永遠は英雄となりえるのか   作:リョウタロス

8 / 10
祝お気に入り120人突破!
純粋に嬉しいですね。これもヒロアカのアニメの影響もあるんでしょうか

そして遅ればせながら高評価を付けてくださった
月平さん、鍋やんさん、吉井明久さん、ポルメロさん本当にありがとうございます!

今回からやっと原作に突入です!


episode:07 Rは別れた

あれから2年の時が過ぎた

今でも僕は斗和君とNEVERヒーロー事務所に通い訓練を受けている

死ぬかと思うような地獄の訓練のおかげで体力も筋力も戦闘技術も中学に入ってきたばかりの時とは見違えるようについた

今では中学生相手ならよほど強力な個性を持つ相手でなければ押さえこめるまでになれるなんて昔の僕じゃ想像もしてなかったことだ

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「ん?」

 

ふと聞こえた怒声の方へ視線を向けると高架線の線路の上で暴れる巨大な敵とそれに対応している何人ものヒーローの姿が目に入った

 

「うわっ、でっけー敵!」

 

 

「それにしても怪物化とかすげー個性。何やらかしたん?」

 

「ひったくり、追い詰められて暴れてんだと」

 

「あの個性でひったくりって…」

 

 

現場の近くへ人混みをかき分けながら聞き耳をたてているとどうやらあの巨大敵は怪物化系の優れた個性のわりに小心者のようだ。あの個性ならもっと活かせることがたくさんあるだろうに

 

 

それに対し戦っている相手は身体から樹木を生やし戦うヒーロー、シンリンカムイだ。敵の豪腕を腕から生やした樹木を自由自在に使い軽々と躱していく

 

「漆鎖牢!」

 

シンリンカムイが敵の目の前で片腕を何本もの樹木に変え相手の視界を覆いながら捕らえようとする目眩まし兼捕縛用の技、漆鎖牢をくりだした

 

「キャニオンカノン!」

 

『!?』

 

だが漆鎖牢が決まる前に敵は横合いからの巨人の蹴りに吹き飛ばされた

だがその女性の巨人ヒーローの様子がおかしい。せっかく敵を蹴り飛ばしたというのにそちらへ向かわず蹴った方の足を押さえうずくまっている

 

「いったぁ~、何あの敵、個性は怪物化だけじゃないの?」

 

 

その台詞を聞き蹴り飛ばされた敵をみると身体の蹴られた付近がまるでハリセンボンのように刺だらけのマフラーのようなものが巻きついていた

 

 

「助かったぜ兄貴、あのままくらってたら危なかった」

 

敵がそう刺に話しかけると刺だらけのマフラーのようなものがもぞもぞと動き一人の針ネズミのような人間が姿を現した

 

「気にするなよぉ、弟。お前がやられたら俺もヤバいんだぁ。それより早くずらかるぞぉ、いつまでもここにいるのはまずいぃ」

 

どうやらあの敵は二人一組の兄弟コンビで針ネズミ敵は怪物敵の首裏に隠れていたようだ。さっきの巨人ヒーローは刺が足にわりと深く刺さってしまったようでうまく動けない。シンリンカムイが逃すまいと樹木を伸ばすが針ネズミ敵が飛ばしてくる刺が樹木を貫き他のヒーロー達と一緒に刺から一般人を守るのに手一杯になってしまっている

 

 

「このまま逃げきるぞぉ、弟!」

 

「おうよ、兄貴!」

 

 

針ネズミ敵は怪物敵の肩に乗りそのまま怪物敵はヒーロー達とは反対側に向け走りだす

だが兄弟敵の目の前に突然なんの前触れもなく現れた白い影が怪物敵の腹を殴ったことで兄弟敵の逃走は妨害された

 

「いい個性だ、感動的だな、だが無意味だ」

 

「かっ、はっ!?」

 

「お、弟ぉ!?」

 

その腹パン一発で怪物敵は白目を剥き気絶してしまった

地面に降りた針ネズミ敵は怪物敵が完全に延びてしまったことを確認すると自分の相方を一撃で倒した相手を見て驚愕する

 

 

「エ、エターナルゥ!?なんでこんな奴が出てくんだよぉ!ちくしょおぉ!」

 

『うおおおお!エターナルだ!』

 

「やっべ本物かよ!写メ!写メ撮っとけ!」

 

「キャアァァァァ!エターナルゥゥ!!」

 

