インフィニット・ストラトス 恥ずかしがり屋で臆病なメイド? 作:リファイン
今回は大分、走り書き? ぽいので誤字脱字が多いのかもしれませんがご指摘していただければ直します!
面白く書くのって難しい……
澪「時間が……!」
ボクこと、天羽澪はお嬢様――更識楯無さまに泣きついた後、ダッシュで自分の寮室に向かっている。
寮の門限は基本午後8時でそれを過ぎれば寮長である、我らが織斑先生に怒られてしまう。本音が言うには、よく出席簿の角で頭を叩かれている(織斑一夏が)らしい。あんな硬いもので頭を叩かれたら頭蓋骨骨折とかになりそうで嫌だ。
そんなこんなで急いでいるボクの視界の前には、寮の入り口で仁王立ちしている教師が一人――噂をすれば件の織斑千冬先生だ。時間があるというのに、なぜこうもプレッシャーを与えるようなことを……。
澪「えぇい! 間に合っているはずなのに!」
千冬「夜中に大きな声を出すな馬鹿者!」
つい叫んでしまったボクを先生が怒鳴り返す。その声に萎縮したボクは走るのを止めて恐る恐る歩く。叫んでしまったのは悪いと思うけど、そんなに怒らなくてもいいじゃないですか……。
入り口まで到達するとボクの額を小突いてきた。意外に威力が強くて後ろにのけぞり、しかも地味に痛くて軽く泣きそう、ほんとに。
千冬「門限ギリギリなのはあまり感心しないが仕方のないこともある。だが、大声を出すな」
澪「はい、以後気をつけます……」
千冬「まぁいい、早く部屋に戻れ。お前をずっと待っている奴がいる」
ではな、という台詞と共にクールに去っていく織斑先生。でも今のはまるで諭すような言い方だった気がする……おでこは痛いけど。まぁ弟の一夏くんは、出席簿の角で殴られているのを考えるとボクはまだマシなほうか、痛いけど!
澪「だが、部屋で誰が待っている、本音なのか? それとも別の誰か?」
部屋に向かいながら織斑先生の言った「待っている奴がいる」というのが気になって変に警戒してしまう。
部屋に近づく度に一歩一歩の足取りが重くなる。誰だ、誰がいる? 心音を耳元で聞いているのかと勘違いするほどに鼓動が早い。
そんなこんなで部屋に着くころには、冷や汗が滴り制服が汗で濡れて気持ち悪いが今はそんなことを気にしている場合ではない。この部屋に誰かがボクを待っている。先生が生徒にそんなことを言うぐらいだから長い時間待っていたに違いない。
澪「落ち着け。落ち着くんだ澪!」
震える手をドアノブに掛けてそっと扉を開ける。こんな状態で開く音すらしないほどに静かに開けられるのは奇跡だ。
しかし部屋には誰もいない。ルームメイトである本音すらいないぞ? ふと、私の使っているベットの上に何か手紙が置いてあるのでそれを読んでみる。
澪「メールしたのに返事が返ってこないし、とりあえず出来るだけ早く食堂に来てね~……ってこれ本音の字だ。メールも入ってるし……19時に送られてきただと!? もう20時になるし、急がないと!」
部屋を出て、全力疾走で食堂に向かう。ほぼ1時間の間、本音を待たせていることになるが、織斑先生があんな忠告したのもそういうこと、か。先ほどまで重かった足が不思議なくらい軽くなってもう目の前に食堂が見える!
勢いよく扉を開けたのと同時に、バァン! という音と共に私の頭に何かが降りかかった。その何かを見ると、クラッカーに入っているような細くて長いカラフルな紙だ。
全力疾走してきたせいで息切れが激しく、頭がいまいち回らない。と言うかパッと見て2クラス分くらいの生徒がここにいる気がしないでもなのだが……何かの集まりなのか? 周りを見れば本音もいるし、少し離れた所に織斑くんと篠ノ乃さん、対戦相手だったオルコットさんもいる。
澪「1組と3組のクラスメイトが、いるのか?」
三組クラス全員「澪ちゃん、模擬戦お疲れ様~!」
澪「……んんっ!?」
拍手と共に歓声が沸きあがる。どうも今日やった模擬戦のお疲れ様会? のようだ。呼吸が落ち着いてきたボクは冷静に考えつつ、頭や身体に纏わりつくクラッカーの残滓を手で纏めて片付ける。ほんのり火薬の匂いがするけど、意外といい匂い……。
