私のヒーローと世界の危機と愛しい日常風景   作:淵深 真夜

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自己愛蜃気楼

 テレポートを繰り返してやっと学校の正門前までたどり着き、まず最初に見たものは、変わり果てたミラージュに首を締め上げられているヘラだった。

 

「ヘラッ!!」

 抵抗の意志すら見せなかったヘラを呼び掛けると、ヘラは眼を開けた。

 同時に、ミラージュの腕に手裏剣や苦無がいくつも突き刺さり、ヘラの首から指が離れた。

 背後の壁は焼けた鉄の色をして溶け、そこから服や体は焼け焦げだらけで、熱に耐えきれず融解している部分もあるのに、それでもヘラを助けようとしてくれたジェノスさんが見えた。

 

 私が何かをする必要はきっとなかった。むしろ手出しは邪魔でしかなかったと思う。

 けれど私はそんなことも考えつかず、もう一回テレポートをしてヘラとミラージュの間に入った。

 ヘラを助けたいとか、これ以上ジェノスさんやソニックさんに迷惑をかけれないとか思ったわけじゃない。

 

 ただ単に、完全にむかついたからとっさにやっただけだった。

「ヘラに、触るな!!」

 ただブチ切れて、思いっきりミラージュの顔にハイキックを決めた。

 

 決めた直後にジェノスさんがミラージュに殴り掛かって、地面を抉りながら吹っ飛んで行ったけど、もう私は蹴り飛ばした時点で興味の対象がミラージュからヘラに移っていた。

 座り込むヘラの首にはミラージュの手形がくっきりと残っていて、爪で皮膚を抉られた傷が痛々しかった。

 

 それでも、ヘラは言った。

 大丈夫かを尋ねた私に、顔をくしゃくしゃに歪めて、目にいっぱいの涙を溜めて、けれどどこかいつもと同じように……、5年前、私たちが堂々と親友だと言いあえていたあの穏やかな日々の彼女のように、笑って言ってくれた。

 

「……大丈夫よ」

 そのたったの一言で、私は安堵した。

 その涙交じりの笑顔で、私は救われた。

 ヘラがまだちゃんと笑えること、笑顔を忘れていないことが私にとって何よりの救いだった。

 

 * * *

 

 安堵すると同時に、体の力が抜けて地面に私がぺたりと座り込み、その直後に「エヒメさん!!」と声をかけられる。

 見上げて、私の胸の内がまた新たな罪悪感でいっぱいになった。

 

 手足は一本も欠けることなく健在だけど、傷と焼け焦げだらけ。表面だけかもしれないけど、融解している部分も多く、顔の左半分にヒビが入って左目は飛び出かけている。

 そんな状態でも、ジェノスさんは私とヘラを守るために、私たちを背にやって向き直る。

 

 ふっとばして未だ地面に倒れこんだまま「痛い痛い痛い痛い痛いぃぃっ!!」と、水銀みたいなのをまき散らしながら叫んでのたうち回っているミラージュと、彼女を庇うように囲むジェノスさんとソニックさんを模した人形と対峙する。

 ……何あの人形、気持ち悪い!!

 

 モデルの二人には悪いけど、誰を模しているかはわかる程度の再現度なのに動きが妙に滑らかだからか、不気味の谷とはまた違う、マネキン人形が動く恐怖というか……とりあえず何とも言えない不気味さと気持ち悪さがある。同じ外見のがうじゃうじゃいっぱいいるというのも、気持ち悪さを担ってるのかも。

 

 あと、個人的にかなーりムカッと来た。

 いらないけど、ジェノスさん人形があいつを守ってると思うとムカッと来た。ソニックさん人形に関しては……、人形でもあれを守らないといけないなんて大変だなぁと同情した。

 

「何だ、体ごと持ってきたのか。道理でこの女が乱入してきたわけだ。取りに一旦戻っていたのか」

 いつの間にか私のすぐ横にソニックさんが呆れたような目で見下ろしていて、ジェノスさんがものすごい形相でソニックさんを睨み付けた。

 ソニックさん、ヘラごとテレポートした後のセリフでわかってたけど、やっぱり私がいたこと気付いてたんだね。

 見えてる様子はなかったから、どうやって気づいたんだろう?

 

「エヒメさん、事情は後で説明しますから、今はヘラを連れて逃げてください」

 ジェノスさんはソニックさんを睨み付けた後、真顔に戻って私に言った。

 こちらは完全に私が身体を置き去りにして、ずっとヘラの傍にいたことに気付いていないからか、たぶんあれがミラージュだってことを私は気付いていない、もしくは気付いてショックを受けてると思ってるのかな?

