難易度HARDの転生人生   作:とうや

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07:もう、アイツ一人で十分じゃないか?

 

 

と言うわけで宿で休んだ翌日。

宿の親父に俺が領都に来た経緯を教えて城から沙汰が来ると思うけどどれ位で来ると思う?と言うのを相談したら軽く一週間は掛かるんじゃないか?と返された。

要するにお役所仕事のたらいまわしだ。

 

「んじゃ、余裕を持って5日くらいぶらっと歩き回ってみるか」

「そうですね、路銀もかなり心許無いですし賛成です」

「それじゃ、掲示板の依頼を引き受けつつ魔物や動物退治とするかな」

 

そうして俺が選んだ依頼は眩みの砦と言う最前線の場所まで以前、宿営地で世話になったバーンを護衛すると言う仕事だった。

なんでも嘗ての戦友の墓参り……らしく、しかし道中では最近盗賊が大量発生していたり、ゴブリンもまた大量発生していることから超危険地帯と言える。

経路としてはベステダ丘陵地帯、要するに呪い師の森の手前の丘陵地帯を横切って西に進み、ベルダ森林地帯を北上し、そこから鬼火の森と言われるゴブリン大量発生地帯を抜けて辿り着くのが眩みの砦らしい。

以前は領都方面と砦を繋ぐ石切り場を通路代わりに使えたらしいが、何時からか非常に凶悪な魔物…オーガが住み着いて中々退治できずに居る為、今回のような迂回路を通るらしい。

 

そんなこんなでベステダ丘陵地帯。

以前、呪い師の森に幾歳に有る程度盗賊を片付けた筈だったのだが……そんなのは夢だったんだ、と言わんばかりに増えている盗賊たち。

 

「どうして、また、盗賊が居るんだーーーー!」

「この近くに砦があるそうですが、幾らなんでもそこから無尽蔵に、と言うのもありえませんね。別の地方から流れてきているのでしょうか?」

「どちらであろうと、このまま見過ごす訳にもいかん。覚者殿、手伝っていただくぞ」

 

俺、マリーの順で感想を漏らし、バーン両手剣を握り締め、突撃する。

護衛の依頼を受けて、まさか依頼人をほっぽるわけにも行かない。

 

「っ!俺は攻撃が苦手だからな、敵の邪魔位しかできんぞ!ポーン達、遠距離から盗賊たちを牽制!バーンをやらせるな!」

『ハッ!』

 

と、指揮を執ってみたのだが、気付くと援護よりも早くバーンが両手剣で盗賊3人ほど纏めて撫で斬りしていた。

具体的に言うと、腹の辺りで上半身と下半身が泣き別れ、3人同時にだ。

 

『は?』

 

思わず俺はポーン達3人と一緒に唖然とする。

敢えて言うまでもないが、人間というのは簡単にぶった切れる訳ない。

加えて言うと奴らもキチンと武装している。

中にはチェインメイル?まぁ、そんな感じのを着込んでるヤツも居る。

だが、そんなの関係ないとばかりに真っ二つである。

あ、遠くから矢が飛んできたッ!

 

「あぶない!」

「フンッ!」

 

だが、気合の入ったバーンには刺さらないッ!

とはいえ、流石に遠かったお陰と言うべきか、ポーンの魔法や俺の弓だけで十分撃退できた。

その後、盗賊大量発生地帯である丘陵地帯を抜け、ベルダ森林地帯でもバーン無双。

衣服の上にレザーアーマーという革装備の俺では非常に苦しい相手の剣装備のホブゴブリンもバーンにとっては盗賊と変わらない様子で、剣が当たってもまるで細い木の枝で子供が叩いた程度でしかなく、剣を一振りすれば軽く惨殺死体になってしまう。

 

「……もう、アイツ一人で十分じゃないか?」

「マスター、それでも、やらなければなりません」

 

その後、鬼火の森手前の野営地で泊まり、そこに居た行商人から色々買った。

なにをって?

