やはり喰種の俺が青春ラブコメをするのはまちがっている。 作:Daiki0426
※この話は雪ノ下のイメージが原作とかけ離れる予定です。雪乃ファンの方々は見ない方がよろしいかと思います。
八幡side
「……知らない天井だ」
「いや知ってる天井でしょ!」
目が覚めた俺は現状を確認し、俺の行ってみたい言葉ランキング上位を言ったら由比ヶ浜にツッコミを入れた。
どうやら俺は家庭科室の床に寝ていた。……誰か介抱してくれてもいいじゃん、八幡、涙でてきそう。
「そういやなんで俺はこんな所に寝ていたんだ?」
「え、ヒッキー忘れちゃったの? あ、あたしのクッキー食べて気絶しちゃったの」
そういえば由比ヶ浜のクッキー食べたんだったな。まあ、もう胃袋の中だから心配ないか。……ん、胃袋の中? しまった!
喰種は人間の食べ物を食べることが出来ない。たとえ胃袋の中にいれたとしても吐き気に襲われる。
そして俺は胃袋の中にある
「おえぇぇぇっ」
危なかった。普通の人間の食べ物を消化すると体調不良を引き起こし、喰種にとっては命取りになることも珍しくない。ましてや由比ヶ浜の木炭クッキーだ。あれはもはや人間の食べ物ですらない。あんな物を消化していたらと思うとゾッとする。
俺は家庭科に戻る。
「あら、遅かったわね、ゲロ谷君。せっかく人が作ってくれた物を吐き出すなんて酷い人ね」
家庭科室に戻るとさっそくゆきのしたの罵倒される。雪ノ下は俺にざまあみろといわんばかりの表情してそう言うがアレは人間が食っても吐きたくなるような代物だぞ。
「だったらお前も食ってみろよ」
「あら、なぜわたしが食べなければいけないのかしら」
どうやら雪ノ下は食べるつもりはないらしい。本当に口先だけの奴だ。部長なら自分で味見をするべきだろ。
まあ、俺にも確かめたいことがあったからそれを試してみるか。
「もしかして食べるのが怖いのか? あの雪ノ下雪乃とあろう者がクッキーごときも食べられないと? まあ、仕方のないことでしょう。ですが世界を変えるとか言っていた人がクッキーごときに恐れを抱いてい――」
「いいわ。あなたのその安い挑発に乗ってあげるわ」
……やっぱこいつ馬鹿だわ。
******
結論を言うと雪ノ下は俺の安い挑発に乗って、由比ヶ浜の木炭クッキーを大量に食べた。だか一つでも食べるのがきつい由比ヶ浜のクッキーを大量に食べれば、喰種の俺でなくとも体調を崩すのは明白だ。
結果、雪ノ下は立っているのも辛くなるほど体調を崩した。
「雪ノ下さん大丈夫?」
「……え、ええ大丈夫だわ。……うぅ」
雪ノ下は見て分かるほど弱っていた。ちょっとした刺激なんかで吐きそうで、立とうとすると倒れそうになった。まあ、今までの行いが悪かったから同情する気なんてないし、ましてや自分の行動でこうなったんだから自業自得としか言いようがない。
「とりあえず解決方法を考えましょう」
「由比ヶ浜に料理を絶対に作らせない」
「全否定された⁉︎」
由比ヶ浜は驚きを隠せないようだが仕方がない。さすがにアレを何度も食べるのは無理だ。よって解決より解消させるのが賢明だ。
「比企谷くん、それは最後の解決方法よ」
「それで解決しちゃうんだ⁉」
由比ヶ浜は驚愕の後に落胆した。由比ヶ浜には本当に悪いと思う。だが、仕方がないんだ。あんな食べ物を何度も食べさせられると俺の胃が持たない……。
「やっぱりあたし料理に向いていないのかな……。才能ってゆーの? そういうな――」
「それは違うと思うぞ」
由比ヶ浜は勘違いをしている。いくら才能がなくても努力をすればある程度は解決する。……あの木炭クッキーから食べられるレベルにするには並大抵の努力では無理だろうが。
「はっきり言ってお前の料理は壊滅的に酷い。だが、料理はみんなが最初から上手く作れる訳じゃない。才能がなくても料理は努力で上達する」