 

 ジェノスさんの言葉に、ソニックさんは鼻を鳴らして「邪魔だ」と言う。そこまでジェノスさんと意見が合うのは嫌なの? とちょっと呆れつつ、私は言わなくちゃいけないことがあったので、二人に伝える。

「……あの、とりあえずヘラだけでもどこか安全な場所に避難させたいのはやまやまなんですが……、私、集中力が乱れると座標指定が上手くできなくなるんです」

 

 私の言葉に、ジェノスさんは背中越しでも困惑が見て取れて、ソニックさんは怪訝な顔をした。が、ソニックさんの方は私の足に目をやって、目を見開いた。

 はい、その通りです。

 

「すみません、さっきのハイキックで足をやっちゃいました」

 蹴った所為で足の筋を痛めた、ねん挫した程度なら大丈夫だったと思うけど、ミラージュは怪人化したせいか蹴った時の感触が何かもう鉄を蹴り飛ばしたみたいだった。

 その所為で、たぶんこれ確実に骨がやられてる。折れてはいないと思うけど、蹴ってまだ数分しか経ってないのにもう立てないくらい痛くて、だいぶ熱を持って腫れあがってるのが良い証拠。

 

「バカだろ、お前!!」

「バカじゃないの、あなた!?」

 

 ソニックさんはもちろん、首を絞められていたショックからか「大丈夫」と言ってから茫然としていたヘラからも突っ込まれた。うん、自分でもそう思う。

 ジェノスさんだけが、「大丈夫ですか!?」と言ってくれたけど、もしかしたら足じゃなくて頭の心配だったかもしれないとか思ってしまった。

 

「何してるのよ、あなたは! バカじゃないの!? 何で蹴った方が大怪我してるのよ!!

 あぁ、もうなんであなたは本当に、自分の事はいらないくらいに我慢するくせに、他人のことには全く大人しくしてくれないの!? 服装もこんなんだし!!」

 私の自滅に色々とショックが吹っ飛んだのはいいけど、ヘラの心配性なところと説教癖が出て来て、私の肩を掴んでガクガク揺さぶりながら、半泣きで色々と言われた。

 

 ソニックさんはもう完全に呆れ果てた様子で見下ろしていたけど、ジェノスさんは私の足を心配して強張っていた顔を、少しだけ緩ませた。

 安心したような優しい目に、私も心配と迷惑をたくさんかけたことを申し訳なく思いつつも嬉しくなった。

 

 うん、もう大丈夫だよ、ジェノスさん。

 私はちゃんと、ヘラと向き合える。もう、ただ「ごめんなさい」と言ってヘラを遠ざけて逃げて、結果として贖罪どころかヘラを傷つけるなんてことはしない。

 もう私は自傷みたいなマネはしない。

 

 ヘラと仲直り、出来ましたよ。

 

「何で……何であんたが出て来んのよ!!」

 

 そんなほっこりしていたら、憎悪を込めた絶叫が響き渡る。

 再び、全員がそれに目を向ける。

 

 環境が悪かったのもある。周りが甘やかしすぎた。叱らず放置していたことが、彼女の歪みを肥大させたことは明らか。

 その要因の一人が私なのだから、私が責任を取らなくちゃいけない。

 

 けれど、あの時もっと厳しくしていれば……という後悔はほとんどない。

 たぶん、私がいてもいなくても彼女は同じ怪人にいつか成り果てていたと思う。

 例え周りがもっと厳格に、「要求を呑んだ方が楽だ」とか思わず断るべきことは断っていても、いつかこの結果に辿りつく。そしてそれは、早まることがあっても遅らせることは出来ない。

 

 だって、一番彼女に影響を与えるであろう彼女の両親は、親バカなところはあったけど常識の範囲内だった。モンペやクレーマーと言われるほど、彼女を非常識に甘やかしはしなかった。

 彼女の自己愛は、優しい虐待の成果じゃない。

 どちらかというと、彼女のあまりのわがままに心が折れて、更生させることを諦めて娘に関わりたくない、逃げたいの一心で全寮制の学校に入れた節があった。

 

 彼女は、私の幼馴染は、ミラージュは初めから、自分以外を愛さない怪物だった。

 

 だから私は、それこそ体も心に見合った姿に変貌したのを見ても思うことは、罪悪感よりも諦観であり、驚きも恐怖もない。

 彼女が怖くて仕方がなかったのは、あの自己愛と悪意そのものの彼女と自分が同じ人間だと思っていたから、いつか何かのきっかけで自分や他の人もミラージュと同じになってしまうのではないか? という不安からだったんだろう。

 初めから怪物だったと知った今では、恐怖は納得に変化してしてしまった。

 

 そしてミラージュ自身には、怒りや憎悪、嫌悪があるけど、怪人と化した彼女を見て初めに思い、そして今も大きな割合を占める感情は、憐憫。

 

 同情はしないし、悲しいとも全く思わない。

 けれど、初めから決められていたであろうこの結末には、憐れみを覚えた。

 

