銀の狐と幻想の少女たち   作:雨宮雪色
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竹取物語 ⑤ 「心の調律」

 

 

 

 

 

 駆け出した。

 背後から女中の呼び止めてくる声が聞こえるが、輝夜はそれを言葉として認識しない。長い着物の裾を何度も踏みそうになって、何度も転びそうになって、けれど一瞬も速度を緩めずに、水気が抜けてすっかり元通りなった庭を駆け抜けていく。

 向かった先は、庭の一角にある、住み込みで働いてくれている使用人のための小舎。ノックなんてしなかった。そんなの、白熱した頭の中からは完全に抜け落ちていた。

 真横に投げ飛ばすような勢いで引き戸を開けて、中に飛び込んで。

 

「うおお、びっくりした。……入ってくる前に確認くらいしてくれないかい、心臓に悪い」

 

 輝夜は答えない。乱れた呼吸を肩で息をして整える傍らで、目の前の彼が目を開けて、喋って、呼吸をしていることを。生きていることを、じっと見つめて。

 それからようやく、輝夜は笑えたと思う。

 

「……おはよう、銀山」

 

 乱れた息はまだ整いきっていなくて、声は掠れてしまったけれど。

 彼もまた笑顔で、応えてくれた。

 

「ああ、おはよう」

 

 大伴御行による襲撃事件が終わってから、三日目の。

 輝夜を守り重傷を負った銀山が、ようやく目を覚ました、朝だった。

 

 

 

 

 

 ○

 

 

 青一色だけを塗りたくった夏の空は、屋敷中に残っていた水気をあっという間に吹き飛ばした。三日目にもなれば、戦いの爪痕が深く残る一部の建物以外はみんな元通りになっていて、屋敷の者たちもほとんどが平穏を取り戻しつつあった。

 

 あの戦いが終わった直後は、それはそれは大変な大騒ぎになった。今回の妖怪襲撃にかこつけて、己の腕を売り込もうとする陰陽師であったり。屋敷の警固に力添えするという建前のもと、輝夜との接点を作るために私兵を上げようとする貴族であったり。混乱に乗じて輝夜を一目見ようと、こそこそと暗躍する平民であったり。とにかく様々な人間たちが一気に押し寄せてきて、一時は屋敷の修復にすら手をつけられない有様となっていた。

 齋爾の鶴の一声がなければ、相当に手を焼くこととなっていただろう。一応は都の頂点に位置する大陰陽師だけあって、齋爾は相手の身分に関わらない強い影響力を持っていた。恐らくは、純粋に輝夜の近くに余計な男どもを近づけたくなかっただけなのだろうが、ともかく齋爾の介入に助けられ、騒乱は驚くほどあっさりと収束した。ふーんこういう時は結構役に立つじゃない、と輝夜はそれなりに感心に思った。もちろん、御行を退治したことによって依頼は完全に終了したので、そのあとは適当に謝礼を与えて速やかに屋敷から追い払ったが。

 

 そして、三日目。幸い命を脅かすほどではなく、けれど決して楽観もできない重傷を負って眠り続けていた銀山が、目を覚まして。

 輝夜はようやく、すべてが無事に終わったのだと、思った。

 部屋の中央で、銀山は幾重にも重ねたござの上で横になっている。一枚だけじゃあ床が硬くて寝にくいだろうからと、輝夜が使用人に頼んで町から買ってこさせた。銀山を寝かせる前に自分で横になってみて、ちゃんと床の硬さが気にならないことを確かめたりもした、輝夜自慢の寝床だ。

 銀山が輝夜を見ても寝たままで体を起こそうとしないのは、きっと傷が痛むからなのだろう。輝夜は彼の枕元まで歩み寄って、そこで静かに腰を下ろした。

 

「……」

 

 ふと自分が、目を覚ました銀山に掛ける言葉をなにも考えていなかったことに気づく。否、なにかしらを考えていた覚え自体はあるのだが、ここに来てそのすべてがさっぱり思い出せなくなってしまっていた。久し振りに全力疾走などしたものだから、どこかでぽろりと落としてきてしまったのかもしれない。

 唇が動かないことを一度自覚してしまうと、この沈黙もひどく居心地が悪かった。だから輝夜はとりあえず、なんでもいいから話を振ろうと思って、

 

「……怪我、平気?」

 

 口に出してから早速後悔した。なんだこの下らない質問は。こんなのいちいち尋ねるまでもなく、今の銀山の姿を見ればひと目でわかるじゃないか。体中の至るところに包帯代わりの布を当てていて、どこからどう見たって平気なわけがない。

 案の定銀山は、そんなことをいちいち訊くのか、とでも言いたげに苦笑いをしていた。

 

「や、あんまり平気じゃないよ。節々が痛くてね、体を起こすのも一苦労な状態さ」

「そ、そうよね。ごめん……」

 

