初霜「お久しぶりです。ところで私はいますか?」
作者「艦娘が一人も居ません」
初霜「えっ⋯⋯⋯⋯⋯」
この機体に乗るのは久しぶりだが、まさか空母の上で乗るとは思いもしなかったものだ。
波は穏やか、風は少々、しかし周りの空気はカチコチ。仕方ない。
『隊長、準備OKですか?』
「あァ。問題ないよ、カウント君」
乗っている機体の下からは漏れ出た蒸気で一杯らしいが、
風上に向かって走る空母の上に居る以上、そいつは見られない。
『カタパルト内圧力、グリーン。何時でも行けます』
「ワイヤーは引っかかってるんだろうな!?足元は見えねぇんだ」
「引っかかってますよ中佐。閉めちゃってください」
「あいよ」
操縦席を密閉にして、目先の計器を除く、燃料さえあればなんとかなる。
試験飛行の今回だけは。
⋯あれ?燃料満載だ。
「満載になっているが、大丈夫だろうな?」
『ガス欠よりはマシです』
「そうか、始動してくれ」
無理せず出力を最大に上げ、応答と衝撃に備える。
願わくば、海面にキスしないように、と。
『OK⋯す!しど⋯。ちゅ⋯さの幸う⋯を祈りま⋯!』
⋯⋯⋯これは酷い。後で改良だ。工廠詰めになると思うと気が重い。機も重い。
するといきなり後ろに押さえ込まれる。舵を必死に握って上にあげる。
いつの間にか見えていた海面は空に変わり、しっかりコイツが飛んでいることが目に見えた。
左にぐるっと向き直し、左の羽を下に向ければ空母が見える。
この攻撃機の巣、金峰が見える。
『中佐!やりましたね!カウント殿も喜んでおりますよ』
「だが改善が必要だ。魚雷引っ下げてウォーターハザードしなけりゃなァ」
『無線も聞こえなかったそうだな。まぁ他の機体なら大丈夫だろう。次は着艦だぞ』
「了解、艦長」
着艦もなかなか酷かった。危うく海に落っこちる所だった。
「隊長のあれは、単に下手なだけですよ」
彼は時たま毒を吐く。正確には純粋なだけなのだが。
「んだったらおまいさんもやってみろ!アレだと難しいんだよ!」
「お取込み中悪いが中佐、改善点というのは空母の方ですかね?」
「多分そうだ。無線機がいかれる。半分はこれが原因だから工廠にでも行くとする」
「なら助かる。⋯⋯⋯湾に入った」
コイツも連れて殴り込みに行くかな、それが良い、絶対。
「カウント君も工廠に行くぞ」
「え?僕もですか」
「そうだぞ、命令だぞ」
カタパルトを積み込む大実験の後に一仕事。サイダーでももらって帰ろう。そういえば⋯。
「艦長、艦の圧力はどうでした?」
「いや、あまり変わらなかったぞ?ふむしかし⋯また実験が必要かもしれんな」
「その時は⋯」
とカウントを引きずり出し、
「彼がやってくれるんで」
「助かるねぇ、カウント君。出来れば空戦機動も拝みたいね」
「あっ⋯⋯ハイ」
こうして空母金峰のカタパルト試験は無事?終了したのであった。
用語・人名集
カウント・クリンスマン
中佐の部隊の一人。と、言っても今現在生き残っているのは中佐と彼、
未だ本編出場をはたしていないTREU3(本名も決まってない)の三人で、
TREU3も負傷でAWACS送りという損害である。(大体半壊状態)
目の良さに定評がある。どっかのグ〇ムみたいな人。そこまでうざくはないが。
割とどうでもいいが、四番機であった。現在は中佐の後ろである。
実は兄がいるが、とある空域で撃墜され、行方不明になっている。
丁度中佐がイジェクトしたその時に。