マデリンと分かれた後、再び徴募隊の宿営地を後にし、今度は盗賊や大量のオオカミの出没するらしい宿営地以北のマナミア街道で戦闘を繰り返した。
やはり、ドラゴンの影響が大きいのは寧ろ魔物や動物のようで、大剣使いの攻撃を2度ほど受けたが、ギリギリ死なない程度だった。
俺が覚者でなければ、或いは転生ボーナスが無ければ、更には防具や衣服を頑丈な物を選んでなければ死んでいたのじゃなかろうか?
何はともあれ、付近の盗賊を一掃し、オオカミもある程度片付けると丁度依頼されていた討伐依頼をコンプリートすることが出来た。
「予想外に盗賊が溜め込んでたお陰で当分の資金も十分にたまったし、一度徴募隊の宿営地に戻るか」
「わかりました。引き続き、宿営地まで気を抜かれること無い様にお願いいたします」
マリーの言葉にはいはい、と答えて宿営地に戻る。
この間、ある程度周囲のオオカミや盗賊を倒したお陰か襲撃を受ける事は無かった。
宿営地の宿泊施設のところまで行くと、以前も見かけた女騎士
「私は徴募隊の隊長、メルセデスだ。聞いたが、"覚者"とやらだそうだな。ポーンの民を従えることができると言う」
「まぁそうですが、どうかしたのですか?」
思わず訪ね返すと、良くぞ聞いたとばかりに応える。
「うむ、我々とてポーンを戦に駆り出すぐらいのことはするのだが…お前のように、ポーンを異界から呼び出したり、連れ従えて旅する事は出来ない。一体、どのような業を使うのだ覚者とやらは」
「はぁ……いや、なんと言ったら良いんだろうなぁ」
そもそも、自分とてリム越しに証を見せろだの言われてサイクロプスと戦った位しかしていないのだ。
他の人間がリム越しに呼びかけられるのかとか、そもそもドラゴンに心臓奪われてなきゃダメなんじゃないか、と思ったりした。
思わずムーっと腕を組んで悩んでしまう。
「……ふむ、だがまぁいい。今はどんな人間であろうと戦力となるのなら、歓迎だ」
メルセデスは肩をすくめながらそういう。
「何時でもそこを使ってくれても構わん。今すぐ休むか?」
「えぇ、それじゃあお世話になります」
「よし、休むこともまた訓練だ。しっかり休めよ」
そうして休んでぐっすりと寝ていると外が凄く騒がしくなった。
既に日も昇り始めた早朝、まるで何かに襲撃されているような悲鳴…?
「ま、まさかまた襲撃か!?」
そう思い慌てて外に出ると、巨大過ぎる蛇の頭が、一つ、二つ…合計で五つほど。
「ハ、ハイドラだー!!」
「頭の数が多ければ、ヤマタノオロチだなぁ……ってぼけたこと言ってる場合じゃねぇ!」
ハイドラのこちらを呑まんとする一撃を辛うじて避け、弓を番え幾度も放つが、大した威力が無いと言わんばかりに無視される。
「ち、この弓や短剣じゃ殆ど攻撃が通らないか?けど、目の辺りを狙えば流石に!」
そう思い、幾度も矢で射掛け、ポーン達もファイアボルトを放ったり、盾を叩いて音で気を引いたりと様々に工夫を凝らすがどうしても有効打に繋がるとは言い切れなかった。
「ち、油断したら一呑みにされるぞ!気をつけろ!!」
「頭だ頭を狙えー!胴体や尻尾の辺りは鱗が硬くて刃が通らんぞ!!」
周りの兵士たちも何とか奮戦するが、状況は劣勢のままだ。
俺自身も吹き飛ばされたり尻尾で振り払われたりしたせいで何度か瀕死に陥った。
「た、助けてくれー!!!」
「っ!今助けるぞ!!」
見ると兵士の一人がハイドラに飲まれそうな所を口を全身を使って抑えて耐えていた。
今にも噛み砕かれそうなその姿に焦りそうになりながらも身長に矢を番え、その口に毒矢を叩き込む。
毒矢を嫌ったのか刺さった瞬間大暴れして飲まれそうだった兵士はその隙に何とか脱出する事に成功する。
「くそ、毒もヤツが巨体過ぎて効果が全然見えないぞ!?」
何とかならないかと辺りを見回そうとした時、後ろの方から声が聞こえた。
「おい!コレを使え!!」
そう言って蹴り転がされた火薬樽。
大きな衝撃を与えると爆発する代物だが、その辺はさじ加減を心得ているのだろう。
「ありがたい!どっせぇええええい!!!」
転がってきた樽を勢い良く持ち上げ、大口を開けていたハイドラの口に投げ込むとそれを餌か何かと思ったのか丸呑みする。
「後は、射抜くのみ!」
集中して樽を丸呑みしたせいで膨らんだ場所を狙い、矢を放つ。
次の瞬間、大爆発が起きる。
流石に内部からの爆発には耐え切れなかったのか、ハイドラの首が吹き飛び、頭が一つ宙を舞う。
ハイドラの本体は思いの他の痛撃にこれ以上の怪我を恐れたのかするすると逃げていく。
ふと残されたハイドラの頭をみると断末魔なのか威勢よく叫んだ後、そのまま力尽きた。