 思わず、謝って、輝夜は俯いた。「ごめん」という言葉が、頭の中で強く反響した。お前が謝るのはそんなことじゃないだろう、と言われているようだった。

 だから、輝夜は。

 

「……ごめんなさい」

「別に謝ることでも。私は気にしてないし、」

「そうじゃなくて」

 

 銀山の声を遮って、

 

「あの時……私が余計な真似をしてなければ、あなたが怪我することもなかった」

 

 銀山を助けるために水の中へと飛び込み、弓矢を取って、御行を射た。しかし結界の札を手放してしまっていたのが災いして反撃を受け、深い水の世界で、心をおかしくされそうになった。

 今銀山の体に爪痕を残している傷のほとんどは、輝夜をそこから助け出す際に、御行によってつけられたもの。

 銀山を助けようとして、でも逆に助けられて、それどころかもっとひどい怪我までさせてしまって。ほんとなにやってるのかなあと、輝夜は心の片隅で、己を嗤った。

 

「弓で援護してくれた時のことか?」

「う、うん……。でも、そのせいで私、御行に変なことされちゃって、あなたに怪我させて……」

 

 今となっては後悔しかないが、あの時は本当に、銀山を助けたいと思っていた。彼の危機になにもできないでいる自分が嫌で、どうにかして力になりたかった。

 よくよく考えてみれば、おかしなことだと輝夜は思う。生まれながらにして姫であった輝夜は、常に誰かに守られているという己の境遇に疑問を持ったことはなかった。それが当たり前だと思っていた。

 けれどあの時だけは、そんな自分の立場に生まれて初めて反発した。守られてばかりは嫌で、私も銀山を守りたいと思って、それ以外のことはなにも考えられなくなって、ろくに使えもしない弓へと必死に手を伸ばした。

 

「あの時はもう、ほんとに、必死で」

「……」

「このままじゃいけないって思って。私もやらなきゃって、思って……」

 

 だがどんなに言葉を重ねても、それは輝夜の心に虚しい言い訳となって響いた。このままじゃいけないと思ったからなんだ。私もやらなきゃといけないと思ったからなんだ。そんな言葉で、銀山に怪我をさせた自分の身勝手が許されるのだろうか。

 そもそも輝夜は、銀山に許してもらいたくて、こんな話をしているのだろうか? 許してほしいから、私だってあなたを守りたかったの、必死だったのと、言い訳しているのか?

 

(……あ)

 

 胸が、締めつけられるように、痛くなった。

 だって輝夜は、本当に、許してほしかったのだから。いや、私は気にしてないよ――ちゃんと事情を説明すれば、きっと銀山はそう言ってくれるだろうと、心のどこかで期待していたのだから。

 自分のせいで、こんなにひどい怪我をさせてしまったのに。

 輝夜は最初から、許してもらいたくて、謝っていたのだ。

 

(……)

 

 なんて身勝手な女なのだろうか。銀山にひどい怪我をさせてしまって、彼のために真剣に謝らなければならないはずなのに。なのに輝夜は、許してほしいと、自分のことばっかりで、銀山のことなんて、初めからちっとも考えちゃいなかった。

 でも、許してほしかったのだ。怒られたくなかった。怒られて、愛想を尽かされてしまうのが怖かった。愛想を尽かされて、嫌われてしまうのが嫌だった。

 だから、許してほしかったのだ。

 

(なんで……)

 

 なんでだろう。

 胸が痛い。

 息が苦しくなる。

 辛い。

 泣いてしまいそうだ。

 

(やだ)

 

 怒られたくない。

 嫌われたくない。

 許してほしい。

 やだ。

 いやだ。

 

(どうして)

 

 どうして、だろうか。

 どうして輝夜は、こんなにも、苦しいのだろうか。

 どうして、泣いて、しまいそうなのだろうか。

 

「――姫?」

「ッ……!」

 

 銀山の声が、そよ風のように輝夜の耳に触れる。彼が、不思議そうな顔をして輝夜を見つめている。

 それだけ。それだけ、なのに。

 どうして、こんなにも、怖いのだろうか。

 

「――おーっす、ギン! 生きてるかあ――って」

「――ッ!!」

 

 突如背後から聞こえた、その馴染みのない男の声が、引鉄だった。

 もうなにも見なかった。その声の主が誰なのかも、銀山のことも、なにも見ないままで、がむしゃらに部屋を飛び出した。夏空の下を走る。どこに向かっているのかは自分でもわからなかったし、どこだっていいとも思った。なんだかもう色々なものがおかしくなりすぎて、心の中で渦を巻いている決して綺麗ではない感情が、熱暴走のように輝夜を駆り立てていた。

