英雄に武器を託されて子供を守るのは間違ってるだろうか 作:こじこじこじこじこじこk
では、どうぞ
『猛者』オッタル
オラリオ最強戦力にして都市の唯一無二のレベル7
フレイヤ・ファミリアの首領で、『頂天』。32歳。
以前、単独で階層主に戦いを挑み、生還しレベルアップを果たした、
性格は常に冷静沈着で表情を表に出すことはあまり無いらしいが、実直で武人。
フレイヤの側仕えのような存在で、彼女を侮辱する者には普段の姿から一転して激しく激昂するなど、一貫してフレイヤに尽くす。
フレイヤにゾッコンて忠実に愚直に生きているらしく、以前フレイヤより自分の方が美しいと言って誘惑しようとしたアマゾネスは翌日ボロボロの状態で見つかった。
長らくダンジョンには潜らず、ホーム内で後人の育成とファミリアの運用をしている模様。
…………コレがちびノブ達が調べたギルドでの情報だ。
この情報と酒場でねレベル5の耳の下君の一撃を受けてみた時の感覚的に測った強さから
あ、レベル2しか違わないんだ。そこまで強くないんじゃない?
と思っていた。耳の下なら勝てるし
ほら、だってボクって似非ロリの織田信長に勝っちゃたし
いくら相手が
そう、思ってたんだけど…………
「あ~こりゃなめてたわ~」
――ボクは死にかけていた――
戦闘開始から十数分、ボクは全身キズだらけになって『最強』と対峙していた。
身体には無数の裂傷や打撲、右腕は切りつけられ左足はぐちゃぐちゃ。
あちこちの骨にはヒビが入り、あばら骨は折れて肺に刺さってる。
此処までキズを負ったのは久し振りだね。これ、ほっといたら2度目の昇天になりそうだよ。
さてボクはかなりヤバイけど相手は…………
「全く、コレが序盤のボスならクソゲーだよねコレ」
全くの無傷。それどころか息切れさえ起こしていない。
――――最初の奇襲でボクは殺すつもりで本気で攻撃した
なのにこの猪君は、完全にがら空きだったのに問題無さげに超反応で対応し、しかも反撃してボクの左足をスプラッタにしてくれやがった。
その後は機動力が激減したボクは逃げることも出来ずに何とか攻撃して活路を見いだそうとするが、全く上手くいかないんだよねコレが!!
本当に舐めていた、まさか神の力によるブーストで此処まで差をつけられてるとは思わなかったよ全く。
「…………解せないな。」
今まで無言でボクを苛めていたオッタルがポツリと、話しかけてきた。
「ナニが分からないのかな?ボクは何で都市最強がこんな都市最弱を襲っているのか全然分かんないんたけど。
あれかな?普段のストレスを自分よりかなり格下のザコをボロボロにして愉悦してたのかな?知り合いの似非神父にもそんな奴がいたよ、うん。
二人共々、死ねばいいのにね!!」
ボクは笑って、会話をする。
「…………お前の今までの動きは初心者の動きでは無い。最初の奇襲までの流れ、自分が致命傷を負いそうになったときの反応、急所への的確な攻撃、そしてどうしたら生き残る事が出来るかという判断能力。どれを取っても一流だ。」
「ハハ、無視かよオイ。」
「しかも
「う~ん此処まで動けるのはスキルのおかげのような…………。」
僕がそう答えるとオッタルは首を降りながら否定する
「たとえスキルのお陰だとしても、お前の動きの元となるその技術は俺に匹敵…………いや俺以上だろう。もしお前のレベルが俺と同じなら俺は負けていた。」
あ、もう勝ったつもりなのね。
ヨシ!!その油断を利用してこの場を離脱――――
「今も圧倒的に詰んでる状態で一切、生を諦めない姿勢は称賛に値する。」
オフ、バレてーら。
ボクが笑顔で冷や汗をかいていると
「だからこそ、解せん。」
「お前の攻撃や防御、立ち回りは生き残る為に研鑽を積んできた者の動きだが」
都市最強の冒険者はその力強い目線でユウジを射抜きながら
「お前のその目」
「
ユウジの根幹を突いてくる
「…………」
「コレでも数多の修羅場を潜り。その中で俺は多くのその目を見た。
