やはり喰種の俺が青春ラブコメをするのはまちがっている。 作:Daiki0426
八幡side
……どうしてこうなった。
あの後グループ決めが行われたが、義輝は休みだし、親父と大志は違うとこに行くし、他の人たちは俺を変な目で見てきて散々だった。
そんな失意の中にいた俺を救ってくれたのは同級生の本牧という男で『よかったら俺たちと組まないか?』と言ってくれたのは、涙ものだったぜ。
ここまでは何もかもよかったんだが、本牧の組んでいた奴が問題だった。そいつは喰種でありながらスクールカーストの最上位グループに属しているその女は――
「それでね藤沢ちゃん! わたし的には『よし×はち』が一番なんだけどその逆の『はち×よし』も美味しい! あっ! あと『はち×――」
「やめろ!」
「むぐっ⁉︎」
これ以上こいつに喋らせるのは危険と判断し、背後にまわって手で口を塞いだ。
この女は海老名姫菜。クラス最上位の葉山グループに属していながら他のメンバーに比べて地味で一見どこにでもいそうな女子高生に見える。
だが趣味がBL、つまり一般的に腐女子と呼ばれる存在だ。まぁ別にそれ自体は全然問題ない。というか他人がどんな趣味をしているかなんて関係ないしな。そう、本当に関係なかったらな……。
実のところをいうと海老名は『よし×はち』とかいう俺と義輝カップリングを押してくる。最初は俺だけだったからよかったんだが、あるとき偶然にも義輝にその会話を聞かれてしまった。
あの時はホントやばかった……。あの義輝が俺を変な目で見てきたときはまた一人になるのかと思っちまった。
というわけで本牧たちに聞かせると俺の性癖が疑われかねない。というか数少ない友好関係が崩れかねないから海老名には細心の注意を払わないといけない。
「比企谷、海老名と何があったのかは知らないけど、そろそろ話してやったらどうだ。ちょっと苦しそうだよ」
本牧に言われてみていると海老名が苦しそうにしていた。少し不安だがとりあえず海老名を離す。
「ちょっと酷いよ比企谷くん! いきなり口塞がなくてもいいでしょ!」
「知るかよ。事実無根の話を藤沢にしようとしていたお前が悪い」
『え〜』と駄々こねている腐女子のことはほっといて、今は喰場荒らしの捜索が大事だ。
喰場荒らしは食った後の始末をせずに去っていくからその始末は俺たちが見つけ次第かたづけている。だがそのやり方にも限界がある。もし見つけそこねた死体が人間に見つかったりしたら白鳩の連中どもがこの地区にやって来るであろう。
そうならないうちに喰場荒らしをどうにかしないといけないんだが、肝心の喰場荒らしは姿はおろか痕跡すら残していない。そうなると地道にしらみ潰しをするしかない。たが、もしも俺たちが見つけるまえに人間に見つかったら……。
「どうかしたか比企谷? やけに思いつめた顔をしてるけど」
俺の様子を見かけたのか本牧が話しかけてきた。
「……いや、なんでもない。ちょっと考え事をしてただけだ。」
「そうか……、まあそう考え込まないほうがいいよ。一人じゃどうしようもないことくらいあるからさ」
本牧は少し心配しながらそう言った。
「いやホントたいしたことじゃなないから気にすんな。でもまあ……ありがとよ」
本牧にそう言い俺は再び歩き始める。
……確かにそうだ。まだ決まったわけじゃないのに最初から諦めてしまうのは俺の悪い癖だ。俺も少しぐらいはポジティブ思考ができるようにならないとな。雪ノ下の奴に変わるだの変わらないだの言った癖に自分が変わろうとしてるとかちょっと笑えるな。
待ってろ喰場荒らし。この俺、比企谷八幡さまが貴様を捕まえてやるぜ‼︎
俺たちは夜道の闇へと進んでいく。
******
ぜんぜん見つかんねぇ……。あの心の中の宣言から二時間以上たったが一向に見つかる気配はない。というかそもそもやみくもに探すこと自体が間違っていたんだ。ああ、きっとそうだ。そうと決まれば帰るとするか。えっポジティブ思考? 何それおいしいの?