 転んだ。でも止まらなかった。痛みなんてよくわからなかった。立ち上がって、一度だけ喘ぐように息を吸って、また走り出した。闇雲だった。がむしゃらだった。無茶苦茶だった。無我夢中だった。でもどんなに息が切れても、どんなに脚が痛んでも、この感情は治まらないままだった。

 やがて脚が痺れて、胸が痛んで呼吸ができなくなって、体が動いてくれなくなって。一度止まったらもうダメだった。もう立ってもいられなくて、膝から崩れ落ちて、地面に両手をついて、咳き込みながら必死に息を吸った。

 

「なん、だろう。これ……」

 

 胸を押さえる。痛い。心臓が脈打つだけで、全身が悲鳴を上げている。がむしゃらにひた走ったせいもあるだろう。けれどそれ以外に、もっと別のなにかに翻弄されて、輝夜の心は軋んでいる。

 輝夜にはわからない。酸欠気味の頭では、よく考えることすらできやしない。

 ――この痛みは、一体、なに。

 

「――あの、かぐや姫……様?」

 

 掛けられた声に、輝夜はゆっくりと面を上げた。

 背後に、知らない女性の姿があった。輝夜のあとを追ってきたのだろうか、輝夜ほどではないにせよ、息を切らせてこちらを見下ろしている。屋敷の人間ではないようだ。つまるところの不審者なのだが、輝夜の心は不思議と波立たなかった。

 銀山と同じくらいの年頃の女だ。身につけている胡服が決して高価なものではないから、平民の女なのだろうが、腰あたりまで長く伸びた黒髪は輝夜にも負けないくらいにきめ細かで、その艶やかさに引き立てられるように、顔もよく整っているのがわかる。緩い笑みの形を作った唇は光が強く、まるで桃色の宝石を砕いて散らしたようで、輝夜ですらふいを衝かれる思いがした。

 

「……誰?」

 

 静かに問えば、女性もまた静かに、

 

「私、雪っていいます。銀山さんの知り合いです」

「銀山の……」

「はい。お部屋からあなたが飛び出してきたのを見て、ごめんなさい、勝手ですけど気になって追ってきちゃいました」

 

 微笑む。

 

「もしよかったら、なにがあったのか聞かせてくれませんか?」

 

 

 

 

 

 ○

 

 

「――というわけでギン、なにがあったのか聞かせろや」

「と、言われてもねえ」

 

 ニヤニヤと嫌な笑顔でこちらを見下ろす秀友に、銀山は寝たままで浅く肩を竦め返した。

 

「またまた、そう邪険にしないでくれって。別に茶化したりしねえからさ」

「いや、よくわかってないんだよ。私もね」

 

 わかっているのは精々、輝夜の様子がなにやらおかしかったことくらい。今しがたこの小舎から逃げるように飛び出していったのが、銀山のせいだったのか、それともいきなり現れた秀友のせいだったのかすら、わからないままだった。

 なぜ秀友がこうも突然現れたのかといえば、単純に見舞いに来てくれたかららしい。銀山がまだ目を覚ましていなかった頃にも一度やってきていて、この屋敷に入るのは今回が二度目になるという。

 先の大伴御行による襲撃事件は、屋敷の外でも大層な話題となっていた。その中では、銀山が大怪我を負ったこともまた語られており、友人としてなんとしても安否を確かめねばならぬと、秀友は相当しぶとく翁に食いついたようだった。

 その時のことを思い出して、秀友は呵々と笑う。

 

「まあオレはそれほど心配してなかったんだけど、雪さんがちゃんと確かめないとってうるさくてな! まったく人の嫁さんから心配してもらえるなんて、幸せなやつだぜお前はー」

「……雪、ねえ」

 

 今、この場に彼女の姿はない。飛び出していった輝夜のことを気にかけて、こちらに一言断りを入れてから、追いかけていった。

 

「同じ女として、なんか感じるものがあったんじゃねえかなー。……てか、あれって本当にかぐや姫だったのか? 一瞬すぎてよくわかんなかったけど」

「そうだよ。……雪、不審者扱いされたりしないといいけどね」

 

 事後だけあって、今の屋敷の警固はいつにも増して厳重だ。雪は、銀山と違って警固の者たちみんなに顔を知られているわけでもなかろうから、むやみに輝夜へと近づけば、挨拶代わりにひっ捕まえられるなんてことも充分に有り得る。

 

「そりゃお前、雪さんを不審者扱いするような目のないやつにゃあオレが一発鉄拳制裁をだな」

 

 秀友の惚気話は、適度に聞き流しておく。……雪は外側でこそ物静かな女性だが、内側は男も圧倒するほど勝ち気でしたたかだから、まあ心配せずとも大丈夫だろう。

 

「だからお前、それよりもなにがあったのか聞かせてくれって」

 

 秀友が話を戻してくるが、なにがあったもなにも、

 

