ダメ提督製造機(雷)が病み気味   作:鏡野桜月

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happy endを書きました。
まあ、おまけみたいな喪なので軽い気持ちでお読みください。
とりあえずお話はこれで終わりにします。



終話(2):意志疎通

 

 

 

 

 

「シレイカン、ワタシガイルジャナイ!」

「っ・・・」

 

その今までに見たことのない雷がそこにいた。

提督業をしていてずっと雷とともにいた。

だから雷のことは知り尽くしていると思った。

だが、そうじゃなかった。

暁型の雷たちの姉妹に雷のことを考えろといわれたからだ。

そして、その後でちゃんと雷のことを知れたと思った。

そう思ったのは間違っていたことにこの瞬間気付いた。

だから、私はこの言葉を口にした。

 

「すまなかった、雷」

「・・・?」

 

案の定雷は不思議そうな表情をした。

何を言われているのか、私が何を言っているのか理解しがたいといった感じだ。

だから私は続けた。

 

「雷、私が悪かった。許してくれ」

「・・・ナンデ、シレイカンハアヤマッテルノ?」

 

雷は何を思ってか、その顔には焦りが見え、ベッドに拘束された私に馬乗りになると、肩をゆすり始めた。

それはあまりいい状態ではない。

だから、精一杯の声を出した。

元の雷に戻ってくれることを願って。

 

「私は今の雷が、嫌い、だ!」

「!?」

 

言ってしまった。

多分この言葉は雷に深く刺さっただろう。

傷ついただろう。

でも、私はこんな雷を好きになったわけじゃない。

 

「・・・シレイ、カン?」

 

次の瞬間、私の頬に何かが落ちた。

それは重力に沿って滑り落ちた。

そしてそれは次々と落ちてきた。

私はそれを見ることなく、それが何なのかがわかった。

 

「や、やっぱり、司令官は、私のことが・・・」

 

私が叫んだその言葉を聞き、雷は涙を流していた。

その目は涙のおかげか、光は戻っていた。

だが、これでいいわけがない。

 

 

私は自分の行動を止めることができなかった。

止めたくとも、涙は次々とこぼれていく。

大粒の涙はたった今まで好きだった男性の顔へと落ちていっていた。

私は驚いていた。

だって、もう何を言われても平気だと思ってた。

なにを言われても揺るがないと思っていた。

でも、違った。

大好きだった人の声は私のさっきまでの状態、何でもできるという自分が自分でない状態が壊れ、絶望を与えた。

それは、私からすべてを消す言葉だった。

私の心にはぽっかりと穴が開いた。

この涙が枯れた時、私は生きていけるかもわからなかった。

そして、私は吐き出すように言った。

 

「私のことが、嫌い、だったのね・・・」

「嫌いなわけないだろ!」

「え!?」

 

私は耳を疑った。

だって、ついさっき私に・・・

私は混乱した。

その言葉はさっきと同じくらいの力を持っていた。

けれど、その言葉はさっきの言葉のせいで素直に受け入れていいのかがわからなかった。

 

「私は、今の、いつも通りの雷が大好きだ!」

「っ///」

 

私は司令官の言ったセリフでさっきの言葉たちを理解した。

司令官は私のことを元から好きでいてくれた。

司令官はその好きな私を元に戻すためにあのセリフを・・・。

ま、まあ、確かに戻ったけど、流石にひどいじゃない。

・・・ま、まあ、結果的には、う、嬉しいけど///

 

「い、雷?いつもの雷か?」

 

司令官は私が元に戻ったのかを疑っている感じに言った。

もう、戻ってなかったらさっきのセリフ、おかしなことになっちゃうわよ。

で、でも、あれって、告白、じゃない。

私はそんなことが頭を駆け廻った。

だけど、司令官の心配そうな顔をしている事に気付くと、一旦それらを考えることをやめた。

そして私は、今度は嬉し涙を流しながら、司令官に向かって、いつも通りの満面な笑みを見せ、言った。

 

「あったりまえじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は雷に拘束を解いてもらうと、部屋から出て行った。

するとそこは鎮守府近くの古びた倉庫の奥の床であった。

こんなところに通路があるとは・・・。

まあ確かに深海棲艦にもし襲われた時には便利そうだな。

 

「こんなところにある隠し部屋、私も知らなかったよ。すごいな、雷」

 

私はそう言うと雷は複雑そうな顔をした。

しかし、私が頭をなでてやると素直に喜んだようで成されるがままになっていた。

・・・こういう雷の顔も好きだなぁ。

 

「それじゃあ帰るか。・・・仕事、溜まってるしな」

「私を頼ってもいいのよ?」

 

雷は目を輝かせて私を見上げた。

ほどほどにしないとな。

そんなことを話しながら歩いていると、鎮守府にたどり着くとすぐに一人の艦娘が現れた。

 

「・・・司令官、どこに行ってたんだい?それに雷は町に行ってたんじゃないのかい?そんな二人が一緒に帰ってくるとは」

「「ぐっ」」

 

流石響、鋭い。

 

「・・・盛んだったんだね。でもほどほどにしないと憲兵に捕まってしまうよ?」

「いや、なんでだよ!!」

 

ちょ、それはほんとシャレにならないから。

ていうかそこ、雷、それもいい、的顔をするな、本当に捕まるからね!?

 

「・・・はぁ、まあそれはいいから。それより仕事をしないとな。それと今日から秘書艦は雷に戻す。いいよな、雷?」

「あったりまえじゃない」

 

私と雷はそう言うと執務室に向かった。

響は何かをみんなに伝えるとか言って、別の場所へと走っていった。

・・・まあ、大丈夫だろ。

 

「・・・雷、ちょっといいか?」

「ん、何、司令官?」

 

私はつい雷を呼び止めてしまった。

言おうとしていたことはあったが、言うのは少しためらわれたのだ。

だが、雷は私の言葉を待っていた。

 

「雷、私がもっとしっかりしたら、雷がもっと大きくなったら、指輪、もらってくれるか?」

「・・・/// い、いいわよ、司令官!」

 

言うのは恥ずかしかったが、それ以上に雷が照れているのを見てほおが緩んでしまった。

そしてこの瞬間私は、今目の前で照れながら笑いかけてくる一人の艦娘を、雷を一生大切にしようと心に誓ったのであった。

あ、憲兵さん、お呼びじゃないですよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

号外「提督と雷、密会を!?」

 

「・・・おい、青葉、これはどういう事だ?」

「ああ、それですか?ある人からの情報提供で書くことができましたよ?」

 

 




はい、甘々です。
ヤンデレのhappy endって、こういう感じかなぁと思い書きました。

とりあえずこの話は終わりです。
気が向いたらendを増やすかもしれません。
ネタはあるんでw

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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