澪「これはどういうことなんだ?」
クラスメイト1「実はね、1組がクラス代表決まったからパーティー開くことになったらしくてさ、じゃあ3組も天羽さんのお疲れ様会を一緒に出来ないかな~って思ってね」
澪「そうだったのか……19時にメールが来てたのさっき気付いたから急いできたんだが……すまなかった」
クラスメイト1「ずっとISの整備してたんでしょ? 気にしないで?」
クラスメイト2「それにしても天羽さんのISってカッコいいね。変形するISって始めて見たわ」
案内された席に着いて、クラスメイトから今回の模擬戦の感想やISについて聞かれまくったよ。出されたオードブルをみんなで食べながら、ボクは全員から応援を受けた。
模擬戦で負けたボクを責めてくる人は誰も居なかった。誰か一人ぐらい言ってくる人がいるのかと思ったけど、それがボクの心に火をつけてくれた。今度こそ、リ・ガズィを完全に調整してみせると。
澪「オルコット、さん……」
クラス関係なしにみんなが騒いでいるのをいつの間にか隣にいた本音と一緒に話していた。紅茶をのんびり飲んでいると今日の対戦相手、セシリア・オルコットさんがボクに話しかけてきた。
イギリスの代表候補生の彼女は見た目も動作も一つ一つが礼儀正しく、貴族出身というのが一目で分かる。まぁ実際そうらしいのだけど、本音によれば男性に対する差別も人一倍とか。
セシリア「今日はありがとうございました。天羽さん」
澪「ううん。お礼を言うのはこっちの方だよ。ボクの目標が一つ達成されたのだから」
セシリア「目標?」
澪「貴女と一度戦ってみたいと言う目標さ。正確にはオールレンジという攻撃方法を直接受けてみたかった」
セシリア「そうだったんですの。私でよければいつでも相手になりますわよ?」
澪「ほんとに!? それは嬉しいな……」
模擬戦で受けたオールレンジ攻撃、確かに未知の攻撃で回避するのがやっとだった。でも避け続けていると懐かしさが込み上げてきた。初めてなのに、懐かしい……そんな意味の分からない気持ちになったのこそ、初めてだ。自分でもよく分からない……。
セシリア「それで貴女のIS――リ・ガズィは大丈夫ですの?」
澪「えっと、変形に使うBWSが重症かな。通常の人型は今度のクラス対抗戦にギリギリ間に合うか合わないか微妙なところだけど、なんとかなるさ」
本音「私も手伝おうか~?」
澪「気持ちは嬉しいがお前もやることあるんだから、本当に空いた時でいい」
本音の技術力は、ボクと同じかそれ以上の実力だ。こう見えて彼女は手先が器用で要領もいい。本当に困ったときに助けてもらっているが、助かっている。幼馴染であり、ライバルでもある。簪も含めて、私達は助け合いながらお互いに競っているのだ。まぁ簪は、ある出来事で助けようにも断られてしまうが……。
セシリア「そうですの。もし何かありましたら私もお力になりますので、遠慮なく言ってくださいまし?」
澪「あぁ、その時はお願いするよ。そういえば一組のクラス代表ってオルコットさんに?」
セシリア「いいえ。一夏さんにお譲りいたしましたわ。彼の内なる可能性に期待しようと思いまして」
……男性嫌いと聞いていたけど、そんな感じじゃないぞ? むしろ好意的に思えるんだが。模擬戦を通じて何か感じる部分があったのだろうか。
優雅に紅茶を飲むオルコットさんの頬はかすかに紅潮している。男子のことを話そうとすると恥ずかしいっぽい。かくいう私も人のことは言えないのだが。
なにせ、学校は全部女子高。話したことのある男性も、父さん、お嬢様の父君、更識家に仕える数少ない執事の方だけだ。同い年の男の子と話したのは織斑くんが初めてなのだ。あの時も、少し話しただけで心臓の鼓動が激しかったし。
本音「せっかくクラスに男子がいるんだから持ち上げないとね~」
澪「それ、本人が聞いたら悲しむぞ……」
一夏「三人で何話してんだ?」
噂をすれば、織斑くんが私達の所までやってきた。見慣れない男子に恥ずかしくて俯いてしまう。直視できるかよ……!