「だから私にもよくわかってないんだって」

「いやいや、その前よ。噂には聞いてるけど、死んだはずの人間が半妖怪化してかぐや姫をさらいに来たとかいう話じゃねえか」

 

 ああそっちのことか、と銀山は思った。こちらを見下ろす秀友の瞳が、いつの間にかそこそこの真剣味を帯びている。一応は真っ当な陰陽師だけあって、彼もこの手の話題には敏感だ。

 

「教えてくれよ、後学のために」

「……ふむ」

 

 確かに、死んだ人間が妖怪化して甦るというのは非常に稀有な例だ。向上心のある陰陽師からしてみれば、是非耳に入れるだけでもしておきたい情報かもしれない。

 雪が輝夜と話を終えるにも、しばらく時間が掛かるだろう。

 

「わかったよ。暇潰しにはちょうどいい」

「おう、勉強させてもらうぜー」

 

 人懐こい笑顔で居住まいを正した秀友を横目に、銀山は天井の木目を目で追いながら、ゆっくりと記憶を遡る。

 

「さて、この屋敷でなにがあったのかと言えば――」

 

 

 

 

 

 ○

 

 

「――とまあ、こんなことがあったわけで」

「まあ、それはそれは……」

 

 当てもなく屋敷の庭をぶらつきながら、輝夜は雪にすべてを話した。ここで銀山と出会ってから今に至るまでのことを、なにも包み隠さずに。

 雪は、とりたてて熱心という風でもなかったが、適切な時に適切な相槌を打ち、影のように静かに耳を傾けてくれた。とても優しい話の聞き方をしてくれる人だった。だからまるで自分自身と話をするかのように、かぐや姫としてではなく、蓬莱山輝夜として、全部を打ち明けることができた。

 ひと通り話せることを話した輝夜が言葉を区切れば、雪は己の右頬に手を当てながら腕を組んで、困り顔で、

 

「銀山さんが怪我をしたのは、姫様のせいだったのですか」

「うぐっ」

 

 ぐさーっ、と雪の言葉が輝夜の胸に刺さった。輝夜自身がそのように話したのだからなにも間違ってはいないのだが、改めて他人の口から言われると凹んでしまう。

 

「そ、そうね。少なくとも私はそう思ってるし、事実だと思う。……あいつだって、否定しなかったし」

 

 銀山は、輝夜の言葉を聞いてなにも言わなかった。決して、「お前のせいじゃない」とは否定しなかった。

 それは、肯定されていることと同じだと輝夜は思う。

 

「だから……銀山さんの前から逃げ出した?」

「……多分。怒られたくなかったの」

「怒られるのが怖くて、逃げ出した?」

「嫌われたり、しちゃうんじゃないかって思って。……私が悪かったってのはわかってるの。たとえ銀山を助けようとしたんだとしても、言いつけを守れなくて、結果的に迷惑かけて」

「でも、わかってほしい。許してほしい」

「うん。……我ながら馬鹿な女よね。こんな時になっても自分のことばっかで」

「素敵」

 

 掛けられた言葉に、胸が詰まるような思いがした。なにを素敵と言われたのかわからなかった。だって今の輝夜は、言ってしまえば自己嫌悪中で、後悔していて、素敵なことなんてなに一つもなくて。

 一瞬はなにかの皮肉だろうかと思った。けれど雪のたたえた微笑みは本当に透明で、邪な感情なんてちっとも混じっていない。

 問う。

 

「素敵?」

「ええ。だって――」

 

 雪は自信たっぷりに頷き、笑みを深めて。

 

「姫様ったら、銀山さんのことが好きなんですもの」

 

 彼女の言う『好き』は、いわゆる友好や親愛の延長線上にあるものではなく、そこを明確に外れた、恋という名の『好き』だったと思う。けれど、輝夜にはよくわからなかった。そんなわけないじゃないと軽く一蹴するのでもなく、なに馬鹿なこと言ってんのよと図星を衝かれたみたいに慌てるのでもなく。

 ただ、ふっと、息をつくように笑って。

 

「どうなのかしら」

「あら、意外と冷静な反応ですね」

「……まあ、あれだけのことがあったから」

 

 大伴御行は己の欲望のために輝夜をさらおうとし、洗脳のような真似までしようとし、そして邪魔者であった銀山を殺そうとした。

 それが恋、或いは愛という感情を極限まで肥大させたものだとするならば。

 

「……人を好きになるって、どういうことなのかしら」

 

 少し前までの輝夜は、恋とはもっと綺麗な感情なのだと思っていた。人を好きになるというのは、もっと幸せなことなのだと思っていた。

 けれど、今はそうは思えない。輝夜が世の多くの男たちから向けられた『好き』は、どれも薄っぺらで歯が浮くようで、決して綺麗なものではなかった。特に御行から向けられた『好き』は、直視すらできないほどに恐ろしいものだった。

