やはり喰種の俺が青春ラブコメをするのはまちがっている。   作:Daiki0426

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前回、12月の終わりに投稿すると書いていたのに、気付けば7月の終わりだった……。

本当に申し訳ございません。


episode:12 狐が大食いに立ち向かうのは間違っていない。

正面から放たれる四本の赫子から逃れるため、後ろに飛びながら一本づつよけていく。神代の赫子は俺のいた場所のコンクリートを次々と貫いていった。どうやって神代に攻撃を仕掛けるのか考えるが、そんな事を考える余裕を与えんとばかりに次々と赫子が襲いかかってくる。

 

「うわっ、アレをくらったらひとたまりもないな…」

 

右、左、上、下、さまざまな方向から赫子が襲いかかる。一本、一本よく見ればギリギリかわせないこともないが、体力的にも精神的にそれほど長くは避けていられない。それに……

 

「ほらほら、逃げてるばかりじゃわたしを倒せないわよ! それに後ろを顔つけたほうがいいわよ」

 

そんなこと言われなくても知ってる。俺の背後には建物がある。このまま後ろに下がり続けたらいずれ建物にぶつかり、そうなればまさに袋の鼠、なす術なく赫子に貫かれるだろう。

まぁ、これが狙いなんだけどな。

 

「これでおしまいよ!」

 

そう言い神代は四本の赫子を一斉に俺めがけて放つ。今がチャンスだ。そう思い俺は尾赫を九本出してうち四本で神城の赫子をガードし、残りの五本で建物を上がり屋上に向かう。

 

「ふうっ…、とりあえずはなんとかなったな」

 

建物にぶつかって赫子に貫かれるという最悪の展開は避けられたが、依然として神代の脅威から逃れられたわけではない。むしろ戦わざるをえない状況になったといえる。

もし、このままあんていくに帰ったら神代があんていくを襲撃する可能性が考えられる。そうなったら白鳩も動くだろうし、最悪俺たちが喰種であることがバレる可能性すらある。ただでさえ迷惑をかけているというのにそんな事になったら、たとえ死んだとしても死に切れない。

それに俺が人前で死んだら小町たちにも喰種の嫌疑がかけられるのは間違いない。どのみち神代とは戦わなければいけない。

そう考えているうちに神代が赫子を使い屋上に上がってきた。

 

「ホントお前なんなの? 俺のファン? もしくはストーカーか?」

 

「それは自意識過剰よ、それにしても尾赫……。ふーん、やっぱりあの人の言うとおりね」

 

あの人? 誰のことなのかは知らないが、十中八九俺の知り合いだろう。誰の事かは少し気になるが……、あとで神代の口を割らせれ聞けばいいか。

 

「いくぞ…」

 

気を引き締めて赫子を神代に向け放ち、神代もそれに応戦して赫子を放つ。お互いの赫子がぶつかり合い、赫子の破片が飛び散る。だが、俺の尾赫と神代の鱗赫では単純な相性的には俺の尾赫の方が有利であるが力では鱗赫の方が上だ。事実、俺の方が押され始めつつある。

 

「ふふ、どうしたの? 赫子の勢いが弱いわよ」

 

ここぞとばかりに神代の攻撃は勢いをまし、俺に襲いかかる。

 

「チッ」

 

神代の重い攻撃の衝撃が赫子ごしに伝わってくる。

 

「っ…‼︎」

 

神代は四本の赫子を束ね、放つ。

俺は八本使い神代の赫子を相殺し、残りの一本を神代から見えないように地面に潜らせる。

神代の赫子と俺の赫子がぶつかり合い、神代は弾き飛ばされる。俺も少し体制が乱れたが直ぐに立て直し、そして床下に潜らせた赫子で神代を狙うが……

 

「残念」

 

「っ!?」

 

神代はその場から離れ、その後、神代のいた場所に床下から俺の赫子が貫いた。

 

「ふふ、策は悪くなかったわ。でも、まだまだ経験が足りてない様ね」

 

神代は微笑みながらこちらに近付いてくる。くそっ、このままじゃいずれ殺られる。何か策は……。

 

「あら、考え事なんてしている暇があるのかしら?」

 

「なっ⁉︎」

 

