英雄に武器を託されて子供を守るのは間違ってるだろうか 作:こじこじこじこじこじこk
そのモンスターが五階層にきたのは、好奇心だった
本来そのモンスターは冒険者から中層と呼ばれる階層を縄張りとして活動し、冒険者からはその強靭な肉体から繰り出される攻撃力や、レベル1の冒険者が持っている武器や魔法を弾き返す優れた耐久力から、中層のモンスターの代表格・レベル2に上がった冒険者の登竜門などの扱いを受けている
その個体はその内の一体であるのだが・・・他の個体に比べると好奇心が強い個体であった。
ある時その個体は上に上がる階段を見つけ、ふと疑問に思った
“この先には、何があるのかな?”と
そうしてその個体は好奇心に従い、階層を上がり探索していった
そうするとすぐに次の階段を見つけ、またあがっていった
探索し、階段を見つけ、また上がり、探索し、上がり、探索、上昇、探索、上昇、探索、上昇・・・・・・・
そうしてその個体は五階層まで上がってきた。
その個体は運が良いのか悪いのか階層を上がっている間に冒険者に遭遇することはなく、ただただ好奇心に任せて上がっているだけだった。
しかし五階層に上がった時、とうとう冒険者を見つけてしまった。
その冒険者は白髪が特長的な少年であり、初心者装備を着けている明らかにルーキーと呼ばれる部類の冒険者であった。
モンスターから見ても自分が居た階層で出会ったどの冒険者より明らかに弱いと気づいて居た
しかしモンスターからしたらその冒険者が強かろうが弱かろうが
ただダンジョンに生まれたころから刷り込まれている、人間は敵であるという本能に従いその少年に襲いかかった
「VMOOOOOOO!!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
その少年は運悪くそのモンスターに見つかってしまい。ダンジョンを必死に逃げていた。
時には急に曲がったり、グネグネ走り少年なりに努力もした。
しかしそのモンスターはいつまでも追いかけてくるし、どんどん差が縮まって来るのは感じている。
このままだと少年はモンスターに潰され、モノ言わぬ死体になっていただろう
しかし、その少年の運はまだ働いていたらしい。
その少年は気づかなかったが、モンスターの背後に不気味に笑う異世界からの転生者が追いかけていたのだから
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「VLLLLL!」
その個体、ミノタウロスは振り抜いた右腕の先にいる、今まさに殴り飛ばした冒険者を見ていた。
その冒険者は殴りつける瞬間左腕でガードしていたが、その左腕は力なく垂れ下がり恐らく折れている。そして腕だけで衝撃を吸収しきれず壁に叩きつけられ、血を吐いていた。
右手の少し痺れる棒は離なさなかったが、意識が朦朧としてなにか呟いているので、もう脅威いではないだろう
この冒険者のことはもういい、それよりさっきの同族の声だ。
あれは獲物を追いかける高揚感のある咆哮
チラッと冒険者の見て、そのミノタウロスは同族を助けにいくため後ろに体の向きを変え一歩踏み出したとき
「うん、少し待とうか?お母さん?」
その言葉と同時に・・・ゾワリっと
言い様のない寒気が襲ってきた
じわりじわりと、心を蝕む様な感覚。ぞくぞくと背筋に走る悪寒。
ミノタウロスはバッと、勢いよく振り向き、同時に大きく距離を取った。
そこに居たのは頭や体の至るところから血を流し、そんな状態でもしっかり立っている冒険者
「うん、やっぱり強敵と戦う場合は
この冒険者はさっきまで死にかけだったはずだ
「イヤイヤ、それにしてもお前何、僕を放っといて白髪くんの所に行こうとしたの?」
そう、そうだ実際目の前の存在は腕も折れており、全身血まみれで血も吐いている。
「もう、僕の相手も終わってないのに、他の子供の場所に行くなんて、ハハ、妬けちゃうね。」
それなのに、何でこの冒険者は・・・・
「ハハ、ふざけんな、殺すぞ」
こんなにも笑っているんだろう?