 

「もし、この気持ちが本当に、銀山への恋なのだとしたら」

 

 そして輝夜が今抱いている、銀山に嫌われたくないと恐れて苦しむ気持ちが、輝夜の『好き』なのだとしたら。

 

「――恋って、意外と、冷たいものなのね」

 

 もっと温かいものだと思っていた。恋をすると、体とか心とかが火照るように熱くなって、色んな悩み事が全部どうでもよくなって、幸せな気分になるのだと思っていた。

 なのに今の輝夜は、体も心も全然温かくなんてなくて、悩んでばかりで、幸せなんて程遠くて。

 だったらこの気持ちは、恋なんかじゃないんじゃないか。そりゃあ銀山は、輝夜が今まで見てきた男たちの中では格段に好ましい性格をしている。身を挺して輝夜を守ってくれた。身を挺して屋敷のみんなのために戦ってくれた。好きか嫌いかと言われればもちろん好きだ。でもそれはあくまで助けてもらえた恩とか、他の男よりはマシだとかいう気持ちの延長線上にあるだけで、そこに今回の罪悪感が余計な働きかけをしてしまって、あたかも恋みたいに錯覚させているのでないか。

 

「ねえ、雪。恋って、なんなのかな」

「……」

 

 雪は少し首を傾げて、庭の景色を見回した。鳥と蝉が好き勝手に合唱をしている。使用人の誰かが壊れた屋敷に釘を打って、拍子木のように合いの手を入れている。

 間、

 

「……それは、人それぞれですかね」

 

 こんな答えで申し訳ないですけど、と雪は苦笑した。

 

「恋は、人を幸せにもしますし、不幸にもする。温かかったりもしますし、冷たかったりもする。綺麗だったり、綺麗じゃなかったりもする。……誰かを好きになるというのは、いいことだったり、悪いことだったりもするんだと、思います」

「……」

「私は前者でした」

 

 輝夜は雪を見た。雪もまた輝夜を見て、苦笑を微笑みに変えた。

 

「姫様のその気持ちがどういう恋なのか、そもそも本当に恋なのかどうかは、私には想像することしかできませんけど。でも、人を幸せにしてくれる、温かい、綺麗な、いい恋だってあるんだということだけは、間違いなく断言できます」

「……ちなみに、相手は誰?」

「銀山さんです」

 

 目の前が真っ暗になった気がした。

 

「――なんて、嘘です。私と一緒にここに来た男の方です。姫様は気づいてなかったかもしれませんけど」

「そ、そう」

 

 自分で自分にびっくりしていた。銀山と恋をしているという雪の冗談に、ここまでわかりやすく動揺させられるなんて。

 

「銀山さんは、誰とも付き合ったりはしてませんよ」

 

 そして今、この雪の言葉に、少しだけほっとしているなんて。

 その反応をまるで目論見通りだというように、雪の声は愉快げだった。

 

「願わくは、あなたの恋が素敵なものでありますように」

「……むう」

 

 一杯食わされた、ということなのだろう。なんともまあ、我ながら単純なことではないか。

 銀山にごめんなさいと謝ったのは、許してほしかったから。

 許してほしかったのは、私を嫌ってほしくなかったから。

 私を嫌ってほしくなかったのは。

 私が、銀山の傍に、いたいから。

 

「戻ってきちゃいましたね」

「そうね……」

 

 気がつけば、庭を一周回って、銀山が身を休めている小舎の近くまで戻ってきていた。雪が視線だけで尋ねてくる。銀山のところへ戻るか、どうか。

 銀山に嫌われたくないと思う、この気持ちは、きっと恋なのだろう。けれど、恋だとわかったところでなにかが特別変わるわけでもない。なにも変わらず、輝夜はまだ、銀山に会うのが怖いままだった。

 足取りが鈍る。

 

「……許して、もらえるかな」

「というか、根本的なことを訊きますけど」

 

 斜め前に出た雪の背が、問うてきた。

 

「姫様って、別に謝る必要はないんじゃないですか?」

「……なんで?」

 

 輝夜は目を眇めた。それはおかしいと思った。銀山が怪我をしてしまった責任は、彼を助けるためとはいえ勝手な行動をしてしまった輝夜にある。なのに謝りすらしなかったら、まるで自分は悪くないと駄々をこねているようで、それこそ本当に嫌われてしまうじゃないか。

 けれど雪は輝夜へと振り返り、首を傾げて。

 

「自分を助けてくれた恩人に言う言葉が、『ごめんなさい』なんですか?」

「――……」

「例えば私が銀山さんの立場だったとして、頑張って助けた相手が『ごめんなさい』しか言ってくれなかったら、ちょっと寂しくなっちゃいます」

「……それは、」

 

 咄嗟に言い返そうとして、言葉が出てこない。

 