神代の赫子の一本が俺の赫子の間をすり抜けそのまま俺の腹部を…貫いた。

 

「ッッッ⁉︎」

 

腹が熱い‼︎ 意識も……、こうなったら全部の赫子で……。

薄れる意識を集中させ全ての赫子で神代を狙う、が…、神代は赫子一本で全ての赫子を破壊した。

 

「ふふっ馬鹿ね、あなたの赫子はもう発生させているのがやっとだったのにそんな赫子なんてわたしを倒せると思うの」

 

「グッ…、ガ……⁉︎」

 

神代は俺の腹に刺さっている赫子をおもむろに動かす、そしてそのまま投げ飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

「…悪いな小町……、兄ちゃん帰れそうにない……」

 

…薄れゆく意識のなか俺は小町への謝罪を口にしていた。

まあ、これはこれでで良かったのかもしれない。このまま俺が死んで神代に食われれば、やつらの手が小町たちに被害が及ぶ可能性は格段と下がる。そうすれば小町は平穏な暮らしを送ることが出来るだろうし、最悪、親父と爺さんがなんとかしてくれるだろう。

散々な人生であったが最後に小町の役に立てるならこんな最期も悪くはないか……。

俺に近づいてくる神代を見て俺は目を閉じた。

 

 

******

 

 

『……いいのかい、それで?』

 

いいのかって言われても相手が俺より強いし、あんなのにどう勝てばいいんだよ……。

 

『確かにそうかもしれない。だが、本当にそれでいいのか? 君は妹ちゃんを自分のせいで泣かせたくない、そう言ってたじゃないか』

 

…っ! ……仕方ねぇだろ。世の中、力だけではどうにもならない事だってたくさんある。勝てない奴には勝てない、そう決まってるだろ。

 

『……たしかに君の言う通り世の中そんなもんだと思うよ。だけど君はまだ負けちゃいない。諦めなければチャンスが来るかもしれないだろ!』

 

ハッ! そんな来るか来ないか分からないチャンスにすがれって言うんかよ。

 

『うーん、君はホントに捻くれてるね。まぁ、そう言われちゃうとそうなんだけど、君自身それで納得がいくのかい?』

 

…納得いくわけねぇだろ…!

 

『じゃあ、もう一度だけやるだけやってみないかい?』

 

……あんたがそこまで言うなら、もう一回くらい頑張ってみるよ。だが、神代には全く勝ち目は見えそうにないんだが……。

 

『……頑張れ!』

 

なんという無責任……。

 

『冗談だよ冗談。でも、相手の意表をつけば勝てるかも知れない』

 

相手の意表をつく……。

 

『とりあえず起きてから考えてみよう。じゃあ頑張れよ比企谷くん』

 

ああ…、行ってくるよ……先生。

 

 

******

 

 

「っ…⁉︎」

 

俺は一体何を見ていたんだ⁉︎ まさか夢、なのか……。いや状況的に走馬灯というべきか? まあ今は阿呆らしいことを考えてる場合ではない。とにかく今は状況を把握しないとな。

目の前に神代がいるあたり、意識を失ってからは然程時間は経っていないようだ。だが、俺が危機的状況に置かれていることには変わりない。

もはや俺の力で勝てる相手ではない以上、力でどうにかするしかないようだ。しかし俺の力は自分でも制御しきれないうえに、暴走でも起こしたら白鳩どもに嗅ぎつけられて、俺の正体をばれる危険性は極めて高い。おまけに家族はおろか芳村さんたちにも被害が及ぶ可能性だってある。

だが…、それでも俺は小町と約束したんだ。必ず家に帰ってくるってな。

そう心の中で思い、俺は腰から新たに六本の赫子、……鱗赫を出現させる。

 

「⁉︎」

 

これには神代は一瞬驚いた表情をしていたが直ぐにニヤリと笑い、こちらに近付いてくる。俺は立ち上がりながら神代へと鱗赫を向ける。神代はさらに二本の鱗赫を出し、計画六本の鱗赫で迎え撃とうとする。

赫子と赫子がぶつかり合い、一糸乱れず攻防が続く。しかし普段から鱗赫を使っているのと神代とは違い、俺は鱗赫の制御はかなり下手で神代に押されている状況だ。

 

