――死後の世界はどうなっているのか――
これは大抵の人なら誰でも疑問に思い考えることだ
天国や地獄、あと三途の川があるっていうのもあるし死んだら何もないとかって諸説様々ある
まあ、死んだらわかるとあまり深く考えない人も多いが……
なんでいきなりこんな話してるかって言うと実は俺、さっきバイト帰りに赤信号無視して走ってきたポルシェに轢かれて死んだ筈だからだ
筈っていうのはまだ本当に自分が死んでいるか不確定だから。いや、もしかしたら仮死状態の幽体離脱的なものかもしれないし
因みに今俺がどこにいるかと言うと
どこまでも続くまるで雪国のような真っ白な世界です
え?なにここ?って思ったね。だって目を覚ましたら一面どころか全面真っ白な何一つないとこなんだもの
頭の中まで一瞬真っ白になっちまったよ
それにしてもこういう空間ってよく二次小説とかで見る最初の神様のいるとこだよな。ほんとなんでこんな目がチカチカするようなとこにいんだろ。白しかなくて眼、疲れるよこれ
しかし冗談抜きにしても
「びっくりするほど何もないな、かの?」
「ふぉう!?」
いきなり後ろから声をかけられ変な声をあげてしまった。それと同時に前に飛び退いて後ろを見る
そこにいたのは遊戯王の神宣のイラストのじいさん、いや、ちょっと顔がゴツいから神の忠告の方だな。そんな姿のじいさんが胡散臭そうな笑みを浮かべて立っていた。イラストみたいに美人な天使を側に侍らせてないのが残念ってそうじゃねえ!?このじいさん今俺の考えてた台詞をそっくりそのまま言った!?
「ふぉっふぉっふぉ、そりゃお前さんの思考を読んどるからのう。次の台詞をよむくらい造作もないわい」
突然じいさんはそんなとんでもないこと言い放った。読心術か?いやでもまずさっきまでいなかった筈のじいさんがいきなり現れたってところから既におかしい。こんな隠れるところがまったく無い場所じゃいきなり俺の背後に現れるなんてまず無理だ
ならテレポートかなんかでも使えるのか?そこまでなら超びっくり人間の超能力者ってことでほんのちょっぴり認められる可能性が存在するかもしれない
「それはほぼ認めとらんのと変わらんじゃろ。めんどくさい奴じゃのお前さん」
「るっせぇ!勝手に人の心よむんじゃねーよじいさん!プライバシーの侵害だぞその能力!」
「お主は考えると長そうな顔しとったから勝手に覗かせてもらったんじゃ。話を早くするために使ったんじゃから許せ」
「ほんとかよ……」
実際かなり怪しい。だってまずなんか企んでそうな表情してるし、このじいさん読心術使える癖に自分の考えがすぐ顔に出るタイプだな。
「ふん、うるさいわい。ところで、お前さん今の自分の状況知りたくはないか?」
「っ!マジか、教えてくれ!ここは一体どこで!俺は今生きてるのか死んでるのか!」
思わずじいさんの両肩を掴んで説明を急かしてしまったが仕方ない。俺だってこの変な出来事の連続に焦っているんだ
「まずお前の生死はどうなったか。率直に言うがお前さんは死んだ、お前さんの記憶通りポルシェに轢かれてな。だけどすまんな、あれの原因は儂じゃ」
「は?」
こいつは一体何を言ってるんだ?とゆうかこのじいさん、自分が原因ってどうゆうことだよ
「そういや言ってなかったのう。儂は神じゃ。まああまり信仰も力も強いとは言えん中級の神じゃがの」
「……その神様が俺が死んだ原因とどう関係してんだよ。小説よろしく書類ミスでもしたのか?」
「ふぉっふぉっふぉっ、実際そうじゃが少し違うのう。神がそんなミスをしても黙っとればなんのお咎めもありゃせんわい。お前さんを殺したのはただのひ ま つ ぶ し じゃ」
その言葉と共に自称神の見せた笑みは今まで見た人間のどの表情よりも醜く狂気に満ちた気持ちの悪い笑みだった
「暇潰し、だと?俺はあんたの暇潰しで殺されたってのか?」
愕然とした。理不尽だと感じた。何故俺が殺されなければならなかったんだ。他にもたくさん人はいるのにその中でなんで俺が
