元RTA実況者がSAOをプレイしたら   作:Yuupon

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タイトルの通りです。
二次創作は久々に書いたので宜しくお願いします、


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


『第一層最速攻略』
1.プロローグ


 

 

 

 【SAO】第一層の最速攻略を目指す枠。

 

 その(わく)が立ったのは、世界初のVRMMOであるソードアート・オンラインが正式サービスを開始した日の事である。

 そして某ニコニコ生放送。通称、ニコ生にて一人のユーザーが上げた(わく)だった。

 

『お前ら、今日は重大なお知らせがあるぞーっ!』

 

 発端はその前日の生放送の枠での事である。

 元々動画を上げながら定期的に生放送を続けていた彼は有名実況者とまでいかなくとも、中堅と呼ばれるに等しいほどの人気は得ていた。具体数を上げると一度の生放送で数千人規模くらいか。

 その日の枠は次の実況動画に関しての雑談だったのだが、その中で彼はこう言ったのだ。

 

『次の実況のお知らせだー! 次の実況なんだけど、普段は生放送は生放送、動画は動画で生放送の内容を動画化したことなかったんだけど。今回初めての取り組みとして生放送でプレイしたゲームを動画にしようと思うんだよ』

 

 彼がそう言うと画面に、「お?」「生放送録画化キタコレ!」「ハクレイ、ホモってマジ?」などのコメントが画面を流れていく。ハクレイ、という名前は某弾幕ゲームのファンだったからのネーミングだがそれは置いておこう。

 画面を流れるコメントは一部ネタコメントがあったものの反応の良い様子を見て少しニヤつきながら配信者、『ハクレイ』はとっておきのネタを投下しにかかる。

 

『で、その配信なんだけど明日するぞー。予約はもう入れてあって、昼の一二時に開始予定です。で、実況するゲームに関して何だけど。今回はいつもと違う機種のゲーム。というか最新機を手に入れましたのでそれをやろっかなーと思ってます」

 

 その言葉に「明日の昼十二時?」「最新機ってもしかしてナーヴギア?」「SAO!? ハクレイさん手に入れたのスゲ〜!」「←ハクレイは金髪の幼女だからホモじゃないぞ」

 などのコメントが流れる。目に見えて分かるほどコメントが増えていた。それをチラリと確認してハクレイは言う。

 

『もうコメントで当ててる人もいるから言うけど、明日プレイするゲームはSAO。ソードアート・オンラインです。実はβテストの時に当たってたんだけどその時は実況機能ついてなかったから出来なくて。明日実装の方は実況可能っぽかったのでそれで遅い報告になりましたがやらせていただきます!』

 

 言い切ると同時。「おぉー!」「初期ロット一万なのにマジか!」「βからかよ運いいな」「俺抽選落ちたから絶対見るわ」「8888888(パチパチパチパチ)」「正直実況者で抽選当てた人いなかったから楽しみだぜ」「ハクレイって前似た系列のゲームでRTAしたりしてんかったっけ?」「とうとうハクレイも超人気生主になるのか……」「マジか、今からwktk(ワクテカ)だわ」という各々違うコメントが流れていく。

 コメント数も爆発的に増え、同時にコミュニティ人数が増えていくのが見えたハクレイはさらに続けて、

 

『もう一度時刻言うけど明日の十二時です。もしかしたら満員になるかもなのでミラー配信(他で行われている放送をそのまま流すこと)もしますんでそちらでお願いします。枠は出来るだけ延長していくつもりなんでお前ら頼むぞ。宣伝して券貰えたらその都度延長するから』

 

 そこで時間が来たのを確認して彼はその日の枠を締めくくる。

 

『とりあえず明日、ゲーム開始と同時にゲーム内でのプレイスタイルの説明をしようと思っていますのでよろしくです。じゃあまた明日お会いしましょう! それではご視聴ありがとうございました』

 

 言い切った後、「期待してるぞ」「俺もSAO当たったんで一緒にプレイしませんか?」「初見です」「SAO実況と聞いて」「もう宣伝されてんぞw」「お前ら落ち着け」などのコメントが流れたところで彼は放送を終了した。

 ふぅ、と小さく息を吐いてからパソコンを閉じた彼、ハクレイは立ち上がる。

 

「……あー、やべぇ。明日の放送今から緊張してきた」

 

 ボソリとそんな事を呟く。

 それからチラリとベッドの横に置いてあるVRMMO機器、ナーヴギアを見る。

 

「βの時も思ってたけど運良かったな」

 

 ソードアート・オンラインは世界初のVRMMOにしては初期ロットが少ない。たったの一万ロットである。しかも、その数はβテスターの分を含めてだ。製品版を手に入れる為には数日前から並ばねばならない、とテレビでよく聞いたのを思い出す。

 世界初にして成功確定とも呼ばれているMMOなのに何故そんなに数が少ないのかに関しては製作者の茅場晶彦の意向らしいが、ハクレイにはよく分からなかった。

 とはいえ、他のめぼしい実況者や有名実況者達もこれを手に入れられなかったようなので、これで固定ファンが増やせたら良いなぁなどと少しばかり欲っぽいことを考えてみる。

 と、そこで彼は思考を切り替える。明日の事だ。

 

(……明日、大学は休みだし、機器も繋がるの確認したしな。とにかく明日は気合い入れてぶちかますか)

 

 やはり彼も生放送主兼、実況者としては面白いものを視聴者に提供したい欲がある。元々ゲームが上手い彼はその持ち前のテクニックを武器にプレイするつもりであった。

 

(β時代の時も攻略組張ってたし、とりあえず最速での一層攻略を目指すか。それが無理でもせめて攻略組に食い込めるようにしよう。ただのプレイじゃファンは付かないしなぁ……)

 

 既に人気の実況者ならプレイしながらボヤくだけで何十万人というファンが付いてくるのだが。

 まぁ底辺の人たちよりはマシかな、と彼は曖昧に笑う。

 そして、

 

「うし、念のために最終確認しますか」

 

 実況者、ハクレイは明日の放送のための準備を進めていく。

 しかし彼はまだ知らない。

 明日の実況が阿鼻叫喚の事態になることを。

 何千人もの人間がこの世からのログアウトをすることを。

 そして、

 SAOがログアウト不能のデスゲームになり、彼の実況枠が唯一の外との通信手段となることを。

 

 

 ーーーー彼はまだ知らない。

 

 

 

 

 




次回更新は一月二日の朝六時です。

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