努力をしようとせずに諦める奴は才能任せの馬鹿だ。世の中は才能だけで生きていけるほど優しくない。ましてや、そんな奴を助けてくれる奴なんてよっぽどの善人でもない限りは絶対にしない。
「で、でもさ、こういうの最近みんなやんないって言うし。……やっぱりこういうのあってないんだよ、きっと」
……何笑ってんだよ。自分で頼んどいて勝手にやめるのは俺たちを馬鹿にしているようなものだ。しかも、その言い分だとこの家庭科室にいない連中の事である時点で気にする必要なんてないのだから、由比ヶ浜の言い分は自分のせいで諦めることを友達のせいにしたという事、つまり責任転嫁したのだ。結局のところ由比ヶ浜のいう友達とは都合のいい奴のことだ。そんなものが友達とは聞いてあきれる。
ここで由比ヶ浜を徹底的に批判してやるのもいいが、そんなことをすれば依頼を放棄しかねないし、あくまで由比ヶ浜の手伝いをするのが俺たちの本分だ。ここは慎重に指摘するべきだろう。
「お前――」
「その周囲に合わせようとするのやめてくれるかしら。ひどく不愉快だわ」
俺が喋ろうとしてるのに割り込まないでくださいよ雪ノ下さん。
だが、雪ノ下の意見はあらがち間違ってはいない。実際に極限まで人に合わせようとする人間には自分の意思というものがない。そういう人間はリーダーの意見に従いついていこうとする。つまり依存しているということだ。しかし、リーダーが間違っていた場合、例えリーダーが間違っていると気付きながらも従ってしまいそのまま自滅してしまう。
だが、人に合わせようとしないがためにクラスから拒絶された俺や雪ノ下が、クラスから拒絶されたくないがために人に合わせようとする由比ヶ浜を全否定する資格などあるのか? いや、絶対にない。
さすがに由比ヶ浜のように合わせ過ぎるのは問題だが、雪ノ下の言っていることは自分を正当化しそれを由比ヶ浜に押し付けるただの自分至上主義だ。
「自分の――」
「おい、その辺にしとけよ」
俺は雪ノ下が由比ヶ浜をつぶす前に罵倒を制止した。だが、雪ノ下は不服と言わんばかりに罵倒の矛先を俺に向けた。
「あら、あなたはこの低脳の味方をするのかしら。まぁ、所詮は弱者、一人じゃ何も出来ない卑怯者でしょ」
「お前、馬鹿なの? 普通の人間は群れるのが当たり前だ。というかそもそもお前が由比ヶ浜を非難する資格なんてないだろ」
「……どういう事かしら?」
馬鹿といった言葉に反応したのか若干怒りの混じった表情で雪ノ下は俺を睨みそう言った。
「お前さ、俺の事を社会的に不味いレベルって言ってたよな」
「ええ、それがどうかしたの?」
「つまりは協調性がないってことだろ。けどさ、それってお前も当てはまるんじゃないの?」
「……だからそれがどうかしたの」
雪ノ下は苛立ちを隠せないようだ。よっぽど他人から見下されるのが嫌な奴らしい。
俺から言わせれば俺が社会不適合者ならば雪ノ下も同じ社会不適合者といえる。そもそも俺と雪ノ下は環境こそ違えど実際に社会という名の群れからはぐれた存在だ。自分至上主義の雪ノ下は気づいていないかもしれないが、社会の『正しい』とは基本的に多数決でありそれに異議を唱える者は社会の群れから追い出され孤独の道を歩んでいく。
勿論、孤独になってもそれで終わりというわけではない。孤独に生きることになっても他人との接触を最低限にするようにして共存を図ったり、別の社会を作って自分の地位を確立させるということもできる。
「お前は由比ヶ浜の周囲に合わせることを不愉快といったな。でも逆の立場から見れば周囲に合わせないお前の方が不愉快なんだよ」
「それがどうしたっていうのよ!」
意味が分からないと言わんばかりに雪ノ下は怒鳴った。