 やっと起き上がったミラージュは、腕や顔から銀の液体を垂れ流して、自分を守る人形の隙間から私に恨み言を吐き散らす。

 

「何で、あんたが出てくんの!? 何であんたは、まだ生きてるのよ! 死ね! 死んでなさい! あんたなんかもういらないって言ったじゃない!! あんたはまた私から、私のものを全部奪う気なの!!」

 

 ……この世全てのあらゆるものを際限なく欲しがって、それが自分のものであることを疑わない。

 だからこそ、事実そうであっても決して幸せになれない彼女に私は答える。

 

「私はあなたから何も奪う気はない。ただ、自分の物を守るだけ」

 

 この返答に何の意味もないことはわかってる。

 これは彼女に理解させる為ではなく、ただ自分に改めて自分のすべきことを言い聞かせて、確認してるだけ。

 現にミラージュは、子供のように甲高い声で泣き叫んで主張する。

 

「嘘つき嘘つき嘘つきぃぃっ!! 奪ったじゃない! 盗ったじゃない! お前さえいなければ、お前が余計なことをしなければ、全部私のだったのに! いい子ぶりっこで私のパパとママを盗ったくせに! 先生から褒められるのも、私の好きな男の子も全部、媚び売って盗ったくせに!!」

 

 ミラージュが狂乱してヒートアップしてゆくのに比例して、私はもちろんジェノスさんやソニックさん、ヘラも完全に白けてゆく。

 何ていうか、もはや怒りを覚えるのもバカらしい。

 

 怒りの上限を超えると冷静どころか白けるということを教えてくれたミラージュは、さらに泣きわめきながら被害妄想を声高に叫ぶ。

「何で私ばっかりこんな目に遭うの!? 私をいじめてそんなに楽しい!? 私の事、そんなに嫌いなの!?」

「え、うん」

「え?」

 

 思わず、本当に思わず完全な反射で、素で即答したらなんか心底不思議そうな声が上がった。

 一秒前まで耳が痛くなるほどに泣きわめいていたのが急に泣き止んで、ミラージュは「え?」と問い返した。

 

 ミラージュのその言葉に、こちらは4人全員がフリーズする。

 数秒の間を置き、私は心の底からの本音をもう一度口にした。

 

「……うん。あなたのこと、昔から大嫌いだったよ」

 

 私の本音に返ってきた言葉は、怒りと困惑が混ぜ合わさった「はぁ!?」だった。

 その反応に思わずこっちも「え?」って声を上げて、なんとなく横にいるヘラとソニックさんを見る。

 

「いや、不安がるな。お前の答えが正しい」

「えぇ。私も大嫌いだから、好きだと思ったことは一度もないから安心なさい」

「エヒメさん、大丈夫です! 貴女は何も間違っていませんから、自信を持ってください!」

「ですよね!」

 

 あまりに本気で不思議そうだったので、私がおかしいのかな? と思ってしまったけど、横のソニックさんやヘラだけじゃなくてジェノスさんも振り返って、私が正しいと断言してくれた。

 けれど全員、たぶん私と同じ不安を一瞬感じていたんだと思う。みんな、私の「ですよね!」で一瞬、安心したような顔になったから。

 

 納得できないのは、ただ一人。

「……ない。……ありえない。ふざけんな! あんたがそんなこと言うなんて、私を、この私を嫌うなんて許さない許さない許さないぃぃっ!!」

 水銀が仮面のように顔全体を多い、そこにぽっかり空いた口から怨嗟をただ繰り返す。

 その様子に、言葉に、思考に私以外の全員が引く。

 

 私は、やっぱりただ憐れんだ。

 自分が大好きで、自分以外の生き物は皆、自分の奴隷だと彼女は思ってる。けど、何故か見下しているくせに、自分と対等と思っていないくせに、彼女は愛されたがっている。

 愛に飢えているという訳じゃない。ただただ、何もかもが欲しいだけ。

 

 自分の所有物を、得られるはずだった幸せを不当に奪われ続けた、世界で一番不幸な悲劇のヒロインが自分だとあなたは思っているでしょうけど、世界で一番不幸なのは正しい。

 あなたは、たとえあなたの望み通りすべてがあなたのものだとしたても、決して幸せになどなれない。

 

 ……それは何故かを、教えても無意味なんでしょうね。

 

 私の哀れみも、他3人からドン引きされてることにも気付けないまま、ミラージュはただただ狂った論理で自分がいかに不幸なのか、私がどれほど非道なのかを訴え、嘆く。

「何で何で何で、いつもいつもあんたばっかり得して、私は何も得られないの!? こんなに私は頑張ってるのに! ヘラと違って、手入れしなくちゃ誰にも見向きされないブスと違って、私は自然体なのに、あんたと同じようにしてやってるのに、何でいつもいつもいっつもあんたばっかりいいぃぃぃっ!!」