「ん?そんなもん適当じゃよ。偶々お前さんの書類が目についたから調度いいかと思ってそのままお前さんの魂の書類を破り本来の運命をねじ曲げ殺した。たまたま儂の目にとまるとはお前さんも運が無いのう」
「ふざけんな!」
その言葉を聞き終わる前に俺は自称神に殴りかかっていた。憎しみと怒りで頭がいっぱいになり行動に移さなければ頭がどうにかなりそうだった
「やかましい」
だが俺の拳は自称神の顔面に届くことはなく全身がまるでセメントで固められたかのようにピクリとも動かせなくなった。
そこから神は人差し指を下に向けて曲げると俺の体は触れられてもいないのに強く床に叩きつけられた
「ここは神の間、儂ら神が力を存分に使える空間じゃ。この場所でたかが一人の人間の魂で儂に傷がつけられるとでも思うたか。身の程を知れ、人間」
嘲りと傲慢を含めて俺という存在そのものを見下したその視線は圧倒的強者が弱者を見る目、先程までとは違う底冷えするようなその目に俺は恐怖を感じると同時に深い屈辱と怒りを燃やした
憎い!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!俺を身勝手な理由で殺したこの神が憎い!強者という立ち位置から引きずり降ろし今の自分のように地面に這いつくばらせてやりたい!その俺を見下す目を抉りだし虫けらのように踏み潰してやりたい!
「おーおー、さっきと比べて一般人にしてはいい具合に殺気だっとるのう。これなら少しは暇を潰せそうじゃ」
「神っちゅー役職は暇でなあ。娯楽に餓えとるんじゃよ。だから神は人間を使ってその退屈を紛らわせるんじゃ。昔、神秘がもっと濃かった時代はそれこそ地球で超人やら神とのハーフやら人間全体にも儂らが権能を使って試練を与えて楽しんでたんじゃが神秘が薄くなってからはそれも出来ず本当に退屈でのう」
「じゃが、最近一人の神が思いつきで適当な人間に特典とゆうオマケを付けて地球があるのとは別の世界に送り出した!それが儂を含めた他の神にウケてのう。次々とめぼしい人間や死んだばかりの気に入った魂を見つけて他の世界に同じように送り出したんじゃよ。それで、今回は儂もやってみようと思ってその時目についたのがお前さんだったってわけじゃ」
そんなてめえらの事情なんざ知らねえ!俺が望むのは今お前を殺すことだけだ!
「さすがにもう聞く耳も持たんか。まあ、ええわい。お前さんの特典も行く世界も適当にクジで決めるかのう」
神は手元に二つの箱を出すとその両方に片手ずつ突っ込みごそごそと手を動かし中のものを選び始めた。勝手にそんなもんで決めんじゃねえクソ神が!
「どれにしようかのう~。よし、これとこれじゃ!」
神が取り出したのは赤い玉と白い玉、赤い方には『僕のヒーローアカデミア』、白い方には『仮面ライダーエターナル&T2メモリセット』と書かれていた
エターナルの方は知っている。俺も特撮ファンとして大ファンだった仮面ライダーWの劇場版において仮面ライダーWを絶体絶命まで追いこんだ悪の仮面ライダーだ。T2メモリはその仮面ライダーエターナルが財団Xと呼ばれる組織から奪い使用していた26本の新世代メモリ、それが俺の特典になるのか?
だが俺は『僕のヒーローアカデミア』という作品についてはまったく知らない。確か以前ジャンプの表紙にそんな漫画があったからジャンプ漫画だとは思うがここ数年ジャンプ漫画は単行本でしか読んでなかったせいでどんな内容かまったくわからない。くそっ!これじゃあ対策も何も取れやしねえ!
「最近できたばかりの世界じゃが危険度はまあまあといったところじゃの。特典はそれなりに経ったら渡してやるとするかの」
そう言ったと思ったら神は右足で床を軽く蹴ると俺の真下に大穴が開いた
……この神はいつかどんな手を使ってでも殺してやる
口も動かせない俺は恨み言一つ発せずそのまま重力に従い落ちるしかなかった
「特典を渡す時は使いを出してやるからせいぜい儂を楽しませるんじゃぞ~!」
その言葉を最後に俺の意識はブラックアウトした