初霜さんと   作:琵琶醐醒醍

9 / 22
作者「次回予告」
卯月「前書きにするものじゃないピョン!」
作者「この『第4防衛線』の前に6200文字モノを投下します」
卯月「前代未聞ピョン⋯」
作者「あと『クロスオーバー』タグを⋯」
卯月「『活動報告』があるピョン!」
作者「じゃあこれだけは。
  オリキャラが『ぼくのかんがえたさいつよの艦娘?状態』になりますので、
  ヘルメットなりなんなりを用意してくださいね」
卯月「おしまい!」

3月は10日近い日 葛城が中佐の航空偵察を手伝ったその日
古式鎮守府南部 舟屋付近
夕飯時から約7時間



『第4防衛線』

もうすぐ今週の深夜ラジオが始まるっていうのに、重苦しい空気がそれを許してくれない様だ。

星見えぬ春夜の空に溜息をつき、隣で震えている問題児を見る。

何か毒に触れてしまったのか、その震えは止まる術を知らない。

まァ『こちらの目線で』見れば、さして危険な毒ではないのだ。

悪くてもげんこつで済まされるぐらいだろう。

提督の性格からしてコンクリ詰めになる事はまず無いし、

『協定』を取り決めてしまった以上、

葛城を沈めるのは万死に値するために、全力で守らなければならない。

湖に突っ込んだ挙句、綺麗な葛城を渡されても困る。

「あぁ、遅れてしまった。事態が混迷をを極める前に、早く南隧道ドックに入ろうか」

「・・・!?」

「声も出せなくなってるね。古式七不思議の一つこと『人喰いトンネル』にまさかこんな夜更けに

 入る羽目になるとは、誰も思わないだろ。どうせなら、抱き上げたらどうだ?」

と無茶振りと追い打ちをかけると、

「仕方あるまい」

と帰ってきた。珍しい態度に疑問を抱くも、

「ひょえっ!?」

なる悲鳴に思考が遮られる。

「軽いな」

 

しかし薄く彼女も感じていた。服の割には、支えている腕の感触が小さい、と。

 

まだ3月同日

古式鎮守府 南隧道ドック

夕飯時から約5時間

 

もの静かなこの隧道に、まず入る人は居ない。

かつて、潜水艦を使って一泡吹かせようとした諸作戦群、

通称SD計画の拠点の一つがここだったようだ。

もっとも、潜水艦クラスの連中が現れたために、計画は破棄され、

誰からも忘れられてしまった。

その後、

何も知らずに古式鎮守府が創設され、

一泡吹かせられた連中によって、

何も知らない娘達が惨殺(まではいかなかったが、稼働できる戦力を一時的に失った)

⋯古式の古い噂と化した悲劇の根源もまた、この隧道だ。

右端に作られた鉄板の通路を歩き続ける。

カーブを抜け、二つに分かれた水路の右側を伝って行く。

右水路の終点は、左水路と隣接且つ出口に伸びる連絡通路を繋げるように、

広い鉄板で塞がれている。その少し広い所に、簡易作戦室が置かれている。

⋯仕切りが無いため『室』かは怪しい。

「ここ⋯?」

「よいしょっと。そろそろ、種明かしでもしないとね」

太った謎の男から女声がするとは普通は思わない。

普通は。

そんなオカマ?が分厚いコートを脱ぐと⋯

「貴女は⋯一昨日の!」

「やっぱり覗き見してたのね」

「ヒッ!?」

「でも安心して。人をバラす趣味は持ち合わせていないから」

「自己紹介くらいはしたらどうだ?」

「そうですね。っえ~、私は初瀬。名前には変な当て字を使うんだけどね」

「キレイ⋯」

まァ無理もないだろう。

わざわざ振り向くほどではないが、そこそこの美人さと謎の行動力によって、

とある国のとある業界を騒がせやがった方だ。

因みにマトリョーシカの如くトレンチコートを羽織っている。

中の服装が大和さんのとほぼ同じだという事実をも見せると、葛城が混乱しかねない。

「兎にも角にも、今の状況を説明するから」

「ハ、ハイ」

「まず、この諸島には、第1から第6までの防衛ラインがあるのは知ってるよね?」

「形式上の物とは聞いてるけど⋯」

「実際は、第1から4までは砲撃に対する射程圏なの。第5と6は実物大になる航空機の射程なん

 だけどね。で、その第4に彼らが迫ってきている」

「『失われた機体を求めて』か。いや、そこまで気付いていないから来てるのか」

「しかし防衛担当の第三艦隊及び他の艦隊は全て機能していない。

 なぜなら、私が止めてしまったから。誰も風邪ひかないように。

 でも、この島が消えたら、風邪どころでは済まされない」

「つまり、たまたま起きてしまっていた私に出撃させるため?」

「いいえ、今、確実に戦力になる人は多いと確信している。

 でも『休め』と言ったのにいきなり『働け』と言ったら」

「確かに、私も不満を持つわ」

「でも、貴女は秘密を知ってしまった」

「!?」

「実は、何の不満を持たずに動ける戦力がここに居るの」

背を向けて、カツンカツンと鉄の床を歩く少女は、その最中に殻を脱ぐ。

そして、非常に面倒くさい機構で構成される接続部を軽々とセットし、此方に目を向ける。

「見覚えあるでしょう?⋯私自身が赴くのが最善だと、最初は思ってた。

 しかし、敵か味方かハッキリしない亡霊戦艦が『この島々を守るために』現れたら?