ある者は最愛の恋人をモンスターに食われ
ある者は頼りにしていた強者に見捨てられ
ある者は
皆がお前と同じ様な目をしていたよ。
そしてその目をした者達は皆、自殺をするか生きるにしても脱け殻のようになっているかだ。」
それは…………そうだろう。
その目をした人達は世界から取り残されたように感じ、こないだ迄の世界とは別物に見えているだろう。そんな世界に一人で生きる気力が無くなって自殺をするか、それとも全てがめんどくさくなって人形の様に生きるかだね。
「だが、お前は違う。」
そう、ボクは違う
「お前はこの世に絶望しながらも、決して膝を屈せず圧倒的な力の差がある俺から生き残ろうと足掻いている。
死にたそうな目をしながらも生きようとしている。」
オッタルは右手に持った大剣を此方に向けながら、問うてくる。
対峙してから己が心をざわつかせる
その対峙してから変わらない、
それに対して、ユウジは気負いもなくしゃべる。
「確かにボクは赦されるなら死にたいけど。ボクはボク個人の為に死ぬわけにはいかないし、自分で諦めて死ぬわけにはいかないんだよ。」
「ナニ?」
「だって」
彼にとって、当たり前の事を
「ボクは天国に逝きたいんだ。」
オッタルは訝しげにユウジを視る。何故?今の話で天国に逝きたいからと言われたのか解らなかったからだ
「昔、院長先生が言ってたんだ。
『人と支え合いながら、慈しみながら、助けながら、生きていけば、きっと天国に行けるよ』
って。」
そんな事は構わず、ユウジの独白は続く
「だからボクは子供達を守って、育てて、自立させるよ。」
それは、 間違いなく良いことだから。
「だからボクは惨劇を見逃さず、どんな障害が来ようと跳ね除けなれるように強くなるよ。」
それは、悪を討ち滅ぼすため
「だからボクは生きて、生きて、生きて、諦めずに生に食らいつくよ」
生を諦めたなら、その時点で自殺と変わらず、地獄に落ちてしまう
「だってボクみたいなヤツが、」
あの日、燃えて行く街から
「皆を助けられなかったヤツが、」
そんな
「天国に居る、皆のトコロに行くには」
許して貰うには。
「正義の味方になるしか無いんだよ。」
そう皆が大好きだったあのヒーローの様な奴に。
ゾク
「だからボクはこんな誰の為にもならない戦いで死ぬわけにはいかないんだよ。自殺をしたら問答無用で地獄に行くボクが死ぬのは子供達を助けるために殺されるか、老衰しか無いんじゃないかな。」
そう言ってユウジは笑う。
狂気に彩られた目と笑顔で嗤う
その笑顔を見て、オッタルの心をざわつかせていた者の正体を、理解した。
それはオッタルがレベルを上げていき、ダンジョンに慣れたことで久しく感じ無かった物。
しかしそれは自分がはじめてダンジョンに入ったときには感じていた物。
それは『恐怖』
自分が理解できない者に対する、狂気の思考への恐怖をオッタルは感じていたのだ。
正義の味方を目指し、人助けのためなら自らを省みないその生き方は
彼の死んだ後の事しか考えない生き方に
理解が出来ずに、恐怖する
オッタルはこの壊れた少年をここで殺す事を改めて決意する。
この少年の価値観は、あの白髪の少年の悪影響になる可能性がある
それは自分の敬愛する女神の望む事ではない。
だから、この狂人は確実に
「殺す」
ドン!!
初めてオッタルは自分から攻撃を仕掛けた。
踏み込みだけで大地が割れ、空気が悲鳴を上げる
此処まで己を愚直に鍛え続け、高みに辿り着いた武人――いや、『猛者』の大剣による斬撃がユウジの頭に降り下ろされる。
その時、オッタルは確かに聞いた。
集中状態での攻撃による、遅くなった世界で確かに聞いた。
ユウジの口から
「
始まる、惨劇の名を
「『神討の煉獄惨歌』」
さぁ、覆せぬ絶望を見るがいい――――――
主人公は、死にたいけどまだ死ねない
感想を貰えると作者は狂喜乱舞して、執筆に対するモチベーションが上がりますので
宜しかったら感想を下さい