「ふふっどうやら鱗赫は使いこなせてないようね。ここままだと確実にあなたの負っ…⁉︎」

 

余裕満々の神代の表情を変えたのは俺の新たに出した赫子、羽赫を四本出現させ、それを神代に向け羽赫を放つ。

 

「⁉︎ チッ」

 

突然の羽赫に神代も全ては防げず、いくつか被弾したようだ。だが、決定打と成り得るほどの傷は受けてなさそうだ。とはいえこの羽赫の雨では奴も真面に動けないだろうし、体力がきれるまえに策を練る必要がある。とはいえそう簡単に都合の良い考えは出てこない。奴を倒すには……。失敗する可能性は高いが即席で出来そうなのはこれしかないな。

体力切れを考慮し俺は羽赫を放つのをやめ、すぐさま神代に向かい走る。

 

「ちっ、舐めた真似をしてくれるわねえ‼︎」

 

神代は四本の鱗赫すべてを俺に向ける。俺は腰から新たに六本の赫子……鱗赫を出す。

 

「なっ⁉︎」

 

さすがの神代も俺が四種全ての赫子を使えるとは思っていなかったようだ。俺だって実際そんな奴に出会ったら驚くだろう。

 

「これで……決める‼︎」

 

神代に向けて六本の鱗赫を放つ。

 

「あまり……、調子に乗らないでくれるかしらっ!」

 

神代は俺に応戦するかのように更に二本の赫子を出現させ、計六本の鱗赫を出現させ俺の鱗赫とぶつかりあう。一本、一本と互いの鱗赫をぶつけあうが、その全てが俺の鱗赫を押している。やはり普段使ってないぶん鱗赫の一本、一本の威力も使い方も段違いだ。今のままならやはり俺の方が不利だろう。それを察したのか神代は俺の顔を見てにやりと笑う。

 

「ふふっ、もう終わりかしら? まあこのままだと貴方の負けは決まったようなものね。じゃあ……チェックメイトよ‼︎」

 

神城は俺の鱗赫を薙ぎ払い、六本の全てを一直線俺に向ける。その攻撃が俺に直撃……することはなかった。

 

「⁉︎」

 

「神代、お前は俺の攻撃をこのままだと俺の負けは決まっていると言っていたな。そう、本当にこのままだったらな」

 

神代の攻撃は俺の九本の尾赫によっていなされる。俺が他の赫子を併用できないと思い込んだのが運の尽き。人というものは思い込むと意外と他の事がみえなくなってしまう生き物だ。俺が赫子を一種類しか使っていないからといって、それを出来ないと決めつけると他の考えに及ばなくなってしまう。

 

「っこの‼︎ がっア⁉︎」

 

「全部の赫子を一気に使うからだ。自分の防御が出来なくなるだろうが……」

 

余っている鱗赫で神代の脇腹をえぐる。神代は苦悶の表情を浮かべる。

 

「……ふふっ、いいわね。ますます食べたくなってきたわ……、比企谷くんんんんん‼︎」

 

「へっ、生憎俺はあんたに食われるつもりはないけどな!」

 

俺の鱗赫六本、尾赫九本、合わせて十五本の赫子で神代を攻撃する。神城は鱗赫でうまくいなしているが、赫子の数では俺が有利であり俺が押している。だか、間違いなく俺の方が怪我をしているうえに、二種類の赫子を使っている以上、俺が先に体力切れをおこすだろう。神代もそれを予想して必要以上に体力を消耗しない動きをとっているようだ。結局のところ神代は俺よりも強く、意表をつくこと以外では神代を上回る方法がないということだ。とはいえ神代も警戒しているはずだ。単純な速攻などをやったところで決めさせてはくれないだろう。

 

「ねぇ、そろそろ終わりにしないかしら。私も貴方も疲れているし、これ以上の勝負は不毛よ。だから提案があるんだけど」

 

「……なんだ?」

 

「私に食べられてくれるかしら?」

 

「ああ、別に構わな……、って阿呆か‼︎ 嫌に決まってるだろ‼︎」

 

「あら残念。案外にしぶといわね」

 

