通元帥は言う。アステリオスの目の前まで踏み込んで、赤い瞳のその奥まで見透す様な視線でアステリオスを見て、心を上から押しつぶす様なプレッシャーを放ちながら、言う。
―――愛する者と結ばれ、その先の幸せを掴もうとした女性もいただろう。
―――自身の可能性を信じ、未来に向かって走っていた男性もいただろう。
―――この世に生まれて間もない、世界の素晴らしさも知らぬ幼子もいただろう。
―――まだ誰の愛も感じずに、この世界の絶望しか知らぬ奴隷もいただろう。
「そういったあらゆる種類の人間を、飢えのままに砕き、千切り、削り、折り、喰らったんでしょう? 無自覚に、愛を引き裂き、友情を破壊し、未来を閉ざし、絶望を与え、自分の欲望を満たしてきたんだろう? 赤い血を浴び、固い肉を噛み千切り、獣の様に嗤っていたでしょう? 悦びを感じていたでしょう?」
「……ッ……ちが……!」
「違わないでしょう!!ならば何故貴方はラビリンスに生け贄じゃ無く、食料を所望しなかった!!父親に言われたからだとしても貴方が食料じゃなく、生きた人間を食らっていたのは変わらない!!」
「ッッッ!!」
「いやいや、否定する訳じゃなんですよ―――ソレが化物です! 人間を殺し、己の欲望のままに戦い、そして人間に対して絶望を振りまく、人間にとっての『悪い奴』、それが化物! 貴方のやってきたことは正しい、同じ化物の私が保証してあげます。貴方の内に秘められたその欲望も、生き方も、化物としては大正解です!」
―――但し。
ジルは高らかにアステリオスを肯定し、そんな接続詞を入れて、言葉を切る。
アステリオスは、視線と言葉に圧倒されたのか、硬直した身体を動かせないでいる、黙って聞いていた。
だが、ジルはそんな隙だらけのアステリオスを見ながら、更に言葉を続ける。
「但し、人間にとっては不正解―――倫理を踏み躙った様な、最低最悪な行為で、犯罪者という危険な怪物扱いをされる存在。嫌悪され、排他され、受け入れられる事のない罪人」
「オレは……そん、な……!」
「わざとじゃない、父親に言われたから仕方なくは通らないんです。殺して殺して楽しんで嗤って、狂気にも似た愉悦を得た代償が、『拒絶』。そして貴方が如何に否定しようと、『化物』が人間にとっての貴方だ」
確かにやったことは、取り返せない。人間にとっては、アステリオスは化物であり、けして受け入れられる事のない存在である。それは、覆せない現実だ。
「そんな化け物が、散々残虐非道を強いて来た人間に、今更受け入れられると思うのですか? 己の飢えの為に、今までどれだけの命を引き裂いたのです? 」
静かにアステリオスから離れ、ジルはアステリオスに止めを指すように
「貴方は今更な存在。許されていい存在じゃない、人間と居ていい存在じゃない、だってそうでしょう? 貴方ははそれだけのことをしてきた、化物なんですから」
ジルはいいきった
「…………」
「それでも貴方は、人間と一緒に生きていけるのですか?」
その問いに対して、アステリオスは…………噛みしめるように
「ぼくは、それでもユウジといきて、いくよ」
ジルは驚いたようにアステリオスを見た、これだけ『おまえは、化物』だと言って何故ここまで迷い無く言えるのかわからなかったのだ
その顔を無視してアステリオスは語る
「だって、ぼくはいったから」
あの海で、槍に貫かれながら
皆を逃がすために、ヘラクレスの動きを封じながら
『ころ、した、ころした、ころした、ころした!なにもしらない、こどもを、ころした!
ちちうえが、そうしろって。ちちうえが、おまえはかいぶつだからって!
でもぜんぶ、じぶんのせい、だ。きっとはじめから、ぼくのこころは、かいぶつだった
でも、なまえを、よんでくれた。みんながわすれた、ぼくの、なまえ…!
なら、もどらなくっ、ちゃ。ゆるされなくても、みにくいままでも、ぼくは、にんげんに、もどらなくちゃ…!』
そう、あの時にぼくは誓った。
喩え、誰にも許されなくても
喩え、醜いと言われても
喩え…………化物と言われても
ボクは人間に戻って、精一杯生きていく
それがあの海で出会ったマスターと女神に報いることだと思うから。
だからぼくはいう
「――ぼくのなは、アステリオス。ミノタウロスじゃない!!
ぼくのなをよんでくれるひとがいてくれるかぎり。
ぼくは…!!」
目の前の怪物に言う
「おまえとはちがう!!ぼくはにんげんにもどるんだ!!」
ジルはそう言われ
フゥーとため息をつき
「興ざめですね、私としましては取り乱したり、現実に気づいて茫然自失になることを期待したんですが…………まさかとっく罪と向き合い、覚悟を決めているとは。」
ジルは話ながら宝具を開いた
「まぁ、時間は稼げましたのでいいんですが!!」
直後、膨大な魔力が吹き荒れ、ジルの下に出来た巨大な魔方陣からジルを飲み込み巨大な肉塊が吹き上がってきた。
「っ!!」
アステリオスは急いでその場から離れ、全貌を見てみた
それは百M以上の全長を誇る大海魔がそこにはいた
果たして、彼は怪物なのだろうか?