その際、頭にサイクロプスの時も見たような謎の文様が見えたが、コレが何なのかは正直良く分からない。
何なのだろうか、と思っていると少しはなれたところから声をかけられた。
「よくやってくれた、見事だ」
メルセデスがそう言って剣を収めると、周囲の
「うへぇ、これ、あんたらがやったのか!?すげぇ!?!」
「しかし、何だってこんなところにハイドラが?」
口々に彼らが驚きや賞賛、疑念を浮かべるが、その結論は「大体ドラゴンのせいじゃないか?」で結論が付いたようだった。
彼らの口論に加わらなかったメルセデスが俺の方に来た。
「なるほど…それが覚者の動きか。間合いの取り方やその不屈の闘志、中々に興味深い。ともかく、この騒動は領王に報告に上がらねばならぬ。兵の集まりはいま少し足りぬが……ハイドラの首と共にお前が来てくれれば十分に足りることだ」
「ですか」
「……お前には、峠越えの護衛を頼む事になる。休息の後、先行する我々に追いついて関所まで来るが良い」
「わかりました。その依頼、引き受けます」
俺がそういうと、労う様にメルセデスがしっかりと英気を養えと言い兵士達に指示を出す。
朝っぱらから非常に疲れる事をした手前、取り敢えず一度休憩してからメルセデスの後を追う事にした。
そしてメルセデスをさぁ追うぞ、と荒れ果てた宿営地を出たところで声をかけられた。
「おう、ヨシュア良い所に!」
「……エルバ?何でこんなトコに??」
知り合いのオッサンのエルバ。
カサディスの住民だ。
話を聞くとどうやらキナが居なくなったらしく、キナは俺の傷の事を気にしていたから俺と一緒に居るか、呪い師として名高い森の魔女のところに行ったかのどちらかだと思って俺に話しかけたらしい。
「いやぁ、しかし宿営地の防壁の内側からハイドラが見えたときはビックリしたぞ!まさか、お前がアレに勝ったのか?」
「騎士メルセデスのお陰だよ。彼女の機転で火薬樽が無ければ流石に危なかった」
「はは、騎士様と共闘したってのか!そいつはビックリだ!土産話には丁度良い」
「とりあえず、キナの事はこっちで何とかするよ。ま、俺も一応、一度カサディスに戻るけど」
「そうか、先に戻って村長に話は通しておくぞ」
「あいよ」
メルセデスには悪いと思ったが、先ずはキナを探した方がよさそうだ。
キナは行動力があるとはいえ、戦闘力事態は無い筈・・・うん、たぶん。
とにかく、幼馴染優先で動くか。
不安事は早いうちに解消するに限るしな。
そう思いカサディスに向かうと、何やらキナのこと以外にも泥棒騒ぎまで起きているようだった。
何だかんだと断ろうと思ったが結局断りきれず、泥棒を捕まえる為に一肌脱ぐ事になった。
「……仕事しろよ、兵士」
泥棒は足こそ速かったものの、こちらは生まれも育ちもカサディスの地元住民。
相手を追い込んで捕まえる事に苦労は無かった。
いや、まぁ相手を教会方面に追い込んで捕まえようとしたら足が滑って高いところから落ちて足挫いたけど、捕まえれたから問題はない。
問題ないったら問題ないんだ!!
気を取り直し、キナの捜索を始めよう。
一応、村長からは「呪い師の森」に行った可能性があるような事を聞かされているが、家を探してみるのも必要だろう。
そう思ったが……明らかに外れっぽい紙切れがあっただけ。
森、教会、竜としか書かれていない。
「なんという外れ臭。これは素直に森に捜索に行けばよかった」
そんな訳で枯れ井戸に入って鍾乳洞を抜け森へ向かうのだが……。
「なんてこった……盗賊多過ぎだろう。ある程度倒したら強行突破も考えるべきだな、コリャ」
幾ら覚者だろうが転生者だろうが、難易度HARDな人生のお陰で死亡フラグ乱立状態過ぎだろう。
誰か、俺に弓じゃなくてスナイパーライフルをくれ。
びゅーてぃふぉーに決めてやるからさ。
盗賊の集団と二度戦闘をして最後の一回は森の入り口へ直通の道を迂回して走りぬけた。
途中、オオカミが居て本気で死ぬかと思った……。
しかし、森の中に入った少しするとオオカミは勿論盗賊も舌打ちをして森の中に入ろうとはしなかった。
それ以前に霧が深く先が全然見えないのも理由の一つかもしれない。
霧がかった森を少し歩くと割りと直ぐにキナの後姿を見つけた。
「キナ!」
「ヨシュア?!驚いた…!追いかけてきてくれたの?」
既に息も切れ切れだったが、もうひとふんばりと少しだけ走ってキナの傍まで行く。
「……大丈夫だった?」
「本気で、死ぬかと思った」
というか、逆に聞きたい。
何でキナは無事なのかと。
俺もポーン達も普通にピンチだったんだけど。
しかし、なんか聞いた瞬間色々と俺のこの幼馴染へのイメージとか自分の実力への自信とか、終わるかもしれないから聞けない…!
