緋弾のアリアAA 漆黒の鬼神   作:一光

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漆黒の鬼神、第二話投稿!

終の過去?が少しわかります


第二話 接触と探り

終は現在、自身の住む男子寮の一室でベッドの上に寝転がっていた。

 

 

(間宮・・・・確か、公儀隠密の家系だったか?)

 

 

終は自分の曖昧な記憶を辿った後、起き上がるとガシガシと頭を掻いた。もしかしたら同じ名字なだけかもしれないと、その事を確認する術がない終は頭の片隅に留めておきながら台所に向かう。

 

 

「あいつ、上手くやれんのか?」

 

 

普段は全く人と関わろうとしない終だが、興味を持った人物はとことん気にする質だった。そして、興味を持った人物には優しい。本人は前者は気付いているが、後者は全く気付いていなかった。

 

 

「そう言えば・・・・あいつ、三日以内解消規則(スリーデイズ・キャンセル)の事、知ってるのか?」

 

 

終はマグカップにコーヒーメーカーで作ったコーヒーを淹れながら、少し思った不安を口にした。三日以内解消規則(スリーデイズ・キャンセル)とは、戦姉妹(アミカ)契約から三日以内に戦妹(いもうと)が私闘で敗れると契約を解消する規則の事だ。

 

 

三日以内解消規則(スリーデイズ・キャンセル)だと再契約できないしな」

 

 

戦姉(あね)戦妹(いもうと)を守れなかったと言うことで再契約すら出来ない規則を終は何となく思い出していた。

 

 

「まっ、会ったら聞くか・・・・今は夕飯の買い物、しねぇと」

 

 

あかりの事よりまず先に、自分の飯をこれからどうしようかと、悩む終は軽くため息をつくと、テーブルに無造作に置かれた携帯が振動した。

 

 

「電話か? つか、俺に電話する奴なんていんのか?」

 

 

終は疑問を口にしながら携帯を取った。終は全くと言って良いほど交友関係がなかった。終が連絡相手を確認すると、非通知だった。それにより、終は警戒心を少し強めた。

 

 

「・・・・もしもし」

『漆黒の 死神 ゼロ でやがりますか?』

 

 

終は携帯から聞こえた機械音声にため息をついた。何だってその名前を知ってるんだっと思いつつ、冷静に応対する。

 

 

「俺はそんなの知らねぇぞ。漆黒の鬼神なら言われてるらしいが」

『とぼけるな でやがります 元 イ・ウーの ゼロ』

「イ・ウーだと?」

 

 

終は機械音声から言われたイ・ウーと言う単語に反応した。その直後に、終は後悔した。しらばっくれるつもりが反応したことにより自分から自白したようなものだった。

 

 

『やはり そうで やがりましたか』

「一体、誰だテメェ? んなやり方の奴、知らねぇぞ」

『知らねぇのは 無理 ないで やがります 私は お前が 抜けた後に 入ったで やがります』

「そうかよ。で、俺に何の用だ?」

 

 

終は先程より警戒心を強めて、電話相手に問いかけた。イ・ウーとは核武装すらした戦闘集団である。終は一時期、イ・ウーに入っていたが、自らの目的のためにイ・ウーを抜けていた。

 

 

『単刀直入 に聞くで やがります もう一度 イ・ウーに 戻る気は ねぇで やがりますか?』

 

 

それを聞いた終は電話の相手を鼻で笑い、先程より冷たい声で言う。

 

 

「はっ、死んでもお断りだって、テメェ等のトップに伝えろ」

『それなら オルメスに 変に関わるな でやがります』

「オルメス?」

 

 

終はオルメスと言う言葉に少し黙ったが、あぁっと納得した表情をした。

 

 

「フランス語読みのホームズか。別に関わるつもりねぇよ、お前らのトップなんぞに」

『違う でやがります お前の 近くの オルメス でやがります』

「俺の近く? どういう意味だ?」

独唱曲(アリア)でも 聞いて 考え やがれ でやがります』

「おい、どういうことだ? おい!」

 

 

終の問いに答えることなく電話は切れ、終は舌打ちをした。

 

 

「俺の近くのホームズって誰だよ・・・・待てよ、何で独唱曲(アリア)が出てくるんだ?」

 

 

終は頭の中で情報を整理し出す。ホームズ、近く、最後に独唱曲(アリア)

 

 

(近くってことは、武偵高の人間か? だとすると独唱曲(アリア)ってのは・・・・)