勿論薬草とか応急薬だよ。

俺、バーンと違って脆いからね、ホブゴブリンの攻撃、下手に受けたら即死だよ?

昨日は野営地に付くまでに手持ちの食料と薬品使い切ってたから、本当にきつかったんだ。

 

その後、眩みの砦まで鬼火の森の滋養溢れる薬草を採取しながら向かい、バーンは礼を行って砦の中に入っていった。

 

「……あれ?砦の中って今、ゴブリンに占拠されているんじゃ?」

 

確かどこかでそんな噂を聞いた気もする。

だが、なにやら砦の中で野太い野生の大絶叫(オーケストラ)が聞こえたので、問題はなさそうだ、多分。きっと。だといいな。

少なくとも、俺達に出来る事は、無い。

 

てか、俺なんか自信なくしちゃうなー。

 

なんとも後味の悪い?まま俺達はすごすごと、割合駆け足で森を抜け、森林地帯を全力で駆け抜け、丘陵地帯を蜥蜴の血で染めてからマナミア街道……例の鍾乳洞の入り口近くまで戻ってきた。

しかし、駆け抜けた甲斐があってかまだまだ日は高い。

昨日の行きは盗賊や魔物が多かったこともあってやたら時間を食ってたんだな、と改めて思った。

 

「折角だから、カサディスにでも行くか。キナに会いたいし」

「キナ様と本当に仲が宜しいのですね」

「そりゃ長年の幼馴染だしな!」

 

そんな事をいいながら、宿営地を経由してカサディスまで向かう。

流石にカサディスまで辿り着く頃には日も暮れていた。

流石に夜に幼馴染とは言え女の家にお邪魔するのはどうかと思いつつ、枯れ井戸の傍を通ると……。

 

「おーい!誰かーきてくれー!」

 

と言う声が聞こえた。

この声は……酔いどれのローリックあたりか?

声が反響して聞こえる辺りから、多分枯れ井戸からだろう。

 

………。

 

「どうされました?」

「……非常に面倒くさい予感がする。ローリックって何時も厄介事を持って来るんだよ。主に俺に」

 

とはいえ、その厄介事は解決しないと割りと面倒になることも多い厄介事だから始末が悪い、と俺は言いながらため息をつく。

 

「ならば、どちらにしても話を聞きに行くしかないのでは?」

「そうだな。面倒だけど、行くか」

 

そうして、井戸を潜るとその先に居たのは俺の予想通り禿頭で酔いどれでカサディスでは有名のローリックだった。

 

「ヨシュア、ココに来て嫌な予感がしてんじゃないのかい?悪いけどその通りなんだよ」

 

そういってローリックが語り始めるには、井戸の底で隠れて一人酒を楽しもうとしてたら、奥から地鳴りが響き、何かと思って見に行ったらそこに化け物の巣ができていたらしい。

枯れ井戸、いや、進んだ所にある鍾乳洞に住み着いていた化け物と言えばリザードマンだ。

つまり、以前のリザードマンはその巣から出てきたのだろうか?

 

「こいつぁ村に逃しちゃなんねえと思って、ココで足止めしてたってわけよ。……怪我の功名だな」

「それ、なんか違わなくないか?」

 

「ま、なんにせよお前さんが来てくれりゃ安心だ。頼むよ、この奥にある奴等の巣を駆除してくれ」

「……なんか、すっごい嫌な予感がするけどわかった。やるよ。けど、今日はもう勘弁だ。眩みの砦ってトコから戻ってきたばかりで、割と本気で疲れてんだ」

「おお、ありがたい!お前さんが頼りなんだ、受けてくれるのなら問題ない!奥は入り組んでいて複雑だからな…そうだ、これを持って行くといい」

 

そう言って渡されたのは手投げ爆弾だ。

俺、弓を射るのと違って物を投げるの少し苦手なんだけどな……まぁいいか。

 

 

「あれから傷はどう?」

「ん、今はもう落ち着いてるよ。とはいえ、鼓動が無いのは相変わらずで、何だがなーって感じだよ」

「これからはずっと、都の方でお仕事になりそうなの?」

「ンー…かもしれないな。領都はやっぱ、この辺りの中央だし、どこに行くにしても拠点にしやすいからな……なんか元気ないな、どうした?」

 