「助けてもらったら、ごめんなさいよりも先に、まず言うべき言葉がある気がしますけど……。どうですか? その一言さえあれば、優しい銀山さんのことですもの、きっと大丈夫だと思いますよ」

「……」

 

 言葉は出ないままだった。足を止めて、銀山がいる小舎を見つめて、それからため息をつくように、敵わないなあ、と思った。

 かつて輝夜の教育係をしていた女性とは、まったく似つかない性格をしているけれど。それでも雪は、彼女に負けないくらいに様々なものを見通している。しがない平民の出で、とりたてたほどの学もなくて、ほんの十年や二十年そこらしか生きていないのに、輝夜の目から見たって素敵な女性だと思える。恋人がいるらしいが、そんなのはもう夏が暑いのと同じくらいに当たり前のことじゃないか。

 それに比べたら輝夜は顔がいいだけで、なにもできないしなにも知らないしで、今までの人生をいかに無駄に過ごしてきたのかが浮き彫りになるようで、なんだかちょっと凹みそうだ。

 

「……なんだか、不思議ね」

 

 顔がいいという己の武器を、こんなにも頼りないと思ったのは初めてだった。色々なものを見通せる雪のような女性を、すごいと思うことはあれ、羨ましいと感じたのは初めてだった。

 今まではずっと恋をされる側だったから、『相手がどういう男なのか』しか考えたことがなかった。

 けれど今はこうして恋をする側になって、『自分がどういう女なのか』を、気にするようになっている。

 

「恋は、人を変えますよ」

 

 そうなのかもしれないなあ、と輝夜は思う。

 

「大丈夫です。姫様は、そんなに素敵なお顔をされているんですもの。中身なんて、これからいくらでも逆転できます」

「……そうね」

 

 だからまずは、その第一歩として、銀山に言うのだ。

 怪我をさせてごめんなさい、ではない、もっと別の、言わなければならない言葉を。

 この時の自分がどんな顔をしていたのかはわからないけれど、雪は満足気に微笑んで、こちらの背を押してくれた。

 

「それじゃあ私、秀友さん――ええと、一緒に来た恋人の名前です。多分銀山さんと話してると思いますし、姫様を見たら騒ぎ出しそうですから、私が適当に外に連れ出しますね。なのでお二人で、ゆっくりと話をしてみてください」

「ありがと」

 

 いい恋をしたいなあ、と思う。そのためには、きっと輝夜は、変わらなければならない。色々なことを学ばなければならないし、経験しなければならない。

 胸の中にある恐怖心は、完全に消えたわけではないけれど。

 

「行きましょうか」

「うん」

 

 いい恋をしたいから、どうか願わくは、彼の傍にいることを許されますように。

 乾いた土を蹴って、夏の日差しよりも強く、輝夜は祈る。

 

 

 

 

 

 ○

 

 

「――おお、雪さんおかえり! そんで隣にいるのはやっぱりかぐや姫様か!? はじめましてかぐや姫様オレは神古秀友ってもんでこいつと同じ陰陽」

「そおーい」

 

 輝夜が戸を開けるなりいきなり詰め寄っていた変な男を、雪はなんの躊躇いもなく蹴り飛ばした。脇腹を的確に打ち抜く鮮やかな回し蹴りだ。とても一朝一夕で身につけられるものではない、プロの技だった。

 べしゃあと床を滑って動かなくなった男の襟首を掴み上げ、雪は「ふふふ」と微笑み言う。

 

「え? 秀友さん、お庭が見てみたいんですか? そうですね、とっても綺麗なお庭ですものね。じゃあちょっと見てきましょうか」

「……」

 

 相手が大の大人にも関わらず、雪はちっとも重そうな顔をしない。ずるずると引きずってあっさりと部屋から出て行く、その背中を、輝夜はひどく呆然としながら見送った。恋人相手にあんなことをしていいのだろうか。いや、恋人相手だからこそできることなのだろうか。

 残された部屋で、やがて銀山が寝たまま低い声で笑った。

 

「あいかわらずだなあ、雪は」

「えっ……あ、あいかわらずなんだ」

「ああ。大人しそうな顔してるけど、あれで意外と身内に容赦しないタチなんだ。下町では、雪が秀友に回し蹴りを叩き込む光景が名物だよ」

「へ、へえ」

 

 下町の女性というのは、どうやらとても逞しいらしい。正拳突きで男を地に沈める輝夜も似たようなものなのだけれど、改めて銀山を目の前にした緊張もあって、そこまでは気が回らなかった。

 

「なにを話してきたかはわからないけど、お前相手にも物怖じしなかったろう」

「そうね……」

 

 よくよく思い返してみれば、初対面の女性に恋愛相談をしてもらうなんてのは、普通ではまずありえないのではなかろうか。

 というか、銀山の言葉にふと違和感、

 

