ゴッドイーターとは偏食因子の適合者であるが、それだけではなく神機に選ばれた人間でもある。
そして神機は意志を持つ存在だ。
……と言う話を極東で聞いたことがある。
「って事は俺の神機も?」
「かもしれないな。GEの中には神機に名前を与えているのも珍しくない」
白いニット帽を被った少年、ロミオ興味深そうに俺にアレコレ訪ねてきた。
今日は既に訓練を終え、二人で庭園でのんびり雑談をして板。
「じゃあヨシアキも神機に名前を?」
「マリーってつけた。由来は特に無い、何となくだけど」
実際は前世の相棒、従者マリーの名前を借りたわけだ。
神機を握った時に何となくだけどマリーを感じたのは、俺の女々しさから来た感傷だろうか?
「へー、じゃあ俺も考えてみようかな!何が良いかなぁ」
うきうき気分のロミオがアレコレ考えているとジュリウスがやってきた。
「楽しそうだな、どんな話をしていたんだ?」
ジュリウスが仲間にしてほしそうに話しかけてきた!
俺がかいつまんで説明するとほぅっとジュリウスは少し意外そうな表情をした。
「因みにネーミングは割と自由で、こう言うのは実はGE以上に整備班が歓迎してたりする」
「え、なんで?」
俺が言うとロミオが凄く不思議だと言わんばかりに声を出す。
その一方でジュリウスは理解を示した。
「愛着を持つから、だな。
恐らく愛着の有無で神器への負担に差があるとかそういう話か?」
「当たりだ、神器を大切にするから簡易メンテの仕方も覚えるし、上手な負荷の掛け方も自然と体得するもんだ。
遠征なんかで連続戦闘が必須となる様な場合は最低限簡易メンテの仕方を知らなければ辛いもんだぞ……と、言うのが極東のGEや整備班、偵察班の共通認識だ。
メンテしなかったせいで途中で動作不良起こしても対処できないからな」
序に言うと偵察班も遠征任務に同行し、周辺警戒なんかでGE以上に暇がない上に大変だ。
あの頃は俺もGEなら……と何度も思ったもんだ。
「神機の動作不良とは洒落にならないな……今度整備部門に話を付けてメンテの仕方を学んでみるか」
「あぁ、それでなくとも最低限のチェックの仕方を学んでおけばどのぐらい危ないのかわかるようになるからな、おススメだ」
ロミオはジュリウスは真面目だなーと言いつつも、俺も頑張らなきゃな!と奮起する様子が見て取れた。
「さて、今日から二人には実地訓練と連携の訓練を行ってもらう」
ジュリウスの言葉に、俺はつい極東の日常を思い出し。
「実地……外でって事か、なら実践訓練だと思っておこう」
「え、ヨシアキは、それは考え過ぎじゃない?」
ロミオが若干引いているが、俺はそうは思わなかった。
「訓練自体は確り積んだんだ、後は実践、そういう時期が来たと俺は思うけどね」
「そうだな、ヨシアキの考えている通りだ。
ラケル先生が何度か言っていたと思うがブラッド隊の本質は『血の力』を目覚めさせ、固有能力を開花させる事、そして血の力に目覚める事で扱える『ブラッドアーツ』が特徴だ。
現時点ではまだ俺しか使えないが、ロミオもヨシアキもP66偏食因子に適合し後は力を目覚めさせるだけ。
そして血の力の本質は『強い意志』だ」
ジュリウスの線の細い王子の様に見えて、その真逆のまるでアツく力強い漢の眼差しはその意志力の表れだと感じさせた。
「成る程、成る程……俺の知る言葉にこんなのがある。
『自らの意思で運命を選び取り、数多の試練で以て研磨し、精錬せよ。その命の輝きを練り上げ、その魂を以て果てへと至れ』」
「……深いな、そしていい言葉だと思う」
ジュリウスは目を閉じ、うんうんとうなずく。
この言葉は『
「ブラッドへの勧誘は俺の場合少々処じゃなく強引だったが、結果から言えば選んだのは俺だ。
戦う力を望み、戦う道を選んだ。
第1に生きる為、第2に友人と肩を並べたくて、第3にやれる事があるなら、やりきりたいと思ったからだ」
「はぁ~……そういうの聞かされると、オレ、そこまで考えて無かったから、なんだかなぁ。
オレちゃんとやってけるかな?」
ロミオがちょっと決まり悪そうに言う。
「どんな理由であれゴッドイーターの活動は人々の為になることで、ブラッドの活動はゴッドイーター達の為になることだ。
その誇りを忘れず強い意志でもって事に当たれば良い、ロミオ、お前にならできるさ」
ジュリウスは大まじめにそう言ってロミオへの確かな信頼を表す。
そうこう話している内に、輸送車両の運転手から目的地に着いたと連絡が入る。
「さて、事前にも説明したが今回の実地訓練は小型種のアラガミ、オーガテイル、ドレッドパイクとの直接戦闘となる。
戦い方は二人に一任するが訓練で出来たことを出来れば確実に勝てる相手だ。
ヨシアキ、元偵察班のお前としては何か付け加えることはあるか?」
「通常種のオーガテイルはGEの初実戦に丁度良い相手だ、言ってみりゃ度胸試しみたいなもんだ。
資料には目を通させてもらったが近接攻撃しかしてこないから間合いと奴の挙動にさえ気を付ければ怪我の心配もない」
「報告ではドレッドパイクが数体居るが、オウガテイルは2体、一人一体でも良いし連携しても良い」
俺の言葉に頷き、ミッション情報を補足説明ジュリウス。
もしかすると事前に間引きして状況を整えたりもしたのか?