雪ノ下のような群れの人間どもと真正面から戦いを挑む奴は大抵潰される。雪ノ下に関しては雪ノ下に関しては家の権力があるからそんな生き方が許されるのだろう。しかし由比ヶ浜が同じことをすれば間違いなく潰される。
つまりは雪ノ下の考えは由比ヶ浜を社会的に殺すに等しい行為だ。
「要は協調性がない社会不適合者のお前がくせに協調性のある由比ヶ浜を否定する。お前のやっている事はお前のやり方を否定して潰そうとした虐めた連中と同じ事をしてるんだよ!」
「ッッ⁉︎」
図星をついたのか雪ノ下は黙ってうつむいてしまった。
他人の正義は自分の正義とは限らない。むしろ、違うことの方が多いくらいだ。だが、それを悪と決めつけて潰し、そして自分の正義を押し付けるのはそれこそ真の悪だ。まあ、結論を言えば人それぞれの正義があり、正義と悪の戦いは実際は正義と正義の戦いであるということだ。
とりあえず雪ノ下を黙らせたが問題は由比ヶ浜だ。さっきの雪ノ下の言葉でこいつのはかなり傷ついていると思われる。実際に由比ヶ浜は肩を小刻みに震わせている。
「か……」
え、ちっちょっと待て! もしかして『帰る』って言おうとしてないか⁉
「ちょっと待て由比ヶ――」
「かっこいい」
「……は?」
俺は由比ヶ浜の言った言葉に拍子抜けした。いやちょっと待て。雪ノ下の言った言葉はとてもじゃないが由比ヶ浜を潰すつもりで言っていだ。だが、由比ヶ浜は目を輝かせていて、とても怒っているようには見えない。
「建前とか全然言わないんだ……。なんていうか、そういうのかっこいい……。」
なるほど、由比ヶ浜は雪ノ下の言葉をそう解釈したのか……。普通の奴はそこで怒ったり泣いたりするものだ。どうやら俺は由比ヶ浜という人物を少し侮っていたのかもしれない。
「ごめん。次はちゃんとやる」
由比ヶ浜の目にはもう迷いはなく、自分の覚悟を俺の目を見てそう言った。
とりあえず由比ヶ浜の方は解決したし、今度は雪ノ下だ。俺は雪ノ下の扱い方が少しわかってきた。こいつは挑発に対して全く耐性がない。最初はそんな馬鹿なって思っていたが、今までの雪ノ下の言動を見ていると普通の人間なら絶対に乗らない挑発ですら雪ノ下は掛かっていた。
今の雪ノ下は心身喪失といったところだ。まあ、あそこまで言ってやればそうなるか……。つまりはあいつを復活させるには挑発してやるのが一番だってことだ。
「おい、雪ノ下。由比ヶ浜に料理の作り方教えてやれよ。それともなんだ? 図星を突かれたくらいで落ち込んだか? 世界を変えるとか言ってた奴がちょっと図星突かれただけでいじけてるとか笑えるわ」
「……いいわ。あなたのその安い挑発に乗るのはしゃくだけど乗ってあげるわ」
やっぱチョロい。
******
雪ノ下の教えの元で由比ヶ浜は再びクッキーを作っていた。悪戦苦闘をしながらも由比ヶ浜はクッキーを作りあげた。出来たクッキーは少し焦げていたが食べ物にはなっていた。だが、由比ヶ浜は不服そうにそう言った。
「なんか雪ノ下さんのと違う」
どうやら由比ヶ浜は先ほど作っていた雪ノ下のクッキーと比較していたようだ。雪ノ下のクッキーはかなりの出来栄えだった。あんなのを作られたら由比ヶ浜も自分のクッキー雪ノ下のクッキーを比較したくなる。
だが、由比ヶ浜は雪ノ下と比較するべきではない。そもそも由比ヶ浜と雪ノ下では努力をしてきた時間が違う。雪ノ下はもちろん才能もあるだろうが昔から努力をしてきたのだろう。それに比べて由比ヶ浜は今日初めてまともに料理をした。両者を比べれば差は歴然だ。だから由比ヶ浜は雪ノ下とではなく自分と比べるべきだ。自分の良い所を伸ばしたり、欠点をなくす努力をするべきだ。だから由比ヶ浜は雪ノ下と比べる必要はない。
……というかそもそも依頼内容って美味しいクッキーを作ることだっけ?