「いやいや死ぬの分かってて食べられるほうが馬鹿だろ。百人に聞いたら百人が嫌って言うぞ。自殺願望でもない限り」

 

「そう。じゃあ続きを始めましょうか」

 

「ちっ」

 

神代は容赦なく俺に向けて鱗赫を放ち、俺も同じく鱗赫を放つ。お互いの鱗赫がぶつかり合いが始まるが、先程よりも威力をましている。どうやら一気に片をつけたいようだ。

だが、これはある意味、チャンスが到来したともいえる。攻撃と防御は反比例する。つまり攻撃すればするほど防御が疎かになる。しかし、攻撃は最大の防御といわれるように、攻撃されているうちは防御せざるを得ず、攻撃には手が回らない。その攻撃が強ければ尚更だ。

ならどうすればいいか。その答えは簡単である。それは……。

 

「これで……、終わりよ‼︎」

 

とどめを刺すために全力の攻撃を仕掛ける。だが、俺の鱗赫と尾赫がそれを防ぐ。さらに赫子同時を絡み合わせて俺の赫子を切り離す。そして羽赫を出して神代に突撃する。

 

「なっ⁉︎」

 

さすがに神代も完全に予想外だっただろう。この攻撃は『普通』だったら防げるはずのものだ。だが、神代の鱗赫は俺から切り離した鱗赫と尾赫と絡み合い、動かせない状態だ。いくら強い武器を持っていても使えないのなら意味がない。

 

「チッ」

 

咄嗟に神代は鱗赫を切り離し回避しようとするが、もう遅い。

 

「これで終わりだ‼︎」

 

右側の羽赫をブレードのようにしそのまま神代の左腕、左脇腹を切りつける。

 

「ッッッッ‼︎」

 

「ぐっ!」

 

攻撃はした勢いで屋上のフェンスにぶつかる。神代に刺された腹部を抑えながら神代の方を向く。神代は右腕で左脇腹を抑え苦悶の表情を浮かべていた。

 

「はぁ、はぁ…、ここまでズタボロにされたのは久しぶりよ……。おいしそうな匂いだったから襲ってみたけど……、こんな結果になるとわね」

 

「いや、俺もここまで追い詰められたのはあんまりないさ。むしろ単純な実力ならお前の方が強かったし、まともに戦っていれば確実に負けていたさ。お前にダメージを与えられたのは殆ど不意打ちだしな。まぁ、その不意打ちをしても赫包には届かなかったみたいだけどな」

 

「ふふっ、褒めてくれてありがとう」

 

「いや別に褒めてはいないんだが……。で、どうする? 俺もお前もかなりの怪我を負っている。だから……」

 

「痛み分けにしようって事ね。…別にいいけどまた機会があれば襲いに来るわ」

 

「いやそこは二度と襲わないだろ……」

 

「ふふっ、それじゃあね」

 

神神代は落ちていた左手を拾い帰ろうとする。

 

「ちょっと待て神代、なんで俺の事を知ってたんだ?」

 

「それは……秘密♡」

 

神代はとびっきりの笑顔を向けてそう言い、屋上から飛び降りた。普段なら惚れて、告って、振られるところだが、俺を殺そうとしたうえに血塗れでなので全くそんな気を起こさなかった。

疑問の答えは分からずじまいだったが、今はそれよりも怪我を治すことが最優先だ。今回の事も報告したいし、帰ったら芳村さんに肉を貰うとするか。

 

「……俺も帰るか」

 

怪我をしているため人気を避けながら、俺はあんていくに向かった。

 

 

******

 

 

ふふっ、彼がここまで強いとは思わなかったわ。あの人の言う通りだったわ。実力はまだまだだけど、ひょっとしたらあの死神よりも強くなるかもしれないわね。

 

「まぁ、そうなる前に私が食べるつもりなんだけどね」

 

彼はどんな味がするのだろうか? そうな事を考えながら私は帰路についた。




前書きにも書いてあった通り、去年の12月の終わりに投稿すると書いてあったのに、半年以上も投稿が遅れて本当に申し訳ございません。戦闘系は苦手で、おまけに長期間の間少しずつ進めていった為に内容が分からない所もあると思います。

次回はいつになるかは分かりませんが、これからも応援よろしくお願いします。
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