 

 ミラージュの恨み言に、ジェノスさんとソニックさんが素で「……元が別物だろうが」と同時に呟いて、何か睨み合ってた。

 二人とも、そう言ってくれるのは嬉しいけど、今ここでケンカはやめてくださいね。

 

 そしてブスと言われたヘラ本人が、そのことは気にした様子もなく、何か感心したように呟いた。

「……あれ、エヒメの真似のつもりだったの?」

 うん、正直私もびっくりした。

 ミラージュ、私は確かに化粧はほとんどしないけどスキンケアはしてるし、髪も美容院であまりカットしないのは、毛先をそろえるくらいは自分で出来るからだよ。身だしなみには気を使っていたよ。

 あなた、言葉通り本当に何もしないじゃない。美醜の問題じゃなくて、だらしなく見えるんだよ。

 

 まぁもちろん、そんなの思おうが言おうが今更っていうか、いつでも無意味。

 ただミラージュは一人で叫んでヒートアップし続ける。

 

「返して! 全部全部、私のを、あんたが奪った私のを返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返せえええぇぇぇぇぇっっっ!!」

 

『!?』

 ミラージュがヒートアップしていくにしたがって、彼女の周りに溜まっていた水銀みたいな液体が沸騰していたことには気付いていた。

 私はあの液体が何なのかまだよくわかっていないけど、とりあえず無害なものじゃない事は確実だし、ジェノスさんやソニックさんはもう何なのか知ってるからこそ、手を出さずに私やヘラを守るように傍にいてくれたんだと思う。

 

 その液体がいきなりミラージュの叫びの呼応して、彼女を取り囲むように吹き上がる。

 ソニックさんは苦無を取り出して構え、ジェノスさんは振り返らず掌の焼却砲を銀の壁に向けながら、「エヒメさん!」と叫んだ。

 最後まで聞かなくても、ジェノスさんは何の指示を出しているのかは分かったから、私は足の痛みに耐えつつ、少しでもヘラをあれから遠ざけられるように必死で座標を定めて、体が強張って動けないヘラに抱き着いた。

 

 けど、ソニックさんが武器を投げたり切り付けることもなければ、ジェノスさんが焼却砲を放つこともなかった。

 私は数メートルもテレポートせず、ただヘラとその光景を見ていた。

 

 高い壁となった銀の液体は、こちらには向かって来なかった。

 内側に流れ込むように、その壁は中のミラージュと彼女を取り囲んで守っていた人形を飲み込んだ。

 

「は?」

「え?」

「え? な、何事!?」

「何だ、自滅か?」

 

 4人がそれぞれ、予想外の出来事に困惑の声を上げて、ミラージュと人形を飲み込み、球状になったその銀の液体の塊をただ眺めていた。

 液体が中にいたミラージュを飲み込んで丸まって、巨大で綺麗な球状になったけどそれは30秒も持たず、チョコレートのように表面が溶けてまた液体となって行く。

 その溶け行く球の中から、声が聞こえる。

 

「ふふ……ふふふふふふふ……。そうよ。これよ。これこそが、正しいの。今までは何かの間違いなの」

 

 ミラージュの声が聞こえる。

 つい1分ほど前まで泣きわめいて狂乱していたのが嘘のような落ち着きを見せる声音に、寒気が走る。

 今こそ、私はヘラと逃げるべきだったと思う。だけど、体が動かなかった。

 それは他の人たちも同じ。

 

 誰も、何も言えずにただその塊が溶けきるのを、中から何が出てくるのを待ってしまった。

 

 銀の塊が、地面にぺたんと座った人の形になってゆく。人形の方は全部溶けてしまったのか、人影は一人。

 ただの人の形をした、男か女かもよくわからない銀色の人形だったそれからも、銀の液体が流れ落ちて行き、中身が露わになる。

 

 露わになり、全員が絶句した。

 服装は先ほどまでと同じ、銀の液体がそのままドレスのようになっているのだけど、今は髪さえも髪にはありえない金属の光沢を持ち、不気味に蠕動する一塊の液体になっている。

 そして額、ソニックさんが初めに手裏剣を突き刺した傷跡はぱっくり開いて、そこから手のひら大の眼球がぎょろぎょろと辺りを見渡した。

 

 第3の目は瞳は無機質な銀で、鏡をそこにはめ込んだようだった。

 

 けれど、私たちが絶句したのはそこじゃない。もう今更、彼女は体すら人間のカテゴリから外れているのはわかっていたから、これくらい驚くことじゃない。

 

「やっと、取り戻した」

 

 その場に座り込んだまま、恍惚と自分の顔に両手をやって、ミラージュだったものは呟いた。

 

 その怪人は、私の顔をしていた。




次回更新は、水曜日になると思います。
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