「それはあなただって同じでしょ。いつの間にか敬語が消えてなくなってるじゃない」

 

 しかもつい数秒前なんて、さりげなく「お前」と呼ばれた気がする。帝ですら敬意を払う相手である輝夜に、身分としてはあくまで平民である銀山が、「お前」。もはや物怖じどうこうで片付けていい次元ではない。不敬罪上等だ。

 輝夜に言われて、銀山は初めて気がついたようだった。

 

「ああ、そう言われてみればそうだね……。いつの間にか、つい」

「『つい』で私に敬語使わない男なんて、あなたくらいなもんだわ」

「悪かったね。……それじゃあ直すよ」

「あ、いや……」

 

 だが、それは決して悪いことではないのだと、輝夜は思う。屋敷の者たちがどうかはわからないが、少なくとも輝夜は、このままでいい――否、このままの方がいいのだと、感じていた。

 銀山はもう、ただの他人とか知り合いとかで言い表せる相手ではない。まだまだ出会ったばかりだけれど、それでも輝夜にとっては、特別な人なのだ。特別な人なのだから、敬語なんて使わなくていい。堅苦しい礼儀なんて気にしないで、もっと一緒に、いっぱい、楽しく話をしたい。

 

「別にいいわよ、今のままで」

「そうか?」

「ここまで来たら、逆に戻される方が調子狂うもの」

 

 もちろんこの気持ちは、まだ到底伝えられるようなものではないけれど。

 

「感謝しなさいな。あなたは、かぐや姫を『お前』って呼べる世界でただ一人の男よ」

「……それはまた、随分と恐縮なことで」

 

 銀山は噛み殺すように苦笑して、浅く肩を竦めた。

 

「だが私自身、敬語はあまり得意じゃなくてね。だからそっちの方がありがたいよ」

「うん」

 

 この世界でただ一人、銀山だけが、輝夜に敬語を使わないで話しかけてくれる。そう思うと、輝夜の中で銀山がますます特別な存在になった気がした。

 

「それで?」

「え? ……それでって?」

 

 銀山の問いが出し抜けだったので、思わず尋ね返すと、彼は「いや」と頭の後ろで手を組んで天井を見上げた。

 

「なにも話がないんだったら、わざわざ雪が秀友連れて席を外す理由はないんじゃないかと思ってね」

「……」

 

 タイミングだな、と輝夜は思った。ここで、言えば、きっとすんなりと伝えることができる。逆に、言わなければ、きっとずっと伝えられないままになってしまう。

 迷ったりはしない。言うべきことは、既に決まっているのだから。

 

「――お礼を、言いたくて」

「礼?」

「そう。……私を助けてくれた、お礼」

 

 命を懸けて助けてくれた相手にまず言うべきなのは、『ごめんなさい』なんかじゃなくて。

 

「ありがとう」

 

 きっと、今までの人生の中で一番、たくさんの気持ちを込めた『ありがとう』だった。生まれながらに姫であった輝夜にとって、『ありがとう』とは、ただ社交辞令のために存在する言葉でしかなかった。姫としての体面を保つための、一種の儀礼にしか過ぎなかった。

 一人の人間として、心から誰かに感謝するということを、輝夜はよく知らない。

 

「私は勝手なことをしてしまったし、あなたに怪我もさせちゃったけど」

 

 けれど、輝夜には声がある。言葉がある。

 

「でも、助けてもらえて、嬉しかった」

 

 声を使わなくたって、言葉に頼らなくたって気持ちを伝えられる方法はあるけれど、そんな器用な真似は輝夜にはできないから。

 だから輝夜は、この言葉にあらん限りの想いを込める。

 

「――ありがとう」

 

 これが自分にできる精一杯の感謝を示す方法なのだと、わかっていても、緊張はした。ろくに銀山の顔を見ることができなくて、己の手元に目を落として喘ぐように沈黙した。頭の中に悪い想像が押し寄せてくる。気持ちが上手く伝わらなかったら。拒絶されてしまったら。嫌われてしまったら。

 この恋が、もしも冷たいままで、終わってしまったら。

 ――ふふ、と小さく笑う声、

 

「……!」

 

 胸を衝かれる思いがして、輝夜ははっと顔を上げた。銀山がまぶたを下ろして、どことなく愉快そうに、喉を震わせていた。

 

「や、てっきり謝られるものとばかり思ってたから、ちょっと驚いてね。いい意味でだよ」

「そ、そう」

 

 雪に教えてもらったの、とは言えなかった。それにこちらから言わずとも、銀山はきっと気づいているだろう。

 銀山がまぶたを上げて、輝夜を見た。

 

「私も礼を言うよ。助けてくれてありがとう」

「……え、私、助けてなんて」

「助けてくれただろう。御行を弓で射てくれたのもそうだし、そのあと私が気を失いかけている時に、庇ってくれた」

 