白い影の正体は非公式ヒーロー、仮面ライダーエターナルだった。数年前に突如として現れた彼はヒーロー事務所に登録された公認されたヒーローではなく個人的に個性を使いヒーロー活動をしている存在だ。だけどいくらヒーローと同じ活動をしていても法として個人的な個性の使用は禁止されているから彼はあくまで敵を倒す敵という扱いだ。敵にもヒーローにも狙われる彼だが彼の正体は未だわからずその能力の全容も掴みきれていない

 

そんな彼だがそれでも彼のファンは少なくない

単純に彼に助けられた人や彼に憧れる人、非公式であることをいいことに個人でグッズを造る人までいる程だ

かくいう僕も彼のファンの一人だからあまり人のことは言えないけど…

 

 

『Metal Maximum Drive!』

 

「は、針が刺さらねえぇ…どんな身体してんだよぉ!」

 

「お前も寝ておけ」

 

針ネズミ敵はエターナルに刺を発射し続けたがシンリンカムイの樹木を貫いた刺は一発もエターナルには刺さらず弾かれている

エターナルは針を物ともせずに針ネズミ敵に走り寄ると赤い炎の意匠が描かれた右拳を針ネズミ敵の腹にめりこませた

 

 

「がっ、ぁ……」

 

針ネズミ敵は怪物敵と同じようにその一撃で地面に沈みエターナルは用は済んだとばかりにこちらに背を向け去ろうとする

 

「ま、待ちやがれ!」

 

「今度こそお前もお縄につきやがれ、エターナル!」

 

「断る」

 

『Zone Maximum Drive!』

 

それまで茫然としていたヒーロー達が我に帰りエターナルを捕まえようと動きだしたがその時にはもうエターナルの影も形もなくどこかへ行ってしまった後だった

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

あーー、今さらながらもう本当に面倒だ

なんで助っ人に入ったら俺までヒーローに追われるんだか。いや、俺自身やってることは違法なことだしヒーロー達の活躍を横から掠め取ってる立派な営業妨害だってことは自覚してるさ。だけど同じような人助けしてんだからここまで犯罪者扱いしなくてもいいだろ!

あー、これもあれだ、俺が一度でも正体をばらせないっていうのが絡んでるな。学生ってわかってるならまだヒーローに憧れてやった行動ってことで注意とかだけで終わるだろう。だがエターナルの正体は不明、しかも身長は成人男性のそれで声もくぐもってるからまず学生とは思われない。成人男性でこんなことをやっているとしたらまずヒーローになれなかった個性持ちが個性を持て余し自己満足で擬似ヒーロー活動をしているとかそんな感じだよなあ

うん、確かに本職のヒーローからしたらさっさと排除したい商売泥棒だわ

 

そんなエターナルになってから何百回と思考したことを考えながら俺は机に突っ伏してSHRを受けている

 

 

「えー、お前らも3年ということで!!本格的に将来を考えていく時期だ!!今から進路希望のプリントを配るが皆!!大体ヒーロー科志望だよね」

 

先生、確かにそうだがプリントをばらまくな。拾うの面倒だろ。あと周りの奴らも一斉に個性使うな。うちのクラス体面積を物理的に増やす個性多いんだから前が見れなくなるだろ。すげー邪魔だし

 

「うんうん、皆良い個性だ。でも校内で個性発動は原則禁止な!」

 

ならもうちょっとちゃんと注意してくれ。視界がうるさくてしょうがない

 

 

「せんせー、俺をこいつら没個性共と一緒にしないでくれ。無個性にボロ負けするこいつらより俺は上なんだ」

 

先生の言葉に睨みながら反論する出久ほどじゃないが爆発したような頭の悪人顔、爆豪 勝己。個性という面で見ればこのクラス1の才能の持ち主だ

 

「そりゃねーだろカツキ!」

 

「お前だって大道に負けただろ!」

 

「大道どころかデクにもボロ負けたモブがうっせえ」

 

他の生徒達が爆豪にブーイングを送るが当の爆豪は不機嫌そうに出久を睨んでる

そしてこのクラスメイト達の言葉通り俺と出久はこの2年間、このクラスどころか学校中の個性持ち達と試合や喧嘩をしてそのほとんどを勝ち続けてきたのだ。黒星をつけられたのは出久が爆豪と戦った時くらいだったか

 

 

「あー確か爆豪は雄英高志望だったな」

 

先生の言葉に皆ざわつきだす。まあ、雄英はヒーロー科がある学校としてもエリート中のエリート、そこを希望するなら当然だろう

 

「俺は底辺で燻ってるつもりはねえ。ヒーローになって駆け上がっててっぺんまで昇りつめてみせる。その為にゃ雄英行くくらい出来て当然なんだよ」

 