その冒険者は、その状態でも笑っていた。嗤っていた。嘲笑っていた。血を止める訳でも無く、薄ら笑いを浮かべたまま、血塗れの顔でミノタウロスの顔を見上げていた。
ただ、そうして立っているだけ。そうただ立っているだけなのにミノタウロスは冒険者に対して危険を感じた。プレッシャーは感じない、強者の匂いも感じない、冒険者はは弱者のままで危険の匂いだけを感じさせていた。
ミノタウロスは思った、このまま放っといて、仲間の所に向かえば、そのままこの冒険者は死ぬだろうと。
しかし、この冒険者に背を向けることは確実に自分は死んでしまうナニかを感じてしまっている。
今もただ対峙してるだけなのに、呼吸が乱れ、身体中から汗がでてきて追い込まれていないのに追い込まれているような気になってくる
ミノタウロスは自然と腰を落とし、突進の体勢になり。下半身に力を溜めていく。
「おー何か知らないけど僕の胸に飛び込む体制をとってるね。ハハハ嬉しくねー。」
そう言ってその冒険者は
「まぁ、だけど来るなら優しく迎え撃ってやらないとね、ほら、僕ほど優しいお兄さんはいないし」
構えを取った。
ミノタウロスはその冒険者を睨み付け、そうして力が最高潮にたまった瞬間!!
「VMOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
スタートを切り、目の前の不気味な存在に突進した。
ミノタウロスはこの突進で幾多の冒険者を潰してきたので絶対の自信があった。
あとは避けられる心配だけだかあそこまで満身創痍の相手が素早く動ける訳はない。
例え少し動いたとしても少し軌道をずらせば壁のシミにすることが可能だ。
だからミノタウロスはどんな動きをしようとすぐに動けるようにずっと目を離さなかった。
そう、離さなかったので
「ほい。」
カッッ!!
「VMO!」
ミノタウロスは閃光を浴びたことによって視界がゼロになり急ブレーキをかけ止まってしまった。
ミノタウロスは今まで見たことがない閃光によって視界が無くなったことに混乱していたが
「うん、スキ有り」
そんな声が聞こえてきて
バキィっと片足を折られたことによって更に混乱を極めた
!!?・!!!??!!!?
なぜ?どうして!?この冒険者はこんなにも強くなかったはずなのに!!?
ミノタウロスの頭は疑問に満ちてしまった。そんな状態で体が動くわけがなく、そのまま無様に倒れこんでしまった。
倒れてしまった時、ぼやけた視界で辛うじてさっき使われた痺れる棒を冒険者がまた構えているのが見えた
その構えにミノタウロスは安心した、確かにあの棒は少し痺れるが大したダメージは受けないのだから。
しかし、冒険者はまた棒を胸に棒を押し当て。
瞬間、ミノタウロスの全身に電撃が走った。
ミノタウロスは最早、ほぼ思考能力が損失していた
それはそうだ先程は全く効かなかったのに今は全身が痙攣し、体のいうことは全く利かない状況に陥ったのだから
「うん
そう言って冒険者ははミノタウロスの顔の前まで来た。
少し回復した視力で、ミノタウロスはその薄ら笑いを見て悪意を感じ取り
「じゃ、
死が避けられないことを確信した。
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僕は香ばしい香りがする、肉塊から背を向け、さっきの白髪くんの声がした方に走っていた。
「それにしても、折れてても案外動くもんだね。」
僕は左手の握ったペンライトを見て呟いた
このペンライトは防犯用のモノなので、専用のボタンを押せば、常人なら失明の危険になる位の閃光が出る
「やっぱりルーティーンの呪文唱えると調子いいね」
僕は前世から大きいイベントに挑む時は決まった呪文を唱えている。不思議と唱えるといつも調子がよくなるのだ。
・・・・・・・・・いつもより調子が出てるけど。
「それにしても、白髪くん何処まで逃げたんだろう?」
そう言って何回目かの曲がり角を曲がった時。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「がふ!!」
僕は赤い物体に吹っ飛ばされた!!
薄れゆく意識の中で見たのは、またしても気づかず走り去って行く少年と
何故か途方にくれる少女だった。
主人公は二度目の交通事故に遭いました