「ロミオ、オウガテイルを相手する時は連携を試してみるか。
ドレッドパイクは体当たりしかできないし、丁度良い」
「わかった!バッチリ決めてみせるぜ!」
そして実戦。
今回の俺の装備はクロガネ系の短剣、アサルト、小型盾で動きやすさを優先したものだ。
更にオラクル弾も各属性で連射向けに調整したものを用意した。
切る、倒す、捕食。
撃つ、倒す、捕食。
流石にドレッドパイクは弱い、だが油断すれば死ぬのが戦闘だ。
これはどの世界でも同じだ。
「ロミオ、射撃でオウガテイルの気を引くから一発ぶちかましてやれ!」
「わかった!」
弾種を特製連射用S型火炎弾に切り替えて牽制を行う。
『威力は控え目だが、途切れることがない弾幕は牽制には最適だな』
「そりゃどーも!ロミオ、側面からやってやれ!」
「おっしゃあ!」
ズ ド ン ッ !
思い切り地面を叩く音のみが聞こえたように思えるが、より正確には大剣で見事に王がテイルの胴体を叩き潰した音がそれだった。
「まじか……ハンマーで叩き潰した並みの音が出てたぞ」
『……ロミオ、見込んだとおりだ(震え声』
嘘つけジュリウス、お前メッチャ動揺してんだろ。
俺だって驚いたんだぞ。
『ごほん。大剣は動作がどうしても遅くなったり足を止める必要が出る分、威力はとんでもないからな。
ロミオ、お前の攻撃力には期待させてもらうぞ』
「へへっ、まぁかせておけって!」
「んじゃ、後もサクッと残りを片付けるべきだな。
ロミオ、とどめの一撃は任せるぞ」
俺とロミオで周囲の荒神総統を終えると、離れて様子を見ていたジュリウスがこちらと合流した。
「二人とも、初の実戦だがなかなかだったぞ。
俺も頼れる仲間が増えて実に心強い」
ジュリウスがそう言ってこちらを評価した。
ロミオはすごくうれしそうにしているが、俺としてはまだまだだなと自己採点している。
まぁ、極東基準は多分間違ってるんだろうな、普通は。
『ジュリウス隊長、新たなアラガミの反応です。
そちらに近づいて行っています、警戒を』
オペレーターのフラン=フランソワ=フランチェスカ……何某さんがそう報告してくる。
「了解した。
丁度良い、二人が目指すべき『血の力』と『
「「え?」」
血の力に関してはロミオから断片的に『必殺技みたいな物』、『なんかすごい力』と言う話は聞いている。
ジュリウスはなるほど、既に目覚めているからこそ同じ力を持つ可能性のある人間を集めた特務部隊結成が行われたのか。
っていうか、もしかしてロミオも実物は今回初めて見る感じか?
「『血の力』は個人個人で発言する能力は違うが」
アラガミ、オウガテイルが3体現れる。
ジュリウスが構えると同時にその全身からオラクルの活性化による発光現象、バーストが発動する。
しかしそれはジュリウスのみならず、俺とロミオにも起きている。
「な、これは!?」
「わわ!?」
驚く俺達を余所にフランからの通信で解説される。
『ジュリウス隊長の『血の力』により、各員強制バースト状態に移行します!』
ジュリウスは燃え滾る闘志を持ちながらもどこまでも冷静、言うならば明鏡止水とでもいうべき落ち着きを以て神器をオウガテイル達に向けて正眼に構える。
「そして『
ジュリウスが踏み込みと同時に剣を振るい、一閃した、ように見えたのだが明らかに直接切ったオウガテイル以外にも斬撃が飛んでいた。
「すげぇ!」
「マジか」
この瞬間、ジュリウスは俺とロミオにとって
今日のNG1
ジュリウスが今度来るという新しいメンバーにつきっきりな間、ヨシアキとロミオは二人で周辺の小型種討伐に赴いていた。
「よし、それじゃあ俺が極東のエースから譲り受けたオラクルばれと、内臓破壊弾を見せてやる!」
「え、なんかすごそうな名前だ!」
バシュン!ズドド…!
一瞬、弾がお空の彼方に飛んでいくかと思いきや、二発目が同時にオウガテイルに直進し、着弾、そして連続ヒット。
しかし、想定したヒット数に辿り着く前に効果が終了する。
「あれ?アキが撃った時と挙動が違う?」
「ヨシアキ、あぶなーい!」
ヨシアキはオウガテイルに天高く吹っ飛ばされてお星さまになった。
敗因:仕様の違い、事前チェックの甘さ