 それは、助けたと言えるのだろうか。今になって思い返せば、あの時輝夜が行動を起こさなくても、銀山は自力で危機を打ち破っていたように思う。あくまで結果のみを見れば、輝夜の行動は完全に藪蛇だったのだ。

 迷う輝夜の表情を読んで、それでも彼は、笑ってくれる。

 

「お互い様だよ。お前のあの時の行動が余計だったというなら、そうさせてしまうような情けない戦いをした私にも責任はあるさ」

「そ、そんなことないわよ!」

 

 咄嗟に叫ぶ輝夜にも動じず、しみじみとした口振りで、

 

「どうにも年のせいか、危機感に欠けるというか、本気の出し方っていうのがどうにもね……」

「え?」

「いや、なんでもない。……まあそういうわけで、この件についてはどっちもどっちだから、笑って済ませるのが一番ちょうどいいと思うんだよ」

 

 それで終わらせてしまっていいのだろうか、と輝夜は思う。銀山の体を見る。布当ての下に刻まれた傷は、決して笑って済ませていいほど浅くはないはずだ。

 もしかして、気を遣われているのだろうか。銀山は輝夜が抱える罪悪感を既に見抜いていて、笑って済ませてしまえばそれも少しは和らぐだろうと考えているんじゃないか。

 

「納得できないって顔してる」

「……だって、こんなの、私に優しすぎるじゃない」

 

 これ以上優しくされたって、輝夜には『ありがとう』と言う以外にどうすることもできない。優しくするのは銀山ばかりで、優しくされるのは輝夜ばかりで、それではあまりに、銀山が恵まれないではないか。

 銀山は顎に手をやって黙考する。

 

「ふむ……じゃあ、一つ頼み事をしてもいいかな」

「……私にできることなら」

 

 もっとも輝夜にできることなんて高が知れているのだが、それでもできる限りのことはしたいと思う。翁だって協力してくれるはずだ。であれば金絡みならなんとでもできるし、それ以外の多少無茶な要求でも、地位と財力にものを言わせればほとんどのことは通るだろう。否、通してみせる。銀山への感謝を示すために、通さなければならない。

 と、すっかり勝手に意気込んでいたものだから。

 

「なに、そんなに大層なことじゃないよ。この通り、私はまだ静養が必要な身だからね。ずっと寝てるだけというのも退屈だし、暇潰しに話し相手にでもなってもらえると、ありがたいと思って」

「……は?」

 

 拍子抜けした。なにそれ? と素で思った。話し相手ってなんだっけと、呆気にとられるあまり一時はそんなことまでわからなくなった。

 

「へ?」

「へ? って……。なにか変なこと言ったかい、私」

 

 とても変なことを言ったと思う。彼はもっと色々なことを頼めたはずだし、輝夜だってできる限り力になるつもりでいたというのに、なんだ話し相手って。

 と、勢いのままに否定しかけたところで、ふと、気づく。

 ――話し相手。

 誰が。

 輝夜が。

 誰の。

 銀山の。

 ――それってつまり、

 

「まあ、嫌だったら構わないけど……」

「嫌じゃないわ!」

 

 叫んだ。前に身を乗り出して、床の上に両手をついて、

 

「話し相手ね!? わかった、任せて!」

「あ、ああ……ありがとう」

 

 あまりの剣幕に銀山が面食らっていたが、輝夜は気にしなかった。それからつい嬉しくなって、居住まいを正して、ふふふと笑った。

 だって、輝夜に話し相手になってほしいということは、つまり。

 つまり輝夜は、銀山の傍にいてもいいのだ。傍にいて、話をしてもいいのだ。

 ひどい怪我を、させてしまったけれど。それでも銀山は、輝夜に、傍にいることを許してくれるのだ。

 だから輝夜は、もう並々ならぬくらいに、舞い上がってしまって。

 

「なんでも訊いて! あ、私も色々訊きたいことがあるんだけどいい!?」

 

 せっかく居住まいを正したのに、また体を前に乗り出して、横になっている銀山をほとんど真上から見下ろして。それから銀山の瞳が驚きで軽く丸くなっているのに気づいて、はっと我に返った。

 銀山が苦笑する。

 

「気持ちはありがたいけど、今はまだいいよ。雪たちを呼んできてもらっていいかな。しばらくは家に戻れそうにないから、その間のことを話し合わないと」

「そ、そうね。わかった」

 

 なんとなく気恥ずかしくなって、返事もそこそこに輝夜は小走りで小舎を抜け出した。夏の強い日差しが目に飛び込んでくる。足を止めて、深呼吸をして、胸を押さえた。

 なんだか体が火照っている気がするのは、きっと今が夏だからではない。

 胸に芽生えたこの気持ちを、輝夜はようやく、温かいと思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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