答えていく途中、なんとなくキナが少し元気が無い事に気付き、何となくたずねてみる事にすると、キナはあっさりと理由を白状した。

 

「ハイドラ退治やサイクロプス退治とか、あなたの活躍の話を聞くのは嬉しいけど、何の助けにもなれない自分がちょっと情けなくって……」

「なんだ、気にしなくてもいいさ。キナには俺、実際ずいぶんと助けられてるんだぜ、主にココをさ」

 

そう言って俺は胸を叩く。

そう、俺はキナに昔から精神的に助けられてきた。

俺は転生してからアレもコレもといろんな事に挑戦しては怪我をしたり、失敗して落ち込むことも多かった。

そんな俺を治療したり、励ましてくれたのがキナだ。

 

「それに、キナは俺のこの訳の分からん呪いについて調べてくれてるんだろう?正直、俺の方はもうドラゴン退治しか道が無いんじゃないかって気がしてな……。それをしなくても呪いが解けるなら助かるんだが……」

「それなんだけど、オースターさんに聞いた話だと……」

 

といってキナは自分が聞いた話を語り始める。

教会にはドラゴンの知識があるけど、こんな田舎じゃダメで、本土の大教会にでも行かなけりゃダメみたい、ということだった。

 

「そっか……。うん、わかった。ありがとう、キナ。……念の為に言っておくけどくれぐれも、この事で無理はしないでくれよ?」

「ふふ、わかっているわ。貴方ほど、無茶はしたことないでしょう?」

「えー?お前さんも結構無茶してる方だと思うけどなー」

 

あははーうふふーと話して俺はまた枯れ井戸で異変あったから行ってくるわぁ、とキナに伝えて薬草などの準備を整え、覚悟を決めて枯れ井戸へ。

 

さて、鍾乳洞をリザードマンがかつて居た辺りに足を進めると、水場の辺りの一部の壁がなくなっている事に気付いた。

以前はマナミア街道方面への通路しかなかったはずだから、きっとこの先にローリックの言ってた化け物が居ることだろう。

 

 

その後、その先に居た化け物はリザードマンとその親玉のデカイのが居たのだが……弱かった。

いや、相変わらず奴等の攻撃はヤバイのだけど、喰らっても1撃で死ぬほどではなかった。

ポーン達も幾らか怪我をしたが、いずれも致命傷には程遠い。

以前は俺の生存本能にレッドアラートを鳴らすほどだったのに……。

もしかして、過酷な経験(バーン無双)をへて、俺も一皮剥けたと言う事だろうか?

 

な、納得いかない……ッ!

 

その後、この件はローリックに報告すると、どうやらコレで懲りたらしくもうココでは呑まずもっと安全な場所を探す事にするらしい。

……いや、素直にイネスの所で飲んでろよ。

一人呑みよりもみんなで飲むのが好きな俺にはあんまり理解できないところだが、まぁローリックの勝手だ、ほっとこう。

 

「村に被害が及ばなかったのが不幸中の幸いですね」

「まぁな。確かに村のみんなだと色々と厳しそうだしな」

 

取り敢えずは村の危機を脱したということで納得しておくとしよう。

 

 

 

 

 

 




今日のNG 地獄の護衛依頼

「いぃよっし!!ようやく盗賊地獄を抜け出した!!」
「あそこで何度全滅したのでしょうね、依頼人以外が」

丘陵地帯を徘徊する盗賊をほぼ全て(バーンが)倒し、森に出現するリザードマンやゴブリンを蹴散らしながら進む。

「いやぁ、魔物の相手の方が楽ってどういうことなんだろうねぇ」
「いいことです……危ない!?」

「え?」

がぶっちょ。


※ベステダ丘陵地帯の街道に程近い森ではキメラが徘徊しています。運が悪いと死ねるので良いこのみんなは注意してね!
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