 

 

終はため息をつくと頭を掻いた。その人物には接触していた、しかも自分から。相手も自分のことを知っていたので、変に関わるなと言われても難しいかもしれない。

 

 

「面倒なことになったな・・・・神崎・H・アリア」

 

 

終はため息をついて、腰に差していた刀を抜いた。形は普通の日本刀だが刀身が暗闇のように黒いことから終が黒鉄と呼んでいる刀。

 

 

「こいつを教授(プロフェシオン)に見せたのが運のつきか・・・・」

 

 

終は面倒なことに首を突っ込みそうだと思うと、自然と今日何度目かのため息が出た。終は刀を納めると、買い物をしに部屋を出て鍵を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あかりの歩法とか構えは、日本の武道がベースだったわ」

 

 

夜7時、アリアは武偵高の専門科の一つの諜報科(レザド)にいた。諜報科とは、犯罪組織に対する諜報、工作、破壊活動を専門とする武偵を育成する学科である。その校舎の窓を隠すように植えられた立派な樫の木のそばで壁にもたれかかっていた。

 

 

「それと、黒谷終って何者なの? 噂では、漆黒の鬼神や破壊者って言われてるみたいだけど」

 

 

アリアは木に逆さに吊りになって焼きそばパンを食べているくの一のような少女、風魔陽菜に尋ねていた。強襲科(アサルト)探偵科(インケスタ)から転科する形で引き抜かれることの多い諜報科を最初から選択した少女だった。

 

 

「あかりの使っていた技は空手にも柔道にも合気道にもないものだったのよ。それに黒谷終も、何かある気がするわ」

 

 

アリアは陽菜に任務(クエスト)を依頼していた。生徒が生徒に任務を依頼することは希ではない武偵高。アリアが依頼したのは戦妹(アミカ)にした強襲科一年の間宮あかりと同じく一年の黒谷終の身辺調査である。と言っても取りかかりが少ないのでこまめに情報を伝えていた。

 

 

「・・・・神崎殿が見た技は、おそらく『鳶穿』。本来は敵の眼球や内蔵を素手で毟り取る、忍の殺法に御座る」

 

 

焼きそばパンを食べ終え、口当てで顔を隠しかなり物騒な見解を述べる陽菜に、聞いていたアリアは黙った。日本の武偵は武偵法9条によって殺人が禁じられている。おそらく作り替えたものとしても元は殺人技、あかりにはそれを使えると言うことだった。

 

 

「後は、黒谷殿についてで御座るが、破壊者と言われる要因は犯人の確保時によく器物損壊を起こすことで御座る」

「器物損壊? 銃を撃って何か壊す訳?」

「否・・・・道路を砕いたとのこと・・・・」

「はぁ!?」

 

 

アリアは眼を見開いて驚いた。道路を砕くなどとは思いもしなかった。

 

 

「何使ったなら出来んのよ・・・・」

「・・・・踵落とし、とのことで御座る」

「・・・・何をどうしたらそうなった訳?」

 

 

アリアは驚愕を通り越して、半分呆れていた。どうしたら踵落としで道路を砕けるのかと、思っているとグーっと陽菜の腹が鳴ると、アリアはため息をつきながらもう一つ焼きそばパンを陽菜に差し出した。

 

 

「・・・・追加料よ」

「かたじけない」

「あかりと黒谷終のこと、継続して調べて。一年同士なんだから調べにいくことはないでしょ。後日、もっと教えなさい」

「御意。それと神崎殿・・・・」

 

 

アリアから貰った焼きそばパンを食べ終えた陽菜はアリアに声を掛けた。

 

 

「一つ、黒谷殿にはある噂が流れてるでござる」

「噂?」

「黒谷殿は、元傭兵との噂でござる」

「って、幾らなんでも年齢が噛み合わないわよ」

「しかし、黒谷殿について、中学三年以前の情報が全くと言っていい程、ないでござる」

 

 

陽菜の話を聞いたアリアは少し考えた後、陽菜の方を見た。

 

 

「あいつについては、あたしも調べてみるわ。あんたはあかりのことを中心に調べてちょうだい。黒谷終は、あたしが基本的に調べてみるわ」

「御意」

 

 

陽菜は風に揺れた木の葉に紛れて、闇に消えた。アリアはため息をつくと額に手を当てた。

 

 

「一体何者よ。黒谷終って・・・・」

 

 

アリアの呟きは、誰にも聞かれることはなかった。

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