野心をギラギラと燃やした目とは裏腹にごく当たり前のように雄英に合格すると言う。俺に負けてからほんと反骨精神の塊みたいになったよな、爆豪は。いや、以前の調子のってた時よりは全然マシだけど

 

「そういや大道と緑谷も雄英志望だったな」

 

先生の発言で再び教室内がざわつく。大方自分達に勝ったとはいえ無個性二人が合格できるのか?といったところだろう

 

「面白え、雄英で今度こそ完膚なきまでにぶっ潰してやる」

 

ざわつくクラスメイト達の中で唯一爆豪は狂暴な笑みを浮かべる。あいつの中では俺達ももう合格したも同然ということなんだろうか

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

今日の学校も終わり放課後に

俺は日直だった為、訓練もない今日は緑谷には先に帰ってもらった

そんな一人で帰る途中、ふと空を見上げると青い空に白い雲に紛れて遠くで何かが飛んでるのが見えた

 

(敵か?)

 

かばんから敵発見用にいつも持っている双眼鏡を覗きこむと、やたらムキムキのあきらかに画風が違う大男、恐らくオールマイトとオールマイトにしがみつく先程先に帰った筈の出久の姿が見えた

 

「なんだ、ただのオールマイトと出久か……オールマイトと出久ぅ!?」

 

Why!?なんで!?オールマイトはこの街にいるのは驚いたがヒーロー活動してるからまだわかるとしてなんで出久がくっついてんだ!?

考えてても仕方ない!とりあえず追いかけるか!

 

 

数分後

 

 

完全に見失った……。思った以上にオールマイトの飛行スピードが速かったせいでどこに降りたかもわからない

探し物の場所を知れるキーメモリを使いたいが変身してない時にメモリなんて使ったらバレる元だしこれ以上の追跡は無理か

 

 

追跡を諦め再び帰ろうとすると商店街の方から大きな爆発音が聞こえた。しかも商店街の方を見ると火の手が上がり明らかにただ事ではない雰囲気だ

 

「まったく、日に2度も近所で起きるとか。今日は厄日か……」

 

気づいてしまったのはしょうがない。とりあえず被害状況見て助太刀するかどうか判断するか

 

 

―――――――――

 

 

 

現場の上空に変身した状態でバードメモリを使って飛んで来ると商店街ではヘドロのような流体系の敵が一人の中学生を半ばまで取り込み暴れまくっていた

その流体系の身体は完全に物理攻撃を無効化し人質の個性も相まってヒーロー達は完全に攻めあぐねていた

 

 

「ヒーロー何で棒立ちぃ?」

 

「中学生が捕まってんだと」

 

……まさか捕まってる中学生が爆豪とはな。あいつの個性は爆破。掌から出る汗で爆発させる強力で危険な個性だ。そりゃここまで火災が酷くなる筈だ

 

(今いるヒーロー達だけじゃあのヘドロの対処と爆豪の救出は無理だ。俺も助太刀するか)

 

そう考え上空から強襲しようとした瞬間、野次馬の中から見覚えのありすぎる奴が飛び出した

 

(出久!?)

 

何でまたお前が!?さっきオールマイトと一緒に飛んでた筈だろ!

 

「馬鹿ヤローー!!止まれ!!止まれ!!!」

 

制止するヒーローの声も聞かず出久はリュックから護身用に持たせている俺特製の催涙スプレーを取りだしヘドロ敵へと吹きかけ視界を潰すとヘドロ敵に取り込まれている爆豪へと手を伸ばす

 

「かっちゃん!」

 

「何で!てめぇが!」

 

出久が爆豪の身体を掴もうとするがヘドロの身体には虚しく空振る

俺もバードメモリをベルトから抜き上空から落下しながら別のメモリを取り出す

 

 

「足が勝手に!何でって…わかんないけど!!」

 

「君が、助けを求める顔してた」

 

出久、お前って奴はほんと、ヒーローよりヒーローらしいこと言ってくれるぜ!

 

『Cyclone Maximum Drive!』

 

俺の左腕に風が纏われ落下しながら殴る体勢にする

それと同時に気づくといつの間にかオールマイトが出久と爆豪の片腕を掴んでいた

速い!だが俺ももう技を解除はできない。タイミングを合わせるしかないか!