「おいお前ら。俺寝るからあとよろしく」
「「「いいわけあるか‼︎(ありませんよ‼︎)」」」
本牧、藤崎に突っ込まれる。
「あれ、やっぱ駄目?」
「駄目に決まってるだろ……」
呆れたように本牧はそう言った。
ちっ、俺の録画してたテレビを見るという野望があっけなく潰れてしまった。
「それにしてもなかなか見つかりませんね」
「そりゃ当たり前だろ藤沢。ろくに痕跡を残さずに去っていくような奴だぞ。そう簡単に捕まる相手ならとっくに捕まってるさ」
「そうだよね。そんなに簡単に見つかったらこんなことになってないよね……」
俯きながら海老名はそう言った。
まあそりゃそうだよな。本牧や海老名たちにも家族はいるんだ。俺だけが不安なんじゃない。
とにかく今は海老名の不安を少しでも解消させよう。別に好きとかじゃないからね。戦いには心のモチベーションも大事だけだからね。……なんかツンデレっぽいな。
「海老名、別にお前が気にすることは」
「ところで比企谷くんと本牧くんはお互いに付き合ったらどっちが攻めになるの⁉︎ 個人的には比企谷くんが攻めがいいけど、本牧くんが攻めなのもいい⁉︎」
「「いい加減にしろ!(してくれ!)」」
こいつの事を少し心配した俺がバカだった……。
「はあ……、海老名には苦労するよ……」
「同感だな。あいつの場合現実の人間をターゲットにするからな。あいつの周りの人間共も大変だろうな」
休み時間とかにも葉山やその手下の三人組とかが標的になってたしな。それをフォローしている三なんとか……縦ロールも大変だろうな。
それにしてもこんな奴が由比ヶ浜と同じトップカーストに属していられるのかがいまいちわからない。というか喰種なのにそんなに目立って大丈夫なのか?
「そういえば比企谷は学校では普段どうしてるんだ?」
ふと思ったのだろうか本牧が俺にそう聞いてきた。
「授業は真面目に受けて、休み時間は寝たふりをしているが」
「……比企谷はクラスのみんなとは話さないのか?」
「なんでそんな事をする必要がある。そりゃ俺も相手が話しかけて来たら返答するように心がけているが、基本は誰とも話すつもりはない」
「そ、そうなんだ……」
そう言うと本牧は若干ひき気味になった。まぁそもそも俺に話しかけてくる奴なんていないけどね……。
ちなみに義輝も俺と同じような事をやっているが、普段の発言のせいか悪い意味で目立ってしまっている。てか教室でそのテンションで大声で話しかけられたときはマジで恥ずかしかった。
「そういうお前はなんで人間と平気で話せるんだ? わざわざ正体がバレる危険を冒してまでする意味などないと思うんだが」
まあ俺の場合、警戒し過ぎなんだが、少しでも人間とは最低限のコミュニケーションしかとらないのがベストである。
それにも変わらずこいつ等は人間と日常的な会話を平気でしている。それも一度でも疑いをかけられれば、この世界から追われる身になるにもかかわらずにだ。
「まぁ確かに比企谷の言うとおり正体が露見するようなことはしないほうがいい思う」
「だったらなんでだ?」
「……知りたいから、かな」
「知りたいから?」
俺がそう聞くと本牧は嬉しそうに話し始めた。
「ああ、人間って僕ら喰種と違うところがあるだろ。例えば食事だったりとか」
「まあ、喰種だったら多かれ少なかれ気になるだろうな」
「他にも人間がどんな事を考えているとか、どんな所に遊びに行ったりしているのとかさ。僕ら喰種は白鳩に身を潜めて生きているから人間たちとの新鮮なんだよ。まあ、たまに喰種関連のことで落ち込むこともあるけどね……」
「本牧……」
先程まで嬉しそうに話していた本牧が少し暗い表情になった。
まあ俺のように喰種なんだから人間からすれば悪であり敵である。たがらそんな話を聞いたところで仕方のないことだと割り切っている。
たが、本牧のような人間に友好的な奴だったら、多かれ少なかれ傷つくこともあるだろう。
それでも人間と接していられる本牧、いやこいつ等は素直にすごいと思った。たが、同時に危ういとも思った。
