その日の天気は晴れでした   作:puc119

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本編スタートです




日常
プロローグ


 

 

「はよーざいます」

 

 1月4日。確か、その日の天気は晴れだったと思う。年末年始の休日も終わってしまい、なんとも憂鬱な気分。

 

 自分でも適当だと思うような挨拶をしながら、自分の仕事場へ。

 はぁ、今日からまた日常が始まるのか……ホント、もう少しゆっくり休みたかったものだ。

 

「……おっす」

 

 自分の挨拶もどうかと思ったが、それ以上に酷い挨拶が返ってきた。そんな挨拶をしてきたのは、愛すべき同僚らしい。どうせコイツは年末年始の間、ずっといたのだろう。ホント、ご苦労なことで。

 部屋の中にはまだ同僚しかいないらしく、普段は騒がしいくらいなこともあり、寂しく感じた。

 

 同僚の様子は酷いもので、明らかに疲れていますと言った感じ。徹夜何日目だろうか。

 

「何日目?」

「二日目」

 

 じゃあ、あと二日は大丈夫だな。

 それくらいならまだ栄養ドリンクのがぶ飲みでどうとでもなる。

 

「実家に帰ってたんだろう? どうだった?」

 

 どうだった? と聞かれても……

 

「まぁ、それなりに楽しかったよ」

 

 特にこれと言った出来事は何もなかった。甥っ子君や姪っ子ちゃんは可愛かったし、従妹も元気な様子。お年玉のせいで、無駄な出費をしてしまったが、まぁ、それくらいは仕方無い。

 ゆっくりと休むことはできなかったけれど、それなりに充実した日々だったと思う。余った缶ビールも持ち帰ることができたし、満足満足。

 

「……羨ましい限りだ」

 

 お疲れ様です。

 

 荷物をいつもの場所へ置き、パソコンを起動。どうせメールとか沢山来てるんだろうなぁ……面倒臭い。

 

「なんか欲しいものある?」

 

 パソコンが立ち上がるまで暇だったため、同僚に声をかけてみた。此処は優しい俺が飲み物の一つでも奢ってやろうじゃないか。

 

「毎朝美味しい味噌汁作ってくれる嫁さん」

「了解。掃除のおばちゃんに声かけてみるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 喫煙所で一服し、同僚のための缶コーヒーを買ってから戻ると、部屋の中は少しばかり賑やかになっていた。

 

「あっ、先輩。おはようございます。今年もよろしくおねがいします」

 

 なんて、後輩ちゃんが随分と丁寧な挨拶をしてきた。

 そう言えば新年明けていたんだったか。今回の年末年始はたっぷりと満喫していたはずなのに、どうにもそんな感じがしなかった。

 

「ん、おはよう。よろしく」

 

 なんだか恥ずかしかったため、後輩ちゃんへも適当に挨拶。俺にはそれくらいが丁度良い。

 買ってきた缶コーヒーを同僚に投げつけから、メールのチェック。予想通り沢山のメールが届いていた。こりゃあ、忙しくなりそうだ。

 

「お土産ちゃんと持ってきましたよ!」

 

 そんな元気な後輩ちゃんの声。

 ポチポチとメールをチェックしてみたけれど、思っていたよりは忙しくは……ああ、ダメだ。面倒な奴がある。

 

「ああ、信玄餅か。ありがとう。大好きだよ」

 

 んで、仕事の期限は……今週の木曜日だと? あと三日しかないじゃないか。いや、待て。流石にこれはキツいぞ。

 

「ちょっ、まだ何も言ってないじゃないですか」

 

 うっわ、今からやって間に合うのかコレ。データ集めて、資料作って、プレゼンの準備して……これは死ねますな。四日後には今の同僚よりも酷い姿になっていそうだ。

 いつものことだけど、もっと早く連絡してくれれば良かったのに。

 

「あら、今回は違うの?」

「い、いや、信玄餅ですけど……」

 

 でしょうね。

 まぁ、信玄餅は好きだよ? ちょっと食べにくいけど。

 

 はぁ、あのデータは確か英語だったよなぁ……翻訳から始めないといけないのか。

 せっかく新年明けたってのに、これじゃあなぁ……

 

 

 

 

 俺の仕事場はかなり特殊で、忙しい時期は鬼のように忙しくなるけれど、忙しくない時期は本当に暇になる。3、4日徹夜しなければ間に合わない時もあるし、雑談しているだけで終わる日もある。そんななんとも特殊な環境。

 一応、この時間からこの時間まで働けと決められてはいるものの、その時間になってもボスはまだ来ていない。確か、新年の最初は挨拶するとか言っていたと思うんだけど、気のせいだっただろうか?