 下手に大軍を呼び寄せても意味は無いし、むしろ危険に満ちている。

 戦争は数なのは誰もが知ってる。

 挟み撃ち然り、サッチウェーブ(≪二機で一機を仕留めろ≫とほぼ同義)然り」

「⋯」

「解決策は一つ。退去してもらう、それだけ。

 この私がいきなり現れたら、何もかもが向こうに渡った事になる。

 でも調度いい人を思いついたの」

「それが⋯私」

「口封じのために沈める気はない。少しの間だけ、この秘密を守っててほしいの」

「もし私が拒絶したら?」

「何も手を下せない。

 貴女にも、

 彼らにも、

 そして今なお此方を煙たがっている軍内部の諸勢力にも。

 茶華田七緒提督より前に指揮を執っていた女司令官を快く迎えてくれる人は居ない。

 そして七緒自身の立場も危うい。

 そしてそれを取り巻くメディアの暴走⋯実質、断る事なんて出来ない」

「⋯⋯」

「ここまでが咄嗟に作った台本。後は貴女の答え次第」

悩みこむ葛城。

「つーか、さ。わざわざコート脱ぐ必要あったのか?」

「!?」

「葛城先生、提督も結構な不器用なのさ。

 『協力してください』を断ってしまわれる事を極度に恐れてるのさ。

 おかげで脅迫紛いの台本になってしまった。

 ⋯空母一人では何もできまい。

 そのために俺がいるようだ。水上バイクの免許はこの前取っている。

 護衛なり、交渉人なりは俺に任せろ。そこの可愛い嬢ちゃんの頼みくらいは聞けるべ」

「⋯⋯⋯そうね。分かった!」

「そう来れば、後は位置情報だけだ。で、何処なんだいって、おい?どーした?」

「っ!?何でもない、から。位置は、ここから南東東10km程度、3人ね」

「交渉失敗時はどうする?」

「島影で待機してるから。その時はその時、ね」

「夜間攻撃ってやったことないんだよね」

「グラ子でも砲撃だからねぇ」

「もしかして空母娘初?」

「一応強化訓練に突っ込もうと計画していたばかりだ」

「でもね、貴女なら出来るはずなのよ」

機嫌が戻っている⋯

「さっきの偵察での感覚を強く念じれば、妖精たちにも通じるってハナシだ」

「やってみる」

「よし、港湾管理部に打電だな」

ジャジャーンと取り出した電卓を叩いていく。

「何それ?」

「暗号変換器。電池式だからある程度の信頼性がある」

『Zp6bbR PとdBY1とM9

 D5GND5GNとZ66pとP6

 5ZRYnZH22ZYY1ZDP

 5とP6pbq2DタYR2S』 と現れた。

「これを打ち込んでから、出撃だな。

 水上バイクはもともとコッチに置いているから問題なし」

「艤装は持ってるから」

「だとよ」

「出撃を許可する。⋯私自身もだけど」

 

続く




06 03 期限を機嫌に修正、『計画は破棄され、』が文章前半に追加

用語・人名集


初霜(改二)

古式鎮守府最古とも、艦娘全体の最古とも言われる可愛いお方。
『鬼は誰か』の後辺りで怖い夢を見て、やや心が籠りがちになっている、らしい。
惨劇悲劇を幾度となくすり抜けては、心に溜めていた事も関係がありそうだ。
現在、第二艦隊の形式上のトップになっている。
割とどうでもいいが、空を見上げる事が多くなった。



最古の艦娘としては、2012年辺りに海上に浮かんでいる所を救助されたようだ。
元々誰だったかは不明。戸籍上は茶華田元帥のもう一人の孫になっている。
戦闘時、眼が赤くなっているとの目撃情報が多く寄せられているが、
本人は自覚が無い様子。なお、オーラが滲み出ていたという報告は皆無。


初霜「?初瀬提督の名前、消えていますね」
作者「覚えるのが面倒なのでボツに。というよりカタカナのほうが良いかなーって」
初霜「じゃあそのカタカナは何処へ?」
作者「大丈夫、温めているネタの一つで暴露する事が確定しておる」
初霜「⋯⋯⋯⋯そう」
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