「みんな心配してたぞ。突然居なくなったとかって大騒ぎだ。俺も心配したんだからな」
「ごめんなさい、心配かけるつもりは無かったんだけど……ここに、あなたの傷の手掛かりがあるかと思ったら、どうしても探さなくっちゃ、って思って」
そう言ってから言葉を記事って改まって伝えてくる。
「ドラゴンの言葉が分かる呪い師が森の奥にすんでいるらしいの。一緒に来てくれる?あなたとなら、この霧でも心強いわ」
「任せておけ。何より元々俺のために頑張ってくれてる、なんていわれたら拒めないじゃないか、そんなの」
そうして森を歩きながらキナと会話する。
「森の呪い師とは、ずっと以前には私達の村とちょっとした交流もあったみたい。けど村に教会ができたころから、異端と呼ばれるのを恐れて出てこなくなったのね」
「呪い師に、教会、か……確かに相性は最悪っぽそうだもんな」
「それにしてもこの霧、凄いわ。まるで人が近づくのを拒んでるよう…」
「……案外、呪い師が人に関わりたくないから何らかの方法で霧を張ってたりして?」
「そういえば、呪い師が村にこなくなって数十年と立っていると聞くわ。……まだ、生きていると良いのだけど」
「生きている事に期待しよう」
そうして森の奥へと迷いながら進み、日も暮れかけた頃に、漸く一軒の家を発見した。
ちょっと風情のある感じで、某鬼◎郎の家を広く、全うな出入り口付きにした感じ、とでもいうべきか?
「突然ごめんなさい、ここに呪い師さんが住んでいると聞いたのだけど。ごめんなさい、貴女じゃないわよね、若過ぎるわ」
「呪い師…わたしの、おばあちゃん?」
少女、セレナはしゃべる事に慣れていないのかつたないながらも少しずつ色々と語ってくれた。
要点をまとめると…。
1.既に呪い師は死んでいる。人間であるが故に、死んだ…詰まり老衰、と言うことだろうか?
2.竜の知識に関しては詳しく知らない。調べ過ぎると教会に異端認定にされるから。
3.教会は竜の事に付いて何か隠している。
大体こんなところだろうか?
そう思っていると、キナが何か思いついたのかお礼を言って足早に去っていった。
「え、あ!ちょっとキナ!?」
幼馴染の行動につい呆気にとられつつも、セレナに迷惑をかけた、話してくれてありがとうと告げ俺も足早にキナの去っていった方向へ走る。
森のトンネル、その後のちょっとした本当のトンネルを通るとあっという間にカサディスの見えるちょっとした崖となった場所にたどり着いた。
「……で、キナはどこに消えたんだか」
「とりあえず、カサディスに戻られてはどうでしょうか?」
「そうだな。村長に報告して……そろそろあの騎士さんの所に向かうとするか」
感想、評価など頂けるととても励みになります。
よろしくお願いします。
そういえば、『今日のNG』って需要ありますか?
何となくでのせてますけど。
ちなみにNGの方はプレイミスで死んだ時のをメタな台詞とかモノローグを交えて書いてます。
今日のNG 盗賊が強くて心が折れそうです
呪い師の森に向かう道には、山あり谷あり名ワケなのだが、そこを縄張りに活動している盗賊が居る。
以前、盗賊退治を引き受けたときに退治して欲しいと依頼されていたのは、彼らの事だ。
「ふぅう…はぁ…なんとか、殲滅できたな」
鍾乳洞を出て直ぐの坂を上る最中のオオカミ。
コレの相手は最早油断したりミスしない限りは早々負けない自信があるが、この坂の頂上に陣取る盗賊だ。
ふと、街道沿いに現れた盗賊の事も思い出す。
あの大剣使いと大槌使いがスーパーアーマー過ぎて何度胴を真っ二つにされ、脳天を砕かれ、内臓破裂を味合わされたか。
この先に、奴らの同類のスーパーアーマー使いが居ないと良いなぁ……。
「ごふ……」
胸板にまっすぐ突き刺さる剣。
「そんな!目を開けてください!」
スーパーアーマーは居なかったけど、タフ過ぎる重武装の剣士が居て全然勝てないでござる。
盗賊の癖に重武装で強すぎだろう。
この後、10回ほどココの剣士とこの先に居る剣士にやられて本気で心が折れそうだった。