 まぁ、それもいつも通りなんだけどさ。

 

「今週の土日だけどさ」

 

 カタカタとパソコンで資料を作っていると、同僚が声をかけてきた。これから何時間連続でパソコンの画面を見続けることになるのやら……ずっとパソコンの画面を見ていると、肩が凝って大変なんだ。

 

「うん、どったの?」

 

 確か、ブルーライトカットメガネとやらをつければ多少は楽になるって聞いたけど、試しに買ってみようかな。ただでさえ、規則正しくない生活を続けているんだ。これ以上身体をいじめたくはない。

 

「お前、暇?」

 

 そんな同僚の言葉を受けてから、チラリと卓上のカレンダーへ目を移してみる。今週の土日に予定は何も書かれていなかった。

 

 さてさて、お仕事お仕事。

 

「まぁ、今のところは」

 

 あら? このデータなんかおかしくないか? 明らかに、他のデータと合わないんだが……はぁ、ボスが来たら聞かないといけなくなった。

 

「じゃあ、決まりだな」

「うん? 何が?」

 

 一度、手を止めて同僚の方を向く。

 何が何だかわからないが、色々と話が進んでいる。何の話だろうか? どうでも良いようなことなら断りたいのだけど。せっかくの休日くらいモンハンやりたいし。

 

「泊まりでスキー行くこと」

「何それ。聞いてないぞ」

 

 同僚からは予想外の回答。

 いや、スキーは良いけれどちょっといきなりすぎやしないだろうか。いつものことだけど、急過ぎる。

 

「後輩ちゃんが行きたいんだってさ。んで、お前が来ないと車が足りないんだよ」

 

 ああ、それなら仕方無いか。可愛い後輩のためだ。俺も行かせてもらおう。週末までに体力が回復していれば良いけど。この歳になると1回徹夜するだけで、かなりボロボロになる。昔はもう少し頑張れた気がするんだけどなぁ。

 

「了解。俺も行くよ。それって誰が行くんだ? あと、宿とかは?」

「俺とお前、お嬢に後輩ちゃんと後輩君、あと先輩ちゃんさんだな。宿は後輩ちゃんがもう予約したって言ってたよ」

 

 なるほど、計6人か。そして、もう宿は予約しちゃったのね。この時期なんてどこの宿もいっぱいだろうに、よく予約できたな。それなりに前から取っていたのだろうか。

 

 そして、これで頑張らないといけなくなってしまったわけだ。手を抜くつもりなんてなかったけれど、まぁ、一山越えた後に何かがあるってのは良いことだ。それだけでモチベーションはかなり変わる。

 

 新年一発目から徹夜が確定。直ぐに終わらせることなんてできないけれど、さくさくっと片付けちゃいましょうかね。

 

 そんな感じで、俺の日常が始まった。

 

 







~登場人物まとめ~

書いている私がこんがらがるのでまとめておきます
飛ばしても問題ありません

・同僚
 バカ、とにかくバカ。でも仕事はできる。顔は良いのに性格が残念なせいか彼女はいない。コーヒーが趣味らしい。最近、ボスの影響でオカマバーへ通うように。

・後輩ちゃん
 アイドル的存在。頑張ってはいるけれど、色々と残念な娘。でも元気だけなら一番。一応、彼氏はいるらしい。

・お嬢
 身長140数cm。見た目は頑張っても中学生。マスコット的存在。仕事もできるし、しっかりとした性格。彼氏だってちゃんといるぞ。

・後輩君
 某T大卒のスーパーエース。仕事はもちろん、スポーツもできるし性格も良い。来るとこ間違えてるんじゃないだろうか。そしてイケメンである。クソが。当たり前のように彼女持ち。

・先輩ちゃんさん
 酔うと鬼絡み。ちょっと怖いけど面倒見も良く頼りになる先輩。最近、また彼氏と別れたんだって。

・ボス
 某T大卒の見た目はダンディーなおっさん。女子大に通う娘さんがいる。ちょくちょく無茶なことを言ってくるけれど、なんだかんだ頼りになる上司。奥さんに秘密でオカマバーへよく行く。
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