「本牧、お前たちの考えはよく分かった。たが、お前らに一つ忠告しとくぞ」
「なんだい?」
「深入りはするなよ」
「……分かってるよ」
小さな声だがしっかりとした声で俺にそう返答した。
「ところで比企谷」
「なんだ?」
「海老名たちと逸れてない……?」
「……あ」
やっべ、つい話し込んでたら海老名たちが先いっちまった。
「どうする?」
「まあ逸れてしまったのは仕方がない。今から連絡して合流すればいいだろ」
「それもそうだね」
そう言い本牧が海老名立ちに連絡しようとしたそのとき――
「誰か助けてー‼︎」
「「ッ⁉︎」」
路地裏の方から女性らしき声が聞こえる。
「……本牧、俺が見てくるから、お前は海老名たちと合流次第コッチに来てくれ」
「分かった」
本牧のそう言い俺は声が聞こえたほうに走る。
喰場荒らしはひとに見つかりやすい場所で捕食をする傾向がある。厳密にいうと人間を食べることに固執してるから必然的に人が行きやすい場所で捕食をしている。本当に迷惑な奴が来たもんだ。
声が聞こえたほうに近づくと何やら喋っているようだ。俺は近くの角に身を潜めて様子をうかがう。見てみるとそこには一人の少女とわりとガタイのいい喰種がいる。
「おいおい、いきなり大声を出すんじゃねえよ。誰か見に来たらばれちまうじゃねえかよ」
「ひぃ! ご、ごめんなさい」
怯えている少女に男は助けを求めさせないように脅している。
ここで俺の取るべき行動は二つある。ます一つめは本牧たちが来るのを待つ。これがあの喰種を捕まえるのに最も確率の高い方法だ。だがかなりの確率で少女は殺されるだろう。
そこで二つめの案は俺が直接喰種と戦うことだ。こうすれば少女はまず助かるだろう。
だが俺は赫子が使えない。正確にいうと赫子を使うことを禁じられている。結果、戦うなら素手で戦うしかないが、相手は赫子を使ってくるだろうし、十中八九俺の負けだ。
そもそも俺がリスクをおかしてまで少女を助ける義理はないし、そもそも人間だ。正体がバレるようなことをする馬鹿はいない。
そう……助ける理由などない、はず……。
「ひひ、美味そうな女だ。千葉まで来たかいがあるぜ」
「ぼ、僕は女じゃ……」
「声が小さくて何言ってんのかわかんねえぜ。ま、人間の言うことなんぞどうでもいいし、とっとと俺に食わせろ‼︎」
「っ!」
男は翼の形をした赫子、羽赫を放出し少女に目掛けて放とうとしている。少女は自分の死を覚悟したのだろうか目を瞑る。
そして赫子が少女を貫く……
その瞬間、俺は全力で少女のもとに走る。すでに男の赫子はすでに放たれようとしている。俺はさらに加速し、そして少女を抱きかかえて男から距離をとる。その際に赫子が数発、足に被弾する。
「えっ……⁉︎」
少女はまさか助けられるとは思ってもいなかったようで驚いた様子だ。
一方獲物を横取りされた男は不機嫌そうな様子でこちらを睨みつけている。
「おいおい、なに邪魔しちゃってくれてんの? 人の獲物横取りしといてタダで済むと思うなよ」
「はっ、なに言ってんのか。お前こそ人の家荒らしてタダで済むと思ってんのだとしたら笑えるわ」
「て、てめぇー‼︎ ぶっ殺してやる‼︎」
いや怖い、怖すぎるって。ちょっとした出来心で挑発しただけだからホントは百パー負けるって思ってるから。だからそんなに怒んないで、赫子超怖いから、マジで怖いから(汗)。
まぁ馬鹿なことは考えないで、いつでも奴と戦えるよう臨戦態勢にとる。
結局助けてしまったな。勝つ確率が高いわけでもないのに、理性ではあれほど助けるなといっていたのに結局感情まかせで動いてしまった。
それが俺の欠点だ。
前回バトル物を書くとか言っておきながら結局書けずじまいになって、普通の話になってしまい本当にすみません。
次回こそバトル物を書きたいと思います。これからも楽しみに見てください。
また感想、批評、こうした方がいいなどのアドバイスなどもよろしくお願いします。