 

「君を諭しておいて…己が実践しないなんて!!」

 

「プロはいつだって命懸け!!!!」

 

『DETROIT SMASH!!!!!』

 

「サイクロンブロー!!」

 

 

オールマイトの拳と風を纏った俺の拳が同時にヘドロ敵を吹き飛ばした。同時攻撃の威力は凄まじく空中でバランスの取れなかった俺の身体は思い切り吹き飛ばされ近くの建物の屋根の上まで飛ばされてしまった

にしても、やり過ぎたなこれは。はっきり言ってオールマイトの一撃でもあれは充分過ぎる威力だったのにそこへ俺の追加ダメージだ。完全にオーバーキル、まあ、俺の知り合いに手を出した報いだと考えれば上等か

身体が吹き飛ばされても死ぬタイプの敵じゃなさそうだし問題もないだろう

見つかる前に退散しようとするとオールマイトの声が俺を呼び止めた

 

「エターナル!助太刀は感謝するが待ちたまえ!あまり敵から市民を守ろうとする者を捕まえたくはないが、私もヒーローとして個性を違法使用する君を捕まえる義務がある!」

 

そりゃそんな簡単に見逃してはくれないか……。こちらへと顔を向けているオールマイトに俺も屋根の上から顔を出して返事を返す

 

「お前がいるなら俺の助太刀は必要無かったな、オールマイト。悪いが俺はまだ捕まるわけにはいかないんだ。ここの後片付けは任せたぞ」

 

『Zone Maximum Drive!』

 

「待てと、言っているだろう!」

 

 

オールマイトの拳が当たるより一瞬速くゾーンメモリが起動し俺は近くの路地裏にワープできた

危ねえ、今のもう少し遅かったらぶっ飛ばされて捕獲待ったなしコースだったよあれ。No.1ヒーローの拳とか絶対受けたくねえよ。ガチで死ねるだろうから

まあ、いいや。終わったことだし出久も爆豪も大丈夫だろう。俺も変身解いてとっとと帰ろう

 

 

 

―――――――――――

 

 

翌日

 

元々訓練の予定だった今日、NEVERヒーロー事務所にはNEVERさんを筆頭にこのヒーロー事務所所属の4人のヒーローと俺と出久の他に、昨日見たばかりのオールマイトが来ていた

オールマイトはどうやら出久の引き抜きというか自分が出久をみっちりと鍛えたいからという理由で来たようだ

今はNEVERさんと二人で何か話し合っている

 

 

「斗和君、ごめんね。斗和君が誘ってくれて2年も一緒にやってきたのに突然こんな風に辞めちゃって」

 

「いいさ、俺達は学校でも会えるんだ。それに子供の頃から憧れてたオールマイトに鍛えてもらえるんだろう?一生に一度あるかどうかもわからないこのチャンス、絶対活かせよ。俺達は一緒に雄英行ってヒーローになるんだからよ」

 

「っ~!うんっ!!」

 

 

出久は涙が溢れそうな目を擦り笑顔で頷く

ほんとこの泣き癖は治らないな、出久は

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ皆さん、本当にありがとうございました!」

 

「またいつでも訓練に来いよ!」

 

「私の抱擁ならいつでもしてあげるわよ!」

 

「月下、それはやめてやれ。緑谷、困った時があったら言え。なるべく力になるぞ」

 

「オールマイトの訓練が物足りなければまたこちらで訓練してあげますからね」

 

 

激励を受けながら父さん達に頭を下げ出久はオールマイトと共に去っていった

こうして出久はNEVERヒーロー事務所を離れ、俺達の歩む道は離れた。だがまたすぐに交わるだろう、なにせ俺達の目指す場所は同じなのだから

 

 




タイトルのRはroad、ここで斗和と緑谷の道は一旦別れたということです
とりあえずシンリンカムイ、Mt.レディを始めとしたヒーロー達のファンの方、本当にすみません。彼らにはかませ役になってもらいました。特にMt.レディごめん、君デビュー戦だったのに

えー、原作との違いはわかりやすいですが緑谷の身体能力、戦闘技能、持ち物の強化。爆豪の性格の早めの凶暴化、怪物敵の相方のオリジナル敵ですね。あ、あとクラスメイト達からの印象とかもか
原作の10ヵ月であれだけ鍛えた緑谷君ですからね。2年も費やしたら学校のNo.3くらいなれますよ。因みにこの緑谷君なら海浜公園のあのゴミを5,6ヵ月で片付けられます

オールマイト「HAHAHA!能力早く渡せちゃうなこれ」

爆豪はヘドロの前に敗北を知ったおかげで雄英入学前に原作の雄英入学後のような性格になりました。そのせいで目付きの悪さが更にひどく…

次回は雄英入試試験!ようやく煩わしい誓約が複数外れる斗和はどう立ち回るのか!

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