「そもそもお前らなんで美味しいクッキー作ろうとしてるんだ?」
「「はぁ?」」
雪ノ下は『あなた馬鹿なの? 死ぬの?』と言っているような目で俺を見る。由比ヶ浜も「 『こいつ何言ってんの? 童貞なの?』みたいな顔をしている。ちょっとイラッときたのは秘密だ。
「何を言っているのかしら? それが依頼だからよ」
「そうだよヒッキー。あたしが手作りクッキーの作り方を教えてもらいに来たの」
由比ヶ浜たちは手作りクッキーの美味しさを追求しすぎて本来の目的を忘れているようだ。ここは俺のやり方で解決もとい解消してやる。
「ふっ、お前ら低脳の為に俺が本物の手作りクッキーというものを教えてやる」
「……いいわ。あなたの言う本物の手作りクッキーという物を見せて貰いましょう。行くわよ由比ヶ浜さん」
雪ノ下と由比ヶ浜は家庭科室から出て行った。さてと実行するのはいいが暇だな。俺も小町の土産にクッキーを作ってみるか。
******
しばらくしてから雪ノ下たちが家庭科室に帰ってきた。俺は由比ヶ浜の手作りクッキーを俺のと言って二人に見せた。すると二人の反応は俺の予想どうりだった。
「……これがあなたの言う『本物の手作りクッキー』なの? はっきり言って私の作ったクッキーよりも遥かに劣っているのだけれど」
「こんなのあたしでも作れるよ。ヒッキー、マジダサい。ウケる」
そりゃそうだ。だってお前が作ったんだから。あと由比ヶ浜、今は笑っているけど後で後悔すんなよ。
「そうか……。俺は一生懸命作ったんだけどな……」
「そっそんな事ないよ。むしろ不恰好で手作り感とか出てるしだからあんまし気にしないほうが……」
由比ヶ浜の言葉に傷ついたふりをする俺に、由比ヶ浜は慰めようとする。少しかわいそうだがお前の今までの発言は正直イラっとしたから少しくらい復讐したっていいよね? えっゲスだって? 俺は今も昔も超ゲスだ!
「まあ、お前のクッキーなんだけどな」
「えっ」
由比ヶ浜は拍子抜けした顔をした後に真っ赤に染まった。まあ、当然か。自分で自分のクッキーを馬鹿にしてたんだからな。
「つまりあなたは何がしたかったの?」
雪ノ下はまだ意味が分かってないようだ。まあ、そろそろネタばらしをするか。
「要は手作りなら大体のことは大目に見てくれるんだよ」
「で、でも美味しいほうが相手も喜ぶじゃん」
「それこそ高級店のクッキーを買って渡せばいいだろ。手作りってだけでほとんどよ男子は喜ぶ。由比ヶ浜みたいな美少女ならなおさらだ」
「び、美少女なんで」
美少女と言われたのがそんなに嬉しかったのか由比ヶ浜はデレデレしていた。だが、少し不安そうに俺に聞いてきた。
「その、ヒッキーも揺れるの?」
「揺れない」
むしろ捨てるまであると心の中で付け足したのは秘密だ。なぜか由比ヶ浜は落ち込んでいたが、俺の言うことなんぞ当てにならんぞ。
「まあ、お前が渡そうとしている奴は多分歓喜のあまり告白してくるかもしれんぞ」
そう言うと由比ヶ浜はさらに落ち込んだ。なんでフォローしたのに落ち込むんだよ……。
「それで由比ヶ浜さん。依頼の方はどうするの?」
「……やっばりいいや。あたしも自分なりに頑張って思いを伝えるよ」
由比ヶ浜は楽しそうにそう言って家庭科室から去っていた。あいつエプロン着たままでて行ったし、調理器具片付けろよ……。
******
翌日、俺は奉仕部に行っていつも通りに奉仕部に行こうとしたら由比ヶ浜に止められた。
「あの、その、……ヒッキー、昨日はありがとう。これ、あたしからのお礼」
由比ヶ浜にそう言いクッキーを渡された。由比ヶ浜はそのまま奉仕部の方に走って行った。……というかこれ木炭クッキーじゃね。昨日より悪化してなくね? 自分なりに頑張るとか言っといて劣化してなくね……。
結論からいえば依頼は解決しなかったし解消もしなかった。由比ヶ浜は『ゆきのんにもクッキー渡しとこ』と言いながら走って行った。今回だけは雪ノ下に同情せざるをえない。あと由比ヶ浜のプレゼントを渡される奴はもはや恩を仇で返されてるな。
そう思いながら俺は奉仕部に向かった。ちなみに雪ノ下がぐったりしていたのはいうまでもない。
******
その後、家に帰ってから小町と親父に木炭クッキーを渡したら小町に『コレなんなの? 人の食べる物じゃないよ』と言われ、親父に至ってはトイレに駆け込んでリバースをした。その日親父はトイレから出てくることはなかった。
結論、由比ヶ浜のクッキー恐るべし……。
やっと由比ヶ浜のクッキー作りが終わった。そしてやっと次回から喰種関連の話が出来る!
次回には比企谷父(オリキャラ、名前が決まっていない)が登場します。それ以外にも多数のオリキャラが登場します。
あと世間話ですがインフルエンザが流行しています。私の通っている高校でもクラスの半分がインフルエンザにやられていまい学級閉鎖になりました。
読書のみなさまもインフルエンザに気をつけてください。