本音「おりむーの事話してたんだよ~。クラス代表にして持ち上げないとねーって」
一夏「そういうの止めてくれよ……決まったからにはやるけど」
セシリア「ファイトですわ、一夏さん♪」
うーん、オルコットさん、明らかに聞いてたのと違うんだが……まぁ男性だからって差別するのはおかしいし、差別意識が無くなったのならいいことであるか。
一夏「そういえば天羽さん、あのISって天羽さんの専用機なのか?」
澪「ふぇ!? い、いや、ちが、ちがいます、ん……」
いきなり話しかけられて吃驚したぁぁぁ! 上擦った声だしちゃったじゃないか! ちぃぃ……恥ずかしすぎるっ。顔がめちゃくちゃ熱いぞ……。
本音「あれは試作機なんだよ~。変形機能を持ったISのね~」
一夏「試作機……それを任されるなんて凄いな天羽さんって!」
澪「いや、うん……ボクはまだまだ、だよ……」
邪念など全くなさそうな笑顔でボクを褒めてくる織斑くん。男の子って平気でそういうことを言うんだろうか? それともボクの耐性が低すぎるだけ? なんとなく後者な気がするけど……。
さっきからそんなボクを見て本音が笑い続けていることに少しだけムッとする。彼女の社交性の高さは見習うべきではある。
ボクはこれでもお嬢様に仕えるメイドだし、人前に出ても平気でいられるように頑張らないといけない。お嬢様に恥をかかせるわけにはいかないから。
クラスメイト3「おーい、みんなで集合写真撮ろうよ!」
その一言で全員が私達の周りに集まってきた。織斑くんが目的なんだろうけど、さすがに全員は入りきらないと言うことでクラス毎に分かれることに。
三組全員で取った写真、後に見させてもらうと強張った笑顔をしている自分が可笑しかったが、こういう写真ってボクは好きだ。
今回は悲惨な結果になってしまったけど、自分の為にもクラスの為にもクラス代表を頑張っていこうと思う。こんな楽しい思い出があればボクはまだまだ頑張れるから――
澪「簪、機体の調子はどうだ?」
簪「各駆動バイパスの調整が全然あわない。武装も姿勢制御やセンサー類の調整も稼動までまだかかりそう」
澪「なぁ簪、ボクに出来る事があったら言ってくれよ……」
簪「別に、いい」
数日経った放課後、損傷したリ・ガズィの整備を終えて外のベンチで休憩していると、同じくISの調整を終えた簪とバッタリ会った。
ボクに気が付くと隣に座ってきた。表情を見ると今日も上手く調整がいかなかったのか、暗かった。
簪は日本の代表候補生ではあるが、専用機は未完成のままだ。原因は織斑くんに集中している身勝手な大人たちだけど、ボク達にはどうしようもできない。
簪「気持ちは嬉しい。でも、私は一人で完成させたいの。お姉ちゃんがそうだったように」
澪「……お嬢様と簪は違うじゃないか。どうせ僕がお嬢様の回し者だと思われているのかもしれないけど、手伝いたいって言う気持ちはボク自身の思いだ」
簪「うん……」
簪は姉であるお嬢様にコンプレックスを抱いている。お嬢様のISは自分一人で完成させたのだけど、簪も――というか周りの大人が同じような期待を簪に向けていると言うのが大きい。ISに限らず、何に対してもだ。
そんな酷い事が現在進行形で発生しているのだ。お嬢様自身は気にしていなくとも、簪本人や身内に問題がある以上、根本的な解決にはならない。
だからボクと本音は簪を支えると誓ったのだ。ボクは立場上お嬢様のメイドであるが、簪とは主従関係ではなく、心の底からの親友として支えていきたい。それがボク達に出来る支えだと信じて――
???「おや、君達は新入生か」
澪「えっと、どなた……です?」
綺麗な声を背後から掛けられて振り向くと、長身でグラマーな生徒に声を掛けられた。
よく見ると二年生なこの人は、金髪の腰まで届くロングヘアーに全てを見通すような蒼い瞳をしていた。先ほども言った様に、グラマーで180cm以上ある彼女はモデルと見間違えてしまう程だ。
こちらに歩いてくる姿も優雅で、凛々しくも力強く感じる。ボク達とはいろいろと訳が違う……圧倒的な雰囲気にボクも簪も彼女に見惚れていた。
???「ん? どうかしたのかね?」
簪「い、いえ! 澪も呆けてないで!」
澪「はっ……すいません。つい見惚れてしまって……」
???「いや、別に気にしていないよ。今年の新入生がどんな子達なのか見ていたのだが……面白い子達ばかりだ」
凛としている態度は、かなりのカリスマ性を感じさせられる。お嬢様もカリスマ性はあるが、また違うタイプのカリスマだ。
澪「ボク達に何か御用でしょうか?」
???「散歩も兼ねて新入生を見ていたら君達をたまたま見つけただけなのだよ。これにて失礼する。これからも頑張りたまえ」
澪「はぁ……?」
???「これで確信した……」
何か言った気もするが、二年生は凛とした態度をそのままに何処かへと行ってしまった。しかし、なぜか初めて会った感じがしない。この前、オールレンジ攻撃を受けたかのような不思議な感覚だ。
簪「澪? 怖い顔になってるよ?」
澪「ん、ごめん。ちょっと考えてて」
簪「さっきの上級生?」
澪「あぁ。まぁ対した事じゃないよ。ボク達も寮に戻るとしよう」
不思議な感覚が気になりながらもボク達はこの場を後にした。
寮に帰る途中で簪とアニメ鑑賞をする話になり、早めに晩御飯を食べてボクの部屋で観ることに。本音も交えて三人で見ていると、本音が23時頃に寝落ちして、ボクと簪もいつの間にか寝落ちしていた。
その次の日の授業は眠気との戦いで、授業の内容なんてとてもだけど入ってこなかったのは言うまでもない。アニメのことになるとボクも簪も時間を忘れてしまうのだが、これは直さないとこれからの学校生活が大変なことになってしまう。割と本気で焦っている……
澪にとって壁となる人物がとうとう現れました。金髪さんは重要な鍵を握っていますが、詳しくはこれからの物語で。